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前日の夜に準備した手作りチョコ。大丈夫、あの人の好みの味だし、本命とは気付かれないレベルの飾り付け……。そう、私はただクラスメイトとして、クラスメイトの中のちょっぴり仲の良い友人としてチョコを渡すだけなんだから……。
変に意識すると、心臓の鼓動が早まってしまう。そうだもんね、バレンタインの日に男の子にチョコあげるなんて、そういうものしかないものね。でもちょっとだけ仲が良いという感じだし、あの人だって私の事をただの友人として思ってくれ…たら良いな。
昇降口の前で彼を待つ。登校してるみんなは平常を装ってるけど、独特とした雰囲気は明らかにふわふわとしてて。何処と無くみんな意識してるんだなぁ、なんて思ってたり。
人影の奥から誰よりも目立つ、ふわふわとしたオレンジ色のアフロがやってくるのが見える。ぎゅっと手のひらの手作りチョコの箱を握る。大丈夫っ……渡すだけなんだからっ……。
「斉藤くんっ」
小走り気味に彼の元へ走って声を掛ける……が、何やらいつもと違う雰囲気で。
[おはよう、***さん]
ちょっと困惑した気味に彼の両手には袋が抱えられていて、中身は小箱が沢山入っていて。こういうのも何だとは思うかもしれないけど、斉藤くんってこんなにモテる方だったっけ……?
「…どうしたの…その袋…」
[分からないけど、女の子達から急に貰っちゃって…]
そんな事言う(書く)彼の顔は満更でも無さそうだった。けれど困惑しているのには事実らしく、とてもチョコを渡すなんてことは出来なかった。
彼はいつもマスクをしているし、見た目は派手だけどどちらかというと目立たない方だ。そんな彼が急に女の子にモテるなんて……
(ああ、あの時か)
突然バスケ部の人員が足りないからって、沖田くんが斉藤くんを誘ってたんだっけ。試合中マスクを外してたから、その時注目を浴びて…成る程ね。それでかっこいいと噂の彼にこんなチョコレートが…。
「そんなに貰うなんて、充分そうだね」
一つ一つ小箱を見ていく彼にそう言う。沖田くんや土方先輩ほど貰わなかっただろうし、初めての経験だもんね。
(私のは、渡さなくていいかな)
いいもの、本命と思って作ったわけじゃないし、義理ですし、別にバレンタインだからって告白もしちゃおうなんて思ってなんかいなかったんだからっ……。
机の中のチョコを更に奥へ押し込む。あとでおやつとして食べちゃおう。
押し込みついでに教科書を取り出して机に並ぶ作業をすると、隣から視線を感じる。ちらっと横を見たら彼がじっとこっちを向いていて、例のチョコ群はもう片付けられていて。
「……どうしたの、斉藤くん」
「……」
何も言わない彼は少し落胆したように見えた。
「…兄さん、終兄さん」
総悟くんの声で眼が覚める。ああ、もう放課後か。
結局彼女からのチョコは貰えなかった。……少し期待していたのだけれど、やっぱりという感情の方が大きかった。
しょうがない。俺よりも大きな袋を持った総悟くんと帰ろう。荷物を持って席を立とうとすると、太ももの上に何か硬いものが乗っている。
「……!!!」
「どうしたんでさ、終兄さん」
[好きな人からのチョコを貰ったZ!]
「おー、そりゃめでてぇー」
変に意識すると、心臓の鼓動が早まってしまう。そうだもんね、バレンタインの日に男の子にチョコあげるなんて、そういうものしかないものね。でもちょっとだけ仲が良いという感じだし、あの人だって私の事をただの友人として思ってくれ…たら良いな。
昇降口の前で彼を待つ。登校してるみんなは平常を装ってるけど、独特とした雰囲気は明らかにふわふわとしてて。何処と無くみんな意識してるんだなぁ、なんて思ってたり。
人影の奥から誰よりも目立つ、ふわふわとしたオレンジ色のアフロがやってくるのが見える。ぎゅっと手のひらの手作りチョコの箱を握る。大丈夫っ……渡すだけなんだからっ……。
「斉藤くんっ」
小走り気味に彼の元へ走って声を掛ける……が、何やらいつもと違う雰囲気で。
[おはよう、***さん]
ちょっと困惑した気味に彼の両手には袋が抱えられていて、中身は小箱が沢山入っていて。こういうのも何だとは思うかもしれないけど、斉藤くんってこんなにモテる方だったっけ……?
「…どうしたの…その袋…」
[分からないけど、女の子達から急に貰っちゃって…]
そんな事言う(書く)彼の顔は満更でも無さそうだった。けれど困惑しているのには事実らしく、とてもチョコを渡すなんてことは出来なかった。
彼はいつもマスクをしているし、見た目は派手だけどどちらかというと目立たない方だ。そんな彼が急に女の子にモテるなんて……
(ああ、あの時か)
突然バスケ部の人員が足りないからって、沖田くんが斉藤くんを誘ってたんだっけ。試合中マスクを外してたから、その時注目を浴びて…成る程ね。それでかっこいいと噂の彼にこんなチョコレートが…。
「そんなに貰うなんて、充分そうだね」
一つ一つ小箱を見ていく彼にそう言う。沖田くんや土方先輩ほど貰わなかっただろうし、初めての経験だもんね。
(私のは、渡さなくていいかな)
いいもの、本命と思って作ったわけじゃないし、義理ですし、別にバレンタインだからって告白もしちゃおうなんて思ってなんかいなかったんだからっ……。
机の中のチョコを更に奥へ押し込む。あとでおやつとして食べちゃおう。
押し込みついでに教科書を取り出して机に並ぶ作業をすると、隣から視線を感じる。ちらっと横を見たら彼がじっとこっちを向いていて、例のチョコ群はもう片付けられていて。
「……どうしたの、斉藤くん」
「……」
何も言わない彼は少し落胆したように見えた。
「…兄さん、終兄さん」
総悟くんの声で眼が覚める。ああ、もう放課後か。
結局彼女からのチョコは貰えなかった。……少し期待していたのだけれど、やっぱりという感情の方が大きかった。
しょうがない。俺よりも大きな袋を持った総悟くんと帰ろう。荷物を持って席を立とうとすると、太ももの上に何か硬いものが乗っている。
「……!!!」
「どうしたんでさ、終兄さん」
[好きな人からのチョコを貰ったZ!]
「おー、そりゃめでてぇー」
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