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「──きゃんっ!」
どさり、と落下した衝撃がディーヴァを襲った。
地面に叩き付けられたわけでもないので、あまり痛くはない。
それよりも、蜘蛛の糸で絡め取られ、アルケニーに掴み上げられている方が恐ろしかった。
虫嫌いのディーヴァにとって、これほど大きく、すぐ近くに蜘蛛がいるのだ。
恐怖を感じないわけがない。
フォルトに飲み込まれて送られた先は、見たことのない場所だった。
何かの洞窟のようであり、穴の開いたところからは光が差し込んでいる。
紫乃の家でないのは確かだ。
──体の自由がきかない。
粘着性のある糸のおかげで、糸から抜け出そうともがいてもびくともしない。
抵抗を続けていると、近かったアルケニーの顔がさらに近くなった。
目は血のように赤く、頭部や体躯は人形のように白い。
不気味なくらいはっきりとしたコントラストに、ディーヴァは戦慄を感じた。
「やだっ……いや……ダンテ!」
助けてほしい。
そう強く思った直後、どさりと何かが落ちてくる音が聞こえた。
そちらを見れば、たった今心に思い浮かべた相手が痛そうに臀部をさすっている。
「いてぇ……」
「ダンテ!」
名前を呼ばれて若が振り返れば、白い糸に絡め取られたディーヴァがこちらを涙目で見つめていた。
「ディーヴァ! アルケニー、てめぇさっさとディーヴァを放せ!」
若はすぐに体勢を立て直してリベリオンを構える。
一方、アルケニーは若が現れたというのに彼を見向きもしなかった。
どうやら、ディーヴァを捕らえて注意力が散漫しているようだ。
そんなアルケニーに斬りかかれば、簡単に倒せてディーヴァを解放することが出来た。
「ダンテ! ダンテ……!」
糸から解放されると、ディーヴァは飛びかかるように若に抱き付き、怖かったと泣きじゃくる。
「間に合って良かった……怪我はないか?」
嗚咽で上手く言葉が出てこないので、ディーヴァはこくこくと何度も頷いて答えた。
「そっか、良かった」
若はディーヴァの頭を優しく撫で、落ち着くまで泣かせてあげようと思ったが、そう出来ない理由があった。
「ディーヴァ、悪いがちょっと離れててくれねぇか? 先にこいつらを片付けねぇと」
若とディーヴァの周囲には、何体もの悪魔が蠢いていた。
スケアクロウが四体、アサルトが二体、キメラシードが三体。
アサルトはこの場所に送られる前にいたが、他の二種類の悪魔は見たことがない。
若はディーヴァを自分の後ろに立たせ、リベリオンの柄を握り直し、まずは近くにいるスケアクロウを一体倒す。
スケアクロウが弱いことは、外見や動きでわかる。
そんなスケアクロウよりも遅い動きをしているのがキメラシード。
黒い木の根を思わせる容貌で、悪魔にしてはのろまな奴だ、すぐに倒せる、と若が先にアサルトを相手にしようとした時だ。
「なっ……」
今までゆっくりとした動作で動いていたキメラシードが突如、素早い動きで近くにいたアサルトに飛びかかった。
その後間もなく、キメラシードはアサルトに取り付き、キメラ・アサルトへ変貌を遂げ、媒体となったアサルトの動きとは別に刃を振り回し始めた。
「他の悪魔にくっついて何しようってんだ?」
若は気にすることなくキメラ・アサルトに飛びかかる。
リベリオンを振りかざせば、斬られてダメージを負ったアサルトは躊躇する動きを見せたが、アサルトに取り付いたキメラシードの刃は怯むことなく若を襲う。
「何……!?」
元々動き回るアサルトと、そのアサルトとは違う動きをする刃が、若を踏み止まらせた。
「……どうなってんだよ……」
「もしかして、あの黒い根っこみたいなやつって、他の悪魔とくっつかせたら駄目なんじゃない?」
単体では鈍い動きだが、他の悪魔に取り付くと刃を振り回す。
一度見ただけでそのことに気付いたディーヴァに、若は称賛の言葉を贈る。
「やっぱディーヴァは頭いいな。ってことは、まだ他の悪魔にくっついてない奴を先に倒した方がいいってことか」
他の悪魔に取り付いていないキメラシードはあと二体。
キメラ・アサルトがディーヴァへ向かわないよう自分に注意を引きつけると、若はキメラシード二体を先に片付けた。
あとは、スケアクロウ三体とアサルト一体、そしてキメラ・アサルト一体だ。
スケアクロウは難なく倒せ、アサルトも大きな爪に注意を払いつつ倒していった。
残るはキメラ・アサルト。
二つの悪魔が一つになり、それぞれ違う動きをするため、注意が必要だ。
「ダンテ、大丈夫?」
「心配すんな。テメンニグルの悪魔どもに比べたら可愛いレベルだ」
ディーヴァを守れるのは自分しかおらず、ディーヴァは自分を信じて頼りにしている。
それだけで力が湧いてくる。
若はキメラ・アサルトへ向き直り、改めて剣先を一つとなった悪魔へ向けた。
「せっかくの誕生日に茶々を入れるなんてお前らも野暮だな。こんな日はおとなしくしておくってのがマナーってもんだぜ」
若は低級悪魔に言っても言葉を理解しないことは承知している。
しかし、ディーヴァの誕生日を台無しにしかねない悪魔の登場は許しがたかった。
