2.特別だとか思わないでくれるか?
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更にそれから三日たった。
まだダンテは元の世界に戻れてはいない。
ベオの『魔の力を解放する』という意味もまったくといってわからない。
試しに満腹状態下でのデビルトリガーの発動を試みてダンテの思う『魔の力の解放』はしてみたが、やはりネコの姿では何もできなかった。
せいぜい移動スピードが格段に跳ね上がるくらいだ。
多分、トリックスターの能力に違いない。
せめて人間の姿で来ていれば違ったかもしれない、何でよりによってネコなんだ。
毎日夢の見ていないところでベオにちょっかいを出されてばかりだ。
あまり気にしてはいないが犬如きにしてやられていると思うと腹立たしくなる。
そして、どこにいるのか……いや、この世界にいるのかどうかすらわからないバージルや、夢の言うネロという少年を見つけることも叶わなかった。
夢は今日もアルバイトか、とダンテは歯を磨きながら鏡で身だしなみをチェックしている少女に視線で問いかけた。
世間の学生はただいま夏休み真っ最中。
それは夢も同じことで、空いた時間を有効活用するためアルバイトをしているというわけだ。
ちなみに、アルバイト先はイタリアンの美味しいカフェである。
バージルを探すための散策中にここがそうだ、と教えられたのが記憶に新しい。
ダンテのことが言えないくらいにピザの好きな夢のことだ、その店は本当にピザが美味い。
昨日お土産に持って帰ってきてくれたピザなんかは冷めていても夢の作るピザに負けず劣らず美味い物だった。
「今日はアルバイトないよ」
残念でした、ピザのお土産はありませーん。
夢はガラガラペッと、口に残る歯みがき粉の残骸を吐き出し終え、鏡の中のダンテと視線を合わせた。
「今日の予定は勉きょ……おっとゲームかな」
逆だ、逆。
学生の本分は勉強だろうが。
願望が隠しきれてない。
ダンテはジト目で夢を睨むと点けっぱなしのテレビに視線を移した。
家族も出勤し終えた遅い朝のことである。
そろそろブランチと言っても差し支えなくなる頃になって、簡単に作ったピザトーストをかじりながら二人はボーッとテレビを見ていた。
チャンネルを回していくと朝の健康情報番組や、バラエティーが多い。
そして時折、夏休み特有のアニメ特集が目につく。
普段なら間違いなくアニメを見ている夢だが、ふと、あまり見ないニュース番組にチャンネルを合わせた。
つまらないニュースを垂れ流すはずのそれを聞いたダンテは吹き出さずにはいられなかった。
食べていた主食のピザが口から盛大に前方へ飛んだ。
余談だが親にはピザしか食べないネコときちんと説明してある。
変なネコねぇ別にいいけど餌の準備は自分でやりなさいよ、と深くは突っ込まれなかった。
そんな天然ボケボケな両親に、ダンテと夢はほっと胸をなでおろした。
「わぁ、デジャヴ」
汚いなぁちゃんと口押さえてよねー。
夢は文句を言いながらダンテが飛ばしたピザをティッシュで拭き取った。
もぐもぐもぐもぐごっくん。
ぷはーっ、満足。
「ふぅ、これでようやくしゃべれる。それよりテレビ見ろ」
ダンテはネコなんだからしかたないだろ、そう言いたげな一瞥をくれてから夢にもテレビを見るよう促した。
夢がゆったりとした動作でテレビに視線を移すと、白いネコらしき物体が路地裏を横切っている映像が繰り返し流れていた。
その映像には右上にしゃべるネコ発見か!?と小さく赤文字でサブタイトルがふってある。
そしてキャスターがしゃべるネコについて語っていた。
○○市○△○周辺でしゃべるネコが目撃されたとの投稿があり……。
「へー、しゃべるネコだってー」
夢はのんびりと間延びした声音でキャスターの言葉をさえぎる。
「ふわー、それよりゲームゲーム……アイタッ」
ダンテはゲーム機へとのびる手をバシンと振り払いながらキャスターの言葉を聞いていた。
「ニュースが聞こえねェ。ちったぁ黙ってろ」
「聞き間違えか合成じゃない?」
だいたいダンテがニュース聞くとか似合わないよ、似合わないことすると明日は槍が降ってくるかもね、コワイコワイ(´ー`)=З
失礼な言葉を付け足しながらも一緒にニュースを見る。
「あるぇ?合成じゃなく見える……」
ゲームやネットで培った夢の目にかかればその映像が合成か否かくらいすぐわかる。
だが、それはどこから見ても本物に見えた。
「おい、オレが喋ってるのを世間一般から見ると、何に見える?」
そのダンテの言葉に、お互いに見つめ合うこと数秒。
「喋るネコ?(・∀・)」
「That's right」
「……あ、そっか」
「頭わりぃヤツだな……」
「ダンテには言われたくないよ」
ひどく心外だ、とでも言うように頬を膨らましながらその映像を見る。
スタジオでは映像を繰り返し流しながら長く生きた猫又か、現代に蘇った妖怪かと討論をしている。
オカルト好きな日本人どもめ、他には話題ないのか?
