YGO ZEXAL短編(ドルベ以外)
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意識が戻った時まず最初に視界に入ったのは私を心配そうに見つめるオレンジ色の髪が特徴の穏やかそうな少年だった。
「気がついたみたいですね。大丈夫ですか?」
この少年を知っている気がするのだが、思い出そうとすると頭がズキズキと痛む。その際に頭に触れてみると包帯が巻かれていて処置されていることに気づいた。ということは私は頭をぶつけてしまったのか…?少年に目を奪われていたので改めて周囲を見渡してみたが、私が寝ていた白いベッドやベッドを覆うカーテンを見るにここは病院らしいということはわかった。
「申し訳ないんだけどあなたは誰なの?」
「僕のこと…わからないんですか…?」
「ごめんなさい…。頭痛がひどくて…今は何も思い出せないの…。」
「そうですか…」
少年は私の言葉を聞いて明らかに落胆していたが、すぐに人当たりのいい笑顔を浮かべてくれた。
「僕は真月零と言います。あなたの目も覚めたので今日のところは帰りますね!」
真月くんはお辞儀をして病室を出ていった。いい子そうだな真月くん。…残念ながら全然思い出せないけど。頭痛に耐えながら私のことも思い出そうとしたが何も出てこない。これってもしかして記憶喪失…?ドラマだとままあることだが私が経験することになろうとは…。
あ、そうだDゲイザーやDパッドに残っているデータを見れば私や彼のことがわかるかも…と思い置いてあった私の鞄の中を探してみたが両方とも壊れており何の痕跡も見つけることができなかった。
翌日約束通り真月くんはまたお見舞いに来てくれた。昨日に比べると私の頭痛が幾分かマシになっていたので色々と彼に聞いてみることにした。
「どうして私は頭をケガしたのが知ってる?」
「えぇ、あなたはバランスを崩してこけてしまって…。教室の机で頭部をぶつけてしまったようですね。」
「そうだったの?」
「たまたま僕が倒れている澪さんを目撃して病院に連絡して今に至るわけです。」
…自分のことのはずなのに何も覚えてないから現実味がなく他人事のように捉えてしまう。
「あともう一つ聞きたいんだけど…私のDゲイザーやDパッドが壊れてて…何でかわかる?」
「僕が発見した時にはすでに澪さんは倒れていたので恐らくですが…こけた際に鞄も強く撃ちつけてその勢いで壊れてしまったみたいですね。」
鈍臭すぎるだろ私…。困ったな。記憶のない唯一の私の手がかりだったのに。何とか自力で思い出すしかないか…。
「もしわからないことがあれば僕に何でも聞いてください!あなたの力になりたいんです!
「ありがとう、真月くん。」
「これは僕からの勝手なお願いなんですけど、僕のこと零って呼んでくれませんか?」
「どうして?」
「記憶をなくす前の澪さんは僕のことをそう呼んでくれていたので…あ!無理にとは言いません!」
「いいよ。零くん。色々迷惑かけるかもしれないけど。」
「迷惑だなんてとんでもない!どんどん頼ってくださいね!」
屈託のない彼の笑顔。その笑顔は不安だらけの私の心を軽くしてくれるようだった。
脳をケガしたためか色々検査があるらしく私はあと数日は入院しなければいけない。医師とも話をしたがやはり私は記憶喪失になってしまったようだ。思い出そうとすると激しく頭が痛むし当分は思い出させそうにない。
「無理して思い出さなくてもいいと思いますよ。」
零くんは決まった時間にいつも来てくれて私の話し相手になってくれていた。今日は花まで持ってきてくれていた。
「でも、やっぱり気になるの…。それにあなたのことが思い出せないのが…」
「僕のことは気にしないでください。」
「でも…あなたはどうして記憶のない私に優しくしてくれるの?」
「…わかりませんか?」
零くんはどこか寂しげに目を伏せた。その表情に少し罪悪感を感じてしまう。
「僕たち付き合っていたんです。」
「えっ…?」
「すいません!いきなりこんなこと言われても困りますよね!だから澪さんのことは放っておけないというか…。」
彼が私に名前で呼んでほしいと言ったのはそういうことだったのか…。その時点で私が気づくべきだったのかもしれない。
「ごめんね…。」
「澪さんは何も悪くありません。謝らないでください。ただ…あなたが良ければ…そばにいさせてください。」
私の手の上にそっと手を重ねて上目遣いで見つめてくる彼に私は嫌とは言えなかった。
