漆黒の闇に踊る
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リアラ達が事務所に戻ると、事務所の扉が開き、二匹の白い狼が出てきた。
その姿を見たリアラは嬉しそうに名を呼ぶ。
「フレキ、ゲリ!」
リアラが身を屈めて両手を広げると、フレキとゲリは嬉しそうにリアラに飛びつく。
「1ヶ月ぶりね、元気にしてた?」
リアラが尋ねると、二匹はワン!、と元気よく鳴いた。よほど嬉しいのか、千切れそうなほどブンブンとしっぽを振っている。
フレキとゲリは2年前にリアラが仕事先で出会った狼で、動物兵器の研究をしていた施設に実験台としていたのをリアラが助けた。知能を高める研究をしていたらしく、二匹とも頭がいい。事務所の皆に懐いているが、特に、一番面倒を見ていたリアラによく懐いていた。
リアラが二匹の頭を撫でていると、再び事務所の扉が開き、一人の男性が姿を現した。
「おかえり、リアラ」
「あ、二代目。ただいま!」
顔を上げてリアラが笑うと、男性―二代目も微笑む。
「疲れてるところ悪いが、レディが待ってる。依頼の物を渡してやってくれ」
「もう来てんのかよ、相変わらず早いな」
「いつものことだ。さ、みんな中に入ってくれ。ここで話をするのもなんだろう?」
二代目に促され、リアラ達は事務所の中に入った。
「久しぶりね、リアラ」
「レディ、久しぶり!」
来客用のソファに座り紅茶を飲んでいたレディはリアラの姿を認めて軽く手を上げる。
「ごめんね、遅くなって。はい、頼まれた物」
「しょうがないわ、あそこはガードが固かったから。ありがとう」
リアラが腰につけていた鞄から宝石を取り出すと、レディに手渡す。受け取ったレディは宝石を日の光に翳して眺める。
「よくできてるわね、誰もこの中にメモリーカードが入ってるなんて思わないでしょうね」
「そうでしょう?特定の角度からじゃないとメモリーカードが見えないなんて、よくこんな造りにしたものだわ」
レディの言葉に頷き、リアラは宝石を見やる。
実はこの宝石に見える物は模造品(レプリカ)で、中にメモリーカードが入っている。特定の角度から見ないと中のメモリーカードが見えない仕組みになっており、傍目からは宝石にしか見えない。
今回、リアラ達がレディに頼まれた仕事はとある大手企業の持つメモリーカードの入手だった。リアラ達の潜入した会社は表向きは医療機器の開発・販売だが、裏では兵器の開発・販売をしていた。他国やテロ組織への密輸をしており、取引先を突き止めるために顧客の情報が入ったメモリーカードが必要だった。しかし、メモリーカードは何らかの形で隠されているらしく、その場所を突き止めるために少々時間がかかってしまったのだ。
「ま、それぐらい大切な物だったってことね。お疲れさま、報酬は口座に振り込んでおくわ」
「うん、お願いね」
「ええ。また仕事があったら頼むわ。後、何か必要な物があったら言って。いつでも来るから」
「うん、ありがとう、レディ」
「いいのよ。じゃあね、リアラ」
リアラに向かって微笑むと、レディは事務所を後にする。扉が閉まると、男はため息をつく。
「俺らには労いの一言もなしか、それなりに苦労してるってのに」
「あいつが俺達にそんな言葉を言うと思うか?」
「…確かに、そうだな」
二代目の言葉に男は頷く。
「とりあえずみんな集まったことだし、仕事の結果を報告し合うか。地下に行くぞ」
「うん」
頷き、リアラは二代目について二階に続く階段の陰にある扉から地下に向かった。
地下に下り、いつも会議に使っている部屋にリアラ達が入ると、そこには二人の青年が待っていた。
赤いシャツを着た青年がリアラ達に向かって手を上げる。
「お、リアラ達か。お疲れ!」
「若とバージルもお疲れさま」
リアラが青年達―若とバージルに微笑みかけると、若はにかっと笑い、バージルはこちらを一瞥するのみに留める。
皆机の前に集まると、二代目が口を開いた。
「みんな揃ったな。じゃあ、仕事の結果を報告してもらおうか。まずはリアラ達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかりました。私達のチームは依頼は無事完了。メモリーカードのある場所を見つけるのに多少時間がかかりましたけど、それほど道具は使ってないから経費は少なく済むはずです。報酬は2、3日以内には口座に振り込まれると思います。…ああ、一つ出費があったわ、ダンテさんが使ったミサイルランチャー」
そう言ってリアラが隣にいた男を睨むと、男は肩を竦めて返す。
「重かったんだ、仕方がないだろ」
「ダンテさんなら持って帰れました。前の依頼では持って帰ってましたよね?わざわざ爆弾付けて爆発させる意味はなかったと思いますが」
「ニュースで見た時、煙が上がってたのはそのせいか。…髭、今回使ったミサイルランチャーはお前の自腹だ」
「…了解」
有無を言わせぬ低い声で言った二代目に、男―髭は大人しく頷く。
「次は初代達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかった。こっちも依頼は無事完了、相手の基地を破壊する計画を立てるのに多少時間はかかったが、計画が立ってからは早く片づいた。ただ、だいぶ火薬を使ったからな…経費はかかりそうだ。バージルが計算して最小限の量にしてるから、なるべく抑えてはあるはずだが。報酬はすでに口座に振り込まれてる、さっき確認した」
