2.特別だとか思わないでくれるか?
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誰も住まなくなりいつしか廃アパートになってしまったオンボロの建造物、その屋上に白いネコが佇むように下界を見下ろしていた。
「ったく、バージルの奴……ホントに高いとこばっか行きやがって」
テメン二グルでも彼は一番上にいたが、仕掛けを解きながらちまちまと昇らなくてはいけない自分にとっては、それはとても面倒なことだった。
その入口でぴたりと脚を止め、上の階を見上げるベオを見て、ダンテは我先にと身軽に上がっていった。
「先に行く!」
テメン二グルと違って5階ほどの低い建物であり、小回りの利くネコの姿で良かったと後にダンテは語った。
「先に行くって言われてもな……」
上に行けないわけではないが階段は崩れている箇所があり人間には正直言って昇りづらい。
昇るというより、登ると言った方がいいぐらいだ。
スニーカーを履いていて良かった。
サンダルなんか履いていたら昇れなかっただろう。
さすがに上にベオを連れていくことは難しそうだ。
柱にリードをくくり付け、夢はベオに『待て』と指示した。
「あたしは、ネコ……じゃ、ないんだから……こんな、トコ、昇りづらいっつの!」
申し訳程度に設置された手すりに掴まり上に昇る。
「ふぅ、はぁ……」
一体何をどうしたらこんなに崩れるのかわからないくらい階段が瓦礫にまみれている。
ここだけ地震でも起きたか、爆発でもあったかのようだ。
おそらく、解体作業をしようとしたが中断したといったところか。
危険じゃん。怖いじゃん。
はぁはぁと息を切らしたどりついた先にはテメン二グルの戦闘シーン再び、と言った光景が繰り広げられていた。
ただし、両者ともにネコの姿である。
バシ!「痛ぇ!」
バシン!「くっ!」
ビシ!「このやろ!」
バシバシバシ「はっ愚弟がっ!」
「あちゃ~、やっぱりこうなってたか」
パッと見、見分けがつかない容姿をしているが、よく観察すればどちらがダンテでバージルなのかわかる。
若干バージルの方が体型がスマートで、戦い方も動きに無駄がない。
何よりアミュレットの鎖はバージルが金、ダンテが銀だ。
戦いと言ってもネコパンチにネコキックの攻防だったが、魔具のベオウルフを装備しているような素早く重い攻撃に先に根をあげたのはダンテだった。
まるでネコの縄張り争いの喧嘩のようでおもしろかったし、もう少し見ていたかった……等とと思うのはいけない事だろうか。
「ぐっ……!」
バージルがシャーっと鳴いてダンテの喉にくらいつこうとする。
その間にも歩み寄っていた夢は2匹の首根っこをつかんで持ち上げた。
「二人ともいい加減にしようか?^^」
痛くはないが、ぶらんと持ち上げられ突然高くなった視界に目を白黒させ両者ともに叫んだ。
「ぎゃぁ!」
「な、何をする!!」
夢はダンテだけを下に降ろし、ポケットに手を突っ込んだ。
暴れるバージルの爪は体をひねっても夢には届かなかった。
「ほ~れ、これな~んだ?」
ぽぃっと夢がポケットから取り出し投げたのはネコが酔っぱらう代物、マタタビであった。
そしてバージルをもぽいっと投げ出すかのように下に降ろした。
その途端、バージルはマタタビに飛びつきごろごろと転がって体をくねらせた。
うにゃーん、ゴロゴロゴロ……。
「くそ!体が勝手に!!何だこれは!」
バージルは恥ずかしそうにしながらも、悦に入った表情で喉を鳴らし続けた。
「ダンテには利かなかったから、バージルも無理かと思ったけど利いたねぇ……そう考えるとダンテってネコなのに変だよねー」
前足で器用に鼻を摘まみながら顔を顰めて言った。
「オレはこんなのよりもピザのがいいからな」
ダンテはマタタビの匂いが嫌いなようだ。
本当に変なネコである。
本能のままマタタビにかじり付いたままのバージルを囲みながら顔を見合わせる。
「で、これホントにバージル?」
「ああ、バージルだ」
「ふーん」
つんつん、悦ったままのバージルの無防備なお腹を指でつっつく。
あ、意外と固い、ネコのくせに腹筋すごいのか。
「なんだ、この人間は!?俺は貴様ら人間と共になんて行かないからな!」
ダンテともども殺すぞ!
