YGO ZEXAL ドルベ短編
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学校から帰ろうと下駄箱を開けたら中に入っていた手紙。開封してみると紙からはみ出しそうなぐらい大きな字で、今日の放課後屋上へ来いと書かれている。…差出人の名前はない。呼び出された人物に心当たりがあるような、ないような…。行かないことで厄介なことになっても嫌だったので私は渋々行くことを決めた。…案の定私は面倒ごとに巻き込まれることとなる。
「はぁ…。」
「先程からなんだ、そのため息は。」
「あ、ミザエル。帰ってきてたんだ。いや、ちょっとね…。」
「おやおやー?何かよからぬことが起こった気配がしますね!」
「げっ…ベクター。まさか二人とも一緒に帰ってきたの?」
「…私が帰ってきた後すぐにベクターが帰ってきただけだ。」
「だよね…。」
この二人が一緒に帰ることは天地がひっくり返ってもあり得ないか…。いやそれは言い過ぎか。
「それよりどうしたんですか?悩んでるなら話を聞きますよ!ミザエルが!」
「…私を巻き込むな。貴様が聞けばいいだろう。」
「乗りかかった船じゃないですか。話ぐらいは聞いてあげましょうよ!」
この二人に話して解決できるんだろうか。言わないでこのまま悩んでいるよりかはマシだろうか。
少しでも楽になりたかった私は迷った末に話し始めた。
「一年生に神月アンナちゃんっているでしょ?」
「誰だ?」
「あぁ、あの猪突猛進女か。」
「言い方!!ミザエルはデュエルしたことあるでしょ。」
「…私に楯突いた小娘か。」
今は二歳しか変わらないから小娘とは言えない気がするが、ここを突っ込むと話が進まないので私はスルーしていく。
「そうそう、それでね…」
「大方遊馬と付き合ってるって誤解されたってとこか?」
ベクターは同じ学年だからかアンナちゃんのことはよくわかっているようだった。話が早い。
「まぁ、大体そんな感じ…。」
「くだらん。そんなもの否定すれば終わりだろうが。そもそもお前はドル…」
「わー!!言わないでミザエル!…それにね付き合ってないならそれを証明しろって言われて…。今日は無理だから、明日にしてもらうことにしたんだけど…付き合ってない証明なんてどうすれば…?」
「遊馬の悪口言いまくれば良くね?」
ベクターがポツリと零したが、私は遊馬くんのことは良い人だと思っているので却下した。アンナちゃんの前でそんなことしたらどうなるのかわかったもんじゃない。
「そもそも小娘はなぜそのような勘違いをしているのだ?」
「うーん…最近はよく一緒にいることが多かったからかな?こないだこけそうになったところを庇ってくれてたからかも…。あの子思い込むと本当に一直線だから…。」
ミザエルは手に負えないと悟ったのか、面倒になったのか席を立とうとしたがベクターがスッと彼の肩に手を置きその場に無理やり留めた。
「付き合ってない証明をする必要はねぇよ。要はお前が誰かと付き合ってることにすりゃいいんだよ。」
ベクターの発言に私は眼から鱗が落ちたような感覚になった。そっか。その手があったか。
「なるほど!じゃあベクター相手役やってくれない?」
「僕は嫌です!」
「何で?!言い出しっぺなんだから協力してよ!」
「あいつと関わると碌なことがなさそうだからな。」
私はミザエルの方に向き直り頭を下げる。
「…ミザエル。一生のお願いが…。」
「断る。」
「まだ何も言ってないよ!」
「私がやると思うのか?」
「…ですよね。」
言われなくてもわかってはいたが…。他にやってくれそうな人…。ナッシュは断れそうだし…うーんと考えていると扉の開く音がしたので誰かが帰ってきたようだった。
「ベクター、ミザエル、スミレ、帰っていたのか。」
「あ!適任者が帰ってきたじゃないですか!ドルベくん、明日だけでいいんでスミレちゃんの彼氏になってくれません?」
「…どういう…ことだ?」
「省略しすぎ!!」
ベクターの話は間違ってはないのだが、経緯を端折りすぎてドルベが全く理解できていないので私のほうで最初から説明した。
「なるほど。そういうことなら協力しよう。」
「本当にいいの…?巻き込んでごめんね…。」
