1.一緒にいてやってもいい
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「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
王道の逆トリップktkr!!
バージル鬼ぃちゃんが来てくれてたらもっとうれしかったかな(ぼそ)」
おい、今なんか本音が漏れてたぞ。
ダンテはジト目になったが、夢はその視線を無視して続けた。
「ハッ!バージルやネロもゲームにいなかったってことはもしかして彼らも来てる!?フッフゥーッ!( ゚∀゚ )━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )
ね、どう思うよダンテすゎん」
ダンテは興奮した様子の夢が問いかけてくるのをかなりひきながら素っ気なく返した。
「知るかよ、会ってないし」
そもそも会ってたらぶん殴ってでも連れてきてるっつーの。
「じゃ、早くあたしの嫁探さないと。心ない人間に傷つけられてバージルたんのガラスのハートがぼろぼろになったら大変!!」
「ガラスのハートって……いや、あいつがそんなタマかよ」
むしろ刃物も通らないダイヤモンドで出来たハートの間違いだろ。
しかもバージルたんって……たんはないだろ。おえっ!
「バージルたんはちょーっとツンデレなだけです!
ダンテのこと殺そうとしたのだってちょっぴり愛情が深すぎて行き過ぎただけなの!照れ屋で寂しがり屋さんなんだよ!」
うわぁ、いちいち突っ込まなきゃよかったかも。
大体、どう見たらあれがそういう解釈になるんだ?
ちょっと夢の頭の中をのぞいてみたいものである。
「それで行くとウチの兄貴はかなりデンジャラスな愛情表現を持ってることになるんだが……史上最狂の構ってちゃんか?」
想像して気持ち悪くなったのか、ダンテは顔をしかめた。
でもネコの顔のままなのでフレーメン反応の様な表情にみえる。
「はー……お前さぁ、そこまで庇護できるなんてオレよりバージルのが好きだろ」
「うん、バージルのが好きだけど?むしろ一番好き、それがなにか?」
きっぱりと迷いなく言いきる夢にダンテはがっくりと頭を垂れた。
「(´・ω・`)……いや別に」
あ、そうだ、と思いだしたように夢が自己紹介をしだす。
よくよく考えて見れば、夢はダンテの名前を知っていても、ダンテは夢の名前をまだ知らないままだったのだ。
「あたしは、夢。春夏秋冬夢。にほんじんー」
「へえ。
よく知ってるだろうけどオレはダンテな、本来なら人の姿であいさつしたかったが……ごめん」
「いいよいいよ。ダンテっているだけでその辺破壊しそうだしネコでいてくれた方が安心」
夢はにっこりと笑顔で言う。
逆にその笑顔が意味深すぎてなんかへこむ。
「お前実はオレのこと嫌いだろ」
「いや、三度の飯よりは好きだけど?」
バージルの次にね!
あはは、と夢は清々しい笑顔になった。
付け足された言葉で浮上した気持ちが微妙な物に変わった。
バージルよりは人に好かれる性格してるつもりなんだけどな、無愛想でもないし。
……なんだかバージルに負けた感じがする。
しょんぼりしていれば。
「ハイハイ、ちょこっとシリアスな話するよー!」
ネコダンテの頭をぐしゃぐしゃ撫でくりまわして夢は話を変えた。
「で、いつこっちに来たのか覚えてる?」
「ああ、いつのまにか三日前にネコの姿でこの世界にいた。理由は全くわかんねぇ」
別に悪魔に対して不覚をとったわけでもないし、心当たりもないのだ。
完全お手上げ状態である。
神のイタズラと言ってしまった方がどれほど楽か。
「ぬぅ、そっかぁ。よくわかんないなら尚更早く帰んないとだよね」
ダンテを抱っこして喉を撫でながら続ける。
ネコだからか、喉を撫で上げられるとあまりの気持ち良さにゴロゴロと鳴らしてしまう。
悲しきネコの性(サガ)よ……。
「バージル達も来てるなら見つけ出して早く帰してあげないと。ダンテ達の世界に変な影響が出ないとも限らないし。
憶測にすぎないけど、ゲームの中のおかしなストーリーとそっちの世界、連動してると思うの」
「そうなのか?」
「現にここにダンテがいて、ゲームにはダンテがいないもん。
このままダンテ達がいないまま進むと人間界は悪魔に乗っ取られるんじゃない?ママさんの仇、取れなくなって後悔しない?一刻も早く戻った方がいいよ」
「オレの母親のことまで知ってるのか」
こいつ一体どこまで知ってるんだよ。
ダンテはゴロゴロと喉を為らすのをやめ、目を丸くして夢を見上げた。
「そりゃまぁ、設定資料集持ってるし……食い違いがなければだけど大体合ってると思うよ。
それどころか、ダンテが黒歴史の頃に使ってた偽名とかも知ってるよ、確かトn「わぁぁ!いちいち言わんでいい!」はいはい。
てか、ダンテ、ネコなのに何でしゃべれるの?ハチャメチャ設定すぎるwww」
夢はダンテを両手でぶらーんと持ち上げてその目線を合わした。
青いアクアマリンの瞳と日本人特有の黒い黒曜石がかち合った。
便利だしイイだろ?
