着て見て食べて楽しもう
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「あー、腹減った。そろそろ飯にしようぜ」
「うん、あたしもお腹空いてきちゃった」
若とディーヴァが揃って空腹を訴えてきたので、一行は昼食を取ることにした。
食べ物の好みは人それぞれ。
最初はディーヴァ好みのチーズ料理が楽しめるところを、と考えていたのだが、せっかく日本へ観光に来てくれたのなら、日本の食べ物を味わって欲しい。
紫乃は本日の主役であるディーヴァに訊ねる。
「ディーヴァちゃん、何か食べたいものはある?」
「んー……チーズ! って言いたいところだけど、今日は日本のものが食べたいな」
「日本人が考えた独自のピザとか?」
「ピザだから日本の食べ物じゃないよね」
若が抜け目なく好物のピザを提案するが、ディーヴァが即座に却下した。
「あー、紫乃。あれはどうだ?」
一方、何かを考えていた髭があることを思い出した。
「ほら、前に事務所で紫乃が食べてただろ。小麦粉や卵を具と混ぜて焼いて、ソースを塗ったやつ」
少し前、ダンテが珍しく昼時に起きると美味しそうな匂いがしたのでダイニングへ行ってみれば、紫乃が一人で昼食を取っていた。
それは平べったく丸い形をして、黒っぽいソースらしきものを塗り、マヨネーズをかけたもの。
ダンテが見たことない食べ物だと言えば、紫乃が日本では有名な料理だと教えてくれた。
「食べてみる?」と勧められたので一口頂くと、ソースとマヨネーズが見事に融合し、野菜が多めであったが美味しかった記憶がある。
「ああ、お好み焼きのこと?」
「それだ。お好み焼きなら自分が好きな具を入れることが出来るんじゃねぇか? ディーヴァがチーズが好きなら、チーズを入れて楽しめる」
「そうね。ディーヴァちゃん、お好み焼きはどう?」
「うん、それ食べたい!」
ディーヴァの希望により、昼食はお好み焼きとなり、四人はお好み焼き店に入る。
テーブル席に案内されると、若と髭は椅子を引いてディーヴァと紫乃を先に座らせた。
アメリカではレディファーストは当たり前なマナーであるが、日本ではそういった習慣はないので、周囲の客がちらちらと珍しそうに見てくる。
ディーヴァと紫乃はそれが気恥ずかしくもあり、ほんの少しだけ優越感を抱いた。
席についたあとはメニューに目を通す。
若と髭は日本語がわからないので、ディーヴァとディーヴァに説明してもらいながら注文を済ませた。
やがてステンレスのボウルに入った材料がテーブルに運ばれてくると、四人は材料を混ぜる。
「写真見ると、お好み焼きってピザみたいなもんか?」
「ピザとは味は全然違うけど、まあそんな感じかな」
若が首を傾げると、紫乃が苦笑する。
まずは若と髭の混ぜ終えた生地をテーブルの中央の鉄板に丸く形成し、焼き始めれば、音と匂いが胃を刺激してきた。
基本となる具材とは別に追加のトッピングもあったので、ディーヴァはチーズ、紫乃はシーフード、若と髭は肉を主とした具材を入れた。
「にしてもディーヴァ、お前チーズ二つ分も入れて大丈夫か?」
ディーヴァはチーズを追加で入れた。
通常ならトッピングとして一つ分を入れるところ、ディーヴァは二つ分入れたのだ。
元々カロリーの高いチーズを二つ分も入れてしまうと、食べたあとが怖い。
それを考えて若が訊ねたはいいものの、性格ゆえか冗談めかして言うので心配しているようには聞こえず、ディーヴァは少し頬を膨らませて言い返す。
「いいの! 今日は好きなものを食べるんだから!」
そうやって四人が談笑しているとお好み焼きが焼けた。
表面にソースを塗り、マヨネーズをかけ、鰹節など好みのものをふりかければ完成だ。
それを鉄板の上で食べやすい大きさに切り、自分の皿へ移して食べる。
だが──
「なあ、フォークってないのか?」
「箸じゃちょっと食べにくいな」
若と髭は箸を扱い慣れていないせいか、フォークを所望した。
確かに箸では二人は食べるのも一苦労だろう。