私たちのやりとりを聞いていたミザエルが大袈裟にため息をついた。
「相変わらずお前はお人好しだな。」
「いいじゃねぇかミザエル。二人とも丁度いい機会だろ。」
「丁度いい機会って?」
「あぁ、それって……じゃなかった。こちらの話です!明日は上手くいくといいですね!」
ベクターの言葉が引っかかり聞き返したものの、真月状態のスマイルをされて誤魔化されてしまった。
迎えた翌日の放課後、私はドルベと一緒に屋上へと向かう。意を決して屋上の扉を開けようとした時にドルベがストップをかけた。
「付き合ってる振りなら手を繋いだほうが良いのではないか?」
「そこまでするの?」
「そのほうが説得力があるだろう。」
確かにアンナちゃんは思い込みが激しいし、彼女を納得させるにはそれぐらいはしたほうがいいのかもしれない。
「わ、わかった。じゃあお願いします。」
「では行こうか。」
ドルベが私の手を取り屋上の扉を開く。手汗とかかいてないかな…。どうしよう。変に緊張してきた。大丈夫と自分に言い聞かせながら屋上を見渡すとこちらに背を向けているアンナちゃんを発見。扉の開く音に反応したのかアンナちゃんがこちらを振り返る。
「やっと来たな!…ってソイツは誰だよ。」
ドルベはアンナちゃんからしても歳上なのだけど…。敬語を使う気は全くないようだ。彼女らしいっちゃらしい。
「私はドルベ。スミレの彼氏だ。」
「…だからなんだよ?」
「私にはドルベがいるから、遊馬くんとは付き合ってないってことだよ。」
「本当に彼氏かー?」
「か、彼氏だもん。最近付き合いはじめたの!手だって繋いでるしょ!」
…付き合う設定になったのは昨日だけど。そんなことは知らないアンナちゃんは少し考え込んでからこう発言した。
「だったらキスしてみろよ!それなら認めてやるぜ!」
「えっ…そ、それは…」
「わかった。そうすれば認めてくれるんだな?」
「できるもんならな!」
動揺した私とは正反対に冷静に返事をしたドルベ。…まさか本当にしないよね。と思いながら彼の方を見ると、繋いだ手はそのままに。反対の手が私の頬に添えられて徐々ゆっくりに彼の顔が近づいてくる。手を繋いでいるから逃げることもできない。どうすればいいのかわからなくて私は目を閉じると「わかった!わかった!」と聞こえてきた。
「信じてやるよ!だからもう遊馬には近づくなよ!」
「う、うん。」
寸前のところでアンナちゃんは納得してくれたらしくフライングランチャーに乗って帰っていった。嵐が過ぎ去ったことで私はひとまず胸を撫で下ろしていた。
「…びっくりしたよ。本当にキスされるかと思っちゃった。」
「最初からする気はなかった。手で隠して向こうからはしてるように見えただろうからな。」
「な、なるほど…。これで一件落着したし、私達も帰ろうか。」
「…あぁ、そうだな。」
ドルベは私と繋いだままの手を離すことをせずに歩き始めた。あ、あれ?
「もう手は離してもいいんだよ?」
「…私がこの手を離したくないんだ。…できればずっと。」
彼のその言葉を聞いて私は一瞬思考停止してしまったが、その意味がわからないほど鈍感ではなかった。
「スミレ、今日限定でなく、明日からも私を君の彼氏にしてくれないか?…突然すまない。断るならこの手を離してくれ」
ドルベの熱のこもった瞳が私に向けられていて、真剣な気持ちが伝わってくる。私は言葉で返事をする前にドルベの手を握り返した。
「いいのか?」
「うん、…私のほうこそよろしくね。」
「いやー、上手くいきましたね!一時はどうなるかと思いましたが。」
「悪趣味な奴め。」
「おいおい、ミザちゃん。一緒に見にきてる時点でお前も俺と同類だからな?」
「…私はドルベが心配だっただけだ。あの小娘は何をしでかすかわからんからな。」
「スミレの心配もしてやれよ。」
「それはドルベがどうにかするだろう。私の管轄外だ。」
「どっかで聞いたことあるようなセリフだな。」
「…それより今回は貴様が仕組んだのではないのか?」
「何のことですか?確かにスミレちゃんと遊馬を二人きりにするようにわざと席を外したり、澪ちゃんをうっかり遊馬のほうにこけるように押したりはしましたけど。」
「…やはり貴様が原因ではないか!!」
