my mermaid
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「わ、けっこう暗いなあ…」
海の中に入ったディーヴァは辺りを見回しながら呟く。
空から射し込む月明りで少しは明るいものの、視界はよくない。だが、今はこの姿のおかげかディーヴァの目には周りの様子がよく見える。
(やっぱりこの姿だからか、呼吸は問題ないみたい。けど、早くここから出たいな)
自分から言い出したとはいえ、暗い海に一人きりでいるというのは怖い。早く悪魔を見つけて、元の姿に戻りたい。
そう思い、ふとディーヴァが前を見た時だった。
ギラッ
「!」
遠くに二つの光が見えたかと思うと、ものすごい速さでそれはこちらに向かってきた。
(来た…!)
怖くて身体が竦むが、怖がっている場合ではない。何とか上手くダンテのいる岸まで誘導しないと。
踵を返し、ディーヴァは勢いよく水を蹴った。
(遅いな…)
ディーヴァが海に入ってから三十分、いつでも戦えるようにリベリオンを手に持ち、ダンテは岸で悪魔が現れるのを待っていた。
(まさか悪魔に捕まった、なんてことないよな…)
なかなか戻ってこないディーヴァに、不安ばかりが募る。それを振り払うようにダンテは頭を振る。
(ディーヴァが任せろって言ったんだ、信じてやらないと)
心の中で呟き、リベリオンの柄を強く握った、その時。
「!」
ふいに感じた悪魔の気配に、ダンテは顔を上げる。それと同時にこちらに近づいてくる、二つの気配。
これは…
パシャッ
「ダンテ!」
「ディーヴァ!」
水飛沫が飛び、海の中から跳び上がったディーヴァの身体が宙に舞う。それを追うように海面から無数の触手が現れ、ディーヴァを捕らえようと腕を伸ばす。
「させるかっての!」
地面を強く蹴り、ダンテは高く跳躍する。触手より早くディーヴァをその腕に抱くと、リベリオンを構え、こちらに向かってくる触手を切り倒す。
ギャアアア!!
辺りに悪魔の叫び声が響き渡る。足元に魔力を集中させ魔法陣を展開し、それを足場にして悪魔から距離を取ったダンテは岸にディーヴァをそっと下ろす。
「よくがんばったな、ディーヴァ。後はオレに任せとけ」
「うん」
頷いたディーヴァに微笑みかけ、ダンテは悪魔のいる方を見据える。
次の瞬間、ザブン!と大きな音を立て、悪魔が姿を現した。
女性の姿をした上半身に、蛸の足を持つ悪魔だった。その身体はダンテ達より遥かに大きく、背後の月を隠す程だ。
ダンテを見下ろし、悪魔が呻く。
『よくも邪魔をしてくれたわね。あともう少しでその子を私の仲間にできたのに…』
「ディーヴァをお前等の仲間になんかさせるかってんだ。大人しくおウチに帰りな」
『生意気な!』
そう叫ぶと、悪魔は両手と無数の足をダンテに向かって伸ばす。それを跳んで避けると、リベリオンを構え、ダンテは言い放つ。
「これで終わりだ!」
ダンテの放った強力な突きが、悪魔の額に直撃する。
『ギャアアア!!!』
甲高い叫び声を上げ、悪魔は海にその身を沈めていった。
岸に降り立つと、ダンテはディーヴァに声をかける。
「ディーヴァ、どうだ、元の姿に戻っ…」
「ダンテ、ストップ!」
顔を上げようとしたダンテに、慌てた声でディーヴァが叫ぶ。ダンテは顔を上げかけた体勢のまま止まってしまう。
「どうしたんだよ、いきなり…。まさか、元の姿に戻れなかったとか…」
不安そうに言うダンテに、ディーヴァは首を振る。
「違うの、そうじゃなくて…!元の姿には戻れたんだけど…その、今、下着つけてなくて…」