「うーん、フォークはないと思うけど……」
「あ、俺いいこと思いついた。紫乃が食べさせてくれよ」
「え」
「それなら俺も食べられる」
我ながらナイスアイデアだ、と自画自賛する髭に、若が賛同した。
「おっさん、それいいな! ディーヴァ、オレも箸使えねぇから食べさせてくれ」
「えー?」
「いいじゃねぇか。減るもんじゃねぇだろ」
確かに減るものではない。
逆に、羞恥心で恥ずかしい思い出が増えてしまう。
若はディーヴァに、髭は紫乃に食べさせて欲しいと迫る。
慣れていないどころか、使ったこともない箸で上手く食事が出来るとは思えない。
しばらく悩んだのち、ディーヴァと紫乃は諦めて軽く溜息をついた。
「……わかったよ、食べさせてあげるから」
「……仕方ないわね」
日本食ということは箸を使うということ。
何となく予想はしていたが、まさか堂々と食べさせてくれとお願いしてくるとは。
いや、そういうところがダンテらしいともいえる。
ディーヴァと紫乃は焼けた生地を箸で摘むと、隣に座る若と髭それぞれに差し出した。
それを口に含み、租借する。
最初の一口を味わった二人は、
「美味いな、これ!」
「お好み焼きは二度目だが、店で食べるのもいいな」
ディーヴァと紫乃はダンテ達が食べている間、開いた部分で自分達のお好み焼きの生地を焼こうと思っていたのだが、
「って、オレ達だけ食ってるのも悪いな。ディーヴァ、食っていいぞ」
「すまねぇな、紫乃。お好み焼きに夢中でつい。紫乃も食え」
珍しい食べ物を目の前にしてうっかりレディファーストを失念していたことに、若と髭は自分のお好み焼きを食べるよう勧めた。
「いいの? じゃあ、貰うね」
「お言葉に甘えて頂くわ」
それからディーヴァと紫乃の分の生地も焼けると、四人はそれぞれのお好み焼きの味を楽しんだ。
若と髭の肉が多めのお好み焼き、ディーヴァのチーズたっぷりなお好み焼き、紫乃のシーフードのお好み焼き。
ベースは同じなのに、入れる具材によって様々な味が楽しめる日本食を、四人はしっかりと堪能して昼食を済ませた。
「うん、あたしもお腹空いてきちゃった」
若とディーヴァが揃って空腹を訴えてきたので、一行は昼食を取ることにした。
食べ物の好みは人それぞれ。
最初はディーヴァ好みのチーズ料理が楽しめるところを、と考えていたのだが、せっかく日本へ観光に来てくれたのなら、日本の食べ物を味わって欲しい。
紫乃は本日の主役であるディーヴァに訊ねる。
「ディーヴァちゃん、何か食べたいものはある?」
「んー……チーズ! って言いたいところだけど、今日は日本のものが食べたいな」
「日本人が考えた独自のピザとか?」
「ピザだから日本の食べ物じゃないよね」
若が抜け目なく好物のピザを提案するが、ディーヴァが即座に却下した。
「あー、紫乃。あれはどうだ?」
一方、何かを考えていた髭があることを思い出した。
「ほら、前に事務所で紫乃が食べてただろ。小麦粉や卵を具と混ぜて焼いて、ソースを塗ったやつ」
少し前、ダンテが珍しく昼時に起きると美味しそうな匂いがしたのでダイニングへ行ってみれば、紫乃が一人で昼食を取っていた。
それは平べったく丸い形をして、黒っぽいソースらしきものを塗り、マヨネーズをかけたもの。
ダンテが見たことない食べ物だと言えば、紫乃が日本では有名な料理だと教えてくれた。
「食べてみる?」と勧められたので一口頂くと、ソースとマヨネーズが見事に融合し、野菜が多めであったが美味しかった記憶がある。
「ああ、お好み焼きのこと?」
「それだ。お好み焼きなら自分が好きな具を入れることが出来るんじゃねぇか? ディーヴァがチーズが好きなら、チーズを入れて楽しめる」
「そうね。ディーヴァちゃん、お好み焼きはどう?」
「うん、それ食べたい!」
ディーヴァの希望により、昼食はお好み焼きとなり、四人はお好み焼き店に入る。
テーブル席に案内されると、若と髭は椅子を引いてディーヴァと紫乃を先に座らせた。