ネコの特性ゆえか、目を合わせているのがいやになりダンテはふいと目をそらした。
「……今日初めてしゃべれた。
自分でもしゃべれたことにびっくりしてる。満腹になるとしゃべれるみたいだな。
だけどネコだと腹が減るのが早いみてぇだ。現にもう小腹が空いてる」
小さくダンテの腹の虫がきゅるきゅると鳴いているのが聞こえた。
「自分の体ながら燃費悪いな」
「早!さっき食べたばっかりなのに!まるで『狂った永劫機関』持ってる状態だね。デブネコにならないよう肥満に注意したほうがよさそう……」
夢はまたどっこいせ、と掛け声をあげながらダンテを下におろした。
「とりあえずここにいて、帰れる方法一緒に探そう」
「いていいのか?」
ダンテはおずおすと言った風に聞いた。
「あら、いすわる気満々だったんじゃないの?別に外がいいならお好きにどうぞ。
でもしゃべるネコなんて見つかったら捕まえられて帰るどころじゃないし、野良生活するにしてもお腹減った時にピザが出てくることなんてないよ」
食べれたとしても生ごみ置き場の腐った残飯かなぁ?
生ごみ置き場の腐った残飯!そんなものいくら半魔でも食べられない。
「すみませんオレをここに置いて下さい」
ダンテは土下座する勢いで即座に返答した。
「よろしい」
その言葉を待っていたのか夢はにっこり笑いながら頷いた。
「あ、でもオレピザが好きなんだよな」
「うん、ダンテの好物だもんねーわかってる。
ダイジョブ、ダンテほどじゃないけどあたしもピザが大好物だから。飽きるまで食べさせてあげるよ……そう、飽きるまでね……(´ー`)ニヤリ」
その言葉にダンテは「ィヤッフーヽ(´∀` )ノ」と歓喜の雄たけびをあげている。
傍から見るとネコがぴょんぴょん飛び跳ねているのでちょっと恐い。
でも次はなるべくヘルシーなピザの具にしよっと……。
ダンテがデブンテになったらやだし、トリックスター使えなくなっちゃう。
夢は考えながら、我が家の家族を呼んだ。
「ベオたんー」
タッタッタッタッ
「わふーん♪」
「ゴファッ」#))Д゚)
呼んだだけで2階からふっ飛んで飼い主である夢に激突してきたのはネコダンテの数倍はあろうかという大きな黒い犬だった。
ちぎれんばかりにしっぽを振り、夢に飛び付いてべろべろと舐めまわしている。
「イタタ……この子、ベオって言うの、ダンテの先輩ねー」
ベオ?まさか……。
何か言いたそうな怪訝な表情のダンテに悟ったのか夢は続けた。
「そう、ベオウルフからとったんだよ。いいでしょ」
どんだけオレ達のゲーム好きなんだよ、影響されすぎだろ。
趣味わりー名前、せめてケルベロスにしろよな。あいつのが聞きわけいいだろ。
ダンテは溜息まじりに夢とベオを見た。
その考えが伝わったのか、こちらに気付いたベオがダンテの元に来た。
くん、と匂いをひと嗅ぎしたかと思ったらべろべろと舐めまわしてきた。
ぎゃー!ななななんだよコイツ!
