my mermaid
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「はぁ…」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがと、ダンテ」
水の満たされた浴槽の中で、ディーヴァは苦笑する。
この姿になったせいかいつもより喉が渇きやすく、肌の水分が失われていくような気がする。帰る時も飲み物で水分をこまめに補給しないと呼吸がし辛かったし、今だってダンテが用意してくれたこの中にいないと満足に動けない。まるで陸に打ち上げられた魚だ。―人魚のような姿だから、あながち間違ってはいないけれど。
「にしても困ったな…あの悪魔を倒さないと元の姿に戻れねえだろうし…」
「やっぱり?うぅ、早くいつもの姿に戻りたいよー、この姿だとすごい不便だし…」
「そうだな。人魚姫なディーヴァもかわいいけど、やっぱりオレはいつものディーヴァがいい」
そう言うとディーヴァの頬にキスし、彼女を真っ直ぐに見つめてダンテは言う。
「絶対、元の姿に戻してやるから。だから、ちょっとガマンしてくれな」
「…うん」
目を細めて笑い、ディーヴァは頷いた。
「ただいま、ディーヴァ」
「あ、お帰り、ダンテ。どうだった?」
「今日もめぼしい情報はなかったな。…ごめん」
「いいよ、ダンテが悪いわけじゃないもの。だから、ね、顔上げて?」
手を伸ばしてダンテの頬を包み込むと、ディーヴァは微笑みかける。
自分がこの姿になってから三日目、ダンテはあの海岸に行って付近の住民に悪魔のことをいろいろと尋ねて回っているが、めぼしい情報は見つからない。自分のために情報を求めて奔走してくれているダンテのために何かしてあげたいのだが、この姿では歩くこともできないし、ここから出てしまえば水がなくてすぐ苦しくなる。
だが、だからといってダンテに辛い顔は見せたくない。ダンテだって早く自分を元の姿に戻したいのに悪魔の手がかりが掴めないと苦しんでいるだろうし、あの白い光を避けたことで自分に当たってこの姿にしてしまったことに責任を感じているだろうから。
不安そうな目でディーヴァを見つめ、ポツリとダンテが呟く。
「なあ。…このまま呪いが解けなくて、泡になって消えるなんてこと……ないよな」
ダンテの言葉にディーヴァは首を傾げるが、すぐに意味を理解してああ…と納得する。
童話の『人魚姫』では、人魚姫は最後、泡になって消えてしまう。だから、同じように人魚の姿の自分が消えてしまうのではないかと思っているのだろう。
こつん、と自分の額とダンテの額を合わせ、ディーヴァは告げる。
「ダンテ、心配しないで。あたしはダンテを残して泡になったりしないよ。ダンテの愛という呪いの網であたしというお魚を捕まえていて」
「ディーヴァ…」
自分を安心させるように笑うディーヴァに、ダンテは苦笑を零す。
「ワリ、オレらしくなかったな。…ちゃんと元の姿に戻してやるから、もうちょい待っててくれな」
そう言ってキスするダンテににっこりと笑いかけ、ディーヴァは頷いた。
二日後―。
「ディーヴァ、あの悪魔が見つかったぞ!」
「え、本当!?」
風呂場に駆け込んできたダンテの言葉に、ディーヴァは浴槽から身を乗り出す。
「ここ最近、海の中から目みたいな二つの光が浮かび上がってるのを近くの住人が何度か目撃してるらしい。気味が悪くて海に近寄れないって言ってるのを聞いた。十中八九あの悪魔で間違いないだろ」
「そっか。よかったぁ、やっと元の姿に戻れるんだね」
「ああ、時間かかっちまってごめんな、ディーヴァ」
「ダンテ、毎日私のために走り回ってくれたもの。気にしなくていいよ」
にっこりと笑うディーヴァにつられ、ダンテも笑みを浮かべる。