若は地面を蹴り、キメラ・アサルトへリベリオンを振りかぶった。
どさり、と落下した衝撃がディーヴァを襲った。
地面に叩き付けられたわけでもないので、あまり痛くはない。
それよりも、蜘蛛の糸で絡め取られ、アルケニーに掴み上げられている方が恐ろしかった。
虫嫌いのディーヴァにとって、これほど大きく、すぐ近くに蜘蛛がいるのだ。
恐怖を感じないわけがない。
フォルトに飲み込まれて送られた先は、見たことのない場所だった。
何かの洞窟のようであり、穴の開いたところからは光が差し込んでいる。
紫乃の家でないのは確かだ。
──体の自由がきかない。
粘着性のある糸のおかげで、糸から抜け出そうともがいてもびくともしない。
抵抗を続けていると、近かったアルケニーの顔がさらに近くなった。
目は血のように赤く、頭部や体躯は人形のように白い。
不気味なくらいはっきりとしたコントラストに、ディーヴァは戦慄を感じた。
「やだっ……いや……ダンテ!」
助けてほしい。
そう強く思った直後、どさりと何かが落ちてくる音が聞こえた。
そちらを見れば、たった今心に思い浮かべた相手が痛そうに臀部をさすっている。
「いてぇ……」
「ダンテ!」
名前を呼ばれて若が振り返れば、白い糸に絡め取られたディーヴァがこちらを涙目で見つめていた。
「ディーヴァ! アルケニー、てめぇさっさとディーヴァを放せ!」
若はすぐに体勢を立て直してリベリオンを構える。
一方、アルケニーは若が現れたというのに彼を見向きもしなかった。
どうやら、ディーヴァを捕らえて注意力が散漫しているようだ。
そんなアルケニーに斬りかかれば、簡単に倒せてディーヴァを解放することが出来た。
「ダンテ! ダンテ……!」
糸から解放されると、ディーヴァは飛びかかるように若に抱き付き、怖かったと泣きじゃくる。
「間に合って良かった……怪我はないか?」
嗚咽で上手く言葉が出てこないので、ディーヴァはこくこくと何度も頷いて答えた。
「そっか、良かった」
若はディーヴァの頭を優しく撫で、落ち着くまで泣かせてあげようと思ったが、そう出来ない理由があった。
「ディーヴァ、悪いがちょっと離れててくれねぇか? 先にこいつらを片付けねぇと」
若とディーヴァの周囲には、何体もの悪魔が蠢いていた。
スケアクロウが四体、アサルトが二体、キメラシードが三体。
アサルトはこの場所に送られる前にいたが、他の二種類の悪魔は見たことがない。
若はディーヴァを自分の後ろに立たせ、リベリオンの柄を握り直し、まずは近くにいるスケアクロウを一体倒す。
スケアクロウが弱いことは、外見や動きでわかる。
そんなスケアクロウよりも遅い動きをしているのがキメラシード。
黒い木の根を思わせる容貌で、悪魔にしてはのろまな奴だ、すぐに倒せる、と若が先にアサルトを相手にしようとした時だ。
「なっ……」
今までゆっくりとした動作で動いていたキメラシードが突如、素早い動きで近くにいたアサルトに飛びかかった。
その後間もなく、キメラシードはアサルトに取り付き、キメラ・アサルトへ変貌を遂げ、媒体となったアサルトの動きとは別に刃を振り回し始めた。
「他の悪魔にくっついて何しようってんだ?」
若は気にすることなくキメラ・アサルトに飛びかかる。
リベリオンを振りかざせば、斬られてダメージを負ったアサルトは躊躇する動きを見せたが、アサルトに取り付いたキメラシードの刃は怯むことなく若を襲う。
「何……!?」
元々動き回るアサルトと、そのアサルトとは違う動きをする刃が、若を踏み止まらせた。
「……どうなってんだよ……」
「もしかして、あの黒い根っこみたいなやつって、他の悪魔とくっつかせたら駄目なんじゃない?」
単体では鈍い動きだが、他の悪魔に取り付くと刃を振り回す。
一度見ただけでそのことに気付いたディーヴァに、若は称賛の言葉を贈る。
「やっぱディーヴァは頭いいな。ってことは、まだ他の悪魔にくっついてない奴を先に倒した方がいいってことか」
他の悪魔に取り付いていないキメラシードはあと二体。
キメラ・アサルトがディーヴァへ向かわないよう自分に注意を引きつけると、若はキメラシード二体を先に片付けた。
あとは、スケアクロウ三体とアサルト一体、そしてキメラ・アサルト一体だ。
スケアクロウは難なく倒せ、アサルトも大きな爪に注意を払いつつ倒していった。
残るはキメラ・アサルト。
二つの悪魔が一つになり、それぞれ違う動きをするため、注意が必要だ。
「ダンテ、大丈夫?」
「心配すんな。テメンニグルの悪魔どもに比べたら可愛いレベルだ」
ディーヴァを守れるのは自分しかおらず、ディーヴァは自分を信じて頼りにしている。
それだけで力が湧いてくる。
若はキメラ・アサルトへ向き直り、改めて剣先を一つとなった悪魔へ向けた。
「せっかくの誕生日に茶々を入れるなんてお前らも野暮だな。こんな日はおとなしくしておくってのがマナーってもんだぜ」
若は低級悪魔に言っても言葉を理解しないことは承知している。
しかし、ディーヴァの誕生日を台無しにしかねない悪魔の登場は許しがたかった。
若は地面を蹴り、キメラ・アサルトへリベリオンを振りかぶった。