顔と毛皮が犬の唾液でべたべたになってとても気持ち悪い。
ダンテは毛を逆立ててどうにかしてくれと言いたげに夢を見た。
「なんとか、して、くれ……っ!」
「よかったね、ダンテ。歓迎されてんじゃん?」
夢は止めもせずニヤニヤと傍観し続けた。
「あたしからもお願い、親がいる時とか絶対しゃべらないでよ」
No talking、ね?
どこかで聞いた台詞を残し、夢はダンテを置いてキッチン方面に向かってしまった。
「そうそう」
夢は行く途中振り返った。
「せっかくなんだし、帰れるまで楽しんだらいいよ」
ベオ、舐めるのやめな。
その飼い主の言葉にベオはわふ!ひと鳴きして舐めることをピタっと止めた。
楽しめ、か。
そうだな、悲観するのは性に合わないな。
「おい」
目の前から声がする。
ベオがしゃべっていた。
「は?もしかしてこの世界の動物ってのは人の言葉を話せんのか?」
「違う、動物の言葉をお前が理解してるだけだ」
ふぅん、ダンテは興味なさげに汚れた毛並みを整えるため、顔を洗うしぐさをしだした。
「お前と主人が会ったのは偶然ではない、必然だ。帰りたければ魔の力を解放しろ」
その言葉に顔をこするのを止め、ベオに向き直る。
まるで自分が相手にしたベオウルフそのままである。
「……アンタただの馬鹿な犬じゃないのか。それが素なんだな。今の言葉の意味は何だ?」
「少しは自分で考えてみるんだな。
ただし主人を傷つけることは許さん。もしも傷つけたその時はズタズタに噛み千切って引き裂いてやる」
……早く帰れ。
そう言って夢を追いかけその場を後にした。
「おお、恐い恐い、今のオレはただのネコなんでな、肝に銘じておくよ」
帰れるまでは大変そうだが、まあ夢と一緒にいてやるか。
せいぜい楽しませてくれよ?
ダンテは丸くなって眠り始めた。
●あとがき
夢主が最初のうちに口ずさんでるのは平●綾のピザの曲で、ブランケットの黄色いウサギのようなのはピカ●ュウ。
あとわんちゃんとダンテの会話は動物の言葉になっているので夢主には聞こえてません。
王道の逆トリップktkr!!
バージル鬼ぃちゃんが来てくれてたらもっとうれしかったかな(ぼそ)」
おい、今なんか本音が漏れてたぞ。
ダンテはジト目になったが、夢はその視線を無視して続けた。
「ハッ!バージルやネロもゲームにいなかったってことはもしかして彼らも来てる!?フッフゥーッ!( ゚∀゚ )━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )
ね、どう思うよダンテすゎん」
ダンテは興奮した様子の夢が問いかけてくるのをかなりひきながら素っ気なく返した。
「知るかよ、会ってないし」
そもそも会ってたらぶん殴ってでも連れてきてるっつーの。
「じゃ、早くあたしの嫁探さないと。心ない人間に傷つけられてバージルたんのガラスのハートがぼろぼろになったら大変!!」
「ガラスのハートって……いや、あいつがそんなタマかよ」
むしろ刃物も通らないダイヤモンドで出来たハートの間違いだろ。
しかもバージルたんって……たんはないだろ。おえっ!
「バージルたんはちょーっとツンデレなだけです!
ダンテのこと殺そうとしたのだってちょっぴり愛情が深すぎて行き過ぎただけなの!照れ屋で寂しがり屋さんなんだよ!」
うわぁ、いちいち突っ込まなきゃよかったかも。
大体、どう見たらあれがそういう解釈になるんだ?
ちょっと夢の頭の中をのぞいてみたいものである。
「それで行くとウチの兄貴はかなりデンジャラスな愛情表現を持ってることになるんだが……史上最狂の構ってちゃんか?」
想像して気持ち悪くなったのか、ダンテは顔をしかめた。
でもネコの顔のままなのでフレーメン反応の様な表情にみえる。
「はー……お前さぁ、そこまで庇護できるなんてオレよりバージルのが好きだろ」
「うん、バージルのが好きだけど?むしろ一番好き、それがなにか?」
きっぱりと迷いなく言いきる夢にダンテはがっくりと頭を垂れた。
「(´・ω・`)……いや別に」
あ、そうだ、と思いだしたように夢が自己紹介をしだす。
よくよく考えて見れば、夢はダンテの名前を知っていても、ダンテは夢の名前をまだ知らないままだったのだ。
「あたしは、夢。春夏秋冬夢。にほんじんー」
「へえ。
よく知ってるだろうけどオレはダンテな、本来なら人の姿であいさつしたかったが……ごめん」
「いいよいいよ。ダンテっているだけでその辺破壊しそうだしネコでいてくれた方が安心」
夢はにっこりと笑顔で言う。
逆にその笑顔が意味深すぎてなんかへこむ。
「お前実はオレのこと嫌いだろ」
「いや、三度の飯よりは好きだけど?」
バージルの次にね!