「ありゃ、バージルだ」
睨み付けるようにキャスターを見ていた視線をきっぱりと言い切るダンテに戻す。
「そりゃあ見た目おんなじ種類のまっしろネコみたいだけど何でそう言い切れるの?」
「微々たるものだが画面から魔力を感じる、あれは絶対にバージルだ、それに……」
自分の首に下げた銀の鎖をシャランと揺らした。
「アミュレットつけてる」
え、ウソどこどこ、と目を凝らしてテレビにくぎ付けになるとダンテの言う通りネコの首には金の鎖で赤い物が下がっていた。
「あ、ホント、分かりづらいけど首になんかさげてる」
「次こそ、手をつかんだら……絶対離すもんか」
小さな声だった。
だが、ダンテのその呟きは夢の耳に届いた。
詳しく聞いていないが察するにテメンニグルからはとうに離れたあとなのだろう、夢は何も聞かなかった。
真っ直ぐに映像中のバージルらしきネコを見つめるダンテの目には赤い炎の色が揺らめいて見えた。
「お散歩がてら迎えに行きますかね」
夢はどっこいしょ、と重い腰を上げてストレッチしながら出かける支度をし出した。
それにつられてダンテは前足でチャンネルの電源ボタンを押し、テレビを消した。
「夢、○○市○△○周辺って遠いのか?」
「目と鼻の先」
ウインクした夢と視線があった。
まだダンテは元の世界に戻れてはいない。
ベオの『魔の力を解放する』という意味もまったくといってわからない。
試しに満腹状態下でのデビルトリガーの発動を試みてダンテの思う『魔の力の解放』はしてみたが、やはりネコの姿では何もできなかった。
せいぜい移動スピードが格段に跳ね上がるくらいだ。
多分、トリックスターの能力に違いない。
せめて人間の姿で来ていれば違ったかもしれない、何でよりによってネコなんだ。
毎日夢の見ていないところでベオにちょっかいを出されてばかりだ。
あまり気にしてはいないが犬如きにしてやられていると思うと腹立たしくなる。
そして、どこにいるのか……いや、この世界にいるのかどうかすらわからないバージルや、夢の言うネロという少年を見つけることも叶わなかった。
夢は今日もアルバイトか、とダンテは歯を磨きながら鏡で身だしなみをチェックしている少女に視線で問いかけた。
世間の学生はただいま夏休み真っ最中。
それは夢も同じことで、空いた時間を有効活用するためアルバイトをしているというわけだ。
ちなみに、アルバイト先はイタリアンの美味しいカフェである。
バージルを探すための散策中にここがそうだ、と教えられたのが記憶に新しい。
ダンテのことが言えないくらいにピザの好きな夢のことだ、その店は本当にピザが美味い。
昨日お土産に持って帰ってきてくれたピザなんかは冷めていても夢の作るピザに負けず劣らず美味い物だった。
「今日はアルバイトないよ」
残念でした、ピザのお土産はありませーん。
夢はガラガラペッと、口に残る歯みがき粉の残骸を吐き出し終え、鏡の中のダンテと視線を合わせた。
「今日の予定は勉きょ……おっとゲームかな」
逆だ、逆。
学生の本分は勉強だろうが。
願望が隠しきれてない。
ダンテはジト目で夢を睨むと点けっぱなしのテレビに視線を移した。
家族も出勤し終えた遅い朝のことである。
そろそろブランチと言っても差し支えなくなる頃になって、簡単に作ったピザトーストをかじりながら二人はボーッとテレビを見ていた。
チャンネルを回していくと朝の健康情報番組や、バラエティーが多い。
そして時折、夏休み特有のアニメ特集が目につく。
普段なら間違いなくアニメを見ている夢だが、ふと、あまり見ないニュース番組にチャンネルを合わせた。
つまらないニュースを垂れ流すはずのそれを聞いたダンテは吹き出さずにはいられなかった。
