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日本の首都・東京。
その中にある千代田区の秋葉原駅周辺一帯を秋葉原──通称アキバという。
元を辿れば、日本の高度経済成長時、電子機器を主として発展した地域であった。
電気街は次第にレコードやCDの専門店が増え、さらにホビーショップやアニメショップも軒を連ねていった。
そうして現在の秋葉原が形成されたのである。
週末ということもあり、秋葉原は人だらけ。
流石の若も驚いたのか、口をあんぐりと開けて立ち尽くしている。
「わあ、話に聞いたことはあるけど、本当に多いんだね……」
若と同じくディーヴァも人の数に圧倒され、キョロキョロと辺りを見渡す。
「ディーヴァちゃんは何処が見たい?」
今日はディーヴァの誕生日であり、主役だ。
希望はないかと紫乃が訊けば、ディーヴァは迷うことなく告げた。
「メイドさんが見たい!」
メイドが見たいと答えたのは、断じて若のためではない。
メイドの格好が可愛くて、それを見たいからだ。
それなのに、先程から若がにやにやと自分に視線を投げていることに、ディーヴァは若干居心地の悪さを感じていた。
「ダンテ、にやにやして気持ち悪い」
ずっと若の隣にいたディーヴァであったが、下心が丸見えの若から逃げるように紫乃の隣へ移動する。
「ま、こいつがニヤける気持ちはわからんでもないな」
若が落ち着きがない分、髭がおとなしいなと感じていた紫乃だった。
けれど、二人とも『ダンテ』なのだ、結局は考えていることは同じである。
「恋人がメイドのコスプレをしてるのを想像するだけでも興奮するってのに、それをどう弄ってやろうかと考えるとさらに興奮する」
「……ずっと黙ってると思ってたら、そんなこと考えてたのね」
紫乃は少々呆れつつ、髭をねめつける。
男性側と女性側で完全に意見がわかれた瞬間だ。
「コスプレか……なあ紫乃、メイド服を実際に着ることが出来るところってないのか?」
これだけサブカルチャーを取り扱っている店舗が立ち並んでいるのだ。
コスプレが出来る店舗だってひとつやふたつくらいあるかもしれない。
そう考えた若が訊けば、紫乃はスマートフォンでコスプレ可能な店舗の検索を始めた。
キーワード検索の結果、若の予想どおり、コスプレ衣装のレンタルが可能な店舗が複数表示された。
スマートフォンの画面を、ディーヴァと若と髭が覗き込む。
どの店舗もレンタル衣装の画像や種類を掲載している。
「んー、ただコスプレするだけじゃなくて、写真撮影もOKなところはどうだ?」
店舗のサイトの閲覧を進めている途中、髭が『写真撮影』という、さらなるキーワードを提言した。
そのキーワードも含めて再度検索を行えば、
「お、あったな」
衣装レンタルの店舗より数は少ないが、衣装の着用と写真撮影が可能な店舗のサイトがヒットした。
衣装の画像や種類、他に料金などを確認する。
場所も現在いる場所からそう離れていない。
「よし、ここに行こうぜ」
髭が行きたいと伝えれば、若も同意見らしく頷いている。
ディーヴァを見てみれば、やや気後れしている様子でスマートフォンの画面とにらめっこをしていた。
「ディーヴァ、実はメイド服着てみたいんじゃねぇか?」
「う……ま、まあ、ちょっとは……」
「んじゃ決まりだな」
何だかダンテの煩悩を満たすようであまり気は進まないが、正直なところ、ディーヴァはメイド服を見るだけではなく着てみたかった。
あのフリルのついたエプロンが可愛いのだ。
隣の紫乃をちらりと見れば、彼女もわりと乗り気らしく、行きましょうと誘ってくる。
「うん、じゃあ行く」
それから四人はコスプレと写真撮影可の店舗に向かい、紫乃とディーヴァは店内で複数用意されている好みのメイド服を着用した。
紫乃は一般的な紺色の、ディーヴァは爽やかなミントグリーンのものだ。
