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おや珍しい。朝の食堂に彼女の姿が見かけない。いつもは皆より早起きし、割烹着を着て厨房に立つ醤色の髪をした彼女が立っている筈なのだが、今日は居ない。休みだったかな?と思い立てば、食堂の方に聞くと、休みでは無いという…。
「斉藤さん、***ちゃん起こして来てやんな」
半ば無理やり背中を押されたようなもので、俺は今から***さんの部屋へ向かうことになってしまった。
今まで遅刻なんて無かったが、何かあったのだろうか。
…思えば彼女に朝を起こされる事は多々あったが、俺から彼女を起こしに行くのは初めてだな。そもそも彼女は朝早く起きているので俺が彼女を起こしに行く事なんて到底不可能なのだが…。
***さんの部屋は知っている。一応部屋割りについては把握しているつもりだ。
「…」
しかしいくら仲が良い方とはいえ、女性の部屋を突然訪問するのは忍びない。声を掛けることも出来ず、とりあえず襖を叩いてみるが、応答は無し。少し失礼して襖に耳を澄ませてみるが、起き上がるような気配も無い。眠っているらしい。ああ、お腹が痛くなってきた。
ガタン。何か物が落ちたような音が鳴る。
「……!」
もし彼女に何かあったら。そう思うといてもたってもいられず失礼して襖を開けた。
今まで見ることがなかったであろう、彼女の寝相。乱れる髪と布団、無防備に晒される生足とほうけた寝顔。思わず見入ってしまうが、音の元はそこでは無いと目を逸らし部屋を見回る。
どうやら奥に妙にバランスの崩れた分厚い本が落ちている。推測するに、近くの卓の上からバランス悪く置かれていたのだろう。それが今になって落ちたと。もし***さんの頭の上に落ちていたら、危なかっただろうな…。
彼女の怪我になることではなくて良かった。
…しかし。
(どう、起こせばいいのだろう)
オフの日でなければこのままにしてはおけない。だがこの格好の彼女を起こしたら……。
とりあえず、彼女の露出している部分を布団で隠した。
(…)
彼女の肩に、手を乗せて、揺らす。
ゆらゆらと***さんの身体は揺れるが、まだ夢の中。
これしかない。そう思い、俺はマスクを下ろした。そして彼女の耳元に顔を近づかせ、
「……起きて、***さん」
ん、と小さな声を漏らしながら、***さんは身体を捩らせ、瞳を開けた。
「…おはよう、ございます」
「斉藤、さん………?」
目覚めたばかりの、金色の瞳が俺を捉える。
「……!!」
彼女はバッと起き上がり、毛布で姿を隠した。
「ご、ごめんなさいっ!まだ顔洗ってなくてっ!歯も磨かなくちゃいけないしっ、髪の毛だってぐちゃぐちゃだしっ……!」
「っ…」
いや…勝手に入り込んだ俺が悪いのだが…。
「…なんで…斉藤さんがここに…?」
ちらっと毛布の隙間から顔を覗かせてこちらを見つめる***さん。妙な可愛らしさがある。
ノートを取り出して文字を書く。ここに来た理由と弁明。
「そうですか…、すみません…。手間をお掛けしました…」
起き上がったことを確認した俺は立ち上がり、部屋の外に出ることにした。邪魔をしては悪いな。
(…む)
ところで朝食をまだ摂っていない。食堂の方に彼女を起こすようお願いされてそのまま部屋に来たのだった。
そう考えると腹がとても減って仕方がない。小走りに食堂へと向かった。
朝飯を口の中に放り込んでいると、彼女の姿が見える。急いで割烹着を身に付けて朝の支度をし始めている。毎朝、割烹着姿の彼女を見入ってしまうのだ。
「斉藤さん、今朝はありがとうございました」
ギリギリ遅刻せずに済みました。頬に手を添えて眉尻を下げて笑う。
[いえいえ]
そういう日もあるだろう。
「斉藤さん、***ちゃん起こして来てやんな」
半ば無理やり背中を押されたようなもので、俺は今から***さんの部屋へ向かうことになってしまった。
今まで遅刻なんて無かったが、何かあったのだろうか。
…思えば彼女に朝を起こされる事は多々あったが、俺から彼女を起こしに行くのは初めてだな。そもそも彼女は朝早く起きているので俺が彼女を起こしに行く事なんて到底不可能なのだが…。
***さんの部屋は知っている。一応部屋割りについては把握しているつもりだ。
「…」
しかしいくら仲が良い方とはいえ、女性の部屋を突然訪問するのは忍びない。声を掛けることも出来ず、とりあえず襖を叩いてみるが、応答は無し。少し失礼して襖に耳を澄ませてみるが、起き上がるような気配も無い。眠っているらしい。ああ、お腹が痛くなってきた。
ガタン。何か物が落ちたような音が鳴る。
「……!」
もし彼女に何かあったら。そう思うといてもたってもいられず失礼して襖を開けた。
今まで見ることがなかったであろう、彼女の寝相。乱れる髪と布団、無防備に晒される生足とほうけた寝顔。思わず見入ってしまうが、音の元はそこでは無いと目を逸らし部屋を見回る。
どうやら奥に妙にバランスの崩れた分厚い本が落ちている。推測するに、近くの卓の上からバランス悪く置かれていたのだろう。それが今になって落ちたと。もし***さんの頭の上に落ちていたら、危なかっただろうな…。
彼女の怪我になることではなくて良かった。
…しかし。
(どう、起こせばいいのだろう)
オフの日でなければこのままにしてはおけない。だがこの格好の彼女を起こしたら……。
とりあえず、彼女の露出している部分を布団で隠した。
(…)
彼女の肩に、手を乗せて、揺らす。
ゆらゆらと***さんの身体は揺れるが、まだ夢の中。
これしかない。そう思い、俺はマスクを下ろした。そして彼女の耳元に顔を近づかせ、
「……起きて、***さん」
ん、と小さな声を漏らしながら、***さんは身体を捩らせ、瞳を開けた。
「…おはよう、ございます」
「斉藤、さん………?」
目覚めたばかりの、金色の瞳が俺を捉える。
「……!!」
彼女はバッと起き上がり、毛布で姿を隠した。
「ご、ごめんなさいっ!まだ顔洗ってなくてっ!歯も磨かなくちゃいけないしっ、髪の毛だってぐちゃぐちゃだしっ……!」
「っ…」
いや…勝手に入り込んだ俺が悪いのだが…。
「…なんで…斉藤さんがここに…?」
ちらっと毛布の隙間から顔を覗かせてこちらを見つめる***さん。妙な可愛らしさがある。
ノートを取り出して文字を書く。ここに来た理由と弁明。
「そうですか…、すみません…。手間をお掛けしました…」
起き上がったことを確認した俺は立ち上がり、部屋の外に出ることにした。邪魔をしては悪いな。
(…む)
ところで朝食をまだ摂っていない。食堂の方に彼女を起こすようお願いされてそのまま部屋に来たのだった。
そう考えると腹がとても減って仕方がない。小走りに食堂へと向かった。
朝飯を口の中に放り込んでいると、彼女の姿が見える。急いで割烹着を身に付けて朝の支度をし始めている。毎朝、割烹着姿の彼女を見入ってしまうのだ。
「斉藤さん、今朝はありがとうございました」
ギリギリ遅刻せずに済みました。頬に手を添えて眉尻を下げて笑う。
[いえいえ]
そういう日もあるだろう。
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