Vivid Colors 第5話
あかい……
一面、紅い世界……
嫌だ!! お母さんっっ 死なないで! 嫌だ………!!!
『俺、もうカガリとは一緒に食べたくないんだ』
アスラン・・・・!? なんでっ
やだ、行かないで・・・!!
行かないで!!
行かないでっ・・・
行かないでーーーっっ
――――ハッ!!
視界には、いつもの見慣れた白い天井。
窓からは光が淡く差し込む。
…夢――…。
…大丈夫、紅くない。
夢だ。
大丈夫、大丈夫……。
カガリは呼吸を整えるようにゆっくりと起き上がり、窓のカーテンを開いた。
広がる青い空。
「…うん……っ…大会日和だ…っ…!」
自分を励ますかのようになんとか発した声は、指と共に震えていた……。
【Vivid Colors 第5話】
バスケットボール地区大会予選、市内にあるプラント高校で試合が行われる。
この時期運動部は試合が多く、カガリも市営競技場で競技会があると言っていた。
きっと今頃、いつものように楽しそうに走ってるんだろう…。
でもその姿も、本当のカガリじゃないとしたら?
心の奥底に、あの悲痛な表情を隠してるとしたら?
多数の高校が集まってくる中、俺はAA学院…キラを探した。
体育館の一角で、AA学院のトレーニングウェアを着た一団を見つける。
その中に、ダークブラウンの髪を持つ男がいた。
キラ・ヤマト……。
あの時、カガリの頭を愛しそうに撫でた男―――
何を話すとか、何を訊くとか、具体的に決めていたわけではなかった。
ただキラと話さなくてはいけないと、そう思った…。
「キラ・・」
荷物を置こうとしていたキラに、アスランは後ろから声をかけた。
振り向いたキラは、目の前の人物を見て驚く。
少し固まってから、キラは静かに言葉を紡いだ。
「君から声かけてくるなんて初めてだね…」
「…いつかこんな日が来るかもしれないって思ってたけど……早いよ…」