漆黒の闇に踊る
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「いやー、あれ気持ちよかったよな!基地が跡形もなく崩れていってさ!」
「貴様は馬鹿か、基地内の人間を巻き込まないためにどれだけ気を遣ったと思っている。これだから何も考えない奴は…」
「んだと!?」
「はいはい二人とも、ケンカしない。若、気持ちはわかるけど、人を殺さないのが私達の信条だからね、バージルの苦労もわかってあげて」
そう、リアラ達この事務所のメンバーは人を殺さないことを信条としている。例えどんな人であれ、その人の命を奪うことは重い罪を背負うとわかっているからだ。
「う…わかってるよ」
リアラの言葉に若は言葉を詰まらせる。その様子を見ていた初代が感心したように呟く。
「本当、リアラってこいつらの母親みたいだよな。いつもこんなの見てる気がするんだが」
「私はまだそんな歳じゃないよ、初代」
「坊やも母親っぽいよな、みんなの世話係だしな」
「おいおっさん、世話係ってどういう意味だ」
二人のやり取りにあまりよくない雰囲気を感じ取ったリアラは仲裁に入る。
「ネロ、落ち着いて。ダンテさんは余計なこと言わないでください、コードネーム剥奪されたいんですか?」
コードネームを剥奪されるということは、仕事ができないということ。
リアラの発言に、髭は素直に謝る。
「…すまん」
「わかればいいです」
リアラはため息をつく。
このメンバーの実質的なリーダーは二代目なのだが、リアラはこの発言をする権利がある。それはなぜかというと、リアラがメンバーのコードネームを付けた名付け親だからだ。
この事務所『DevilMayCry』を立ち上げ、仕事をするとなった時、仕事中に名前で呼びあうのは身元がバレて危険だろうということで仕事での呼び名―コードネームを決めることになったのだが、みんな言いたい放題でなかなか決まらず、見かねたリアラがみんなのコードネームを決めたのだ。
リアラはそれぞれの性格や持ち物、愛称からコードネームを決めた。双子である若とバージルは赤と青のイメージから、宝石の名前からコードネームを取り『ルビー』と『サファイア』、初代はその愛称から思い浮かべ、トランプの柄からコードネームを取り『エース』、髭は薔薇が好きなことから薔薇の部位からコードネームを取り『トールン』、二代目は寡黙な性格からコードネームを取り『サイレン』、ネロは彼が持つブルーローズという銃とレッドクイーンというパソコンの名から赤と青、両方を持つということからコードネームを取り『バイオレット』となった。
ちなみにリアラのコードネームである『バタフライ』は髭が付けたもので、彼いわくリアラの戦い方と女性らしい物からイメージしたらしい。
一旦落ち着いたところで二代目がまとめる。
「とりあえず、今日の報告会はこれで終わりだ。みんな、明日はゆっくり休んでくれ」
「じゃあ夕飯だな!今日の当番は?」
「私とネロだよ」
「お、リアラとネロか!二人の作ったもんならうまいこと間違いなしだな!」
「そんなに褒めないで、プレッシャー感じちゃう」
「お前の作ったものなら何でもうまいだろ。心配しなくても大丈夫だ」
「もう、ダンテさんったら…」
リアラは苦笑すると、その場にいた皆に尋ねる。
「みんな、何か食べたい物はある?」
「「「「ピザ」」」」
「見事にハモったな…さすが『ダンテ』」
「ピザなんて油っこい物が食えるか」
「うーん、じゃあバージルは別で何か作ってあげるね。ネロも別な方がいいよね?」
「俺もおっさん達同じでいいよ。別で作るの大変だろ?」
「本当?ありがとう、ネロ」
「リアラ、うまいピザ頼むぜ!」
「はいはい」
賑やかに会話を交わしながら、リアラ達は事務所に戻っていった。
夕食が終わり、リビングが静かになった頃。
リアラとネロは夕食の後片付けをしていた。
「はい、これで終わり。お疲れさま、ネロ」
「リアラの方が大変だっただろ、お疲れ。それにしてもおっさん達、相変わらずピザ好きだよな…一人何切れ食ったんだ?」
リアラに渡された最後の一皿を拭き終え、ネロは数分前の出来事を思い返す。
この事務所で愛称で呼ばれている彼ら―『ダンテ』はピザが好きでその上よく食べる。そのため一枚二枚では足りず、たくさん焼かなくてはならないのだ。一枚焼いて、バージルの分の別の料理も作り、二枚目を焼いている間に夕食を始める。リアラは彼らのため(自分達の分も含まれているが)にせっせとピザを作り、焼いている間だけ自分も食べる形になっていた。
