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お人形さん
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たまたまだ。
そう、たまたま彼女はゲームセンターにふらりと立ち寄った。
クレーンゲームにアーケードゲーム、コインゲームにパチンコとジャラジャラ金貨のぶつかる音が聞こえたり、いろんなゲーム台の音が不協和音に鳴り響いたりする空間で、UFOキャッチャーのコーナーをゆっくりと見て回っていた。そのキャッチャーの景品はどれも輝いて見えて、見る者の心をくすぐる。
欲しい。かわいい。かっこいい。取れたらさぞ幸せなのだろうと、いろんな感情がめぐる。そして彼女は見つけた。心のそこから欲しいと思えたその景品に。
「あっ……」
彼女はそのUFOキャッチャーの前で止まり、ガラス越しに見つめる。
ガラスの向こうに見える可愛いぬいぐるみは、まるで自分はここにいるよと言わんばかりの主張をしている。
なにかを思い立った彼女は咄嗟に鞄のなかを漁った。そして手に取ったものは小さな薄い財布だ。決して多くないそのお金を取りだし、一瞬たじろぎ、悩み、決心をしてお金を投下する。
絶対にとって見せる。彼女は本気だった。だが、ゲームセンターを運営している店員さんもそう甘くはない。
とれるはずもない。
彼女にはわかっていたが、どうしても取りたかった。欲しかった。
何故ならばそこにいたのは、自分の体の五分の一にも満たない、アグモンの姿のぬいぐるみが置いてあったからだ。
「可愛いなぁ、欲しいなぁ」
お金を投下しながら、彼女はそういった。
様子見だ。まず100円を入れる。どのくらいアームが強くてどのくらいで取れそうなのかをこの100円で考える。まずは持ち上がるかどうか。
ちょうどいい角度に来たと、心の中で喜んだ。そしてアームがぬいぐるみを持ち上げた。彼女は嬉しくてガッツポーズをした。だが…、
「あぁっ!!」
運ぶ途中の反動でぬいぐるみは思わぬ方向へと落ちてしまった。悔しい。
そう思った彼女は五百円を入れる。
今度は回数で勝負すると言うことだろう。
「絶対に持って帰るんだから!」
悪戦苦闘の末、思わぬ出費をしてしまったが、彼女はなんとかそのぬいぐるみを入手することに成功した。
「今月分全部使ってしまったな…。ひぃ~…、後で怒られそう」
彼女は、それはとてもとても大切そうにぬいぐるみを抱き、家に帰る。
家に帰った彼女はまずぬいぐるみをベッドの上に座らせるように置き、部屋の掃除をし始めた。
「新しく家族が増えたのに、汚いのはちょっと嫌だからねぇ」
誰に言うわけでもなく、ただ独り言をぶつぶつと言うのだ。本を本棚に。ごみはゴミ箱に。ゲーム機をケースにしまいこんで、脱ぎ捨てられた衣類を洗濯機に放り込む。
机の上の使い終わって片してない食器を台どころの流しに入れて水に漬ける。
最後に軽く掃除機でゴミを吸いとって終わりだ。
「いやー、掃除すると見違えるなぁ…」
当たり前である。掃除すれば綺麗になることなんて誰にでもわかる事を当たり前のように言い、独り言を重ねる。
そしてベッドに座っているぬいぐるみに向けてダイブし抱きしめる。可愛い可愛いと頭を撫でて愛でる。
こんな姿は外では見せられないだろう。可笑しな人だと、周りは言うだろう。好きなものをどう愛でるかは、その人しだいである。
「うーん…」
ベッドの上で散々騒いだあげく、眠たくなったのだろう。彼女は眠ってしまった。
すやすやと寝息をたてて安心した顔をして寝ている。
さぞうれしいのだろう、ぬいぐるみを手放す事なく抱きしめて寝ているのだ。まるで、小さな子供が人形を抱いて寝るように。
ーーーー
「起きて、…ねぇ…、おきて。」
聞き覚えのない声が彼女の耳元に聞こえた。
「ん"ぅ…、?」
彼女は少し唸りながら薄目を一瞬あけて見てみるも、目の前にあるのはゲームセンターで取ったぬいぐるみがあるだけで、空耳かなと判断し再び目を瞑った。