「夜になったら、もう一回あの海に行ってみる。ここ最近で目撃されてるんだ、今日も現れるかもしれねえ。ディーヴァはここで待っててくれ」
「あ、待って、ダンテ!」
「ん?どうした?」
首を傾げるダンテに、ディーヴァは両手を合わせて言う。
「お願いがあるんだけど…」
日も沈み、辺りが闇に包まれた頃。
「だいぶ暗くなってきたな。そろそろ悪魔が現れる頃合いか」
「うん、そうだね」
海を見つめるダンテの隣りには、なぜかディーヴァの姿。なぜディーヴァがここにいるかというと、ディーヴァが一緒に行かせてほしいとダンテに頼んだからだ。
悪魔を倒せば元の姿に戻れるだろうが万が一ということもある。そのため、危険を承知でダンテに頼み込んだ。最初、ダンテは困った顔をしていたがディーヴァの頼みを断れず、渋々頷いた。
「でも、本当にいいのか?お前が囮になって悪魔を誘い出すなんて…」
「うん。だって悪魔は海の中にいるんでしょ、だったら岸まで誘い出さないとダンテ戦えないじゃない。それにあたしは今人魚みたいな姿をしてるんだもん、泳ぎなら大丈夫だよ」
心配そうに尋ねるダンテにディーヴァは頷く。
悪魔をどうやって倒すかという話になった時、ディーヴァが一つの作戦を立てた。それは、自分が囮になって悪魔を誘い出し、姿を現したところでダンテが倒す、というものだ。
泳ぎには自信があるし、今の姿ならおそらく水中での呼吸には問題ないだろう。ここに来た以上、ただ見ているだけなんて嫌なのだ。
「それに、絶対ダンテが守ってくれるでしょ」
「ディーヴァ…」
その言葉に目を見開いたダンテだが、次の瞬間にはいつもの不敵な笑みを浮かべて。
「当たり前だろ。悪魔なんかにオレのディーヴァを渡してたまるかってんだ」
屈んでディーヴァの頬にキスすると、ダンテは彼女の頭を撫でる。
「じゃあ、よろしく頼むな、ディーヴァ」
「任せて!」
ディーヴァは笑って頷いた。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがと、ダンテ」
水の満たされた浴槽の中で、ディーヴァは苦笑する。
この姿になったせいかいつもより喉が渇きやすく、肌の水分が失われていくような気がする。帰る時も飲み物で水分をこまめに補給しないと呼吸がし辛かったし、今だってダンテが用意してくれたこの中にいないと満足に動けない。まるで陸に打ち上げられた魚だ。―人魚のような姿だから、あながち間違ってはいないけれど。
「にしても困ったな…あの悪魔を倒さないと元の姿に戻れねえだろうし…」
「やっぱり?うぅ、早くいつもの姿に戻りたいよー、この姿だとすごい不便だし…」
「そうだな。人魚姫なディーヴァもかわいいけど、やっぱりオレはいつものディーヴァがいい」
そう言うとディーヴァの頬にキスし、彼女を真っ直ぐに見つめてダンテは言う。
「絶対、元の姿に戻してやるから。だから、ちょっとガマンしてくれな」
「…うん」
目を細めて笑い、ディーヴァは頷いた。
「ただいま、ディーヴァ」
「あ、お帰り、ダンテ。どうだった?」
「今日もめぼしい情報はなかったな。…ごめん」
「いいよ、ダンテが悪いわけじゃないもの。だから、ね、顔上げて?」
手を伸ばしてダンテの頬を包み込むと、ディーヴァは微笑みかける。
自分がこの姿になってから三日目、ダンテはあの海岸に行って付近の住民に悪魔のことをいろいろと尋ねて回っているが、めぼしい情報は見つからない。自分のために情報を求めて奔走してくれているダンテのために何かしてあげたいのだが、この姿では歩くこともできないし、ここから出てしまえば水がなくてすぐ苦しくなる。