「しーっ!大きな声を出すと二人に聞こえちゃいますよ?進展がなかった二人に君もやきもきしていたでしょう?僕らも見つからないうちにとっとと帰りましょう!」
「…だが!」
「まぁまぁ、反論は帰ってから聞きますから!」
ベクターとミザエルに一部始終を見られていたことをドルベとスミレは知る由もなかった。
「はぁ…。」
「先程からなんだ、そのため息は。」
「あ、ミザエル。帰ってきてたんだ。いや、ちょっとね…。」
「おやおやー?何かよからぬことが起こった気配がしますね!」
「げっ…ベクター。まさか二人とも一緒に帰ってきたの?」
「…私が帰ってきた後すぐにベクターが帰ってきただけだ。」
「だよね…。」
この二人が一緒に帰ることは天地がひっくり返ってもあり得ないか…。いやそれは言い過ぎか。
「それよりどうしたんですか?悩んでるなら話を聞きますよ!ミザエルが!」
「…私を巻き込むな。貴様が聞けばいいだろう。」
「乗りかかった船じゃないですか。話ぐらいは聞いてあげましょうよ!」
この二人に話して解決できるんだろうか。言わないでこのまま悩んでいるよりかはマシだろうか。
少しでも楽になりたかった私は迷った末に話し始めた。
「一年生に神月アンナちゃんっているでしょ?」
「誰だ?」
「あぁ、あの猪突猛進女か。」
「言い方!!ミザエルはデュエルしたことあるでしょ。」
「…私に楯突いた小娘か。」
今は二歳しか変わらないから小娘とは言えない気がするが、ここを突っ込むと話が進まないので私はスルーしていく。
「そうそう、それでね…」
「大方遊馬と付き合ってるって誤解されたってとこか?」
ベクターは同じ学年だからかアンナちゃんのことはよくわかっているようだった。話が早い。
「まぁ、大体そんな感じ…。」
「くだらん。そんなもの否定すれば終わりだろうが。そもそもお前はドル…」
「わー!!言わないでミザエル!…それにね付き合ってないならそれを証明しろって言われて…。今日は無理だから、明日にしてもらうことにしたんだけど…付き合ってない証明なんてどうすれば…?」
「遊馬の悪口言いまくれば良くね?」
ベクターがポツリと零したが、私は遊馬くんのことは良い人だと思っているので却下した。アンナちゃんの前でそんなことしたらどうなるのかわかったもんじゃない。
「そもそも小娘はなぜそのような勘違いをしているのだ?」
「うーん…最近はよく一緒にいることが多かったからかな?こないだこけそうになったところを庇ってくれてたからかも…。あの子思い込むと本当に一直線だから…。」
ミザエルは手に負えないと悟ったのか、面倒になったのか席を立とうとしたがベクターがスッと彼の肩に手を置きその場に無理やり留めた。
「付き合ってない証明をする必要はねぇよ。要はお前が誰かと付き合ってることにすりゃいいんだよ。」
ベクターの発言に私は眼から鱗が落ちたような感覚になった。そっか。その手があったか。
「なるほど!じゃあベクター相手役やってくれない?」
「僕は嫌です!」
「何で?!言い出しっぺなんだから協力してよ!」
「あいつと関わると碌なことがなさそうだからな。」
私はミザエルの方に向き直り頭を下げる。
「…ミザエル。一生のお願いが…。」
「断る。」
「まだ何も言ってないよ!」
「私がやると思うのか?」
「…ですよね。」
言われなくてもわかってはいたが…。他にやってくれそうな人…。ナッシュは断れそうだし…うーんと考えていると扉の開く音がしたので誰かが帰ってきたようだった。
「ベクター、ミザエル、スミレ、帰っていたのか。」
「あ!適任者が帰ってきたじゃないですか!ドルベくん、明日だけでいいんでスミレちゃんの彼氏になってくれません?」
「…どういう…ことだ?」
「省略しすぎ!!」
ベクターの話は間違ってはないのだが、経緯を端折りすぎてドルベが全く理解できていないので私のほうで最初から説明した。
「なるほど。そういうことなら協力しよう。」
「本当にいいの…?巻き込んでごめんね…。」
私たちのやりとりを聞いていたミザエルが大袈裟にため息をついた。
「相変わらずお前はお人好しだな。」
「いいじゃねぇかミザエル。二人とも丁度いい機会だろ。」
「丁度いい機会って?」
「あぁ、それって……じゃなかった。こちらの話です!明日は上手くいくといいですね!」