無事に学校に復帰した後も零くんは私につきっきりでサポートしてくれた。お陰で何とか授業にもついていくことができて元の生活を取り戻し、零くんとも正式に付き合うようになった。ただ記憶はまだ戻らないままだった。でも、零くんがいてくれるのならこのままでもいいのかもしれないと考えながら歩いていたためにちゃんと前を見ておらず人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい…!」
私がぶつかってしまった人は青い髪をした男の子。って制服の色が私達と違う!上級生だ…!私があわあわしているとその人は何故か私の顔を見てフリーズしていた。
「あ、あの…?」
「お前、連絡したのに何で返さなかった!璃緒だって心配して…。」
「ごめんなさい。私事故で記憶を失くしてしまって、DゲイザーもDパッドも壊してしまって…連絡の手段がなかったんです。」
「事故だと…?!それはいつの話だ?!」
「えぇっと…」
この先輩知人だったのか。璃緒って人が誰なのかは私にはわからないが連絡先を知っていたということはそこそこ繋がりはあったということだろうか。
「やめてくださいよ。彼女戸惑っているでしょう?」
「零くん!」
零くんが私と先輩の間に入ってくれて私の前に立ってくれる。
「零…?お前何で真月を名前で…?」
「…神代先輩、良ければ僕と二人で話しませんか?」
「テメェと話すことなんてねぇよ。俺は…。」
「僕からはあるんですよ。だからちょっと来てくださいよ。」
「零くん…。」
「すいませんが、今日は先に帰ってくれませんか?」
「…でも。」
「何かあったら連絡しますから心配しないでください!」
青い髪の先輩…。神代先輩だったっけ。よくわからないけど、二人の間には私が入り込めない緊張感が漂っていた。この二人過去に何かあったんだろうか。
ナッシュ…じゃねぇわ。今は神代凌牙だったか。まぁどっちでもいいわ。屋上に連れ出すと早速俺の胸ぐらを掴んできやがった。
「いきなり何するんですか?」
「すっとぼけてんじゃねぇ!お前澪の記憶を奪ったのか?!」
「バリアンの力を失った今、そんなことができる力がないのはお前だってよくわかってるだろうよ。」
「じゃあ何故澪は記憶を失くしてるんだ?!」
「だから事故だっつってんだろ。机に頭をぶつけたんだよ。」
「嘘つくんじゃねぇ!」
「誠に残念ながら嘘は言ってねぇよ。…しかしお前がそこまで気にかけるなんて澪が好きだったのか?」
「黙れ!!」
相変わらずわかりやすい奴だ。ナッシュがアイツを想っているのは誰がどう見ても明らかだったのに本人だけは絶対に認めなかったからな。
「…澪の記憶を戻す方法はないのか?」
「何かきっかけがあれば思い出す可能性はあるらしいぜ。」
「そうか、ならお前に構っている時間はない。」
ナッシュは俺を解放すると、そのまま屋上の扉へと向かっていった。だから俺はナッシュの背中に向かってこう言ってやった。
「澪にとって記憶取り戻すことが本当に幸せなのかどうか…。今一度考えることをオススメするぜ。」
ナッシュはこちらを振り返ることもなく屋上の扉を閉めていった。
俺は知っていた。ナッシュが澪のことをずっと前から想っていたが、ヌメロンコード後も気持ちは伝えずに友達止まりだった。そして俺はこう考えた。もしナッシュの想い人の澪を奪ってやったらどんな反応をするのかと。
真月零の性格で奴に近づき関係を深めてから告白したが、澪は俺を振りやがった。アイツは勘は鋭かったらしく俺の意図に薄々気づいてたようだ。俺を振って帰ろうとした澪に納得がいかなくてアイツの腕を掴もうとした俺の腕をアイツが振り払った際にアイツがバランスを崩して倒れた。これだけははっきり言える。事故だ。俺がわざと倒したわけじゃねぇ。息があったから死んでねぇことはわかったがこのまま放置すれば後々面倒なことになる。だから俺は救急車を呼び病院まで付き添った。
救急車が来るまでの間に一瞬澪は意識を取り戻したが、俺のことがわからないようだったので記憶を失くしたのかと察した。だから俺はDゲイザーとDパッドも壊しておきナッシュとの連絡手段を断った。そしてDゲイザーとDパッドがない以上俺が彼氏だった証拠もなければ付き合ってない証拠もない。記憶のない不安定な精神状態ならアイツを騙すのも容易い。
澪が記憶を取り戻せば俺と付き合ったことに対して絶望するだろうし、このまま記憶を取り戻さず俺と付き合い続けるならナッシュにとっては地獄だ。俺にとっちゃアイツらがどう転がろうか愉快な結末になる。まぁせいぜい頑張るんだな…。俺は高みの見物をさせてもらうとするか。