リアラは苦笑しながら告げる。
「焼いたのは6枚くらいかな。ダンテさん達だけだと、一人一枚は食べてるんじゃないかな?」
「一人一枚かよ…俺はそんなにいらないな」
「ふふっ…。今度は、ネロの好きな物にしようね。何か食べたいのがあったら言って」
「いいのか?」
「うん。ダンテさん達が好きなの食べたんだから、ネロも好きなの食べていいんだよ」
「…そっか。ありがとな、リアラ」
「いいえ」
穏やかな笑みを浮かべたネロは、ふいに何か思い出したようにリアラに言う。
「そういえば、明日おっさんの誕生日だろ。どっか出かけるのか?」
「うん、一応、出かけようとは思ってる。仕事終わったばかりだから、ダンテさんに聞いてみるけれど」
そう、ネロの言う通り、明日は髭の誕生日だ。今回の仕事がいつ終わるかわからなかったため計画は立てていなかったが、何かしらお祝いしようとリアラは思っていた。
そっか、とネロは頷く。
「おっさんなら喜んで頷くだろ、恋人から誘われてるんだからさ」
「もう、ネロったら…でも、ありがとう」
照れながらリアラはお礼を言う。
リアラと髭は付き合っており、この事務所では周知の事実だ。
元々幼なじみだった二人は付き合いが長く、お互いの父親が同じスパイだったためか、二人も自然とこの世界に入った。付き合いも長ければお互いのこともよくわかっているわけで、仕事ではよくコンビを組んでいた。関係が変化したのは一年前で、髭からの告白により、二人は幼なじみから恋人の関係になった。時々仕事で髭がふざけたりするため、リアラが怒ったりはしているが、仲がよく、見ていて微笑ましかった(まあ、髭によるスキンシップが多く、イチャイチャしているように見えなくもないが)。
その時、キッチンの入口から声が響いた。
「おーい、風呂上がったぞー」
「あ、ダンテさん」
声の主は髭だった。先程の話から気を遣ってか、ネロは入口へと向かう。
「じゃあ、俺シャワー浴びてくる」
「あ、うん」
そう言ってキッチンからいなくなったネロを見送ると、リアラは髭に話しかける。
「あの、ダンテさん」
「ん?どうした?」
首を傾げてこちらを見る髭に、リアラは話を切り出した。
「明日なんですけど…」
「貴様は馬鹿か、基地内の人間を巻き込まないためにどれだけ気を遣ったと思っている。これだから何も考えない奴は…」
「んだと!?」
「はいはい二人とも、ケンカしない。若、気持ちはわかるけど、人を殺さないのが私達の信条だからね、バージルの苦労もわかってあげて」
そう、リアラ達この事務所のメンバーは人を殺さないことを信条としている。例えどんな人であれ、その人の命を奪うことは重い罪を背負うとわかっているからだ。
「う…わかってるよ」
リアラの言葉に若は言葉を詰まらせる。その様子を見ていた初代が感心したように呟く。
「本当、リアラってこいつらの母親みたいだよな。いつもこんなの見てる気がするんだが」
「私はまだそんな歳じゃないよ、初代」
「坊やも母親っぽいよな、みんなの世話係だしな」
「おいおっさん、世話係ってどういう意味だ」
二人のやり取りにあまりよくない雰囲気を感じ取ったリアラは仲裁に入る。
「ネロ、落ち着いて。ダンテさんは余計なこと言わないでください、コードネーム剥奪されたいんですか?」
コードネームを剥奪されるということは、仕事ができないということ。
リアラの発言に、髭は素直に謝る。
「…すまん」
「わかればいいです」
リアラはため息をつく。
このメンバーの実質的なリーダーは二代目なのだが、リアラはこの発言をする権利がある。それはなぜかというと、リアラがメンバーのコードネームを付けた名付け親だからだ。
この事務所『DevilMayCry』を立ち上げ、仕事をするとなった時、仕事中に名前で呼びあうのは身元がバレて危険だろうということで仕事での呼び名―コードネームを決めることになったのだが、みんな言いたい放題でなかなか決まらず、見かねたリアラがみんなのコードネームを決めたのだ。
リアラはそれぞれの性格や持ち物、愛称からコードネームを決めた。双子である若とバージルは赤と青のイメージから、宝石の名前からコードネームを取り『ルビー』と『サファイア』、初代はその愛称から思い浮かべ、トランプの柄からコードネームを取り『エース』、髭は薔薇が好きなことから薔薇の部位からコードネームを取り『トールン』、二代目は寡黙な性格からコードネームを取り『サイレン』、ネロは彼が持つブルーローズという銃とレッドクイーンというパソコンの名から赤と青、両方を持つということからコードネームを取り『バイオレット』となった。
