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「“合コン”?」
「言うなればそんなところだ。お偉いお嬢様方が開くって言ってなァ。メンツが足りないもんでお前らにも来てほしいってわけよ」
「俺たちも暇じゃねぇぞ」
「そこをなんとかさぁお願ァいおじさん一生のお願い」
「それ前も聞いた」
「行って来なよ終くん」
「!?」
「モテるよ〜。そこで友達作って来たらいいじゃん。◯フレとか」
[君と一緒にしないで欲しいZ]
「どうせ終くん女の子と会話とかできないでしょう。慣れの為に行ってきたら?他の隊長さんも居ることだろうし」
「…」
「***、お前は」
「私行ったって暇ですよ。メインは真選組の男児とお相手の女の子でしょ。どうぞお気になさらずに」
後ろ手を振って、***はその部屋から立ち去った。
夜半、制服を身に纏い、夜廻りに出掛けた***。川縁にしゃがみこみ、ぼうっと流れる川を見下ろす。
いいんだ、あの人には。きっと良い人が見つかるよ。私じゃいけない。私はあの人に悪い事をしたから。あの人はきっと私じゃない他の人を気にいるはずだ。
気後れ、後悔、罪悪感。彼女が斉藤に好意を自覚する度にそう心の中に積もる。彼が合コンに誘われている時も、敢えて興味のないふりをし友人として見送ってやる。そうしてなんとか己の嫉妬心を振った筈だ。だけど、どうだ。彼女の心は一向に晴れない。当然だろう。好きなのだから。好きなのに何故いけないのだろう。自分は彼を一度侮辱しているからだ。プライド全てを根こそぎ奪い、痛めつけた。
至極当然、いけないことなのだ。好意を持った経緯がどうであれ、***は斉藤を好く事が許されないのだ。今はあんな風に自分を受け入れているが、きっと心の底では興味は無いのだろう。
等々思案はするが、結論としてはヤキモチを妬いているようなものだ。反面、彼は人と話せるだろうか、そもそも腹を下していないだろうか。という心配も募る。
「…はぁ」
どうしてこんな事ばっかり考えちゃうんだろう。どんどん深みにはまっていく気がする。スッキリしないなあ。
そんな溜息をついて、何となく顔を左に向かせる。オレンジ色のアフロ、白い顔を半分隠したマスク、独特な制服。
終くんみたいだな。そう考え顔を正面に戻す。
「……終くんッ!?何でここにいるの!?」
[やめたんだZ]
「やめたって……」
「…」
[お腹が痛くなったから]
「…そ、そっか……………」
突然の出来事で心臓の鼓動と焦りと汗が止まらない。それと驚いた表情。まさか本当に取りやめてくれるとは思ってもみなかった。いや斉藤自身の事情で参加を拒んだのだ。
「…勿体ない、終くんが行けばモテモテだったのに」
[隊長だからと気を遣われるのは疲れるZ]
「……いや…そういうところじゃなくて……」
斉藤は自覚が無い。
「合コンは合体コンパの略でしょ」
[いや、そんなの初めて聞いたZ]
「ええっ、違うの!?」
[君の行く合コンとは違うと思うけど…]
まるでこの世のものとは思えない物を見たような表情をする***。だから合コンの話題が出た時沖田の参加を止めていたのだと斉藤は納得する。いや、にしてもだ、な表情を少し浮かべる。
「でも今日お休みくれたんじゃないの」
[暇だから夜廻り隊に着いていくことにしたんだZ]
「そう」
隣同士、しゃがみこみ夜の川を見つめる。何も面白い事は特に無いが、ただ二人、二人だけの空間が心地良い。
「…ねえ、どこかお店行かない?」
「?……」
[]
「エッチなお店じゃないからね」
ノートブックに書き込もうとする手よりも先に***が訂正をした。
[いいの?仕事中だけど]
「いいよ全然。知ってる?夜の江戸の犯罪率抑えたの私達の隊なんだから」
「ずーっと気張ってたら持たないよ」
ね、いこ。
斉藤の手を引っ張り上げて、走って行く。
「アフロ、オメェさんはどうする。行くか行かないか。5秒以内に答えてくれなきゃ撃つ」
「!?」
「ハイ、いー…」
そういや、終兄さんって。
「わりぃーなとっつぁん。終兄さん、好きな人が居るんでィ。でしょ」
「あ〜?おめさんマジかよオイ先に言っておいてくれや、おじさん無駄なお節介焼いちゃったところじゃねぇか」
「っ…」
うっすらと耳が赤い。ホントこの人はどうしようもないくらい顔に出やすい。あの人の前だって、デレッデレなくらい出てやがる。他の奴は分からないみたいだが。
ありがとう、総悟くん。
そう帳面を見せてくる。さぁて、この借りをどう返してくれようか。そんな風に俺は終兄さんに甘い顔をすると、終兄さんは少し顔を苦くさせていた。
ここは…居酒屋?