バージルはシャーっと毛を逆立てて威嚇しながら話した。
「マタタビで悦ってて恐くないけど、なんかしゃべり方バージルっぽい!」
ツンデレ鬼いちゃんktkr!
早くデレ期こい!
(゚∀゚≡゚Д゚)ムハァ―!!
夢の妄想にスイッチが入ってしまったようだ。
どこか遠くに想いを馳せている。
「すみません、ワタクシめに飼われてくだしあぁぁ」(*´д`*)ハァハァ
そう言ってバージルに飛びつこうとする夢をダンテは肩に飛び乗りあと一歩のところでとどまらせた。
「キモイぞ、ちゃんとバージルに説明しろ」
再び後頭部にキツイ一撃を入れる。
「え、ダンテ説明したんじゃないの?」
「バージル聞いちゃくれねーんだよ、戦ってたし……」
「いい加減に……しろ!」
ダアーイ!!ヽ(`Д´)ノ
バージルがキレて魔力を暴発させたのか、マタタビが遥か彼方へとふっ飛んで行った。
「あ、100円均一で買ったマタタビが……」
安!Σ(・ω・;)
はぁはぁと息を荒げながら怒り心頭なバージルがこちらを睨む。
何度も言うがネコだからあまり恐くない。
「貴様ら覚悟はできてるんだろうな、この俺にあんな恥ずかしい真似させおって……」
「元の姿で悦ってるとこ見たかったなー」
夢はそんなバージルの怒りを受け流し、のほほんとした表情で本音を言った。
「そんなこと言ってる場合かよ」
見ればバージルの周りに魔力の揺らめきが蜃気楼のように立ち昇るのがわかった。
それは少しずつ剣の様な形を造りだしていく。
二人はぎゅうと抱きしめ合って、というよりダンテは夢にしがみつき夢はダンテを抱っこしている状態だが、縮みあがった。
「うわぁ、バージル鬼いちゃんったらかなーりご立腹ぅ……」
「やべっネコだってのに幻影剣できるのかよ!チートすぎるだろ!夢、逃げ……」
ヒュン!ヒュンヒュン!
最後まで言うことは叶わず、無情にもそれはダンテと夢、両方に刺さった。
ちくり……。
「あれ、あんまり痛くない」
……ぽと。
大きさもネコ用サイズになったその幻影剣は最後まで刺さることは叶わず、地面に落ちたようだった。
「「は?」」
2人がその幻影剣を指でつまみ、拾う。
幻影剣はサイズだけでなく、形も違う物になっていた。
どこからどう見ても、にぼしである。
「なん……だと……」
ネコ特有の丸い目になったバージルが更に大きく目を見開いてにぼしを見る。
気を使って大げさに言ったとしてもアゴ出汁にぼしどまりだ。
試しにダンテに匂いを嗅いでもらっても「魚くさ!」……やはりまごうことなき、にぼしである。
「……にぼしじゃん。
ぷっ、あははははは!!!
m9゚(゚`∀´゚)゚9mプギャー」
「確かに地味に痛いけどな、にぼしとか~!!ぷぷぷ
(;.;:゜Ж゜;:)ブホァッ!」
さすがバージルさん、カッケー(笑)
二人してゲラゲラゲラとひとしきり腹がよじれそうなほど笑う。
バージルは白いネコの姿だと言うのにもかかわらず、真っ赤な表情になっていた。
そうとう堪えたらしい、わなわなとふるえて怒りを抑えている。
「貴様ら笑いすぎだっ!」
何故幻影剣までもネコ仕様になっている……!