初代がそう言うと、隣にいた若は依頼のことを思い出しているのか、目を輝かせて興奮ぎみに言う。
その姿を見たリアラは嬉しそうに名を呼ぶ。
「フレキ、ゲリ!」
リアラが身を屈めて両手を広げると、フレキとゲリは嬉しそうにリアラに飛びつく。
「1ヶ月ぶりね、元気にしてた?」
リアラが尋ねると、二匹はワン!、と元気よく鳴いた。よほど嬉しいのか、千切れそうなほどブンブンとしっぽを振っている。
フレキとゲリは2年前にリアラが仕事先で出会った狼で、動物兵器の研究をしていた施設に実験台としていたのをリアラが助けた。知能を高める研究をしていたらしく、二匹とも頭がいい。事務所の皆に懐いているが、特に、一番面倒を見ていたリアラによく懐いていた。
リアラが二匹の頭を撫でていると、再び事務所の扉が開き、一人の男性が姿を現した。
「おかえり、リアラ」
「あ、二代目。ただいま!」
顔を上げてリアラが笑うと、男性―二代目も微笑む。
「疲れてるところ悪いが、レディが待ってる。依頼の物を渡してやってくれ」
「もう来てんのかよ、相変わらず早いな」
「いつものことだ。さ、みんな中に入ってくれ。ここで話をするのもなんだろう?」
二代目に促され、リアラ達は事務所の中に入った。
「久しぶりね、リアラ」
「レディ、久しぶり!」
来客用のソファに座り紅茶を飲んでいたレディはリアラの姿を認めて軽く手を上げる。
「ごめんね、遅くなって。はい、頼まれた物」
「しょうがないわ、あそこはガードが固かったから。ありがとう」
リアラが腰につけていた鞄から宝石を取り出すと、レディに手渡す。受け取ったレディは宝石を日の光に翳して眺める。
「よくできてるわね、誰もこの中にメモリーカードが入ってるなんて思わないでしょうね」
「そうでしょう?特定の角度からじゃないとメモリーカードが見えないなんて、よくこんな造りにしたものだわ」
レディの言葉に頷き、リアラは宝石を見やる。
実はこの宝石に見える物は模造品(レプリカ)で、中にメモリーカードが入っている。特定の角度から見ないと中のメモリーカードが見えない仕組みになっており、傍目からは宝石にしか見えない。
今回、リアラ達がレディに頼まれた仕事はとある大手企業の持つメモリーカードの入手だった。リアラ達の潜入した会社は表向きは医療機器の開発・販売だが、裏では兵器の開発・販売をしていた。他国やテロ組織への密輸をしており、取引先を突き止めるために顧客の情報が入ったメモリーカードが必要だった。しかし、メモリーカードは何らかの形で隠されているらしく、その場所を突き止めるために少々時間がかかってしまったのだ。
「ま、それぐらい大切な物だったってことね。お疲れさま、報酬は口座に振り込んでおくわ」
「うん、お願いね」
「ええ。また仕事があったら頼むわ。後、何か必要な物があったら言って。いつでも来るから」
「うん、ありがとう、レディ」
「いいのよ。じゃあね、リアラ」
リアラに向かって微笑むと、レディは事務所を後にする。扉が閉まると、男はため息をつく。
「俺らには労いの一言もなしか、それなりに苦労してるってのに」
「あいつが俺達にそんな言葉を言うと思うか?」
「…確かに、そうだな」
二代目の言葉に男は頷く。
「とりあえずみんな集まったことだし、仕事の結果を報告し合うか。地下に行くぞ」
「うん」
頷き、リアラは二代目について二階に続く階段の陰にある扉から地下に向かった。
地下に下り、いつも会議に使っている部屋にリアラ達が入ると、そこには二人の青年が待っていた。
赤いシャツを着た青年がリアラ達に向かって手を上げる。
「お、リアラ達か。お疲れ!」
「若とバージルもお疲れさま」
リアラが青年達―若とバージルに微笑みかけると、若はにかっと笑い、バージルはこちらを一瞥するのみに留める。
皆机の前に集まると、二代目が口を開いた。
「みんな揃ったな。じゃあ、仕事の結果を報告してもらおうか。まずはリアラ達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかりました。私達のチームは依頼は無事完了。メモリーカードのある場所を見つけるのに多少時間がかかりましたけど、それほど道具は使ってないから経費は少なく済むはずです。報酬は2、3日以内には口座に振り込まれると思います。…ああ、一つ出費があったわ、ダンテさんが使ったミサイルランチャー」
そう言ってリアラが隣にいた男を睨むと、男は肩を竦めて返す。
「重かったんだ、仕方がないだろ」
「ダンテさんなら持って帰れました。前の依頼では持って帰ってましたよね?わざわざ爆弾付けて爆発させる意味はなかったと思いますが」
「ニュースで見た時、煙が上がってたのはそのせいか。…髭、今回使ったミサイルランチャーはお前の自腹だ」
「…了解」
有無を言わせぬ低い声で言った二代目に、男―髭は大人しく頷く。
「次は初代達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかった。こっちも依頼は無事完了、相手の基地を破壊する計画を立てるのに多少時間はかかったが、計画が立ってからは早く片づいた。ただ、だいぶ火薬を使ったからな…経費はかかりそうだ。バージルが計算して最小限の量にしてるから、なるべく抑えてはあるはずだが。報酬はすでに口座に振り込まれてる、さっき確認した」
初代がそう言うと、隣にいた若は依頼のことを思い出しているのか、目を輝かせて興奮ぎみに言う。