すると…また、
「おきて、ねぇおきてってば」
今度は体を揺らしてくる。さっき見たときはぬいぐるみしか無かったのになんなんだよ全く、ふざけないでくれ、幽霊が住み着く曰く付きの家なんて借りてねぇぞクソ。と内心結構荒れている彼女は不機嫌そうに目を覚ます。
「……な…に、?…だれ?」
起きてた頃とは全く違う程に声のトーンが低く、怖い雰囲気だった。
「…やっとおきてくれたよ」
すると再び声が聞こえた。今度はどこから声が出ているのかがはっきりとわかる。声の発信源はぬいぐるみだった。だがこのぬいぐるみ、めちゃくちゃ柔らかくて押し潰しかけたりしたのに、声が出る…?はて、機械的なモノは内蔵されてるはず無いんだがなぁ、と頭のどこかでふらりふらりと考えた。
「……」
「おはよう。ディア」
ぬいぐるみが喋り、自分の名前まで知っていた。他のひとならば、確実に飛んで喜び跳ね回るか、不振に思いつつも何か言葉を交わすだろう。だが彼女はそんなことしなかった。
「お…、はよう」
頭の中でパニックになっているのだろうか。寝ぼけているのだろうか。言葉が詰まりかけたが、彼女は冷淡に挨拶をし、ぬいぐるみの頭を指先でくすぐるように撫でた。
「ぼく、アグモンっていうんだ」
ぬいぐるみは撫でられて気持ち良さそうな顔をしたのちに続けて自己紹介をした。
「ディア、ぼくを見つけてくれてありがとう。よろしくね」
ただそれだけの挨拶をして、にこにことぬいぐるみは笑う。
そんな姿を見て彼女も思わず笑みがこぼれた。
「よろしく」
声はいつもの声色に戻り、彼女もまた、にこりと笑い返した。
旧あとがき
平成28年9月9日
一度やってみたかったネタなんですよ!!ちなみに、ぬいぐるみのモチーフ?というか元ネタは、でっかいアグモンぬいぐるみが元となってます。
てか、これ絡みより夢主ちゃんのゲーセン魂に火がついてるだけの話になってるな。
いつかまた似たようなシリーズを出したいと思いますぞ!!
ありがとうございます
令和7年10月3日
少し改修しました。
シリーズ化は多分ないですが、続編のようなものは書きます。
そう、たまたま彼女はゲームセンターにふらりと立ち寄った。
クレーンゲームにアーケードゲーム、コインゲームにパチンコとジャラジャラ金貨のぶつかる音が聞こえたり、いろんなゲーム台の音が不協和音に鳴り響いたりする空間で、UFOキャッチャーのコーナーをゆっくりと見て回っていた。そのキャッチャーの景品はどれも輝いて見えて、見る者の心をくすぐる。
欲しい。かわいい。かっこいい。取れたらさぞ幸せなのだろうと、いろんな感情がめぐる。そして彼女は見つけた。心のそこから欲しいと思えたその景品に。
「あっ……」
彼女はそのUFOキャッチャーの前で止まり、ガラス越しに見つめる。
ガラスの向こうに見える可愛いぬいぐるみは、まるで自分はここにいるよと言わんばかりの主張をしている。
なにかを思い立った彼女は咄嗟に鞄のなかを漁った。そして手に取ったものは小さな薄い財布だ。決して多くないそのお金を取りだし、一瞬たじろぎ、悩み、決心をしてお金を投下する。
絶対にとって見せる。彼女は本気だった。だが、ゲームセンターを運営している店員さんもそう甘くはない。
とれるはずもない。
彼女にはわかっていたが、どうしても取りたかった。欲しかった。
何故ならばそこにいたのは、自分の体の五分の一にも満たない、アグモンの姿のぬいぐるみが置いてあったからだ。
「可愛いなぁ、欲しいなぁ」
お金を投下しながら、彼女はそういった。
様子見だ。まず100円を入れる。どのくらいアームが強くてどのくらいで取れそうなのかをこの100円で考える。まずは持ち上がるかどうか。
ちょうどいい角度に来たと、心の中で喜んだ。そしてアームがぬいぐるみを持ち上げた。彼女は嬉しくてガッツポーズをした。だが…、
「あぁっ!!」
運ぶ途中の反動でぬいぐるみは思わぬ方向へと落ちてしまった。悔しい。
そう思った彼女は五百円を入れる。
今度は回数で勝負すると言うことだろう。
「絶対に持って帰るんだから!」