どちらもミニスカートなので、脚にはオーバーニーソックスを。
頭にはレースのカチューシャも着用すれば、可愛らしいメイドの完成である。
「おっさん……俺、メイド服舐めてたわ……」
「俺もだ……素足もいいが、あのソックスいいな……」
「だよな……ソックスとスカートの間に少しだけ見える素肌が何とも……」
「それって名前付いてると思うんだが、何ていうんだろうな……」
男性二人は、メイドのコスプレをした女性二人をまじまじと見つめる。
元から可愛いデザインのメイド服を恋人が着たらさらに可愛いだろうなと思っていたが、予想を上回る威力に、若と髭は女性二人に釘付けとなった。
「ディーヴァちゃん、絶対領域のこと、あの二人に教えちゃ駄目だと思う」
「うん、あたしも同意見」
紫乃とディーヴァはダンテ達に聞こえないよう極めて小さな声で話した。
もし彼らが絶対領域の名前を知ってしまえば、今後ミニスカートとオーバーニーソックスの格好を──つまり、絶対領域を見せてくれとせがまれるに違いない。
それにしても、ディーヴァは胸が大きい。
店舗側で用意しているメイド服は数だけでなく、サイズも複数取り揃えている。
その中でディーヴァのバストサイズに合う衣装は数えるほどしかなく、その中でちょうど良いサイズがミントグリーンのメイド服だった。
それでも服のサイズがぎりぎりなので、ディーヴァの胸の部分だけ布地がぱつんぱつんになっている。
そんな彼女の格好を見た若は、ディーヴァはやっぱ胸でけぇな、と鼻の下を伸ばしている。
──胸囲の格差、ここにあり。
その後、若と髭の目がコスプレ姿に釘付け状態のまま、写真撮影は行われた。
いくつかのポーズをとり、その中から気に入ったポーズを選ぶ。
写真として印刷する間、紫乃とディーヴァは着替えのため、更衣室へ入った。
「紫乃さん、コスプレも案外楽しいね」
「そうね、ディーヴァちゃん」
更衣室でメイド服を脱ぎ、自分の服に着替えていたのだが、紫乃は意識しなくても自然と目が行く部分があった。
(……大きいなぁ……)
それは紫乃の胸だった。
自分よりも年下で、しかもサイズが大きいとなれば、どうしてもそちらに目が行ってしまう。
紫乃のバストサイズは平均サイズ。
小さくもないが大きくもない。
谷間はあるが、豊満なサイズに比べればやはり深さが足りないように感じる。
「紫乃さん、どうしたの?」
「え、あ、いやその……大きいな、って……」
ちょうどメイド服を脱いで下着姿になった二人はお互いの胸を見る。
「やっぱり男の人って大きい方が喜ぶ……よね……」
普段はそれほど気にしていないが、実際大きなサイズの人と並んでみると、どうしても自分のものと比較してしまう。
紫乃が恥ずかしそうに呟くと、ディーヴァはまず若の態度を思い出す。
「うーん……うちのダンテで言えばそうだと思う」
あの若ならディーヴァの豊かな胸を前にして正常でいられるはずがないと予想する一方、やはり男性は大きなサイズに惹かれるのだと改めて実感した。
「でも、大きいと困ることもあるんだよ。新しく服を買う時なんか、胸がきついと諦めちゃうことがあるもん」
女性ならば可愛いデザインの服でサイズが合えば購入したい。
しかし、身体のサイズが合っていても胸囲が合わなければ胸がきつい。
実際、メイド服を着た時、ディーヴァは胸がちょっときついなぁ、と漏らしていた。
「それに、大きすぎてもダンテが調子に乗りすぎて逆に困っちゃう」
ディーヴァが苦笑すると、紫乃は一理あると同感した。
煩悩を隠そうとしないダンテがどんな行動を取るか簡単に想像出来る。
紫乃はそれを頭の中で思い浮かべると笑った。
「あはは、若なら暴走しちゃいそうね」
あれこれ言ってもバストサイズには個人個人差があるのだ。
変に落ち込んでいても仕方ない。
紫乃は気持ちを切り替え、自分の服に着替え終わるとディーヴァと更衣室を出た。