ベクターの言葉が引っかかり聞き返したものの、真月状態のスマイルをされて誤魔化されてしまった。
迎えた翌日の放課後、私はドルベと一緒に屋上へと向かう。意を決して屋上の扉を開けようとした時にドルベがストップをかけた。
「付き合ってる振りなら手を繋いだほうが良いのではないか?」
「そこまでするの?」
「そのほうが説得力があるだろう。」
確かにアンナちゃんは思い込みが激しいし、彼女を納得させるにはそれぐらいはしたほうがいいのかもしれない。
「わ、わかった。じゃあお願いします。」
「では行こうか。」
ドルベが私の手を取り屋上の扉を開く。手汗とかかいてないかな…。どうしよう。変に緊張してきた。大丈夫と自分に言い聞かせながら屋上を見渡すとこちらに背を向けているアンナちゃんを発見。扉の開く音に反応したのかアンナちゃんがこちらを振り返る。
「やっと来たな!…ってソイツは誰だよ。」
ドルベはアンナちゃんからしても歳上なのだけど…。敬語を使う気は全くないようだ。彼女らしいっちゃらしい。
「私はドルベ。スミレの彼氏だ。」
「…だからなんだよ?」
「私にはドルベがいるから、遊馬くんとは付き合ってないってことだよ。」
「本当に彼氏かー?」
「か、彼氏だもん。最近付き合いはじめたの!手だって繋いでるしょ!」
…付き合う設定になったのは昨日だけど。そんなことは知らないアンナちゃんは少し考え込んでからこう発言した。
「だったらキスしてみろよ!それなら認めてやるぜ!」
「えっ…そ、それは…」
「わかった。そうすれば認めてくれるんだな?」
「できるもんならな!」
動揺した私とは正反対に冷静に返事をしたドルベ。…まさか本当にしないよね。と思いながら彼の方を見ると、繋いだ手はそのままに。反対の手が私の頬に添えられて徐々ゆっくりに彼の顔が近づいてくる。手を繋いでいるから逃げることもできない。どうすればいいのかわからなくて私は目を閉じると「わかった!わかった!」と聞こえてきた。
「信じてやるよ!だからもう遊馬には近づくなよ!」
「う、うん。」
寸前のところでアンナちゃんは納得してくれたらしくフライングランチャーに乗って帰っていった。嵐が過ぎ去ったことで私はひとまず胸を撫で下ろしていた。
「…びっくりしたよ。本当にキスされるかと思っちゃった。」
「最初からする気はなかった。手で隠して向こうからはしてるように見えただろうからな。」
「な、なるほど…。これで一件落着したし、私達も帰ろうか。」
「…あぁ、そうだな。」
ドルベは私と繋いだままの手を離すことをせずに歩き始めた。あ、あれ?
「もう手は離してもいいんだよ?」
「…私がこの手を離したくないんだ。…できればずっと。」
彼のその言葉を聞いて私は一瞬思考停止してしまったが、その意味がわからないほど鈍感ではなかった。
「スミレ、今日限定でなく、明日からも私を君の彼氏にしてくれないか?…突然すまない。断るならこの手を離してくれ」
ドルベの熱のこもった瞳が私に向けられていて、真剣な気持ちが伝わってくる。私は言葉で返事をする前にドルベの手を握り返した。
「いいのか?」
「うん、…私のほうこそよろしくね。」
「いやー、上手くいきましたね!一時はどうなるかと思いましたが。」
「悪趣味な奴め。」
「おいおい、ミザちゃん。一緒に見にきてる時点でお前も俺と同類だからな?」
「…私はドルベが心配だっただけだ。あの小娘は何をしでかすかわからんからな。」
「スミレの心配もしてやれよ。」
「それはドルベがどうにかするだろう。私の管轄外だ。」
「どっかで聞いたことあるようなセリフだな。」
「…それより今回は貴様が仕組んだのではないのか?」
「何のことですか?確かにスミレちゃんと遊馬を二人きりにするようにわざと席を外したり、澪ちゃんをうっかり遊馬のほうにこけるように押したりはしましたけど。」
「…やはり貴様が原因ではないか!!」
「しーっ!大きな声を出すと二人に聞こえちゃいますよ?進展がなかった二人に君もやきもきしていたでしょう?僕らも見つからないうちにとっとと帰りましょう!」
「…だが!」
「まぁまぁ、反論は帰ってから聞きますから!」
ベクターとミザエルに一部始終を見られていたことをドルベとスミレは知る由もなかった。