この笑い転げる奴らを殺してやりたいが、攻撃方法があまりない。
今一度最大火力で幻影剣(仮)を放ってもいいがまた笑われるのがすごく癪にさわる。
バージルは頭を抱え、唸った。
「ったく、バージルの奴……ホントに高いとこばっか行きやがって」
テメン二グルでも彼は一番上にいたが、仕掛けを解きながらちまちまと昇らなくてはいけない自分にとっては、それはとても面倒なことだった。
その入口でぴたりと脚を止め、上の階を見上げるベオを見て、ダンテは我先にと身軽に上がっていった。
「先に行く!」
テメン二グルと違って5階ほどの低い建物であり、小回りの利くネコの姿で良かったと後にダンテは語った。
「先に行くって言われてもな……」
上に行けないわけではないが階段は崩れている箇所があり人間には正直言って昇りづらい。
昇るというより、登ると言った方がいいぐらいだ。
スニーカーを履いていて良かった。
サンダルなんか履いていたら昇れなかっただろう。
さすがに上にベオを連れていくことは難しそうだ。
柱にリードをくくり付け、夢はベオに『待て』と指示した。
「あたしは、ネコ……じゃ、ないんだから……こんな、トコ、昇りづらいっつの!」
申し訳程度に設置された手すりに掴まり上に昇る。
「ふぅ、はぁ……」
一体何をどうしたらこんなに崩れるのかわからないくらい階段が瓦礫にまみれている。
ここだけ地震でも起きたか、爆発でもあったかのようだ。
おそらく、解体作業をしようとしたが中断したといったところか。
危険じゃん。怖いじゃん。
はぁはぁと息を切らしたどりついた先にはテメン二グルの戦闘シーン再び、と言った光景が繰り広げられていた。
ただし、両者ともにネコの姿である。
バシ!「痛ぇ!」
バシン!「くっ!」
ビシ!「このやろ!」
バシバシバシ「はっ愚弟がっ!」
「あちゃ~、やっぱりこうなってたか」
パッと見、見分けがつかない容姿をしているが、よく観察すればどちらがダンテでバージルなのかわかる。
若干バージルの方が体型がスマートで、戦い方も動きに無駄がない。
何よりアミュレットの鎖はバージルが金、ダンテが銀だ。
戦いと言ってもネコパンチにネコキックの攻防だったが、魔具のベオウルフを装備しているような素早く重い攻撃に先に根をあげたのはダンテだった。
まるでネコの縄張り争いの喧嘩のようでおもしろかったし、もう少し見ていたかった……等とと思うのはいけない事だろうか。
「ぐっ……!」
バージルがシャーっと鳴いてダンテの喉にくらいつこうとする。
その間にも歩み寄っていた夢は2匹の首根っこをつかんで持ち上げた。
「二人ともいい加減にしようか?^^」
痛くはないが、ぶらんと持ち上げられ突然高くなった視界に目を白黒させ両者ともに叫んだ。
「ぎゃぁ!」
「な、何をする!!」
夢はダンテだけを下に降ろし、ポケットに手を突っ込んだ。
暴れるバージルの爪は体をひねっても夢には届かなかった。
「ほ~れ、これな~んだ?」
ぽぃっと夢がポケットから取り出し投げたのはネコが酔っぱらう代物、マタタビであった。
そしてバージルをもぽいっと投げ出すかのように下に降ろした。
その途端、バージルはマタタビに飛びつきごろごろと転がって体をくねらせた。
うにゃーん、ゴロゴロゴロ……。
「くそ!体が勝手に!!何だこれは!」
バージルは恥ずかしそうにしながらも、悦に入った表情で喉を鳴らし続けた。
「ダンテには利かなかったから、バージルも無理かと思ったけど利いたねぇ……そう考えるとダンテってネコなのに変だよねー」
前足で器用に鼻を摘まみながら顔を顰めて言った。
「オレはこんなのよりもピザのがいいからな」
ダンテはマタタビの匂いが嫌いなようだ。
本当に変なネコである。
本能のままマタタビにかじり付いたままのバージルを囲みながら顔を見合わせる。
「で、これホントにバージル?」
「ああ、バージルだ」
「ふーん」
つんつん、悦ったままのバージルの無防備なお腹を指でつっつく。
あ、意外と固い、ネコのくせに腹筋すごいのか。
「なんだ、この人間は!?俺は貴様ら人間と共になんて行かないからな!」
ダンテともども殺すぞ!