ちなみにリアラのコードネームである『バタフライ』は髭が付けたもので、彼いわくリアラの戦い方と女性らしい物からイメージしたらしい。
一旦落ち着いたところで二代目がまとめる。
「とりあえず、今日の報告会はこれで終わりだ。みんな、明日はゆっくり休んでくれ」
「じゃあ夕飯だな!今日の当番は?」
「私とネロだよ」
「お、リアラとネロか!二人の作ったもんならうまいこと間違いなしだな!」
「そんなに褒めないで、プレッシャー感じちゃう」
「お前の作ったものなら何でもうまいだろ。心配しなくても大丈夫だ」
「もう、ダンテさんったら…」
リアラは苦笑すると、その場にいた皆に尋ねる。
「みんな、何か食べたい物はある?」
「「「「ピザ」」」」
「見事にハモったな…さすが『ダンテ』」
「ピザなんて油っこい物が食えるか」
「うーん、じゃあバージルは別で何か作ってあげるね。ネロも別な方がいいよね?」
「俺もおっさん達同じでいいよ。別で作るの大変だろ?」
「本当?ありがとう、ネロ」
「リアラ、うまいピザ頼むぜ!」
「はいはい」
賑やかに会話を交わしながら、リアラ達は事務所に戻っていった。
夕食が終わり、リビングが静かになった頃。
リアラとネロは夕食の後片付けをしていた。
「はい、これで終わり。お疲れさま、ネロ」
「リアラの方が大変だっただろ、お疲れ。それにしてもおっさん達、相変わらずピザ好きだよな…一人何切れ食ったんだ?」
リアラに渡された最後の一皿を拭き終え、ネロは数分前の出来事を思い返す。
この事務所で愛称で呼ばれている彼ら―『ダンテ』はピザが好きでその上よく食べる。そのため一枚二枚では足りず、たくさん焼かなくてはならないのだ。一枚焼いて、バージルの分の別の料理も作り、二枚目を焼いている間に夕食を始める。リアラは彼らのため(自分達の分も含まれているが)にせっせとピザを作り、焼いている間だけ自分も食べる形になっていた。
リアラは苦笑しながら告げる。
「焼いたのは6枚くらいかな。ダンテさん達だけだと、一人一枚は食べてるんじゃないかな?」
「一人一枚かよ…俺はそんなにいらないな」
「ふふっ…。今度は、ネロの好きな物にしようね。何か食べたいのがあったら言って」
「いいのか?」
「うん。ダンテさん達が好きなの食べたんだから、ネロも好きなの食べていいんだよ」
「…そっか。ありがとな、リアラ」
「いいえ」
穏やかな笑みを浮かべたネロは、ふいに何か思い出したようにリアラに言う。
「そういえば、明日おっさんの誕生日だろ。どっか出かけるのか?」
「うん、一応、出かけようとは思ってる。仕事終わったばかりだから、ダンテさんに聞いてみるけれど」
そう、ネロの言う通り、明日は髭の誕生日だ。今回の仕事がいつ終わるかわからなかったため計画は立てていなかったが、何かしらお祝いしようとリアラは思っていた。
そっか、とネロは頷く。
「おっさんなら喜んで頷くだろ、恋人から誘われてるんだからさ」
「もう、ネロったら…でも、ありがとう」
照れながらリアラはお礼を言う。
リアラと髭は付き合っており、この事務所では周知の事実だ。
元々幼なじみだった二人は付き合いが長く、お互いの父親が同じスパイだったためか、二人も自然とこの世界に入った。付き合いも長ければお互いのこともよくわかっているわけで、仕事ではよくコンビを組んでいた。関係が変化したのは一年前で、髭からの告白により、二人は幼なじみから恋人の関係になった。時々仕事で髭がふざけたりするため、リアラが怒ったりはしているが、仲がよく、見ていて微笑ましかった(まあ、髭によるスキンシップが多く、イチャイチャしているように見えなくもないが)。
その時、キッチンの入口から声が響いた。
「おーい、風呂上がったぞー」
「あ、ダンテさん」
声の主は髭だった。先程の話から気を遣ってか、ネロは入口へと向かう。
「じゃあ、俺シャワー浴びてくる」
「あ、うん」
そう言ってキッチンからいなくなったネロを見送ると、リアラは髭に話しかける。
「あの、ダンテさん」
「ん?どうした?」
首を傾げてこちらを見る髭に、リアラは話を切り出した。
「明日なんですけど…」