言い辛そうにごにょごにょと口ごもりながら、ディーヴァは答える。
人魚の姿の時、なぜか胸には貝殻でできた下着(水着?)のようなものが着けてあり、本当に童話の人魚姫みたい、なんてディーヴァはのほほんと考えていたのだが、恐らく悪魔の魔力でできていたのだろう、元の姿に戻るとともにそれは消えてしまって、今のディーヴァは下だけ履いた、あられもない姿だった。
ディーヴァの言葉の意味を察したダンテは、慌てて後ろを向いて自分の着ていたコートを差し出す。
「早くこれ着ろ!」
「え、でも濡れちゃう…」
「いいから!誰かに見られたらどうするんだよ!」
というか、オレが耐えられない。間違って見てしまったら、絶対理性が飛ぶ。
ぐるぐると考え込むダンテの言葉に慌てたのか、ディーヴァは急いでダンテの手からコートを受け取り、袖を通す。
「えっ、と…ダンテ、もういいよ」
声をかけられ、ようやくダンテが後ろを振り返ると、コートの合わせ目をぎゅっと掴み、自分を見上げるディーヴァの姿。そのかわいさにあやうく襲いかけたが、ぐっと堪え、ダンテはディーヴァに近づく。
「身体に違和感感じたりしないか?」
「うん、大丈夫。どこも変なトコないよ」
「そっか…」
ホッと安堵の息をつき、ダンテはディーヴァをぎゅっと抱きしめる。
「よかった…ディーヴァが泡になって消えちまわなくて…」
「だから言ったでしょ、あたしは泡になって消えたりしないよって。ずーっとダンテの傍にいるよ」
「ああ…そうだな」
顔を上げ、二人はお互いを見つめる。自然と距離は縮まり、お互いの唇が重なった。
顔を放し、くすりと笑みを零し合うと、立ち上がったダンテがディーヴァに手を差し出す。
「…帰るか」
「そうだね、帰ろ」
お互いの存在を確かめ合うように手を繋ぎ、二人はその場を後にした。
海の中に入ったディーヴァは辺りを見回しながら呟く。
空から射し込む月明りで少しは明るいものの、視界はよくない。だが、今はこの姿のおかげかディーヴァの目には周りの様子がよく見える。
(やっぱりこの姿だからか、呼吸は問題ないみたい。けど、早くここから出たいな)
自分から言い出したとはいえ、暗い海に一人きりでいるというのは怖い。早く悪魔を見つけて、元の姿に戻りたい。
そう思い、ふとディーヴァが前を見た時だった。
ギラッ
「!」
遠くに二つの光が見えたかと思うと、ものすごい速さでそれはこちらに向かってきた。
(来た…!)
怖くて身体が竦むが、怖がっている場合ではない。何とか上手くダンテのいる岸まで誘導しないと。
踵を返し、ディーヴァは勢いよく水を蹴った。
(遅いな…)
ディーヴァが海に入ってから三十分、いつでも戦えるようにリベリオンを手に持ち、ダンテは岸で悪魔が現れるのを待っていた。
(まさか悪魔に捕まった、なんてことないよな…)
なかなか戻ってこないディーヴァに、不安ばかりが募る。それを振り払うようにダンテは頭を振る。
(ディーヴァが任せろって言ったんだ、信じてやらないと)
心の中で呟き、リベリオンの柄を強く握った、その時。
「!」
ふいに感じた悪魔の気配に、ダンテは顔を上げる。それと同時にこちらに近づいてくる、二つの気配。
これは…
パシャッ
「ダンテ!」
「ディーヴァ!」
水飛沫が飛び、海の中から跳び上がったディーヴァの身体が宙に舞う。それを追うように海面から無数の触手が現れ、ディーヴァを捕らえようと腕を伸ばす。
「させるかっての!」
地面を強く蹴り、ダンテは高く跳躍する。触手より早くディーヴァをその腕に抱くと、リベリオンを構え、こちらに向かってくる触手を切り倒す。
ギャアアア!!
