5.好きだからだけど?
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「ここが最初にダンテを見つけたとこだよ」
そう言って夢が立ち止まったのは小さな空き地だった。
感慨深い想いを滲ませながら夢はアミュレットを二人から受け取った。
無言のまま光輝くそれをパーフェクトアミュレットの状態へカチリと変化させると、何を思ったかおもむろに口づけを落とした。
その瞬間、アミュレットと明滅を繰り返していたネロの右手がより一層強く瞬いた。
光は手を離れてダンテ達の前に展開した。
強い光の向こうに違う景色が陽炎のように揺らめいている。
それはゆっくりと三ヶ所の情景を映し出す。
きっとそれぞれの帰るべき道を示しているのだろう。
「ほ、本当に開いた……?」
これで合ってるかと一人一人の顔を見ると小さく頷き返された。
「そっか、じゃあここでお別れだね」
無理に笑っているのがバレバレだ。
最後くらい女の子らしく涙を見せたってバチは当たらないだろうに。
ネロとバージルはそう思わずにはいられなかった。
「二人にしてやろうぜ」
ネロはバージルに顎でしゃくり光の方へと歩き出した。
「ああ、俺達は先に帰る」
バージルもネロに続き光へと歩みを進めていく。
「え、もう帰るのか……気持ちの冷めた奴等め」
「ずっとここにいても仕方ないだろーが」
「フッ……最終的には夢への迷惑に繋がるぞ」
ダンテが毒づくが、2人は呆れて鼻で笑いながら答えた。
「う……、そうだな……」
「ダンテ、お前はまだ夢に言うことがあるだろう?」
バージルがダンテの脇を横切りながら小さく伝える。
その言葉にハッとフリーズしてダンテは2人の方へ体を向き換えた。
「じゃあな、夢、あとダンテも……バージルともここでお別れだな」
「ああ、色々助かった。やはりオレは魔界へ行く、さらばだ、夢……ダンテ……」
光の粒子の中へと消えていく二人を見送る。
彼らが光を通っていく過程で人の姿へ戻っていくのが見えた。
「ばいばい、ネロ、バージル」
小さく呟く夢はダンテに向き直る。
「2人とも帰っちゃった……ダンテは行かないの?」
「少ししたらな」
少し寂しそうに揺らめく向こうの世界を見ながら夢は続けた。
「バージル、説得出来なかったんだね」
「ああ、やっぱりバージルは魔界がいいんだとよ。
あの後何度か話したがダメだった……ネロは遠い未来に会えるだろ」
ダンテは乾いた声音で笑った。
「あのね、ダンテ、未来が少し変わっちゃうかもしれないこと、言っていい?」
「変わるなら言わない方がいいんじゃねーか、ホラ、バタフライなんちゃらってやつ?」
「バタフライエフェクトね。
でも、バージルに生きていて欲しいから……このままだとバージルとは最悪の展開になるし、ダンテもまた悲しむことになるの」
どこから話したものかどうか思い悩む、未来を下手に変えようとすれば生きている者が死に、死んでいる者が生きることもあるからだ。
「わかった。軽くサラッとだけ教えてくれるか?」
「うん、頭の片隅においといて」
今後どこかの島で悪魔退治することになったら漆黒の魔剣士は出来るだけ生かしてあげて。
夢はたった一言、それだけを伝えた。
「島なんか行くかどうかわかんねーが……漆黒の魔剣士ね。んー、わかった」
その後二人はしばらく黙って見つめ合った。
「夢、オレ……お前が好きだ」
ダンテは想いを告げ、夢の頬に口づけを落とした。
様々な言い回しも女の好きそうなロマンチックな言い方も考えてはいたが、そのどれもが自分がネコの姿をしていることを考えると恰好つかないものだった。
そうでなくてもまどろっこしく言わずシンプルに想いを伝えた方が、鈍い夢にはいいと思った。
「最後の最後で迷惑……だよな。
悪い、忘れてくれ」
完膚無きまでに玉砕する前に、自分から身を引く。
「ダンテがあたしにそういう感情を持ってることくらい知ってるよ。
けど、何でキスしたの?」
ダンテは質問には答えず、ただ微笑んだ。
「お前はオレのこと好きか?」
