Tea party beyond the world
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そしてディーヴァは、全てをひっくるめてダンテが好きだと言って、これは紫乃との秘密にしておいてと恥ずかしそうにお願いした。
ディーヴァの様子を頭に思い描いた若は、口角を上げて幸せそうに笑う。
──壁を隔てた隣の部屋で盗み聞きされているとも知らずに。
「っくぅー……可愛いじゃねぇか、ディーヴァの奴」
「いいお嬢ちゃんだな」
髭は、自分は若の年齢の時にここまで己を理解してくれる女性と出会ったことはないが、この世界の自分は良い出会いをしたんだな、と穏やかに微笑んだ。
「お、次はおっさんの恋人の番みたいだぜ」
ディーヴァの話が終わると、紫乃がダンテとの出会いを話し出した。
日本で悪魔に襲われてアメリカを訪れ、事務所にてダンテとであったこと。
成り行きで一晩泊まり、朝食を作ってあげると家政婦として働くことになり、同時にダンテが悪魔の捜索に協力することになった。
それから約二週間後、無事に悪魔を倒し、ダンテと想いを通じ合わせたことを話した。
「二週間であいつ落としたのか? なんつーか、手が早ぇな……」
「好きになるのに時間は関係ないのさ」
若は驚いて目を見開き、髭は満更でもなさそうに口角を上げた。
それから紫乃は、料理を作ると美味しそうに食べてくれるのが嬉しいとも語った。
確かに紫乃の料理は最高だ、と髭は頷く。
彼女と出会う前まではデリバリーピザばかりだった。
好物なので不満はなかったが、やはり手料理の味を覚えてしまうとデリバリーでは満足出来なくなってくる。
だから、今では紫乃と出会って良かったと思うし、毎日違うメニューを複数作る彼女は凄いと感心する。
髭も幸せそうな笑みを浮かべていると、リビングでは髭の悪戯についての話題が出た。
紫乃にちょっかいを出したり、キスをしたり、接触を求めるという悪戯。
「俺もディーヴァに触れていたいって思うけど、おっさんには負けるぜ」
「何とでも言え。紫乃が好き過ぎてたまんねぇんだ」
髭は、顎に手を添えるとにんまりと笑う。
それだけで、彼がどれほどまでに紫乃を想い、愛しているかがわかる。
未来の自分も良い相手に出会ったんだなとガラにもなく感慨深く思っていると、昼間から破廉恥なことをされているとの紫乃の告白に、若が眉をひそめた。
「っておっさん、あんた昼間から何してんだよ」
「紫乃は恥ずかしがり屋でね。からかうと可愛いんだ」
日本人故、欧米人のフランクな──というよりも、髭のフランク過ぎるスキンシップに慣れていないのだ。
それをからかうのが楽しく、恥ずかしがる紫乃はとても可愛い。
「おっさんってそんなに欲求不満なのか?」
「いつも紫乃に触れていたいんだよ。何だ、羨ましいのか」
「べっ……別にそういうわけじゃ……」
髭がからかえば、若は視線をそらして気まずそうに表情を歪ませた。
羨ましいのかと訊かれたが、正直その通りであった。
ディーヴァとくっついていちゃいちゃしたい。
だが、キスは既に済ませたのだ。
きっといつかさらに先に進めることが出来ると信じている。
リビングでの話題はダンテから、二人の女性デビルハンターのものへと移っていた。
トリッシュとレディ。
紫乃によれば、同業者の間では有名で強いという話に若が食いついた。
「へえ、女の同業者がいるんだな。オレもいつか会ってみたいね」
男より身体能力の劣る女が、どうやって悪魔を狩り、有名になったのか。
若の中に、純粋な興味が生まれた。
そんな若い自分を、髭はじっと見つめる。
この世界のダンテはまだ便利屋として開業するどころか、店の名前すら決まっていない。
ならばトリッシュはもちろん、レディにすら会ったことはない。
紫乃も二人について詳しくは言わなかったのだから、自分も話す必要はないだろうと決めた。
「ま、いつか会うだろうが……マジ強ぇから気を付けな」
──特に、レディの借金の取り立てに。
そう言いながらも、髭は己の体験を思い出して内心冷や汗を流す。
この世界の俺も、いつかレディと出会い、腐れ縁になり……借金の取り立てに悩むだろう、と。
そうやってリビングでの会話を聞いているうちに、二人のダンテはクッキーを食べ終え、紅茶も飲み干してしまった。
「お、なくなっちまった」
「あっちに追加を貰いに行くか」
お互い頷くと、どちらともなく椅子から立ち上がり、皿とティーカップを持ってリビングへと移動した。
* * *
女同士で話が盛り上がっているところに、二人のダンテがリビングへ来た。
「なあ、もうクッキーなくなったんだ。それ分けてくれねぇか?」
「あと、紅茶の追加も頼む」
若がクッキーが空になった皿を、髭が二つのティーカップを持っている。
「あれだけクッキーあげたのに、もう食べちゃったの!?」
「オレ一人なら良かったんだけどな。おっさんがバクバク食っちゃって」
「お前だってたくさん食ってたじゃねぇか」
驚くディーヴァをよそに、若がテーブルの上のプレート皿に並べられているクッキーを、自分が持っている皿にごっそりと移動させる。
そんな若に、髭はささやかな抗議をしながら紫乃にティーカップを差し出した。
「クッキーは美味かったが、なーんか物足りないんだよな」
若がそう言えば、髭も同じ意見らしくうんうんと頷いた。
「そうだな。出来ればサンデーが欲しいところだ」
