発端は同僚が＊＊＊隊長に「最近お化粧変えたんですか？」と聞いたことだ。突然同僚が＊＊＊隊長の顔をまじまじと見つめそんなことを言い放ったのだ。何をどう思ってそんなことを言い放ったのか知らんが、何気なく俺はぼーっと酒を飲みながらその光景を眺めていた。

「分かる？ 最近貰ったもので試してるだけなんだけどね」
「へ〜、俺そういうのに詳しくないんですけど……なんか……似合いますね！」

なんか似合いますねって曖昧にも程があんだろ。
まあでも確かに、ここの所＊＊＊隊長はきらきらとしている気がする。女っ気の無い屯所だから、余計そんな風に思えてしまうのだろうか。

「もしかしてコレですか？」

あいつが小指立ててやがる。いちいちちょっと下品なんだよ表現が…。小指見せられた隊長は笑いながらそんなことないよ、と言い放った。
正直、あの隊長が一人の男に恋するなんて思えない。言い方アレだけど。
なんというか、惚れるっていうのが想像できないというか、いっつも取っ替え引っ替えって感じで遊びまくってるし、誰か一人に決めるような人でも無さそうなんだよな。

恋人の線は無さそうだし、オシャレに目覚めたってとこか。こんなこと言っておいてなんだけど、＊＊＊隊長仕事人間だし、一応。アレでも。

もしあの人が屯所の人間と付き合うなら誰だろうな。色男の副長か、可愛い顔した沖田隊長か、男前な局長か……！？ いやもしかしたらもう手を出されているのかもしれない……あまり考えたくはないな……………。

悶々としている間に、隣に独特なオレンジ色のアフロが見えた。こっちに一礼してきたので、そのまま一礼し返す。
斉藤隊長は一番有り得ないだろうな。女性関係とか苦手そうだし。というかそもそも人との関わり合いあんまり見たことないし。

また＊＊＊隊長と同僚の方を見る。なんか話盛り上がってる。楽しそ〜〜〜〜。そもそもなんであんま喋んねぇのに宴会に参加したって。酒があるから。

ふと、右隣に居る斉藤隊長の耳元に何か光るものが見えた。見てみるとそれは銀色のイヤリングをつけていた。へぇ、流石洒落てんなぁとか思ってたらその形と柄に何処か見覚えがある。
俺はすぐさまあそこに視線を戻した。
……やっぱりだ。＊＊＊隊長の耳元に付いているそれにそっくりだ。イヤリングしているなんて特に気にも留めていなかったが……。
偶然か？偶然趣味が似通うか？ だが或いは…。

教えてもらったの、なんて言いながら＊＊＊隊長がうきうきと写真で何かを見せている。さっきの会話の延長でファッションに関する何かなんだろう。隣に居る斉藤隊長が何故か口元に手を当てていた。


…いや、いっ………ちばん有り得ねぇ…