***は戸を横に引き中に入る。よく利用しているようで店主に挨拶をしていた。
「珍しいねぇ***ちゃん、コレかい?」
「っふふ、違うよ。仕事の同僚」
「…」
斉藤は頭を下げた。
カウンター席に座られながら、注文は***が進んでやってくれている。斉藤はぐるりと店の中を見渡した。どうやらここの客は刀を持った人間が立ち入っても怯えたりはしないらしい。基本、斉藤達のような人間は一般市民からはとても恐れられている。悲しい事だが当然だ。刀を腰に提げていれば誰だって身構える。
それでも店の客達は何も気にしていない様子。
「…びっくりしたでしょ。私も最初は驚いたけど、案外分かってくれる人達は居るんだなって思ってよく仕事中に来てるの」
「仕事中はどうかと思うがね」
「仕事中のお酒が」
「こりゃまた絶品」
ドン!! とカウンターに瓶を開けられてしまった。
「いい?終くん」
顔を傾けられ、まるで甘えるような瞳で見上げられたら。
「……」
斉藤は頷くしかないのだ。
酒が入れば***はもっとお喋りになる。うきうきと楽しそうに話す姿に、斉藤はうっすらと口角を上げて頷く。
ここへ来てから彼女に笑顔が増えた。最初会った時はもっと、重苦しく、責任感や感情の重圧が感じられ、そして物悲しい表情をしていた。口角は上がってにやりと笑っているのに、そこには負しか感じられなかった。きっと今でも彼女は後悔があるのだろう。後ろ髪引かれる事があるのだろう。でも、彼女を真選組に引き入れてからどことなく重みを外されたかのように笑ってくれている。うきうきと楽しそうにする表情を見せてくれる。きっと何かが楽になったのだろう。もっと聞かせてほしい。君が楽しい事、嬉しい事、悲しい事。あの時みたいに全て俺にぶつけてほしい。自分は彼女に対してそう思ってしまっている。惹かれているんだ。きっと。
頬が赤い。酒を飲んだ影響なのか、それとも感情からか。時間は深夜を回っており、瓶の中身もいつしか消えていた。じゃあね、と店主に手を振り、店を出た。
[こんな時間にまで飲むなんて久々だZ]
「あーっ、たのしかったぁ」
[俺も]
基本夜廻りは深夜を過ぎてから終わる。朝方まで居ることも多々あるが、それは事件のある日くらいだ。いつもは時計の針が2を超える時である。
「……あ、お二方お帰んなさい」
「あれ、丁度終わったところですか?」
「ああ、結構長引いてしまってな!」
「そうですか、お疲れ様です」
そそくさと斉藤の背中を押して部屋の前を去る。おやすみなさい、と口早に。
「……お酒飲んだって土方さんにバレたら何されるか分かんないから……」
「っ……」
自分は今、隊規違反をしているのだと気付く。
給湯室でお茶を飲み、そしてトイレへ。そうしてアルコールが抜いた後、***と別れるのだ。
「ばいばい、楽しかったね。また明日」
ニコニコと笑いながら斉藤に手を振った。それに対し斉藤も、手を上げ横に振る。
ふわふわとした1日だった。また、二人きりで何処かへ行きたいな。
一緒に居ると、すぐに不安な気持ちが跡形も無く去ってしまう。とても単純だなぁ、私は。
「言うなればそんなところだ。お偉いお嬢様方が開くって言ってなァ。メンツが足りないもんでお前らにも来てほしいってわけよ」
「俺たちも暇じゃねぇぞ」
「そこをなんとかさぁお願ァいおじさん一生のお願い」
「それ前も聞いた」
「行って来なよ終くん」
「!?」
「モテるよ〜。そこで友達作って来たらいいじゃん。◯フレとか」
[君と一緒にしないで欲しいZ]
「どうせ終くん女の子と会話とかできないでしょう。慣れの為に行ってきたら?他の隊長さんも居ることだろうし」
「…」
「***、お前は」
「私行ったって暇ですよ。メインは真選組の男児とお相手の女の子でしょ。どうぞお気になさらずに」