その後、完成した写真を受け取り、四人は店舗をあとにした。
その中にある千代田区の秋葉原駅周辺一帯を秋葉原──通称アキバという。
元を辿れば、日本の高度経済成長時、電子機器を主として発展した地域であった。
電気街は次第にレコードやCDの専門店が増え、さらにホビーショップやアニメショップも軒を連ねていった。
そうして現在の秋葉原が形成されたのである。
週末ということもあり、秋葉原は人だらけ。
流石の若も驚いたのか、口をあんぐりと開けて立ち尽くしている。
「わあ、話に聞いたことはあるけど、本当に多いんだね……」
若と同じくディーヴァも人の数に圧倒され、キョロキョロと辺りを見渡す。
「ディーヴァちゃんは何処が見たい?」
今日はディーヴァの誕生日であり、主役だ。
希望はないかと紫乃が訊けば、ディーヴァは迷うことなく告げた。
「メイドさんが見たい!」
メイドが見たいと答えたのは、断じて若のためではない。
メイドの格好が可愛くて、それを見たいからだ。
それなのに、先程から若がにやにやと自分に視線を投げていることに、ディーヴァは若干居心地の悪さを感じていた。
「ダンテ、にやにやして気持ち悪い」
ずっと若の隣にいたディーヴァであったが、下心が丸見えの若から逃げるように紫乃の隣へ移動する。
「ま、こいつがニヤける気持ちはわからんでもないな」
若が落ち着きがない分、髭がおとなしいなと感じていた紫乃だった。
けれど、二人とも『ダンテ』なのだ、結局は考えていることは同じである。
「恋人がメイドのコスプレをしてるのを想像するだけでも興奮するってのに、それをどう弄ってやろうかと考えるとさらに興奮する」
「……ずっと黙ってると思ってたら、そんなこと考えてたのね」
紫乃は少々呆れつつ、髭をねめつける。
男性側と女性側で完全に意見がわかれた瞬間だ。
「コスプレか……なあ紫乃、メイド服を実際に着ることが出来るところってないのか?」
これだけサブカルチャーを取り扱っている店舗が立ち並んでいるのだ。
コスプレが出来る店舗だってひとつやふたつくらいあるかもしれない。
そう考えた若が訊けば、紫乃はスマートフォンでコスプレ可能な店舗の検索を始めた。
キーワード検索の結果、若の予想どおり、コスプレ衣装のレンタルが可能な店舗が複数表示された。
スマートフォンの画面を、ディーヴァと若と髭が覗き込む。
どの店舗もレンタル衣装の画像や種類を掲載している。
「んー、ただコスプレするだけじゃなくて、写真撮影もOKなところはどうだ?」
店舗のサイトの閲覧を進めている途中、髭が『写真撮影』という、さらなるキーワードを提言した。
そのキーワードも含めて再度検索を行えば、
「お、あったな」
衣装レンタルの店舗より数は少ないが、衣装の着用と写真撮影が可能な店舗のサイトがヒットした。
衣装の画像や種類、他に料金などを確認する。
場所も現在いる場所からそう離れていない。
「よし、ここに行こうぜ」
髭が行きたいと伝えれば、若も同意見らしく頷いている。
ディーヴァを見てみれば、やや気後れしている様子でスマートフォンの画面とにらめっこをしていた。
「ディーヴァ、実はメイド服着てみたいんじゃねぇか?」
「う……ま、まあ、ちょっとは……」
「んじゃ決まりだな」
何だかダンテの煩悩を満たすようであまり気は進まないが、正直なところ、ディーヴァはメイド服を見るだけではなく着てみたかった。
あのフリルのついたエプロンが可愛いのだ。
隣の紫乃をちらりと見れば、彼女もわりと乗り気らしく、行きましょうと誘ってくる。
「うん、じゃあ行く」
それから四人はコスプレと写真撮影可の店舗に向かい、紫乃とディーヴァは店内で複数用意されている好みのメイド服を着用した。
紫乃は一般的な紺色の、ディーヴァは爽やかなミントグリーンのものだ。
どちらもミニスカートなので、脚にはオーバーニーソックスを。