だが、だからといってダンテに辛い顔は見せたくない。ダンテだって早く自分を元の姿に戻したいのに悪魔の手がかりが掴めないと苦しんでいるだろうし、あの白い光を避けたことで自分に当たってこの姿にしてしまったことに責任を感じているだろうから。
不安そうな目でディーヴァを見つめ、ポツリとダンテが呟く。
「なあ。…このまま呪いが解けなくて、泡になって消えるなんてこと……ないよな」
ダンテの言葉にディーヴァは首を傾げるが、すぐに意味を理解してああ…と納得する。
童話の『人魚姫』では、人魚姫は最後、泡になって消えてしまう。だから、同じように人魚の姿の自分が消えてしまうのではないかと思っているのだろう。
こつん、と自分の額とダンテの額を合わせ、ディーヴァは告げる。
「ダンテ、心配しないで。あたしはダンテを残して泡になったりしないよ。ダンテの愛という呪いの網であたしというお魚を捕まえていて」
「ディーヴァ…」
自分を安心させるように笑うディーヴァに、ダンテは苦笑を零す。
「ワリ、オレらしくなかったな。…ちゃんと元の姿に戻してやるから、もうちょい待っててくれな」
そう言ってキスするダンテににっこりと笑いかけ、ディーヴァは頷いた。
二日後―。
「ディーヴァ、あの悪魔が見つかったぞ!」
「え、本当!?」
風呂場に駆け込んできたダンテの言葉に、ディーヴァは浴槽から身を乗り出す。
「ここ最近、海の中から目みたいな二つの光が浮かび上がってるのを近くの住人が何度か目撃してるらしい。気味が悪くて海に近寄れないって言ってるのを聞いた。十中八九あの悪魔で間違いないだろ」
「そっか。よかったぁ、やっと元の姿に戻れるんだね」
「ああ、時間かかっちまってごめんな、ディーヴァ」
「ダンテ、毎日私のために走り回ってくれたもの。気にしなくていいよ」
にっこりと笑うディーヴァにつられ、ダンテも笑みを浮かべる。
「夜になったら、もう一回あの海に行ってみる。ここ最近で目撃されてるんだ、今日も現れるかもしれねえ。ディーヴァはここで待っててくれ」
「あ、待って、ダンテ!」
「ん?どうした?」
首を傾げるダンテに、ディーヴァは両手を合わせて言う。
「お願いがあるんだけど…」
日も沈み、辺りが闇に包まれた頃。
「だいぶ暗くなってきたな。そろそろ悪魔が現れる頃合いか」
「うん、そうだね」
海を見つめるダンテの隣りには、なぜかディーヴァの姿。なぜディーヴァがここにいるかというと、ディーヴァが一緒に行かせてほしいとダンテに頼んだからだ。
悪魔を倒せば元の姿に戻れるだろうが万が一ということもある。そのため、危険を承知でダンテに頼み込んだ。最初、ダンテは困った顔をしていたがディーヴァの頼みを断れず、渋々頷いた。
「でも、本当にいいのか?お前が囮になって悪魔を誘い出すなんて…」
「うん。だって悪魔は海の中にいるんでしょ、だったら岸まで誘い出さないとダンテ戦えないじゃない。それにあたしは今人魚みたいな姿をしてるんだもん、泳ぎなら大丈夫だよ」
心配そうに尋ねるダンテにディーヴァは頷く。
悪魔をどうやって倒すかという話になった時、ディーヴァが一つの作戦を立てた。それは、自分が囮になって悪魔を誘い出し、姿を現したところでダンテが倒す、というものだ。
泳ぎには自信があるし、今の姿ならおそらく水中での呼吸には問題ないだろう。ここに来た以上、ただ見ているだけなんて嫌なのだ。
「それに、絶対ダンテが守ってくれるでしょ」
「ディーヴァ…」
その言葉に目を見開いたダンテだが、次の瞬間にはいつもの不敵な笑みを浮かべて。
「当たり前だろ。悪魔なんかにオレのディーヴァを渡してたまるかってんだ」
屈んでディーヴァの頬にキスすると、ダンテは彼女の頭を撫でる。
「じゃあ、よろしく頼むな、ディーヴァ」
「任せて!」
ディーヴァは笑って頷いた。