Vivid Colors 第7話
大好きな人がいる。
大事な弟も近くにいてくれる。
こっちでの一人暮らしを許してくれた、アスハのおじ様も見守って下さってる。
一人暮らしは寂しいけど……今がすごく幸せなんだ。
2年前に失った心地いい時間が戻ってきた気がする。
そして、もう一人――――
【Vivid Colors 第7話】
『あらあら、カガリさんにそのような方ができたのですね』
「う、ん…」
『ふふふ、キラの慌てふためく様子が目に見えますわ』
小・中のときの同級生、ラクス。
ラクスはそのまま地元の高校に進学し、今も緑豊かなあの島に住んでいる。
いつも一緒にいた親友なのに、今までこうやって電話で話すことさえ無かった。
……私が逃げていたから。
中3のときアスハの姓になってから、私はほとんど学校に行かなかったんだ。
キラのいない学校。
中途半端な時期に変わった姓。
同情の目。
せまい島だから、お母さんの自殺のことなんて皆が知っている。
親友のラクスにも何も言わず、私は逃げるようにして遠く離れた本土の街の高校を受けた。
でもこっちに来て、アスランと出会って……怖がらずに人と向き合おうって思った。
アスランがいてくれるから、そう思えた。
そして昨日、キラにこっそり言われた。
“ラクスね、カガリからの連絡待ってるんだよ”
ラクスはそんな私の気持ちを全部理解した上で、
いつか私の心の整理がついたら連絡をくれるって、待っててくれたんだ。
何も言わずに、ただ優しく。
そうして今、私とラクスは約2年ぶりに言葉を交わしている。
私から電話をかけたら、第一声は“おかえりなさい、カガリさん”だった。
キラと同じ言葉を聞いて、とても心配をかけていたんだって申し訳ない気持ちになった。
こんなにも、私を想ってくれてる人がいる……。
「もともと、キラとアスランが知り合いだったんだ。今はすっかり親友って感じかな!」
『そうですか。楽しく過ごしてらっしゃるのですね…』
「ああ、楽しいぞ! そうだ…!ラクス、こっち遊びに来いよ!」
『えっ?』
「だってせっかくの夏休みなんだから! 泊まる所は私の部屋があるんだし。キラともずっと会ってないだろ?」
『ええ…』
「久しぶりに遊ぼうっ」
『そうですわね…!カガリさんやキラはもちろん、わたくしカガリさんの恋人にもお会いしてみたいですわ』