pheromone
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斉藤は***の話していた場所を何度も往復する。学校、スーパー、本屋。話した順にそれぞれ向かうがこれといった手掛かりは無く……。
(彼女の呪いのようなものはどうすれば解かれるんだ…)
下向きに、斉藤は街を歩く。手掛かりは何も掴めずじまいで、終わってしまうのだろうか。
ふと、斉藤の視界の端にビラが風に巻かれているのが見える。歩いている人間に邪魔だな、と純粋に思った斉藤は、それを拾い何処かへ捨てようと考えた。
手に取ったそれは、如何にも古めかしく数十年前のようなフォントをしていた。だが、その文字は日本語では無く、ましてや異国のどの言語にも見た事がないような文字だった。それをジッと見ていると、自分の中の何かがぐわりと大きく歪むような感覚を覚え、額に手を当てる。その文面を頭に入れた斉藤は頭痛が起き、その場に立っていられなくなるような足の覚束なさ。次第に脳裏に、首のない大きな腕を持つ巨体の姿が見える。その巨体の腕の手のひらには大きな口があり、それはまるで斉藤に語り掛けてくるような……。
「おいアフロ」
その声で、現実に引き戻される。辺りを見渡し、現場を確認する。意識が失う前の場所と一緒で、自分は確かなにかを拾って……。
「こんなところで何してんだよ」
「お散歩アルか〜?」
声を掛けた主は、万事屋一行であった。
先程の事を話そうと手に持っていたビラを見せようとするが、その手には何も持っていなかった。
「ノート忘れちゃったんですか?」
ノートはある。ペンもある。だが、先程拾ったビラが無いのだ。確か、異常に古めかしく、何か文字が…。というところで、またくらりと目眩が起きる。
「おいおい、体調悪いんなら帰った方がいいぜ」
昨日、***を自分に託した男が、今何事も無かったかのように話し掛けている。
[万事屋さん達は一体何を?]
「朝イチに依頼入っちゃってさ〜もう儲かっちゃって儲かっちゃって大変」
「今月初めての依頼ですけどね」
そして、銀時が斉藤の側に寄り、二人に聞かれないように耳打ちする。
「……お***ちゃんの悩みと一緒のヤツがな」
ドクン、と驚愕する。まさか、***と同じ現状の者が居るだなんて。
「まあそいつは、数年前被害を受けたヤツらしくてな」
「?」
「被害を受けた場所が……」
ここだ。銀時は腕を上げ指を差す。果たして、そこにビルなんてあったのだろうか。そこはいかにも廃止されているであろうビルであり、埃が多いのが確認されている。この広場を歩く人々は少なくはないというのに、何故かこのビルだけが別の世界を立っているかのようだった。
「例のあの子も、ここで受けたんじゃねぇかってな」
[…依頼主の詳細は?]
「斉藤くんにだけ特別に教えてやるよ。…その依頼主は、どうやら顔に何かを塗られたという」
「塗られた?」
「そ。化粧品会社の人間が、某有名会社の無料サンプルを行なっていてなァ。そいつはその有名会社に信頼置いててな、サンプルを受けたんだよ」
「で、異変はそこからだ。日を増すごとに、周りの人間の態度が豹変していってな、お前も知ってる通り、あの子の状況と一緒だ」
[…その依頼主の現状はどうなったんですか…?]
