「行って参ります」

いつものように出掛ける際は一声掛けて出るのだが、今日もやけに見送る人が多い。最近出掛ける際妙に心配をされるのだ。前と一緒で街に出掛けるだけなのに。

「怪我には気を付けてね！？」
「悪い男に捕まらないでね！」
「は、は〜い」

大きく手を振り自分を見送る彼らの姿は、初登校する小さな子供を見送る親のようにも見え、苦笑しながら手を振り返す。


出掛け先とは、普段真選組と親密な仲だと聞いている(勘違い)万事屋だ。一度そこで会い、ファミレスで相談事をする予定なのだ。

「で、お＊＊＊ちゃんは例のカレとはどうなったの」

万事屋は相談事も可能だと斉藤に聞き、彼らに相談を受けてもらっているのだ。昼食を奢るという条件付きで。

「全くです…。こう…、ちょっとしたアピールはしたんですが…」
「何そのアピールって」
「差し入れを出すとき“斉藤さん、お仕事ファイトです“って……」
「……はあ」
「いつもはお仕事頑張ってください！なんですけど、今回はファイト！って少しラフな感じで…」
「うん、違いがよくわかんない。多分それ効果無いね」
「ええ〜」

会話の最中、銀時は気付く。周りの男達が妙にこの隣にいる＊＊＊に目を向けているのだと。実はここまで来る時に男に二回も話しかけられているのだ。
まあこんな可愛い子と「あれ？あの二人カレカノ？」って思われるのは満更でも無いが、明らかに向けられているものが違う。まるで誘われるように、こいつを見ているのだ。