悪戦苦闘の末、思わぬ出費をしてしまったが、彼女はなんとかそのぬいぐるみを入手することに成功した。
「今月分全部使ってしまったな…。ひぃ~…、後で怒られそう」
彼女は、それはとてもとても大切そうにぬいぐるみを抱き、家に帰る。
家に帰った彼女はまずぬいぐるみをベッドの上に座らせるように置き、部屋の掃除をし始めた。
「新しく家族が増えたのに、汚いのはちょっと嫌だからねぇ」
誰に言うわけでもなく、ただ独り言をぶつぶつと言うのだ。本を本棚に。ごみはゴミ箱に。ゲーム機をケースにしまいこんで、脱ぎ捨てられた衣類を洗濯機に放り込む。
机の上の使い終わって片してない食器を台どころの流しに入れて水に漬ける。
最後に軽く掃除機でゴミを吸いとって終わりだ。
「いやー、掃除すると見違えるなぁ…」
当たり前である。掃除すれば綺麗になることなんて誰にでもわかる事を当たり前のように言い、独り言を重ねる。
そしてベッドに座っているぬいぐるみに向けてダイブし抱きしめる。可愛い可愛いと頭を撫でて愛でる。
こんな姿は外では見せられないだろう。可笑しな人だと、周りは言うだろう。好きなものをどう愛でるかは、その人しだいである。
「うーん…」
ベッドの上で散々騒いだあげく、眠たくなったのだろう。彼女は眠ってしまった。
すやすやと寝息をたてて安心した顔をして寝ている。
さぞうれしいのだろう、ぬいぐるみを手放す事なく抱きしめて寝ているのだ。まるで、小さな子供が人形を抱いて寝るように。
ーーーー
「起きて、…ねぇ…、おきて。」
聞き覚えのない声が彼女の耳元に聞こえた。
「ん"ぅ…、?」
彼女は少し唸りながら薄目を一瞬あけて見てみるも、目の前にあるのはゲームセンターで取ったぬいぐるみがあるだけで、空耳かなと判断し再び目を瞑った。
すると…また、
「おきて、ねぇおきてってば」
今度は体を揺らしてくる。さっき見たときはぬいぐるみしか無かったのになんなんだよ全く、ふざけないでくれ、幽霊が住み着く曰く付きの家なんて借りてねぇぞクソ。と内心結構荒れている彼女は不機嫌そうに目を覚ます。
「……な…に、?…だれ?」
起きてた頃とは全く違う程に声のトーンが低く、怖い雰囲気だった。
「…やっとおきてくれたよ」
すると再び声が聞こえた。今度はどこから声が出ているのかがはっきりとわかる。声の発信源はぬいぐるみだった。だがこのぬいぐるみ、めちゃくちゃ柔らかくて押し潰しかけたりしたのに、声が出る…?はて、機械的なモノは内蔵されてるはず無いんだがなぁ、と頭のどこかでふらりふらりと考えた。
「……」
「おはよう。ディア」
ぬいぐるみが喋り、自分の名前まで知っていた。他のひとならば、確実に飛んで喜び跳ね回るか、不振に思いつつも何か言葉を交わすだろう。だが彼女はそんなことしなかった。
「お…、はよう」
頭の中でパニックになっているのだろうか。寝ぼけているのだろうか。言葉が詰まりかけたが、彼女は冷淡に挨拶をし、ぬいぐるみの頭を指先でくすぐるように撫でた。
「ぼく、アグモンっていうんだ」
ぬいぐるみは撫でられて気持ち良さそうな顔をしたのちに続けて自己紹介をした。
「ディア、ぼくを見つけてくれてありがとう。よろしくね」
ただそれだけの挨拶をして、にこにことぬいぐるみは笑う。
そんな姿を見て彼女も思わず笑みがこぼれた。
「よろしく」
声はいつもの声色に戻り、彼女もまた、にこりと笑い返した。
旧あとがき
平成28年9月9日
一度やってみたかったネタなんですよ!!ちなみに、ぬいぐるみのモチーフ?というか元ネタは、でっかいアグモンぬいぐるみが元となってます。
てか、これ絡みより夢主ちゃんのゲーセン魂に火がついてるだけの話になってるな。
いつかまた似たようなシリーズを出したいと思いますぞ!!
ありがとうございます
令和7年10月3日
少し改修しました。
シリーズ化は多分ないですが、続編のようなものは書きます。
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