水底巡って、味わって
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紫乃もダンテと同じく半魔なので偏った栄養を摂取しても何ら問題ないのだが、食事の面倒をみる者としては、やはり栄養バランスが気になるところ。
だからピザとストロベリーサンデーという高カロリー食だけではいけない、肉以上に野菜も摂取させなければと、紫乃は普段の食事にも野菜を多く使用している。
「それに、野菜ならトマトジュースがあった」
「トマトだけでしょ」
「ピザにも入ってたし」
「それもトマトだけ」
野菜、というよりもトマトだけを摂取しているだけではないか。
「いつか太っても知らないわよ」
「それは心配無用だな」
「どうして?」
「毎日のように運動してるから」
運動、と紫乃は小さく反芻した。
ダンテが運動するといえば、悪魔退治の時しか思い浮かばない。
それも毎日ではなく、週に一回あればいい方で、酷いと一ヶ月以上依頼がない。
誰が毎日運動しているの、と怪訝な表情で紫乃はダンテを見つめる。
──どうやら答えがわからないようだ。
サンドイッチがなくなったので、ダンテはバナナブレッドに手を伸ばしつつ教えてあげることにした。
「紫乃と一緒にね」
「私と……?」
ますますわからなくなった紫乃の耳元に、ダンテは顔を近付け、色気を孕む低い声で囁いた。
「主にベッドの上で、紫乃のナカで」
言葉の意味を理解した瞬間、紫乃の顔に赤みが差した。
「なっ……」
「ほら、運動してるだろ?」
男は女より消費カロリー高いらしいぜ、とダンテは笑ったが、紫乃は羞恥でそれどころではない。
せっかくのデート、せっかくのランチタイムだったのに、こんな時にも猥談をするなんて。
「もう! 明日から肉類禁止! 野菜だけ食べさせてやるんだから!」
「え、ちょ、それはマジでやめて頼むからやめて」
紫乃をからかうのがダンテの楽しみの一つでもあるが、今回ばかりは少々からかい過ぎたと冷や汗を流した。
さすがに肉類禁止令は回避したい。
「ほ、ほら、マハもいるんだし、肉は使わねぇと」
「マハにはマハ用のお肉買ってくるからいいもん」
駄目だ、からかわれて拗ねている。
拗ねる紫乃も可愛いんだが──
いや、ここは惚気ている場合ではない。
機嫌を直してもらわないと、野菜のみの生活が続いてしまう。
「悪い、からかいすぎた」
ダンテは紫乃の肩に手を乗せ、軽く自分の方へ抱き寄せる。
すると、紫乃が控えめにダンテの肩に頭を乗せてきた。
「……女性はムードを大切にするの」
ちょっと拗ねた、けれど甘えてくる紫乃の声。
ダンテは、どうやら許してもらえたようだと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、このままくっついて食べるか」
「えっ……!?」
「俺達婚約してるんだ。ムード、大切にするんだろ?」
結婚を誓った仲なんだから、何ら不思議はない。
そう言ったダンテに、今度は紫乃が動揺する番となった。
確かにムードを大切にすると言ったのだが、こんな屋外で、離れてはいるが他の人間もいる。
おまけに、ここは日本である。
アメリカならば、公衆の面前でも恋人同士ならば仲睦まじくスキンシップを交わすが、生憎日本ではそんな習慣はない。
そんなことは百も承知のはずなのに、ダンテは紫乃を離そうとしない。
己の言葉が裏目に出てしまったことに、紫乃はようやく気が付いた。
「……今日だけだからね」
恥ずかしそうに見上げてくる紫乃に、ダンテは素早くキスをする。
「……っ」
「水族館じゃ出来なかったからな」
突然のキスに驚いて言葉が出なかった紫乃とは対照的に、ダンテは楽しそうに笑った。
紫乃は、外でキスは恥ずかしいと言おうとしたがやめた。
つい今しがた、今日だけは外でも甘いムードになると言ったばかり。
他人と距離の近い水族館の中よりも、互いに距離のある開放的な公園でキスをする方がまだマシだ、と開き直ることにした。
「お肉食べていいけど、その代わり、野菜もたくさん食べてもらうわよ」
「……OK」