あはは、と夢は清々しい笑顔になった。
付け足された言葉で浮上した気持ちが微妙な物に変わった。
バージルよりは人に好かれる性格してるつもりなんだけどな、無愛想でもないし。
……なんだかバージルに負けた感じがする。
しょんぼりしていれば。
「ハイハイ、ちょこっとシリアスな話するよー!」
ネコダンテの頭をぐしゃぐしゃ撫でくりまわして夢は話を変えた。
「で、いつこっちに来たのか覚えてる?」
「ああ、いつのまにか三日前にネコの姿でこの世界にいた。理由は全くわかんねぇ」
別に悪魔に対して不覚をとったわけでもないし、心当たりもないのだ。
完全お手上げ状態である。
神のイタズラと言ってしまった方がどれほど楽か。
「ぬぅ、そっかぁ。よくわかんないなら尚更早く帰んないとだよね」
ダンテを抱っこして喉を撫でながら続ける。
ネコだからか、喉を撫で上げられるとあまりの気持ち良さにゴロゴロと鳴らしてしまう。
悲しきネコの性(サガ)よ……。
「バージル達も来てるなら見つけ出して早く帰してあげないと。ダンテ達の世界に変な影響が出ないとも限らないし。
憶測にすぎないけど、ゲームの中のおかしなストーリーとそっちの世界、連動してると思うの」
「そうなのか?」
「現にここにダンテがいて、ゲームにはダンテがいないもん。
このままダンテ達がいないまま進むと人間界は悪魔に乗っ取られるんじゃない?ママさんの仇、取れなくなって後悔しない?一刻も早く戻った方がいいよ」
「オレの母親のことまで知ってるのか」
こいつ一体どこまで知ってるんだよ。
ダンテはゴロゴロと喉を為らすのをやめ、目を丸くして夢を見上げた。
「そりゃまぁ、設定資料集持ってるし……食い違いがなければだけど大体合ってると思うよ。
それどころか、ダンテが黒歴史の頃に使ってた偽名とかも知ってるよ、確かトn「わぁぁ!いちいち言わんでいい!」はいはい。
てか、ダンテ、ネコなのに何でしゃべれるの?ハチャメチャ設定すぎるwww」
夢はダンテを両手でぶらーんと持ち上げてその目線を合わした。
青いアクアマリンの瞳と日本人特有の黒い黒曜石がかち合った。
便利だしイイだろ?
ネコの特性ゆえか、目を合わせているのがいやになりダンテはふいと目をそらした。
「……今日初めてしゃべれた。
自分でもしゃべれたことにびっくりしてる。満腹になるとしゃべれるみたいだな。
だけどネコだと腹が減るのが早いみてぇだ。現にもう小腹が空いてる」
小さくダンテの腹の虫がきゅるきゅると鳴いているのが聞こえた。
「自分の体ながら燃費悪いな」
「早!さっき食べたばっかりなのに!まるで『狂った永劫機関』持ってる状態だね。デブネコにならないよう肥満に注意したほうがよさそう……」
夢はまたどっこいせ、と掛け声をあげながらダンテを下におろした。
「とりあえずここにいて、帰れる方法一緒に探そう」
「いていいのか?」
ダンテはおずおすと言った風に聞いた。
「あら、いすわる気満々だったんじゃないの?別に外がいいならお好きにどうぞ。
でもしゃべるネコなんて見つかったら捕まえられて帰るどころじゃないし、野良生活するにしてもお腹減った時にピザが出てくることなんてないよ」
食べれたとしても生ごみ置き場の腐った残飯かなぁ?