「理由は知らねーけど着ぐるみ着てる」
[着ぐるみ]
「今はもう収まったらしいが、理由があって外せないらしくてな。まぁあんなことが起きちゃあ、外すのがこえーだろうよ……」
「……」
「とまぁこんぐらいだな。情報は。数年経った今、原因を突き止めたいらしいが、俺達は正直ここからはさっぱりだ」
[そうですか]
[ありがとうございましたZ]
そう書き込み、その場を去ろうとしたかった。それを阻止したのは、小さいながらも強い力で引き止める少女で。
「…アフロ、なんか良い匂いするネ」
「はあ?良い匂い?」
「何て言うか……」
「…***の匂いネ」
びくりと身体を跳ねさせる。部屋を共にすれば匂いは多少ながらもつく。多少の彼女の香りでも彼らはその誘惑には勝てなくなるのだ。
銀時は新八と神楽の腕をぐいっと掴み引き寄せる。その隙、斉藤は腕をすり抜け屯所へ急いで戻るのだった。
「おいおメーら!」
「!!」
「……お仕事中だろうが」
「……」
「…銀さんには言われたくないですよ!」
「全くネ!」
斉藤がその場から居なくなると、二人は元の二人へと戻る。銀時はその誘惑の力に内心ビビっていた。
(彼女の呪いのようなものはどうすれば解かれるんだ…)
下向きに、斉藤は街を歩く。手掛かりは何も掴めずじまいで、終わってしまうのだろうか。
ふと、斉藤の視界の端にビラが風に巻かれているのが見える。歩いている人間に邪魔だな、と純粋に思った斉藤は、それを拾い何処かへ捨てようと考えた。
手に取ったそれは、如何にも古めかしく数十年前のようなフォントをしていた。だが、その文字は日本語では無く、ましてや異国のどの言語にも見た事がないような文字だった。それをジッと見ていると、自分の中の何かがぐわりと大きく歪むような感覚を覚え、額に手を当てる。その文面を頭に入れた斉藤は頭痛が起き、その場に立っていられなくなるような足の覚束なさ。次第に脳裏に、首のない大きな腕を持つ巨体の姿が見える。その巨体の腕の手のひらには大きな口があり、それはまるで斉藤に語り掛けてくるような……。
「おいアフロ」
その声で、現実に引き戻される。辺りを見渡し、現場を確認する。意識が失う前の場所と一緒で、自分は確かなにかを拾って……。
「こんなところで何してんだよ」
「お散歩アルか〜?」
声を掛けた主は、万事屋一行であった。
先程の事を話そうと手に持っていたビラを見せようとするが、その手には何も持っていなかった。
「ノート忘れちゃったんですか?」
ノートはある。ペンもある。だが、先程拾ったビラが無いのだ。確か、異常に古めかしく、何か文字が…。というところで、またくらりと目眩が起きる。
「おいおい、体調悪いんなら帰った方がいいぜ」
昨日、***を自分に託した男が、今何事も無かったかのように話し掛けている。
[万事屋さん達は一体何を?]
「朝イチに依頼入っちゃってさ〜もう儲かっちゃって儲かっちゃって大変」
「今月初めての依頼ですけどね」
そして、銀時が斉藤の側に寄り、二人に聞かれないように耳打ちする。
「……お***ちゃんの悩みと一緒のヤツがな」
ドクン、と驚愕する。まさか、***と同じ現状の者が居るだなんて。
「まあそいつは、数年前被害を受けたヤツらしくてな」
「?」
「被害を受けた場所が……」
ここだ。銀時は腕を上げ指を差す。果たして、そこにビルなんてあったのだろうか。そこはいかにも廃止されているであろうビルであり、埃が多いのが確認されている。この広場を歩く人々は少なくはないというのに、何故かこのビルだけが別の世界を立っているかのようだった。
「例のあの子も、ここで受けたんじゃねぇかってな」
[…依頼主の詳細は?]
「斉藤くんにだけ特別に教えてやるよ。…その依頼主は、どうやら顔に何かを塗られたという」
「塗られた?」
「そ。化粧品会社の人間が、某有名会社の無料サンプルを行なっていてなァ。そいつはその有名会社に信頼置いててな、サンプルを受けたんだよ」
「で、異変はそこからだ。日を増すごとに、周りの人間の態度が豹変していってな、お前も知ってる通り、あの子の状況と一緒だ」
[…その依頼主の現状はどうなったんですか…?]
「理由は知らねーけど着ぐるみ着てる」
[着ぐるみ]
「今はもう収まったらしいが、理由があって外せないらしくてな。まぁあんなことが起きちゃあ、外すのがこえーだろうよ……」
「……」
「とまぁこんぐらいだな。情報は。数年経った今、原因を突き止めたいらしいが、俺達は正直ここからはさっぱりだ」
[そうですか]
[ありがとうございましたZ]
そう書き込み、その場を去ろうとしたかった。それを阻止したのは、小さいながらも強い力で引き止める少女で。
「…アフロ、なんか良い匂いするネ」
「はあ?良い匂い?」
「何て言うか……」
「…***の匂いネ」
びくりと身体を跳ねさせる。部屋を共にすれば匂いは多少ながらもつく。多少の彼女の香りでも彼らはその誘惑には勝てなくなるのだ。
銀時は新八と神楽の腕をぐいっと掴み引き寄せる。その隙、斉藤は腕をすり抜け屯所へ急いで戻るのだった。
「おいおメーら!」
「!!」
「……お仕事中だろうが」
「……」
「…銀さんには言われたくないですよ!」
「全くネ!」
斉藤がその場から居なくなると、二人は元の二人へと戻る。銀時はその誘惑の力に内心ビビっていた。