肉類禁止令は回避出来たが、野菜を食べなければならないことにダンテはやや強張った笑みを浮かべる。
そんな彼を見て、紫乃は面白そうに笑うのだった。
だからピザとストロベリーサンデーという高カロリー食だけではいけない、肉以上に野菜も摂取させなければと、紫乃は普段の食事にも野菜を多く使用している。
「それに、野菜ならトマトジュースがあった」
「トマトだけでしょ」
「ピザにも入ってたし」
「それもトマトだけ」
野菜、というよりもトマトだけを摂取しているだけではないか。
「いつか太っても知らないわよ」
「それは心配無用だな」
「どうして?」
「毎日のように運動してるから」
運動、と紫乃は小さく反芻した。
ダンテが運動するといえば、悪魔退治の時しか思い浮かばない。
それも毎日ではなく、週に一回あればいい方で、酷いと一ヶ月以上依頼がない。
誰が毎日運動しているの、と怪訝な表情で紫乃はダンテを見つめる。
──どうやら答えがわからないようだ。
サンドイッチがなくなったので、ダンテはバナナブレッドに手を伸ばしつつ教えてあげることにした。
「紫乃と一緒にね」
「私と……?」
ますますわからなくなった紫乃の耳元に、ダンテは顔を近付け、色気を孕む低い声で囁いた。
「主にベッドの上で、紫乃のナカで」
言葉の意味を理解した瞬間、紫乃の顔に赤みが差した。
「なっ……」
「ほら、運動してるだろ?」
男は女より消費カロリー高いらしいぜ、とダンテは笑ったが、紫乃は羞恥でそれどころではない。
せっかくのデート、せっかくのランチタイムだったのに、こんな時にも猥談をするなんて。
「もう! 明日から肉類禁止! 野菜だけ食べさせてやるんだから!」
「え、ちょ、それはマジでやめて頼むからやめて」
紫乃をからかうのがダンテの楽しみの一つでもあるが、今回ばかりは少々からかい過ぎたと冷や汗を流した。
さすがに肉類禁止令は回避したい。
「ほ、ほら、マハもいるんだし、肉は使わねぇと」
「マハにはマハ用のお肉買ってくるからいいもん」
駄目だ、からかわれて拗ねている。
拗ねる紫乃も可愛いんだが──
いや、ここは惚気ている場合ではない。
機嫌を直してもらわないと、野菜のみの生活が続いてしまう。
「悪い、からかいすぎた」
ダンテは紫乃の肩に手を乗せ、軽く自分の方へ抱き寄せる。
すると、紫乃が控えめにダンテの肩に頭を乗せてきた。
「……女性はムードを大切にするの」
ちょっと拗ねた、けれど甘えてくる紫乃の声。
ダンテは、どうやら許してもらえたようだと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、このままくっついて食べるか」
「えっ……!?」
「俺達婚約してるんだ。ムード、大切にするんだろ?」
結婚を誓った仲なんだから、何ら不思議はない。
そう言ったダンテに、今度は紫乃が動揺する番となった。
確かにムードを大切にすると言ったのだが、こんな屋外で、離れてはいるが他の人間もいる。
おまけに、ここは日本である。
アメリカならば、公衆の面前でも恋人同士ならば仲睦まじくスキンシップを交わすが、生憎日本ではそんな習慣はない。
そんなことは百も承知のはずなのに、ダンテは紫乃を離そうとしない。
己の言葉が裏目に出てしまったことに、紫乃はようやく気が付いた。
「……今日だけだからね」
恥ずかしそうに見上げてくる紫乃に、ダンテは素早くキスをする。
「……っ」
「水族館じゃ出来なかったからな」
突然のキスに驚いて言葉が出なかった紫乃とは対照的に、ダンテは楽しそうに笑った。
紫乃は、外でキスは恥ずかしいと言おうとしたがやめた。
つい今しがた、今日だけは外でも甘いムードになると言ったばかり。
他人と距離の近い水族館の中よりも、互いに距離のある開放的な公園でキスをする方がまだマシだ、と開き直ることにした。
「お肉食べていいけど、その代わり、野菜もたくさん食べてもらうわよ」
「……OK」
肉類禁止令は回避出来たが、野菜を食べなければならないことにダンテはやや強張った笑みを浮かべる。
そんな彼を見て、紫乃は面白そうに笑うのだった。