スターリングナイト(ドルベ)
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当日。まだ約束の時間よりも遥かに前だというのに、私は早くも緊張と不安に押し潰されそうだった。
冷静に考えれば、星を見に行くのだから、待ち合わせは遅い時間になる。それに、誘ってきた時のドルベの口振りからすると、恐らく今夜は二人きり。これって大人のデートなのでは…!?そんな考えに取り憑かれ、心の中で葛藤が渦巻いた。
これはドルベとお近付きになるチャンスだと思う気持ち。その一方で、彼に幻滅されないかという憂い。誘ってくれたからといって簡単に調子に乗るなと、自らを諫める声もある。これらが収拾も付かずにずっと胸の内でシュプレヒコールを上げているのだ。
あぁ、早くこの胸のざわつきから解放されたい。だけどドルベに会ってしまうのは怖い。なかなか進まない時計の針を凝視しながら、矛盾する思いに苦悶した。
「おや、まだ待ち合わせの時刻よりだいぶ早いが…。」
ダラダラと家で過ごしていても何も解決しない。そう思って早めに待ち合わせ場所へ向かったというのに、もうそこにはドルベの姿があった。ベンチに姿勢良く腰掛け、文庫本を手にページを繰る。その居住まいが美しく様さまになっていて、思わず見惚れてしまう。
するとふと彼が顔を上げた。その瞬間、バッチリと目が合ってしまう。まだ心の準備ができていないのに、突如逃げられない状況に陥って、私は引き攣った笑みを浮かべた。
「ドルベも早いね。いつからここに?」
「私もつい先程着いたばかりだ。少し外の空気を浴びたくてな。」
眼鏡を指で押し上げる。彼にとっては意識するまでもないであろう何気ない仕草が、今日は一段と格好良く見える。それに加えて、制服とも普段の私服とも異なる彼の服装が、さらに心臓の鼓動を煽った。
今日の天体観測の場所は、ハートランド郊外の小高い丘だ。今は夏も近い時期とはいえ、標高の高いその場所は夜になると少し冷えるのだという。そのためか、彼には珍しく、着脱しやすいスポーティーなアウターを身に付けていた。雨風を凌げそうな素材でできていて、恐らく機能性にも優れているのだろう。冷静で用意周到な彼が吟味して選んだことが容易に想像できて、自然と胸がときめいた。
「ナマエも万全の服装で来てくれたのだな。」
ドルベの格好に見惚れていると、不意に声を掛けられる。彼の視線もまた、私の服に向けられていることに気付いて、急に恥ずかしくなった。
「変じゃない、かな?」
「いや、よく似合っている。普段と違う服装も新鮮だな。」
彼の言葉に自ずと頬が緩む。お世辞だと分かっているのに、舞い上がる気持ちを止められない。
私の服装も、事前にドルベから聞いていたアドバイスに倣い、登山用のウェアで揃えていた。だけど、少しでも彼に可愛いと思ってもらいたくて、明るい色のアウターを選んだり、タイツとハーフパンツを組み合わせて着用したりしてみたのだ。
ドルベが内心どう思っているかは分からない。けれど、優しげに細められた目が、私を見つめてくれるだけで充分だった。
「少し早いが、目的地へ向かおうか。ゆっくりと話しながら歩くくらいの余裕はあるだろう。」
そう言うと、彼は文庫本を閉じて、傍らの大きなリュックサックにしまった。それを軽々と背負い、私にまっすぐ向き直る。彼の頼もしさにうっとりしながら、私はコクリと頷いた。
冷静に考えれば、星を見に行くのだから、待ち合わせは遅い時間になる。それに、誘ってきた時のドルベの口振りからすると、恐らく今夜は二人きり。これって大人のデートなのでは…!?そんな考えに取り憑かれ、心の中で葛藤が渦巻いた。
これはドルベとお近付きになるチャンスだと思う気持ち。その一方で、彼に幻滅されないかという憂い。誘ってくれたからといって簡単に調子に乗るなと、自らを諫める声もある。これらが収拾も付かずにずっと胸の内でシュプレヒコールを上げているのだ。
あぁ、早くこの胸のざわつきから解放されたい。だけどドルベに会ってしまうのは怖い。なかなか進まない時計の針を凝視しながら、矛盾する思いに苦悶した。
「おや、まだ待ち合わせの時刻よりだいぶ早いが…。」
ダラダラと家で過ごしていても何も解決しない。そう思って早めに待ち合わせ場所へ向かったというのに、もうそこにはドルベの姿があった。ベンチに姿勢良く腰掛け、文庫本を手にページを繰る。その居住まいが美しく様さまになっていて、思わず見惚れてしまう。
するとふと彼が顔を上げた。その瞬間、バッチリと目が合ってしまう。まだ心の準備ができていないのに、突如逃げられない状況に陥って、私は引き攣った笑みを浮かべた。
「ドルベも早いね。いつからここに?」
「私もつい先程着いたばかりだ。少し外の空気を浴びたくてな。」
眼鏡を指で押し上げる。彼にとっては意識するまでもないであろう何気ない仕草が、今日は一段と格好良く見える。それに加えて、制服とも普段の私服とも異なる彼の服装が、さらに心臓の鼓動を煽った。
今日の天体観測の場所は、ハートランド郊外の小高い丘だ。今は夏も近い時期とはいえ、標高の高いその場所は夜になると少し冷えるのだという。そのためか、彼には珍しく、着脱しやすいスポーティーなアウターを身に付けていた。雨風を凌げそうな素材でできていて、恐らく機能性にも優れているのだろう。冷静で用意周到な彼が吟味して選んだことが容易に想像できて、自然と胸がときめいた。
「ナマエも万全の服装で来てくれたのだな。」
ドルベの格好に見惚れていると、不意に声を掛けられる。彼の視線もまた、私の服に向けられていることに気付いて、急に恥ずかしくなった。
「変じゃない、かな?」
「いや、よく似合っている。普段と違う服装も新鮮だな。」
彼の言葉に自ずと頬が緩む。お世辞だと分かっているのに、舞い上がる気持ちを止められない。
私の服装も、事前にドルベから聞いていたアドバイスに倣い、登山用のウェアで揃えていた。だけど、少しでも彼に可愛いと思ってもらいたくて、明るい色のアウターを選んだり、タイツとハーフパンツを組み合わせて着用したりしてみたのだ。
ドルベが内心どう思っているかは分からない。けれど、優しげに細められた目が、私を見つめてくれるだけで充分だった。
「少し早いが、目的地へ向かおうか。ゆっくりと話しながら歩くくらいの余裕はあるだろう。」
そう言うと、彼は文庫本を閉じて、傍らの大きなリュックサックにしまった。それを軽々と背負い、私にまっすぐ向き直る。彼の頼もしさにうっとりしながら、私はコクリと頷いた。