後ろ手を振って、***はその部屋から立ち去った。
夜半、制服を身に纏い、夜廻りに出掛けた***。川縁にしゃがみこみ、ぼうっと流れる川を見下ろす。
いいんだ、あの人には。きっと良い人が見つかるよ。私じゃいけない。私はあの人に悪い事をしたから。あの人はきっと私じゃない他の人を気にいるはずだ。
気後れ、後悔、罪悪感。彼女が斉藤に好意を自覚する度にそう心の中に積もる。彼が合コンに誘われている時も、敢えて興味のないふりをし友人として見送ってやる。そうしてなんとか己の嫉妬心を振った筈だ。だけど、どうだ。彼女の心は一向に晴れない。当然だろう。好きなのだから。好きなのに何故いけないのだろう。自分は彼を一度侮辱しているからだ。プライド全てを根こそぎ奪い、痛めつけた。
至極当然、いけないことなのだ。好意を持った経緯がどうであれ、***は斉藤を好く事が許されないのだ。今はあんな風に自分を受け入れているが、きっと心の底では興味は無いのだろう。
等々思案はするが、結論としてはヤキモチを妬いているようなものだ。反面、彼は人と話せるだろうか、そもそも腹を下していないだろうか。という心配も募る。
「…はぁ」
どうしてこんな事ばっかり考えちゃうんだろう。どんどん深みにはまっていく気がする。スッキリしないなあ。
そんな溜息をついて、何となく顔を左に向かせる。オレンジ色のアフロ、白い顔を半分隠したマスク、独特な制服。
終くんみたいだな。そう考え顔を正面に戻す。
「……終くんッ!?何でここにいるの!?」
[やめたんだZ]
「やめたって……」
「…」
[お腹が痛くなったから]
「…そ、そっか……………」
突然の出来事で心臓の鼓動と焦りと汗が止まらない。それと驚いた表情。まさか本当に取りやめてくれるとは思ってもみなかった。いや斉藤自身の事情で参加を拒んだのだ。
「…勿体ない、終くんが行けばモテモテだったのに」
[隊長だからと気を遣われるのは疲れるZ]
「……いや…そういうところじゃなくて……」
斉藤は自覚が無い。
「合コンは合体コンパの略でしょ」
[いや、そんなの初めて聞いたZ]
「ええっ、違うの!?」
[君の行く合コンとは違うと思うけど…]
まるでこの世のものとは思えない物を見たような表情をする***。だから合コンの話題が出た時沖田の参加を止めていたのだと斉藤は納得する。いや、にしてもだ、な表情を少し浮かべる。
「でも今日お休みくれたんじゃないの」
[暇だから夜廻り隊に着いていくことにしたんだZ]
「そう」
隣同士、しゃがみこみ夜の川を見つめる。何も面白い事は特に無いが、ただ二人、二人だけの空間が心地良い。
「…ねえ、どこかお店行かない?」
「?……」
[]
「エッチなお店じゃないからね」
ノートブックに書き込もうとする手よりも先に***が訂正をした。
[いいの?仕事中だけど]
「いいよ全然。知ってる?夜の江戸の犯罪率抑えたの私達の隊なんだから」
「ずーっと気張ってたら持たないよ」
ね、いこ。
斉藤の手を引っ張り上げて、走って行く。
「アフロ、オメェさんはどうする。行くか行かないか。5秒以内に答えてくれなきゃ撃つ」
「!?」
「ハイ、いー…」
そういや、終兄さんって。
「わりぃーなとっつぁん。終兄さん、好きな人が居るんでィ。でしょ」
「あ〜?おめさんマジかよオイ先に言っておいてくれや、おじさん無駄なお節介焼いちゃったところじゃねぇか」
「っ…」
うっすらと耳が赤い。ホントこの人はどうしようもないくらい顔に出やすい。あの人の前だって、デレッデレなくらい出てやがる。他の奴は分からないみたいだが。
ありがとう、総悟くん。
そう帳面を見せてくる。さぁて、この借りをどう返してくれようか。そんな風に俺は終兄さんに甘い顔をすると、終兄さんは少し顔を苦くさせていた。
ここは…居酒屋?
