Red Line 第12話
何日も泣いて泣いて
やっと落ち着き始めたとき
私が一番ショックだったのは血が繋がっていたことじゃないと
気づいた
【Red Line 第12話】
「アスハ先生、やはり顔色がよくないようですが…」
職員室のデスクで給食を食べていると、学年主任の先生に声をかけられてカガリはハッとした。
今日はアスランの好きなロールキャベツで、思考が停止していたのだ。
「あ、いえ…」
「先日、初めてお休みになられたでしょう?アスハ先生は働きすぎなんですよ。もう少し休まれては?」
「いえ、大丈夫です。体力だけはありますから」
仕事に打ち込んで、動き回って、何も考えたくなかった。
恋人が兄だったなんて誰にも相談できない。
今まで話を聞いてくれてたフレイにも。
泣いて、働いて、眠って…自分一人で消化するしかなかった。
「カガリせんせいー!こっちこっち!」
「よーし、いくぞー!」
「きゃーーーっ」
校庭で走り回る子どもたちの笑顔に救われた。
元気で純真無垢で。
自然と笑っている自分がいる。
こうして過ごしていけば、いつか苦しみは消えてなくなる。
いつか忘れられる・・・
「―――!」
ハッと、後方に気配を感じて振り向くと
フェンスの向こう側に犬を散歩しているおばあさんがいた。
あのとき、アスランが立っていた所。
いるはずがないのに、本物かと思った。
ああそうだ
この校庭は・・アスランと初めて出会った場所――――
泣いても、働いても、眠っても
目に浮かんでくるのはアスランの姿だった。