ORANGE 第8話
【ORANGE 第8話】
予定通り門限の15分前にカガリを自宅に送り届けて、クリスマスイブは終わった。
カガリは毎年家族でクリスマスパーティーをしていると言っていたから、「25日は家族水入らずで」とアスランは遠慮して会う約束はしなかった。
マンションに帰って、力なくベッドの上に倒れこむ。
しかし、溜め息も出なかった。
逆に息が詰まる…。
「っ……」
・・浅ましくも、こんなときにまで躰が反応した。
キスもできない男の下半身がこんなになるなんて馬鹿馬鹿しいとさえ思う。
でも心と躰は別物で
肌にどうしようもない衝動が湧き上がって
カガリが欲しくてたまらなかった。
その想いが、ただ性欲を果たしたいだけなのか・・
分からない
翌日、ほとんど眠れなかったアスランはいつもより早い時間に出勤していた。
カガリは冬休み中のため朝は会っていなかった。
「おっ、アスラン。今日は早いな」
まだ誰も出勤していない事務所でディアッカから声をかけられて、アスランは寝不足な顔を上げた。
「お前こそ早いな…」
「俺は彼女の家から直接来たからな」
さらりとディアッカは羨ましいことを言ってのけた。
昨日はクリスマスイブなのだから全然おかしなことではないが、…当然のように彼女の家に泊まったというのが羨ましい。
というか、先輩の結婚式では合コンがどうとか言ってたくせに、いつのまにか彼女ができていたとは。
あれは初夏のことか。
カガリと出会った頃…。もう半年がたつ。
「お前はどうだったよ~昨日。まあさすがに彼女、泊まりは無理か」
「…当たり前だろ」
「なんか寝不足っぽいけど」
「あ、いや…、ちょっと仕事がたてこんでて…」
同僚と当たり障りのない会話をしていたと思っていたアスランだったが―――
ディアッカの次の言葉で心から凍り付くことになった。
「そういやクリスマスプレゼントは何あげたんだ?」