「認めたくないけどね。あたしって最初はバージルを好きだったはずだから……」
「素直に好きって言えよ」
ちゅ。
ダンテの唇にやわらかい物がそっと触れた。
「これがあたしの答えだよ」
赤い顔で夢が言うので、ダンテはそこで初めて触れた物がなんなのか知った。
理解すると同時にダンテは突然光の粒子に包まれた。
光が消えるとダンテはネコから人の姿へと戻ったのだ、ダンテは久しい感覚に手を閉じたり開いたりして確かめてみた。
「へへ、最後になって戻ったな」
「キスで戻るなんて魔法にかかってた王子様みたいだよね」
「王子様だろ?」
「何度も言うけどダンテは王子様タイプではないでしょ\(-ω-`;)」
「ハハ、違いねぇや」
驚きながらも皮肉めいた会話は忘れない。
「キスで戻るなら最初からそうしておけばよかったか」
「うん、もっと早くそうしてればよかったかもねー」
「でも俺以外にされたらやだ」
バージルあたりがそれを知っていたら夢の都合を考えずにキスするかもしれない、そう考えて渋い顔になる。
夢はダンテの渋い顔を見上げながらクスクス笑った。
「ダンテって本物もかっこいいねぇ……背ぇたっか!」
「ゲームとどっちがいい?」
「うーん、迷うなぁ、こっちかな」
夢の指は目の前のダンテを指し示す。
ダンテはゆっくりと夢のパーソナルスペースに歩みを進めていった。
「また絶対会いにくるぜ」
「今度は最初から人の姿でよろしくね」
「もちろん」
ネコにはネコのメリットもあったが、やはり人の姿にはかなわない。
「お前の作るピザ、世界一好きだ」
次はさらに美味いのたのむぜ、ベイビー?
そう言って、小指を夢の前に突き出す。
「はいはい、約束ね」
夢がその無骨な小指に華奢な小指を絡ませ固く約束を誓うと、ダンテはその指ごと彼女を胸元に引き寄せた。
夢がした触れるだけのキスとは違い、唇を食む子供のようなキスを贈るとダンテは小さく小声で囁いた。
「愛してる」
そして素早く離れたダンテは「アディオス」と言い残すと小走りで元の世界へと駆けていった。
「ダンテ……」
そんな彼とのキスは最後までピザの味がしていた。
ロマンチックではないが、ダンテらしい。
そう言って夢が立ち止まったのは小さな空き地だった。
感慨深い想いを滲ませながら夢はアミュレットを二人から受け取った。
無言のまま光輝くそれをパーフェクトアミュレットの状態へカチリと変化させると、何を思ったかおもむろに口づけを落とした。
その瞬間、アミュレットと明滅を繰り返していたネロの右手がより一層強く瞬いた。
光は手を離れてダンテ達の前に展開した。
強い光の向こうに違う景色が陽炎のように揺らめいている。
それはゆっくりと三ヶ所の情景を映し出す。
きっとそれぞれの帰るべき道を示しているのだろう。
「ほ、本当に開いた……?」
これで合ってるかと一人一人の顔を見ると小さく頷き返された。
「そっか、じゃあここでお別れだね」
無理に笑っているのがバレバレだ。
最後くらい女の子らしく涙を見せたってバチは当たらないだろうに。
ネロとバージルはそう思わずにはいられなかった。
「二人にしてやろうぜ」
ネロはバージルに顎でしゃくり光の方へと歩き出した。
「ああ、俺達は先に帰る」
バージルもネロに続き光へと歩みを進めていく。
「え、もう帰るのか……気持ちの冷めた奴等め」
「ずっとここにいても仕方ないだろーが」
「フッ……最終的には夢への迷惑に繋がるぞ」
ダンテが毒づくが、2人は呆れて鼻で笑いながら答えた。
「う……、そうだな……」
「ダンテ、お前はまだ夢に言うことがあるだろう?」
バージルがダンテの脇を横切りながら小さく伝える。
その言葉にハッとフリーズしてダンテは2人の方へ体を向き換えた。
「じゃあな、夢、あとダンテも……バージルともここでお別れだな」
「ああ、色々助かった。やはりオレは魔界へ行く、さらばだ、夢……ダンテ……」
光の粒子の中へと消えていく二人を見送る。
彼らが光を通っていく過程で人の姿へ戻っていくのが見えた。
「ばいばい、ネロ、バージル」
小さく呟く夢はダンテに向き直る。
