「＊＊＊ちゃん、おはよう」

「おう、＊＊＊」

「腹減ったぜ＊＊＊さん」

「はい、みなさんおはようございます！」

食堂へ向かう廊下の途中で、幹部の人間に朝の挨拶を掛けられる。今日の＊＊＊はやけに早起きで、足取りも軽かった。

「おはようございます、斉藤隊長」
「……」

斉藤は無言で＊＊＊に頷く。これはおはようの挨拶である。＊＊＊は察し、笑顔で食堂に向かった。

二年前、資格学校に近く且つ住み込みのバイトが可能な真選組にやってきた＊＊＊。空いた時間で勉強をし、職務は真っ当に尽くす＊＊＊だったがその二年前、＊＊＊はある人物に恋をしていた。真選組三番隊隊長、斉藤終。彼は無口でクールで、仕事もそつなくこなす男。だがその彼はただのシャイで気配りも良く紳士的な男であると気付いた時には、＊＊＊は斉藤に恋していた。

足取りが軽かったのは、斉藤と会えるから。今回見廻りの早番だった斉藤は早くに目覚める事を知っていた＊＊＊も、会えるタイミングを計らっていたのだ。

「…っさ、今日も頑張ろうっと」

台所を前に、＊＊＊は気合を入れた。