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いや、そんな筈がない。
「……未だ彼女は行方不明」
「お嬢が行きそうなところは探してみたんですが一向に見つからず……」
「……」
ある日。一番隊から三番隊、そして彼女の隊を含んだ四つの隊である任務に出掛けた。凍える様な寒さの中、雪を踏み締め悪虐徒を行う攘夷志士……奴らを討ち入った。赤い血で染め上げられた雪の道が、我々の任務の完了を示していた。死体の処理などは隊士達に任せ、俺は生き残っている隊士達の確認に行っていた。
……だが…、そこに…彼女は居なかった。
まさか、彼女が……?いや、あり得ない。彼女がこの程度で斬られる程、弱くない。彼女は強い。俺を苦しめた彼女が負けるなど到底信じられない。
先に車に戻って行ったのか……?急ぎ足で車に向かうも、どの車にも彼女の姿は何処にもなかった。仲間を担ぎ戻ってきた彼女の義兄(あに)達も、彼女の姿は見ていない。俺と一緒だと思い込んでいたらしい。
彼女を最後に見たという場所には、血が無い。最後に見たときは斬り合いが始まる前だったという。何処へ行っても、彼女姿は見つからない。ヒールの跡すら、忽然と消えたかの様に途切れている。
「……ッ」
心臓の鼓動が早い。もしかしたら、もしかしたら何処かで。彼女は。
生きている、生きている。彼女は強いんだ。俺が思っているよりも。
確かに以前から彼女は自傷癖があった。それは自分が背負っている罪や俺に犯した事への、全てへの罪悪感、自己嫌悪。まるで罪を償うかのように、自分に対し破壊衝動を持っていた。
けれど君は言ったじゃないか。それでも生きていたいと。共に道を歩みたいと。もしその道を外しそうになったときは殺してくれ、と。…側に居たい、と。言ってくれたじゃないか。君が抱えている気持ちを全て、俺にぶつけてくれたじゃないか。
君がここで死ぬような人じゃないことは分かっている。
「……」
「…終兄さん」
吹雪く夜の雪。特段に冷え込んだ空気は、隊士達を苦しませる。ぽつぽつと灯篭の光が道を照らし、その先を斉藤は見つめる。******は行方不明。そう報告しなければならない。
苦しいだろう、困難な選択だろう。
少しの間を置き、斉藤が出した選択は…後ろを振り向き、車の方へ歩き出した。
戻ってきてくれ、お願いだZ
「……未だ彼女は行方不明」
「お嬢が行きそうなところは探してみたんですが一向に見つからず……」
「……」
ある日。一番隊から三番隊、そして彼女の隊を含んだ四つの隊である任務に出掛けた。凍える様な寒さの中、雪を踏み締め悪虐徒を行う攘夷志士……奴らを討ち入った。赤い血で染め上げられた雪の道が、我々の任務の完了を示していた。死体の処理などは隊士達に任せ、俺は生き残っている隊士達の確認に行っていた。
……だが…、そこに…彼女は居なかった。
まさか、彼女が……?いや、あり得ない。彼女がこの程度で斬られる程、弱くない。彼女は強い。俺を苦しめた彼女が負けるなど到底信じられない。
先に車に戻って行ったのか……?急ぎ足で車に向かうも、どの車にも彼女の姿は何処にもなかった。仲間を担ぎ戻ってきた彼女の義兄(あに)達も、彼女の姿は見ていない。俺と一緒だと思い込んでいたらしい。
彼女を最後に見たという場所には、血が無い。最後に見たときは斬り合いが始まる前だったという。何処へ行っても、彼女姿は見つからない。ヒールの跡すら、忽然と消えたかの様に途切れている。
「……ッ」
心臓の鼓動が早い。もしかしたら、もしかしたら何処かで。彼女は。
生きている、生きている。彼女は強いんだ。俺が思っているよりも。
確かに以前から彼女は自傷癖があった。それは自分が背負っている罪や俺に犯した事への、全てへの罪悪感、自己嫌悪。まるで罪を償うかのように、自分に対し破壊衝動を持っていた。
けれど君は言ったじゃないか。それでも生きていたいと。共に道を歩みたいと。もしその道を外しそうになったときは殺してくれ、と。…側に居たい、と。言ってくれたじゃないか。君が抱えている気持ちを全て、俺にぶつけてくれたじゃないか。
君がここで死ぬような人じゃないことは分かっている。
「……」
「…終兄さん」
吹雪く夜の雪。特段に冷え込んだ空気は、隊士達を苦しませる。ぽつぽつと灯篭の光が道を照らし、その先を斉藤は見つめる。******は行方不明。そう報告しなければならない。
苦しいだろう、困難な選択だろう。
少しの間を置き、斉藤が出した選択は…後ろを振り向き、車の方へ歩き出した。
戻ってきてくれ、お願いだZ
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