「2人とも帰っちゃった……ダンテは行かないの?」
「少ししたらな」
少し寂しそうに揺らめく向こうの世界を見ながら夢は続けた。
「バージル、説得出来なかったんだね」
「ああ、やっぱりバージルは魔界がいいんだとよ。
あの後何度か話したがダメだった……ネロは遠い未来に会えるだろ」
ダンテは乾いた声音で笑った。
「あのね、ダンテ、未来が少し変わっちゃうかもしれないこと、言っていい?」
「変わるなら言わない方がいいんじゃねーか、ホラ、バタフライなんちゃらってやつ?」
「バタフライエフェクトね。
でも、バージルに生きていて欲しいから……このままだとバージルとは最悪の展開になるし、ダンテもまた悲しむことになるの」
どこから話したものかどうか思い悩む、未来を下手に変えようとすれば生きている者が死に、死んでいる者が生きることもあるからだ。
「わかった。軽くサラッとだけ教えてくれるか?」
「うん、頭の片隅においといて」
今後どこかの島で悪魔退治することになったら漆黒の魔剣士は出来るだけ生かしてあげて。
夢はたった一言、それだけを伝えた。
「島なんか行くかどうかわかんねーが……漆黒の魔剣士ね。んー、わかった」
その後二人はしばらく黙って見つめ合った。
「夢、オレ……お前が好きだ」
ダンテは想いを告げ、夢の頬に口づけを落とした。
様々な言い回しも女の好きそうなロマンチックな言い方も考えてはいたが、そのどれもが自分がネコの姿をしていることを考えると恰好つかないものだった。
そうでなくてもまどろっこしく言わずシンプルに想いを伝えた方が、鈍い夢にはいいと思った。
「最後の最後で迷惑……だよな。
悪い、忘れてくれ」
完膚無きまでに玉砕する前に、自分から身を引く。
「ダンテがあたしにそういう感情を持ってることくらい知ってるよ。
けど、何でキスしたの?」
ダンテは質問には答えず、ただ微笑んだ。
「お前はオレのこと好きか?」
「認めたくないけどね。あたしって最初はバージルを好きだったはずだから……」
「素直に好きって言えよ」
ちゅ。
ダンテの唇にやわらかい物がそっと触れた。
「これがあたしの答えだよ」
赤い顔で夢が言うので、ダンテはそこで初めて触れた物がなんなのか知った。
理解すると同時にダンテは突然光の粒子に包まれた。
光が消えるとダンテはネコから人の姿へと戻ったのだ、ダンテは久しい感覚に手を閉じたり開いたりして確かめてみた。
「へへ、最後になって戻ったな」
「キスで戻るなんて魔法にかかってた王子様みたいだよね」
「王子様だろ?」
「何度も言うけどダンテは王子様タイプではないでしょ\(-ω-`;)」
「ハハ、違いねぇや」
驚きながらも皮肉めいた会話は忘れない。
「キスで戻るなら最初からそうしておけばよかったか」
「うん、もっと早くそうしてればよかったかもねー」
「でも俺以外にされたらやだ」
バージルあたりがそれを知っていたら夢の都合を考えずにキスするかもしれない、そう考えて渋い顔になる。
夢はダンテの渋い顔を見上げながらクスクス笑った。
「ダンテって本物もかっこいいねぇ……背ぇたっか!」
「ゲームとどっちがいい?」
「うーん、迷うなぁ、こっちかな」
夢の指は目の前のダンテを指し示す。
ダンテはゆっくりと夢のパーソナルスペースに歩みを進めていった。
「また絶対会いにくるぜ」
「今度は最初から人の姿でよろしくね」
「もちろん」
ネコにはネコのメリットもあったが、やはり人の姿にはかなわない。
「お前の作るピザ、世界一好きだ」
次はさらに美味いのたのむぜ、ベイビー?
そう言って、小指を夢の前に突き出す。
「はいはい、約束ね」
夢がその無骨な小指に華奢な小指を絡ませ固く約束を誓うと、ダンテはその指ごと彼女を胸元に引き寄せた。
夢がした触れるだけのキスとは違い、唇を食む子供のようなキスを贈るとダンテは小さく小声で囁いた。
「愛してる」
そして素早く離れたダンテは「アディオス」と言い残すと小走りで元の世界へと駆けていった。
「ダンテ……」
そんな彼とのキスは最後までピザの味がしていた。
ロマンチックではないが、ダンテらしい。