「気がついたみたいですね。大丈夫ですか?」
この少年を知っている気がするのだが、思い出そうとすると頭がズキズキと痛む。その際に頭に触れてみると包帯が巻かれていて処置されていることに気づいた。ということは私は頭をぶつけてしまったのか…?少年に目を奪われていたので改めて周囲を見渡してみたが、私が寝ていた白いベッドやベッドを覆うカーテンを見るにここは病院らしいということはわかった。
「申し訳ないんだけどあなたは誰なの?」
「僕のこと…わからないんですか…?」
「ごめんなさい…。頭痛がひどくて…今は何も思い出せないの…。」
「そうですか…」
少年は私の言葉を聞いて明らかに落胆していたが、すぐに人当たりのいい笑顔を浮かべてくれた。
「僕は真月零と言います。あなたの目も覚めたので今日のところは帰りますね!」
真月くんはお辞儀をして病室を出ていった。いい子そうだな真月くん。…残念ながら全然思い出せないけど。頭痛に耐えながら私のことも思い出そうとしたが何も出てこない。これってもしかして記憶喪失…?ドラマだとままあることだが私が経験することになろうとは…。
あ、そうだDゲイザーやDパッドに残っているデータを見れば私や彼のことがわかるかも…と思い置いてあった私の鞄の中を探してみたが両方とも壊れており何の痕跡も見つけることができなかった。
翌日約束通り真月くんはまたお見舞いに来てくれた。昨日に比べると私の頭痛が幾分かマシになっていたので色々と彼に聞いてみることにした。
「どうして私は頭をケガしたのが知ってる?」
「えぇ、あなたはバランスを崩してこけてしまって…。教室の机で頭部をぶつけてしまったようですね。」
「そうだったの?」
「たまたま僕が倒れている澪さんを目撃して病院に連絡して今に至るわけです。」
…自分のことのはずなのに何も覚えてないから現実味がなく他人事のように捉えてしまう。
「あともう一つ聞きたいんだけど…私のDゲイザーやDパッドが壊れてて…何でかわかる?」
「僕が発見した時にはすでに澪さんは倒れていたので恐らくですが…こけた際に鞄も強く撃ちつけてその勢いで壊れてしまったみたいですね。」
鈍臭すぎるだろ私…。困ったな。記憶のない唯一の私の手がかりだったのに。何とか自力で思い出すしかないか…。
「もしわからないことがあれば僕に何でも聞いてください!あなたの力になりたいんです!
「ありがとう、真月くん。」
「これは僕からの勝手なお願いなんですけど、僕のこと零って呼んでくれませんか?」
「どうして?」
「記憶をなくす前の澪さんは僕のことをそう呼んでくれていたので…あ!無理にとは言いません!」
「いいよ。零くん。色々迷惑かけるかもしれないけど。」
「迷惑だなんてとんでもない!どんどん頼ってくださいね!」
屈託のない彼の笑顔。その笑顔は不安だらけの私の心を軽くしてくれるようだった。
脳をケガしたためか色々検査があるらしく私はあと数日は入院しなければいけない。医師とも話をしたがやはり私は記憶喪失になってしまったようだ。思い出そうとすると激しく頭が痛むし当分は思い出させそうにない。
「無理して思い出さなくてもいいと思いますよ。」
零くんは決まった時間にいつも来てくれて私の話し相手になってくれていた。今日は花まで持ってきてくれていた。
「でも、やっぱり気になるの…。それにあなたのことが思い出せないのが…」
「僕のことは気にしないでください。」
「でも…あなたはどうして記憶のない私に優しくしてくれるの?」
「…わかりませんか?」
零くんはどこか寂しげに目を伏せた。その表情に少し罪悪感を感じてしまう。
「僕たち付き合っていたんです。」
「えっ…?」
「すいません!いきなりこんなこと言われても困りますよね!だから澪さんのことは放っておけないというか…。」
彼が私に名前で呼んでほしいと言ったのはそういうことだったのか…。その時点で私が気づくべきだったのかもしれない。
「ごめんね…。」
「澪さんは何も悪くありません。謝らないでください。ただ…あなたが良ければ…そばにいさせてください。」
私の手の上にそっと手を重ねて上目遣いで見つめてくる彼に私は嫌とは言えなかった。
