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序章

「はぁ〜、楽しかったぁ〜!」

ぐぅん、と伸びしたら、夕焼けはいつもより綺麗に見えて。

「そうだな、楽しかったな!友達もできたし!だろー、ノア?」

「…ボクは…そんな…まぁ」

「お疲れ様、ローフにリュミ。今年も楽しい祝祭だったよ」
「そうですぅよ、素敵だったのですぅ」

「わ、リーエ、ファル、みんな!」

後ろを振り向くと皆がいました♡
ああ、とっても幸せ。毎日がイースターだったら良いのにね──

でもそうしたら、慣れちゃうのかな。ちょっぴり退屈かも。

退屈は苦手なあたしなんです。

「どーした、にやにやしちまって」
「うーん、あのね」

今思ってたことをローフに伝えてみたら。

「はは、イースターに飽きる?そんなことあるわけねー!いつだってこの季節が一番最高だ!」

からっと楽しそうな笑顔で、こっそり帰ろうとするノアくんを捕まえに走っていっちゃいました。

そっか。
確かに、イースターは最高に素敵です。
──でも、他のお祭りって、ないのかなぁ?

いつか誰かと見ていた夕景に、楽しそうにはしゃぐみんなの姿が、少し切なく重なって。

あたしはちょっと変わり者なのかもしれないなって。

そのときに、こんがり焼けた熱々のトースターに垂らす蜂蜜みたいに、何かがあたしの心の中に溢れてきたの。
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