漆黒の闇に踊る

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この章の夢小説設定
『雪の雫』様宅夢主の名前は?

「『バイオレット』、そっちの様子はどう?」

『特に異常なし。中はだいぶ混乱してるみたいだけどな』

「むしろ好都合ね。混乱に乗じて目的の物をもらうわ」

『頼もしいね。あ、前方に敵が5人。気をつけろよ』

「了解」


無線から手を離すと、女は目の前に現れた黒服の男に回し蹴りをみまう。太股のホルスターから取り出したトンファーを構えると、呻き声を上げて倒れた男の後ろにいた二人の腹部に勢いをつけてめり込ませる。勢いに押され倒れた二人は後ろにいた二人を巻き込み、床に倒れた。


『お見事』

「どうも」


簡素なお礼をいい、女は廊下を走り抜ける。廊下の先にある大きな扉を開けると、女は目を瞬かせた。


「わあ…」


目の前には先程の男達の仲間であろう、黒服の男達がたくさんいた。ざっと見て30人程か。
銃口を向けてきた男達の動きに素早く反応し、女は柱の影に隠れる。部屋中に銃声が鳴り響き、机の上にあるパソコンや部屋の壁を撃ち抜く。


「『バイオレット』、部屋中敵だらけよ!」

『悪い、その部屋だけ監視カメラにブロックがかかってた!こっちの目的に気づいたみたいだ、人が集まり始めてる!』

「部屋の出入口を全部閉めて!これ以上増えたら、さすがに対処できないわ!」

『わかった!…待て、そっちに誰か向かってる。…『トールン』だ!』

「『トールン』が!?あとどれくらいで着く!?」

『10分てとこか…耐えられるか!?』

「何とか耐えてみせる!」


言うと同時に、女はピンを引き抜き、男達に向かって閃光弾を投げ込んだ。


物陰を移動しながら、女は男達と銃撃戦を繰り広げる。女の精密な射撃で男達が次々と倒れていくが、相手の応援が次々と来て、数は全く減らない。


(やばい、そろそろ弾がなくなる…!)


手元に残る弾を見て、女は焦りの色を見せる。このままでは、敵にやられるのも時間の問題だ。


(こうなったら、怪我をしてでも目的の物を取るしかない…!)


女は部屋の中央に設置されている管に目をやる。怪我を覚悟で女が立ち上がった、その時。


「伏せてろ、『バタフライ』!」


聞き慣れた声に女は急いで身を屈める。次の瞬間、派手な爆発音が響き、部屋全体が揺れた。怯む男達に声の主は先程弾を吐き出したばかりのミサイルランチャーを振り回し、男達にぶつけた。


「ぐおっ!」

「ぐっ!」


突如現れた人物の猛攻に次々と倒れていく男達。男達を薙ぎ倒しながら、声の主は叫ぶ。


「今だ、目的のもんを取れ!」


その言葉に従い、女は物陰から飛び出すと中央の管に向かって走る。先程のミサイルランチャーによって破壊されたガラス製の管の中から琥珀色に輝く宝石を取り出すと、無線の向こうの仲間に声をかける。


「目的の物、回収完了!逃げ道の確保をお願い!」

『了解!』


返事を聞くとともに、女は一旦管から離れる。次の瞬間、大きな爆発音とともに天井に穴が空き、一本のワイヤーと取っ手のような物が下りてきた。
男が取っ手に掴まり、女に手を伸ばす。女が男の手を掴むと、男は女の身体を引き上げ、腰をしっかりと支える。
部屋から脱出する中、女は最後の一撃とばかりに二個目の閃光弾のピンを引き抜き、部屋に投げ下ろした。


「はー、やっと終わったな」

「最後のはやり過ぎよ、『トールン』。騒ぎが大きくなっちゃうじゃない」

「どちらにしろニュースにはなるだろ。だったら派手な方がいいじゃねぇか」

「…『サイレン』に怒られても知らないから」


男の言葉にため息をつき、女は歩みを進める。
あの部屋から脱出し、屋上にいた仲間と合流した後、あらかじめ張っていたワイヤーでビルから脱出した。終着点である森に降り立ち、ワイヤーを処分したところでビルから派手な爆発音が響いた。驚いて男に尋ねると男は置いてきたミサイルランチャーに爆弾を取りつけてきたらしく、自分達のいた階からは煙が上がっていた。あそこにいた黒服の男達はただでは済まないだろう。
女は隣を歩く青年に声をかける。


「『バイオレット』、『サイレン』に仕事完了って報告しておいて」

「了解。…お、『サファイア』からメールが来てるぜ。あっちも仕事終わったってよ」

「本当?じゃあ、久しぶりにみんな集合できそうね」

「だな。あ、『サイレン』からメールが返ってきた。なになに…『エース』が迎えに行く、だってよ」

「本当!?助かるわ、歩いて帰るのって大変で…」

「地理はわかってるから、ヘリで迎えに行くってよ。場所はこの先の湖だ」

「わかったって伝えておいて。はぁ、これでやっと一息つけそうね」

「なぁリアラ、そろそろ名前で呼んでくれよ」


耳元で囁き、後ろから抱きしめてくる男に、女―リアラは肩にもたれかかっている男の額を指で小突く。


「いてっ」

「まだ仕事中。名前呼ぶのは事務所に帰ってから」

「つれないねぇ」

「つれなくて結構。疲れてるんですから、抱きつかないでください」

「俺も疲れてる。癒しがほしいんだ」

「…はぁ」


再びため息をつき、リアラは止まっていた足を動かした。
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