無事に学校に復帰した後も零くんは私につきっきりでサポートしてくれた。お陰で何とか授業にもついていくことができて元の生活を取り戻し、零くんとも正式に付き合うようになった。ただ記憶はまだ戻らないままだった。でも、零くんがいてくれるのならこのままでもいいのかもしれないと考えながら歩いていたためにちゃんと前を見ておらず人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい…!」
私がぶつかってしまった人は青い髪をした男の子。って制服の色が私達と違う!上級生だ…!私があわあわしているとその人は何故か私の顔を見てフリーズしていた。
「あ、あの…?」
「お前、連絡したのに何で返さなかった!璃緒だって心配して…。」
「ごめんなさい。私事故で記憶を失くしてしまって、DゲイザーもDパッドも壊してしまって…連絡の手段がなかったんです。」
「事故だと…?!それはいつの話だ?!」
「えぇっと…」
この先輩知人だったのか。璃緒って人が誰なのかは私にはわからないが連絡先を知っていたということはそこそこ繋がりはあったということだろうか。
「やめてくださいよ。彼女戸惑っているでしょう?」
「零くん!」
零くんが私と先輩の間に入ってくれて私の前に立ってくれる。
「零…?お前何で真月を名前で…?」
「…神代先輩、良ければ僕と二人で話しませんか?」
「テメェと話すことなんてねぇよ。俺は…。」
「僕からはあるんですよ。だからちょっと来てくださいよ。」
「零くん…。」
「すいませんが、今日は先に帰ってくれませんか?」
「…でも。」
「何かあったら連絡しますから心配しないでください!」
青い髪の先輩…。神代先輩だったっけ。よくわからないけど、二人の間には私が入り込めない緊張感が漂っていた。この二人過去に何かあったんだろうか。
ナッシュ…じゃねぇわ。今は神代凌牙だったか。まぁどっちでもいいわ。屋上に連れ出すと早速俺の胸ぐらを掴んできやがった。
「いきなり何するんですか?」
「すっとぼけてんじゃねぇ!お前澪の記憶を奪ったのか?!」
「バリアンの力を失った今、そんなことができる力がないのはお前だってよくわかってるだろうよ。」
「じゃあ何故澪は記憶を失くしてるんだ?!」
「だから事故だっつってんだろ。机に頭をぶつけたんだよ。」
「嘘つくんじゃねぇ!」
「誠に残念ながら嘘は言ってねぇよ。…しかしお前がそこまで気にかけるなんて澪が好きだったのか?」
「黙れ!!」
相変わらずわかりやすい奴だ。ナッシュがアイツを想っているのは誰がどう見ても明らかだったのに本人だけは絶対に認めなかったからな。
「…澪の記憶を戻す方法はないのか?」
「何かきっかけがあれば思い出す可能性はあるらしいぜ。」
「そうか、ならお前に構っている時間はない。」
ナッシュは俺を解放すると、そのまま屋上の扉へと向かっていった。だから俺はナッシュの背中に向かってこう言ってやった。
「澪にとって記憶取り戻すことが本当に幸せなのかどうか…。今一度考えることをオススメするぜ。」
ナッシュはこちらを振り返ることもなく屋上の扉を閉めていった。
俺は知っていた。ナッシュが澪のことをずっと前から想っていたが、ヌメロンコード後も気持ちは伝えずに友達止まりだった。そして俺はこう考えた。もしナッシュの想い人の澪を奪ってやったらどんな反応をするのかと。
真月零の性格で奴に近づき関係を深めてから告白したが、澪は俺を振りやがった。アイツは勘は鋭かったらしく俺の意図に薄々気づいてたようだ。俺を振って帰ろうとした澪に納得がいかなくてアイツの腕を掴もうとした俺の腕をアイツが振り払った際にアイツがバランスを崩して倒れた。これだけははっきり言える。事故だ。俺がわざと倒したわけじゃねぇ。息があったから死んでねぇことはわかったがこのまま放置すれば後々面倒なことになる。だから俺は救急車を呼び病院まで付き添った。
救急車が来るまでの間に一瞬澪は意識を取り戻したが、俺のことがわからないようだったので記憶を失くしたのかと察した。だから俺はDゲイザーとDパッドも壊しておきナッシュとの連絡手段を断った。そしてDゲイザーとDパッドがない以上俺が彼氏だった証拠もなければ付き合ってない証拠もない。記憶のない不安定な精神状態ならアイツを騙すのも容易い。
澪が記憶を取り戻せば俺と付き合ったことに対して絶望するだろうし、このまま記憶を取り戻さず俺と付き合い続けるならナッシュにとっては地獄だ。俺にとっちゃアイツらがどう転がろうか愉快な結末になる。まぁせいぜい頑張るんだな…。俺は高みの見物をさせてもらうとするか。