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第一章

そして雄英体育祭当日。
世間的には休日となるので、わたしは時間に急かされることなくゆっくりと起きた。目覚めて下に行くとちょうど天哉が家から出るところだった。玄関にいる母越しに何やら意気込んでいる天哉の姿が見えた。
天晴兄さんの姿はない。不思議に思いながらも天哉に声をかける。


「頑張って、見に行くから」
天哉と母はわたしの声に気づいて振り返った。天哉は私を見ると口を開いた。

「ありがとう、どうなるかはわからないが全力を尽くしてくるよ」
そういうとドアを開け、出て行った。少し心配そうな母に大丈夫だよ、と言い先程から少し気になっていたことを聞いた。


「兄さんは?」
すると母は心配そうな顔をさらにしかめて言った。
「今日の朝早く敵が来たとかで仕事に行ったのよ。天哉の活躍見るんだって息巻いてたのに」


ヒーローってこれだから辛いわよねえ、とため息をつく母を見て、胸がざわざわとした。


なんだか悪い予感がする、そう伝えるかのように。
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