ドキドキしながら帰路に着く。あの後安全に神楽を万事屋に戻らせた後そそくさとその場を立ち去った。買ったものが腐ってないか心配になりながら足早に屯所へ戻ろうとする。

「…はー……緊張した…」

突然神楽が服を脱ごうとするとは。年相応よりちょっぴり幼い彼女だが、あのようなことはしないはずである。

「…なんか……みんな……変」

変ではあるが、その行動の原因が＊＊＊にどうこうできるものかというとそうでもなく、流されるがままに日常を過ごしている。もやもやとしながら、歩き進めた。

「……あ」

奥の電柱を見上げると、そこには非常によく知っている人物が居り、その姿を見ると非常に頭が痛くなる人物でもあった。

「……近藤さんッ！」

叱りつけると近藤はビクゥと身体を跳ねさせ、そのまま落下してくる。

「…何をなさってるんですかね。今日は非番じゃないでしょう」
「ちゃんと隊服着てるし！」
「いや貴方堂々と着替えるじゃないですか！意味無いんですよ！ほぼ裸で動いてるのと一緒なんですよ！」

周囲の人間の様子が変と思っていたが、いつも変な人間も居るわけで、自分が思っているよりか深刻ではないと思ってしまうのだ。

「お仕事に戻ってください…」

自分の所属している組織のトップがこんな姿じゃあ、頭痛も酷くなってしまうだろうなと心の中隊士達を労う。

「ごめんなさい……」

近藤を置いて、屯所に戻ろうと一歩踏み出すと近藤が声を掛ける。

「＊＊＊ちゃん」
「はあい？」
「さっき怪我してたけど大丈夫だった？」
「……はい…？」
「何があったかは知らないけど、あまりぼーっとしてたら危ないからね。最近少し物騒な事が多いから」

万事屋からここに来るまで、考え事で一度転げてしまったのだ。幸いにもバッグの中の卵は破れておらず安心したのだが、足を擦ってしまい痛みをカバーしながら歩いて来たのだ。
何故彼がそれを知っているのだろうか…。彼は今まで志村妙のストーカーをしていたんじゃないのか…？

笑顔で＊＊＊を見送る彼の顔に何も言えず、歩みを進めてしまう。