「相変わらず甘党だね」
紫乃は苦笑した。
彼らに分けたクッキーはもちろんのこと、紅茶にも砂糖を多めに入れたのに、まだ糖分を欲している。
ディーヴァの様子を頭に思い描いた若は、口角を上げて幸せそうに笑う。
──壁を隔てた隣の部屋で盗み聞きされているとも知らずに。
「っくぅー……可愛いじゃねぇか、ディーヴァの奴」
「いいお嬢ちゃんだな」
髭は、自分は若の年齢の時にここまで己を理解してくれる女性と出会ったことはないが、この世界の自分は良い出会いをしたんだな、と穏やかに微笑んだ。
「お、次はおっさんの恋人の番みたいだぜ」
ディーヴァの話が終わると、紫乃がダンテとの出会いを話し出した。
日本で悪魔に襲われてアメリカを訪れ、事務所にてダンテとであったこと。
成り行きで一晩泊まり、朝食を作ってあげると家政婦として働くことになり、同時にダンテが悪魔の捜索に協力することになった。
それから約二週間後、無事に悪魔を倒し、ダンテと想いを通じ合わせたことを話した。
「二週間であいつ落としたのか? なんつーか、手が早ぇな……」
「好きになるのに時間は関係ないのさ」
若は驚いて目を見開き、髭は満更でもなさそうに口角を上げた。
それから紫乃は、料理を作ると美味しそうに食べてくれるのが嬉しいとも語った。
確かに紫乃の料理は最高だ、と髭は頷く。
彼女と出会う前まではデリバリーピザばかりだった。
好物なので不満はなかったが、やはり手料理の味を覚えてしまうとデリバリーでは満足出来なくなってくる。
だから、今では紫乃と出会って良かったと思うし、毎日違うメニューを複数作る彼女は凄いと感心する。
髭も幸せそうな笑みを浮かべていると、リビングでは髭の悪戯についての話題が出た。
紫乃にちょっかいを出したり、キスをしたり、接触を求めるという悪戯。
「俺もディーヴァに触れていたいって思うけど、おっさんには負けるぜ」
「何とでも言え。紫乃が好き過ぎてたまんねぇんだ」
髭は、顎に手を添えるとにんまりと笑う。
それだけで、彼がどれほどまでに紫乃を想い、愛しているかがわかる。
未来の自分も良い相手に出会ったんだなとガラにもなく感慨深く思っていると、昼間から破廉恥なことをされているとの紫乃の告白に、若が眉をひそめた。
「っておっさん、あんた昼間から何してんだよ」
「紫乃は恥ずかしがり屋でね。からかうと可愛いんだ」
日本人故、欧米人のフランクな──というよりも、髭のフランク過ぎるスキンシップに慣れていないのだ。
それをからかうのが楽しく、恥ずかしがる紫乃はとても可愛い。
「おっさんってそんなに欲求不満なのか?」
「いつも紫乃に触れていたいんだよ。何だ、羨ましいのか」
「べっ……別にそういうわけじゃ……」
髭がからかえば、若は視線をそらして気まずそうに表情を歪ませた。
羨ましいのかと訊かれたが、正直その通りであった。
ディーヴァとくっついていちゃいちゃしたい。
だが、キスは既に済ませたのだ。
きっといつかさらに先に進めることが出来ると信じている。
リビングでの話題はダンテから、二人の女性デビルハンターのものへと移っていた。
トリッシュとレディ。
紫乃によれば、同業者の間では有名で強いという話に若が食いついた。
「へえ、女の同業者がいるんだな。オレもいつか会ってみたいね」
男より身体能力の劣る女が、どうやって悪魔を狩り、有名になったのか。
若の中に、純粋な興味が生まれた。
そんな若い自分を、髭はじっと見つめる。
この世界のダンテはまだ便利屋として開業するどころか、店の名前すら決まっていない。
ならばトリッシュはもちろん、レディにすら会ったことはない。
紫乃も二人について詳しくは言わなかったのだから、自分も話す必要はないだろうと決めた。
「ま、いつか会うだろうが……マジ強ぇから気を付けな」
──特に、レディの借金の取り立てに。
そう言いながらも、髭は己の体験を思い出して内心冷や汗を流す。
この世界の俺も、いつかレディと出会い、腐れ縁になり……借金の取り立てに悩むだろう、と。
そうやってリビングでの会話を聞いているうちに、二人のダンテはクッキーを食べ終え、紅茶も飲み干してしまった。
「お、なくなっちまった」
「あっちに追加を貰いに行くか」
お互い頷くと、どちらともなく椅子から立ち上がり、皿とティーカップを持ってリビングへと移動した。
* * *
女同士で話が盛り上がっているところに、二人のダンテがリビングへ来た。
「なあ、もうクッキーなくなったんだ。それ分けてくれねぇか?」
「あと、紅茶の追加も頼む」
若がクッキーが空になった皿を、髭が二つのティーカップを持っている。
「あれだけクッキーあげたのに、もう食べちゃったの!?」
「オレ一人なら良かったんだけどな。おっさんがバクバク食っちゃって」
「お前だってたくさん食ってたじゃねぇか」
驚くディーヴァをよそに、若がテーブルの上のプレート皿に並べられているクッキーを、自分が持っている皿にごっそりと移動させる。
そんな若に、髭はささやかな抗議をしながら紫乃にティーカップを差し出した。
「クッキーは美味かったが、なーんか物足りないんだよな」
若がそう言えば、髭も同じ意見らしくうんうんと頷いた。
「そうだな。出来ればサンデーが欲しいところだ」
「相変わらず甘党だね」
紫乃は苦笑した。
彼らに分けたクッキーはもちろんのこと、紅茶にも砂糖を多めに入れたのに、まだ糖分を欲している。