***は戸を横に引き中に入る。よく利用しているようで店主に挨拶をしていた。
「珍しいねぇ***ちゃん、コレかい?」
「っふふ、違うよ。仕事の同僚」
「…」
斉藤は頭を下げた。
カウンター席に座られながら、注文は***が進んでやってくれている。斉藤はぐるりと店の中を見渡した。どうやらここの客は刀を持った人間が立ち入っても怯えたりはしないらしい。基本、斉藤達のような人間は一般市民からはとても恐れられている。悲しい事だが当然だ。刀を腰に提げていれば誰だって身構える。
それでも店の客達は何も気にしていない様子。
「…びっくりしたでしょ。私も最初は驚いたけど、案外分かってくれる人達は居るんだなって思ってよく仕事中に来てるの」
「仕事中はどうかと思うがね」
「仕事中のお酒が」
「こりゃまた絶品」
ドン!! とカウンターに瓶を開けられてしまった。
「いい?終くん」
顔を傾けられ、まるで甘えるような瞳で見上げられたら。
「……」
斉藤は頷くしかないのだ。
酒が入れば***はもっとお喋りになる。うきうきと楽しそうに話す姿に、斉藤はうっすらと口角を上げて頷く。
ここへ来てから彼女に笑顔が増えた。最初会った時はもっと、重苦しく、責任感や感情の重圧が感じられ、そして物悲しい表情をしていた。口角は上がってにやりと笑っているのに、そこには負しか感じられなかった。きっと今でも彼女は後悔があるのだろう。後ろ髪引かれる事があるのだろう。でも、彼女を真選組に引き入れてからどことなく重みを外されたかのように笑ってくれている。うきうきと楽しそうにする表情を見せてくれる。きっと何かが楽になったのだろう。もっと聞かせてほしい。君が楽しい事、嬉しい事、悲しい事。あの時みたいに全て俺にぶつけてほしい。自分は彼女に対してそう思ってしまっている。惹かれているんだ。きっと。
頬が赤い。酒を飲んだ影響なのか、それとも感情からか。時間は深夜を回っており、瓶の中身もいつしか消えていた。じゃあね、と店主に手を振り、店を出た。
[こんな時間にまで飲むなんて久々だZ]
「あーっ、たのしかったぁ」
[俺も]
基本夜廻りは深夜を過ぎてから終わる。朝方まで居ることも多々あるが、それは事件のある日くらいだ。いつもは時計の針が2を超える時である。
「……あ、お二方お帰んなさい」
「あれ、丁度終わったところですか?」
「ああ、結構長引いてしまってな!」
「そうですか、お疲れ様です」
そそくさと斉藤の背中を押して部屋の前を去る。おやすみなさい、と口早に。
「……お酒飲んだって土方さんにバレたら何されるか分かんないから……」
「っ……」
自分は今、隊規違反をしているのだと気付く。
給湯室でお茶を飲み、そしてトイレへ。そうしてアルコールが抜いた後、***と別れるのだ。
「ばいばい、楽しかったね。また明日」
ニコニコと笑いながら斉藤に手を振った。それに対し斉藤も、手を上げ横に振る。
ふわふわとした1日だった。また、二人きりで何処かへ行きたいな。
一緒に居ると、すぐに不安な気持ちが跡形も無く去ってしまう。とても単純だなぁ、私は。
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