食べていた主食のピザが口から盛大に前方へ飛んだ。
余談だが親にはピザしか食べないネコときちんと説明してある。
変なネコねぇ別にいいけど餌の準備は自分でやりなさいよ、と深くは突っ込まれなかった。
そんな天然ボケボケな両親に、ダンテと夢はほっと胸をなでおろした。
「わぁ、デジャヴ」
汚いなぁちゃんと口押さえてよねー。
夢は文句を言いながらダンテが飛ばしたピザをティッシュで拭き取った。
もぐもぐもぐもぐごっくん。
ぷはーっ、満足。
「ふぅ、これでようやくしゃべれる。それよりテレビ見ろ」
ダンテはネコなんだからしかたないだろ、そう言いたげな一瞥をくれてから夢にもテレビを見るよう促した。
夢がゆったりとした動作でテレビに視線を移すと、白いネコらしき物体が路地裏を横切っている映像が繰り返し流れていた。
その映像には右上にしゃべるネコ発見か!?と小さく赤文字でサブタイトルがふってある。
そしてキャスターがしゃべるネコについて語っていた。
○○市○△○周辺でしゃべるネコが目撃されたとの投稿があり……。
「へー、しゃべるネコだってー」
夢はのんびりと間延びした声音でキャスターの言葉をさえぎる。
「ふわー、それよりゲームゲーム……アイタッ」
ダンテはゲーム機へとのびる手をバシンと振り払いながらキャスターの言葉を聞いていた。
「ニュースが聞こえねェ。ちったぁ黙ってろ」
「聞き間違えか合成じゃない?」
だいたいダンテがニュース聞くとか似合わないよ、似合わないことすると明日は槍が降ってくるかもね、コワイコワイ(´ー`)=З
失礼な言葉を付け足しながらも一緒にニュースを見る。
「あるぇ?合成じゃなく見える……」
ゲームやネットで培った夢の目にかかればその映像が合成か否かくらいすぐわかる。
だが、それはどこから見ても本物に見えた。
「おい、オレが喋ってるのを世間一般から見ると、何に見える?」
そのダンテの言葉に、お互いに見つめ合うこと数秒。
「喋るネコ?(・∀・)」
「That's right」
「……あ、そっか」
「頭わりぃヤツだな……」
「ダンテには言われたくないよ」
ひどく心外だ、とでも言うように頬を膨らましながらその映像を見る。
スタジオでは映像を繰り返し流しながら長く生きた猫又か、現代に蘇った妖怪かと討論をしている。
オカルト好きな日本人どもめ、他には話題ないのか?
「ありゃ、バージルだ」
睨み付けるようにキャスターを見ていた視線をきっぱりと言い切るダンテに戻す。
「そりゃあ見た目おんなじ種類のまっしろネコみたいだけど何でそう言い切れるの?」
「微々たるものだが画面から魔力を感じる、あれは絶対にバージルだ、それに……」
自分の首に下げた銀の鎖をシャランと揺らした。
「アミュレットつけてる」
え、ウソどこどこ、と目を凝らしてテレビにくぎ付けになるとダンテの言う通りネコの首には金の鎖で赤い物が下がっていた。
「あ、ホント、分かりづらいけど首になんかさげてる」
「次こそ、手をつかんだら……絶対離すもんか」
小さな声だった。
だが、ダンテのその呟きは夢の耳に届いた。
詳しく聞いていないが察するにテメンニグルからはとうに離れたあとなのだろう、夢は何も聞かなかった。
真っ直ぐに映像中のバージルらしきネコを見つめるダンテの目には赤い炎の色が揺らめいて見えた。
「お散歩がてら迎えに行きますかね」
夢はどっこいしょ、と重い腰を上げてストレッチしながら出かける支度をし出した。
それにつられてダンテは前足でチャンネルの電源ボタンを押し、テレビを消した。
「夢、○○市○△○周辺って遠いのか?」
「目と鼻の先」
ウインクした夢と視線があった。