辺りに悪魔の叫び声が響き渡る。足元に魔力を集中させ魔法陣を展開し、それを足場にして悪魔から距離を取ったダンテは岸にディーヴァをそっと下ろす。
「よくがんばったな、ディーヴァ。後はオレに任せとけ」
「うん」
頷いたディーヴァに微笑みかけ、ダンテは悪魔のいる方を見据える。
次の瞬間、ザブン!と大きな音を立て、悪魔が姿を現した。
女性の姿をした上半身に、蛸の足を持つ悪魔だった。その身体はダンテ達より遥かに大きく、背後の月を隠す程だ。
ダンテを見下ろし、悪魔が呻く。
『よくも邪魔をしてくれたわね。あともう少しでその子を私の仲間にできたのに…』
「ディーヴァをお前等の仲間になんかさせるかってんだ。大人しくおウチに帰りな」
『生意気な!』
そう叫ぶと、悪魔は両手と無数の足をダンテに向かって伸ばす。それを跳んで避けると、リベリオンを構え、ダンテは言い放つ。
「これで終わりだ!」
ダンテの放った強力な突きが、悪魔の額に直撃する。
『ギャアアア!!!』
甲高い叫び声を上げ、悪魔は海にその身を沈めていった。
岸に降り立つと、ダンテはディーヴァに声をかける。
「ディーヴァ、どうだ、元の姿に戻っ…」
「ダンテ、ストップ!」
顔を上げようとしたダンテに、慌てた声でディーヴァが叫ぶ。ダンテは顔を上げかけた体勢のまま止まってしまう。
「どうしたんだよ、いきなり…。まさか、元の姿に戻れなかったとか…」
不安そうに言うダンテに、ディーヴァは首を振る。
「違うの、そうじゃなくて…!元の姿には戻れたんだけど…その、今、下着つけてなくて…」
言い辛そうにごにょごにょと口ごもりながら、ディーヴァは答える。
人魚の姿の時、なぜか胸には貝殻でできた下着(水着?)のようなものが着けてあり、本当に童話の人魚姫みたい、なんてディーヴァはのほほんと考えていたのだが、恐らく悪魔の魔力でできていたのだろう、元の姿に戻るとともにそれは消えてしまって、今のディーヴァは下だけ履いた、あられもない姿だった。
ディーヴァの言葉の意味を察したダンテは、慌てて後ろを向いて自分の着ていたコートを差し出す。
「早くこれ着ろ!」
「え、でも濡れちゃう…」
「いいから!誰かに見られたらどうするんだよ!」
というか、オレが耐えられない。間違って見てしまったら、絶対理性が飛ぶ。
ぐるぐると考え込むダンテの言葉に慌てたのか、ディーヴァは急いでダンテの手からコートを受け取り、袖を通す。
「えっ、と…ダンテ、もういいよ」
声をかけられ、ようやくダンテが後ろを振り返ると、コートの合わせ目をぎゅっと掴み、自分を見上げるディーヴァの姿。そのかわいさにあやうく襲いかけたが、ぐっと堪え、ダンテはディーヴァに近づく。
「身体に違和感感じたりしないか?」
「うん、大丈夫。どこも変なトコないよ」
「そっか…」
ホッと安堵の息をつき、ダンテはディーヴァをぎゅっと抱きしめる。
「よかった…ディーヴァが泡になって消えちまわなくて…」
「だから言ったでしょ、あたしは泡になって消えたりしないよって。ずーっとダンテの傍にいるよ」
「ああ…そうだな」
顔を上げ、二人はお互いを見つめる。自然と距離は縮まり、お互いの唇が重なった。
顔を放し、くすりと笑みを零し合うと、立ち上がったダンテがディーヴァに手を差し出す。
「…帰るか」
「そうだね、帰ろ」
お互いの存在を確かめ合うように手を繋ぎ、二人はその場を後にした。