Vivid Colors 第9話
ラクスが島に帰ってしまってから数日…
気が付けば、夏休みはあと1週間となっていた。
カガリがあのときアルバムから選んだ写真は、大切にリビングに飾られている。
「アスランのお母さんってほんと綺麗だなぁ…」
「写真飾ったこと、父さんに言ったら驚いてたよ」
「電話でか?」
「ああ。相変わらず忙しくて帰って来れないみたいだけど」
「早く帰ってこれるといいなっ」
そう言って、微笑み合った。
【Vivid Colors 第9話】
「ね、それより早くごはん食べない?」
アスランたちの後ろで声をあげたのは、キラだった。
「もーキラってばぁ。お前、寮のご飯はいいのかよ?」
「成長期だもん、両方食べれるよ~」
ラクス滞在の時から恒例となっているアスラン宅の晩御飯に、ちゃっかりキラも加わっているのだ。
しかし、それは以前のようにアスランとカガリを監視・妨害するものではなかった。
―――ラクスを見送った帰り道のこと。
アスラン達は少し遅めの昼食をとろうと、食材の買い出しに向かった。
カガリが買い物かごを持って野菜売り場に行ってしまうと、キラはこっそりアスランに声をかけた。
『じゃあ、僕は帰るから』
『えっ…お前は食べていかないのか?』
『さっきラクスと食べたんだ。それに…あまり邪魔しちゃダメって言われちゃったしね。』
『ラクスが?』
『うん。僕も晴れてラクスと恋人同士になれたことだし、寛大な目で見てあげる』
『………』
『アスラン?』
『…邪魔なんかじゃない。むしろ…』
『え?』
『…いや、お前がいた方がカガリも喜ぶだろう。今まで通りうちに来てくれないか?』
『はっ!?』
『できれば毎日…』
『ちょ、ちょっとアスラン?え!?』
『頼む…』
――――そうして、キラは毎日ここに来ているのだ。
キラはアスランの言ったことが腑に落ちなかった。
ついこの間まで、邪魔するな!とかばかり言っていたはずなのに。
あのアスランが自分に頼みごとをしたのも驚きである。
アスランとカガリを見てみると、別にケンカしているわけでもなさそうだ。
アスランは切ないくらいに優しい目でカガリを見ているし、
カガリも楽しそうに笑っている。
2人が想い合っているのは誰が見ても一目瞭然で…。
今まで散々2人の中に割り込んできたキラだが、
一度認めてしまうと、なんだか自分が邪魔者のような…いたたまれない気持ちになる。
アスラン・・・
きみ、一体なに考えてるの・・?