頭にはレースのカチューシャも着用すれば、可愛らしいメイドの完成である。
「おっさん……俺、メイド服舐めてたわ……」
「俺もだ……素足もいいが、あのソックスいいな……」
「だよな……ソックスとスカートの間に少しだけ見える素肌が何とも……」
「それって名前付いてると思うんだが、何ていうんだろうな……」
男性二人は、メイドのコスプレをした女性二人をまじまじと見つめる。
元から可愛いデザインのメイド服を恋人が着たらさらに可愛いだろうなと思っていたが、予想を上回る威力に、若と髭は女性二人に釘付けとなった。
「ディーヴァちゃん、絶対領域のこと、あの二人に教えちゃ駄目だと思う」
「うん、あたしも同意見」
紫乃とディーヴァはダンテ達に聞こえないよう極めて小さな声で話した。
もし彼らが絶対領域の名前を知ってしまえば、今後ミニスカートとオーバーニーソックスの格好を──つまり、絶対領域を見せてくれとせがまれるに違いない。
それにしても、ディーヴァは胸が大きい。
店舗側で用意しているメイド服は数だけでなく、サイズも複数取り揃えている。
その中でディーヴァのバストサイズに合う衣装は数えるほどしかなく、その中でちょうど良いサイズがミントグリーンのメイド服だった。
それでも服のサイズがぎりぎりなので、ディーヴァの胸の部分だけ布地がぱつんぱつんになっている。
そんな彼女の格好を見た若は、ディーヴァはやっぱ胸でけぇな、と鼻の下を伸ばしている。
──胸囲の格差、ここにあり。
その後、若と髭の目がコスプレ姿に釘付け状態のまま、写真撮影は行われた。
いくつかのポーズをとり、その中から気に入ったポーズを選ぶ。
写真として印刷する間、紫乃とディーヴァは着替えのため、更衣室へ入った。
「紫乃さん、コスプレも案外楽しいね」
「そうね、ディーヴァちゃん」
更衣室でメイド服を脱ぎ、自分の服に着替えていたのだが、紫乃は意識しなくても自然と目が行く部分があった。
(……大きいなぁ……)
それは紫乃の胸だった。
自分よりも年下で、しかもサイズが大きいとなれば、どうしてもそちらに目が行ってしまう。
紫乃のバストサイズは平均サイズ。
小さくもないが大きくもない。
谷間はあるが、豊満なサイズに比べればやはり深さが足りないように感じる。
「紫乃さん、どうしたの?」
「え、あ、いやその……大きいな、って……」
ちょうどメイド服を脱いで下着姿になった二人はお互いの胸を見る。
「やっぱり男の人って大きい方が喜ぶ……よね……」
普段はそれほど気にしていないが、実際大きなサイズの人と並んでみると、どうしても自分のものと比較してしまう。
紫乃が恥ずかしそうに呟くと、ディーヴァはまず若の態度を思い出す。
「うーん……うちのダンテで言えばそうだと思う」
あの若ならディーヴァの豊かな胸を前にして正常でいられるはずがないと予想する一方、やはり男性は大きなサイズに惹かれるのだと改めて実感した。
「でも、大きいと困ることもあるんだよ。新しく服を買う時なんか、胸がきついと諦めちゃうことがあるもん」
女性ならば可愛いデザインの服でサイズが合えば購入したい。
しかし、身体のサイズが合っていても胸囲が合わなければ胸がきつい。
実際、メイド服を着た時、ディーヴァは胸がちょっときついなぁ、と漏らしていた。
「それに、大きすぎてもダンテが調子に乗りすぎて逆に困っちゃう」
ディーヴァが苦笑すると、紫乃は一理あると同感した。
煩悩を隠そうとしないダンテがどんな行動を取るか簡単に想像出来る。
紫乃はそれを頭の中で思い浮かべると笑った。
「あはは、若なら暴走しちゃいそうね」
あれこれ言ってもバストサイズには個人個人差があるのだ。
変に落ち込んでいても仕方ない。
紫乃は気持ちを切り替え、自分の服に着替え終わるとディーヴァと更衣室を出た。
その後、完成した写真を受け取り、四人は店舗をあとにした。