通常夢
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「えっ、終兄さんが風邪?」
「ああ、さっき食堂でフラフラしててな。なんか様子が変で話しかけてみたら顔が真っ赤になっちまってた。とりあえず部屋で大人しくしてもらってる」
額に冷えピタ、赤い顔、暖かい服装。どう見てもそれは風邪である。ゆっくりとよろめきながらも、卓に置かれた粥を口に運ぶ。
確か誰かが持ってきてくれたような?
お礼をしたくても記憶はおぼろげだ。斉藤は続けて咀嚼する。
ここ最近、思い返せば仕事で部屋に缶詰めであった斉藤。つい先日それが漸く終わってからというもの、体調に変化があった。多少変化はあるだろうがそこまで深くは考えておらず通常通り過ごそうとした所、溜まっていた分の疲れがどっと身体に現れたようだ。
粥を食べきり、温かな微睡みが斉藤を襲う。
本当は良くないけど、寝てしまおう。その方が楽だZ。
斉藤は静かにその欲に従って瞼を閉じた。
ふと、どこからか音が聞こえる。真っ暗な目の前。夢はとっくに終わっており、まるで映画が終わった後の様だ。がさこそと鳴る音からしてビニール袋の様だが、一体何が…?
瞳を開く。光をなるべく目に入れない様に薄目で音の原因を突き止めようと顔を向ける。
「………あ、起こしちゃった」
そこには、何やら袋から取り出している***の姿が。
「ごめんね、これお見舞いね」
小声でそう伝え、歩狩と蜜柑ゼリーを卓の上に置いた。***は斉藤の邪魔にならないように、食べ終わった粥が乗った盆を持ち足早に出て行ってしまう。
待って、と。そう言いたくても声は出なくて、手元にあるノートとペンも上手く掴めなくて。どうしようもなくて彼女が過ぎ去るのをただ見ていた。
病は精神的にも弱らせ、一人になった部屋はとてつもなく寂しい。側に彼女がいて欲しい。だけど彼女に風邪を移すわけにも行かなくて、きっと自分は彼女を外に追いやってしまうだろう。
ああ虚しいな。風邪は治ったら、あの人とまた会話がしたい。俺は筆談だけど。
早く治ればいいのに、と思いながらまた心地よい泥濘みに身体を預けた。
「ああ、さっき食堂でフラフラしててな。なんか様子が変で話しかけてみたら顔が真っ赤になっちまってた。とりあえず部屋で大人しくしてもらってる」
額に冷えピタ、赤い顔、暖かい服装。どう見てもそれは風邪である。ゆっくりとよろめきながらも、卓に置かれた粥を口に運ぶ。
確か誰かが持ってきてくれたような?
お礼をしたくても記憶はおぼろげだ。斉藤は続けて咀嚼する。
ここ最近、思い返せば仕事で部屋に缶詰めであった斉藤。つい先日それが漸く終わってからというもの、体調に変化があった。多少変化はあるだろうがそこまで深くは考えておらず通常通り過ごそうとした所、溜まっていた分の疲れがどっと身体に現れたようだ。
粥を食べきり、温かな微睡みが斉藤を襲う。
本当は良くないけど、寝てしまおう。その方が楽だZ。
斉藤は静かにその欲に従って瞼を閉じた。
ふと、どこからか音が聞こえる。真っ暗な目の前。夢はとっくに終わっており、まるで映画が終わった後の様だ。がさこそと鳴る音からしてビニール袋の様だが、一体何が…?
瞳を開く。光をなるべく目に入れない様に薄目で音の原因を突き止めようと顔を向ける。
「………あ、起こしちゃった」
そこには、何やら袋から取り出している***の姿が。
「ごめんね、これお見舞いね」
小声でそう伝え、歩狩と蜜柑ゼリーを卓の上に置いた。***は斉藤の邪魔にならないように、食べ終わった粥が乗った盆を持ち足早に出て行ってしまう。
待って、と。そう言いたくても声は出なくて、手元にあるノートとペンも上手く掴めなくて。どうしようもなくて彼女が過ぎ去るのをただ見ていた。
病は精神的にも弱らせ、一人になった部屋はとてつもなく寂しい。側に彼女がいて欲しい。だけど彼女に風邪を移すわけにも行かなくて、きっと自分は彼女を外に追いやってしまうだろう。
ああ虚しいな。風邪は治ったら、あの人とまた会話がしたい。俺は筆談だけど。
早く治ればいいのに、と思いながらまた心地よい泥濘みに身体を預けた。
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