生ごみ置き場の腐った残飯!そんなものいくら半魔でも食べられない。
「すみませんオレをここに置いて下さい」
ダンテは土下座する勢いで即座に返答した。
「よろしい」
その言葉を待っていたのか夢はにっこり笑いながら頷いた。
「あ、でもオレピザが好きなんだよな」
「うん、ダンテの好物だもんねーわかってる。
ダイジョブ、ダンテほどじゃないけどあたしもピザが大好物だから。飽きるまで食べさせてあげるよ……そう、飽きるまでね……(´ー`)ニヤリ」
その言葉にダンテは「ィヤッフーヽ(´∀` )ノ」と歓喜の雄たけびをあげている。
傍から見るとネコがぴょんぴょん飛び跳ねているのでちょっと恐い。
でも次はなるべくヘルシーなピザの具にしよっと……。
ダンテがデブンテになったらやだし、トリックスター使えなくなっちゃう。
夢は考えながら、我が家の家族を呼んだ。
「ベオたんー」
タッタッタッタッ
「わふーん♪」
「ゴファッ」#))Д゚)
呼んだだけで2階からふっ飛んで飼い主である夢に激突してきたのはネコダンテの数倍はあろうかという大きな黒い犬だった。
ちぎれんばかりにしっぽを振り、夢に飛び付いてべろべろと舐めまわしている。
「イタタ……この子、ベオって言うの、ダンテの先輩ねー」
ベオ?まさか……。
何か言いたそうな怪訝な表情のダンテに悟ったのか夢は続けた。
「そう、ベオウルフからとったんだよ。いいでしょ」
どんだけオレ達のゲーム好きなんだよ、影響されすぎだろ。
趣味わりー名前、せめてケルベロスにしろよな。あいつのが聞きわけいいだろ。
ダンテは溜息まじりに夢とベオを見た。
その考えが伝わったのか、こちらに気付いたベオがダンテの元に来た。
くん、と匂いをひと嗅ぎしたかと思ったらべろべろと舐めまわしてきた。
ぎゃー!ななななんだよコイツ!
顔と毛皮が犬の唾液でべたべたになってとても気持ち悪い。
ダンテは毛を逆立ててどうにかしてくれと言いたげに夢を見た。
「なんとか、して、くれ……っ!」
「よかったね、ダンテ。歓迎されてんじゃん?」
夢は止めもせずニヤニヤと傍観し続けた。
「あたしからもお願い、親がいる時とか絶対しゃべらないでよ」
No talking、ね?
どこかで聞いた台詞を残し、夢はダンテを置いてキッチン方面に向かってしまった。
「そうそう」
夢は行く途中振り返った。
「せっかくなんだし、帰れるまで楽しんだらいいよ」
ベオ、舐めるのやめな。
その飼い主の言葉にベオはわふ!ひと鳴きして舐めることをピタっと止めた。
楽しめ、か。
そうだな、悲観するのは性に合わないな。
「おい」
目の前から声がする。
ベオがしゃべっていた。
「は?もしかしてこの世界の動物ってのは人の言葉を話せんのか?」
「違う、動物の言葉をお前が理解してるだけだ」
ふぅん、ダンテは興味なさげに汚れた毛並みを整えるため、顔を洗うしぐさをしだした。
「お前と主人が会ったのは偶然ではない、必然だ。帰りたければ魔の力を解放しろ」
その言葉に顔をこするのを止め、ベオに向き直る。
まるで自分が相手にしたベオウルフそのままである。
「……アンタただの馬鹿な犬じゃないのか。それが素なんだな。今の言葉の意味は何だ?」
「少しは自分で考えてみるんだな。
ただし主人を傷つけることは許さん。もしも傷つけたその時はズタズタに噛み千切って引き裂いてやる」
……早く帰れ。
そう言って夢を追いかけその場を後にした。
「おお、恐い恐い、今のオレはただのネコなんでな、肝に銘じておくよ」
帰れるまでは大変そうだが、まあ夢と一緒にいてやるか。
せいぜい楽しませてくれよ?
ダンテは丸くなって眠り始めた。
●あとがき
夢主が最初のうちに口ずさんでるのは平●綾のピザの曲で、ブランケットの黄色いウサギのようなのはピカ●ュウ。
あとわんちゃんとダンテの会話は動物の言葉になっているので夢主には聞こえてません。