Vivid Colors 第4話
人間の欲とは際限がないものなのか。
校内では相変わらず話しかけられなかったが、非常階段ではカガリを独り占めできた。
それが嬉しくて、夢の中のように心地よくて…。
けれど、少しずつ次を望むようになってきているのも無視できなかった。
あんな可愛いカガリを目の前にして、それを望まない方がおかしい。
嫌われてはないはずだ。
むしろ好意的ととっていいだろう。
もちろんカガリにとってはたくさんいる友人の一人なんだろうけど・・・。
【Vivid Colors 第4話】
「…なぁ」
「ん?」
昼休み。
いつものようにひとしきり今日の出来事を話すと、カガリは少し黙り、ぽつりと口を開いた。
「アスランって、彼女とかいないのか?」
「えっ………」
何の前触れもなくいきなりそんな事を訊かれ、アスランは思考が停止してしまった。
「あ、いや…っ。お前いつも私に付き合ってここで食べてくれてるだろ?
もし彼女とかいるなら、申し訳ないと思って…!」
カガリは慌てたように付け足した。
アスランは今の言葉にただ驚きを隠せなかった。
男女分け隔てなく周りを愛しているカガリから、彼女とかそういう言葉が出てくるとは思わなかったのだ。
「ほ、ほら、お前ってモテるだろ。無理して来てくれたりしてないか…?」
何も言わず自分を見つめるアスランに、カガリはあたふたしている。
そんなカガリを見ていると逆にアスランは落ち着いてきた。