アメリカではレディファーストは当たり前なマナーであるが、日本ではそういった習慣はないので、周囲の客がちらちらと珍しそうに見てくる。
ディーヴァと紫乃はそれが気恥ずかしくもあり、ほんの少しだけ優越感を抱いた。
席についたあとはメニューに目を通す。
若と髭は日本語がわからないので、ディーヴァとディーヴァに説明してもらいながら注文を済ませた。
やがてステンレスのボウルに入った材料がテーブルに運ばれてくると、四人は材料を混ぜる。
「写真見ると、お好み焼きってピザみたいなもんか?」
「ピザとは味は全然違うけど、まあそんな感じかな」
若が首を傾げると、紫乃が苦笑する。
まずは若と髭の混ぜ終えた生地をテーブルの中央の鉄板に丸く形成し、焼き始めれば、音と匂いが胃を刺激してきた。
基本となる具材とは別に追加のトッピングもあったので、ディーヴァはチーズ、紫乃はシーフード、若と髭は肉を主とした具材を入れた。
「にしてもディーヴァ、お前チーズ二つ分も入れて大丈夫か?」
ディーヴァはチーズを追加で入れた。
通常ならトッピングとして一つ分を入れるところ、ディーヴァは二つ分入れたのだ。
元々カロリーの高いチーズを二つ分も入れてしまうと、食べたあとが怖い。
それを考えて若が訊ねたはいいものの、性格ゆえか冗談めかして言うので心配しているようには聞こえず、ディーヴァは少し頬を膨らませて言い返す。
「いいの! 今日は好きなものを食べるんだから!」
そうやって四人が談笑しているとお好み焼きが焼けた。
表面にソースを塗り、マヨネーズをかけ、鰹節など好みのものをふりかければ完成だ。
それを鉄板の上で食べやすい大きさに切り、自分の皿へ移して食べる。
だが──
「なあ、フォークってないのか?」
「箸じゃちょっと食べにくいな」
若と髭は箸を扱い慣れていないせいか、フォークを所望した。
確かに箸では二人は食べるのも一苦労だろう。
「うーん、フォークはないと思うけど……」
「あ、俺いいこと思いついた。紫乃が食べさせてくれよ」
「え」
「それなら俺も食べられる」
我ながらナイスアイデアだ、と自画自賛する髭に、若が賛同した。
「おっさん、それいいな! ディーヴァ、オレも箸使えねぇから食べさせてくれ」
「えー?」
「いいじゃねぇか。減るもんじゃねぇだろ」
確かに減るものではない。
逆に、羞恥心で恥ずかしい思い出が増えてしまう。
若はディーヴァに、髭は紫乃に食べさせて欲しいと迫る。
慣れていないどころか、使ったこともない箸で上手く食事が出来るとは思えない。
しばらく悩んだのち、ディーヴァと紫乃は諦めて軽く溜息をついた。
「……わかったよ、食べさせてあげるから」
「……仕方ないわね」
日本食ということは箸を使うということ。
何となく予想はしていたが、まさか堂々と食べさせてくれとお願いしてくるとは。
いや、そういうところがダンテらしいともいえる。
ディーヴァと紫乃は焼けた生地を箸で摘むと、隣に座る若と髭それぞれに差し出した。
それを口に含み、租借する。
最初の一口を味わった二人は、
「美味いな、これ!」
「お好み焼きは二度目だが、店で食べるのもいいな」
ディーヴァと紫乃はダンテ達が食べている間、開いた部分で自分達のお好み焼きの生地を焼こうと思っていたのだが、
「って、オレ達だけ食ってるのも悪いな。ディーヴァ、食っていいぞ」
「すまねぇな、紫乃。お好み焼きに夢中でつい。紫乃も食え」
珍しい食べ物を目の前にしてうっかりレディファーストを失念していたことに、若と髭は自分のお好み焼きを食べるよう勧めた。
「いいの? じゃあ、貰うね」
「お言葉に甘えて頂くわ」
それからディーヴァと紫乃の分の生地も焼けると、四人はそれぞれのお好み焼きの味を楽しんだ。
若と髭の肉が多めのお好み焼き、ディーヴァのチーズたっぷりなお好み焼き、紫乃のシーフードのお好み焼き。
ベースは同じなのに、入れる具材によって様々な味が楽しめる日本食を、四人はしっかりと堪能して昼食を済ませた。