バージルはシャーっと毛を逆立てて威嚇しながら話した。
「マタタビで悦ってて恐くないけど、なんかしゃべり方バージルっぽい!」
ツンデレ鬼いちゃんktkr!
早くデレ期こい!
(゚∀゚≡゚Д゚)ムハァ―!!
夢の妄想にスイッチが入ってしまったようだ。
どこか遠くに想いを馳せている。
「すみません、ワタクシめに飼われてくだしあぁぁ」(*´д`*)ハァハァ
そう言ってバージルに飛びつこうとする夢をダンテは肩に飛び乗りあと一歩のところでとどまらせた。
「キモイぞ、ちゃんとバージルに説明しろ」
再び後頭部にキツイ一撃を入れる。
「え、ダンテ説明したんじゃないの?」
「バージル聞いちゃくれねーんだよ、戦ってたし……」
「いい加減に……しろ!」
ダアーイ!!ヽ(`Д´)ノ
バージルがキレて魔力を暴発させたのか、マタタビが遥か彼方へとふっ飛んで行った。
「あ、100円均一で買ったマタタビが……」
安!Σ(・ω・;)
はぁはぁと息を荒げながら怒り心頭なバージルがこちらを睨む。
何度も言うがネコだからあまり恐くない。
「貴様ら覚悟はできてるんだろうな、この俺にあんな恥ずかしい真似させおって……」
「元の姿で悦ってるとこ見たかったなー」
夢はそんなバージルの怒りを受け流し、のほほんとした表情で本音を言った。
「そんなこと言ってる場合かよ」
見ればバージルの周りに魔力の揺らめきが蜃気楼のように立ち昇るのがわかった。
それは少しずつ剣の様な形を造りだしていく。
二人はぎゅうと抱きしめ合って、というよりダンテは夢にしがみつき夢はダンテを抱っこしている状態だが、縮みあがった。
「うわぁ、バージル鬼いちゃんったらかなーりご立腹ぅ……」
「やべっネコだってのに幻影剣できるのかよ!チートすぎるだろ!夢、逃げ……」
ヒュン!ヒュンヒュン!
最後まで言うことは叶わず、無情にもそれはダンテと夢、両方に刺さった。
ちくり……。
「あれ、あんまり痛くない」
……ぽと。
大きさもネコ用サイズになったその幻影剣は最後まで刺さることは叶わず、地面に落ちたようだった。
「「は?」」
2人がその幻影剣を指でつまみ、拾う。
幻影剣はサイズだけでなく、形も違う物になっていた。
どこからどう見ても、にぼしである。
「なん……だと……」
ネコ特有の丸い目になったバージルが更に大きく目を見開いてにぼしを見る。
気を使って大げさに言ったとしてもアゴ出汁にぼしどまりだ。
試しにダンテに匂いを嗅いでもらっても「魚くさ!」……やはりまごうことなき、にぼしである。
「……にぼしじゃん。
ぷっ、あははははは!!!
m9゚(゚`∀´゚)゚9mプギャー」
「確かに地味に痛いけどな、にぼしとか~!!ぷぷぷ
(;.;:゜Ж゜;:)ブホァッ!」
さすがバージルさん、カッケー(笑)
二人してゲラゲラゲラとひとしきり腹がよじれそうなほど笑う。
バージルは白いネコの姿だと言うのにもかかわらず、真っ赤な表情になっていた。
そうとう堪えたらしい、わなわなとふるえて怒りを抑えている。
「貴様ら笑いすぎだっ!」
何故幻影剣までもネコ仕様になっている……!
この笑い転げる奴らを殺してやりたいが、攻撃方法があまりない。
今一度最大火力で幻影剣(仮)を放ってもいいがまた笑われるのがすごく癪にさわる。
バージルは頭を抱え、唸った。