瑠璃と碧
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ギィイイイイ!!!
「!」
突然声をあげ、サラマンダーの身体を包む炎が勢いを増した。同時に魔力の高まりを感じ、リアラは目を見開く。
(やばい、何かしかける…!)
未だ空中にいたリアラには地上の様子がはっきりと見て取れた。
サラマンダーを中心にして巨大な魔方陣が形成される。赤い輝きを増す、その線上にいたのは…
「ダンテ!」
線上にいたのは、最後の一体だったヘル=プライドを倒し終えたダンテだった。リアラの叫び声に気づき、ダンテが顔を上げる。様子からして、まだ気づいていない。
(このままじゃ間に合わない…!)
そう思ったリアラは、地面に着地し、走り出すと同時にデビルトリガーを発動し、白い狼の姿になる。
『ダンテ!』
リアラの必死な様子に、ダンテはようやく魔方陣の存在に気づく。だが、もう魔方陣は発動寸前だった。
その時。
ドンッ!
横からリアラがダンテに突進した。その勢いに押され、ダンテは魔方陣の外に押し出される。
だが。
ゴウッ
「ギャン!」
「リアラ!」
直後、魔方陣が発動し、立ち上った炎が逃げ切れなかったリアラの足に直撃した。上手く受け身を取れず、リアラは地面に転がり落ちる。
やがて炎は静まり、魔方陣の発動と共にその身を爆発させたサラマンダーは炎と共に消えていった。
ダンテは急いでリアラの元に駆け寄る。
「リアラ!おい、大丈夫か、リアラ!」
ダンテが呼びかけても、リアラは荒く息を繰り返すだけで答えない。
リアラの足は酷い状態だった。炎を、ましてや悪魔の魔力を纏ったものをまともに足に受けたためか、膝から下にかけて皮膚は焼け落ち、肉まで焼けてしまっていた。
「主!」
ケルベロスが走り寄った時、リアラの身体がポウ、と光を放ち、デビルトリガーが解除された。
ダンテはケルベロスに向かって叫ぶ。
「ケルベロス、どうすればいい!?」
「主はお前と同じ半魔だ、しばらくしたら治るだろうが…主は炎が苦手だ。治りは普段より遅い」
そう言い、ケルベロスはリアラを見る。
半魔の治癒力の高さゆえ、すでに再生し始めているが、やはり普段より速度が遅い。
「とにかく、事務所に戻るしかあるまい。ここにいても何もできぬ」
「っ…」
ギリッ、と唇を噛みしめると、ケルベロスの言葉に従い、ダンテはリアラを抱き上げてその場を後にした。
事務所に着いたダンテは、リビングのソファにリアラを寝かせ、向かいに腰を下ろした。ケルベロスも心配そうにリアラを見つめる。
リアラの足は筋肉は再生されたようだが、皮膚はまだ再生し始めたばかりのようだった。
「リアラ…」
ダンテは手を伸ばし、リアラの頭を撫でる。先程より彼女の呼吸は落ち着いたが、未だに目を覚まさない。
(俺のせいだ…)
ダンテは顔を伏せる。
あの時気づいていたなら、自分を庇って彼女が怪我を負うこともなかったのに。
「ごめん、リアラ…」
コツン、と自分の額をリアラの額に合わせ、ダンテは呟く。
彼女の怪我の治りが遅いのは、苦手な炎属性の攻撃を受けたからだとケルベロスは言った。だから、怪我をした部分に魔力がなかなか行き渡らないのかもしれない。
自分の魔力を渡せたら…。
そう思い、ダンテは目を閉じる。
しばらく二人の様子を見守っていたケルベロスは、ふいにあることに気づいた。
(!怪我が…)
ケルベロスの目の前で、先程より早い速度で、リアラの足が治り始めた。それと同時に彼女の身体から彼女以外の魔力を感じ、ケルベロスは目を見開く。
(まさか、こいつの…!?)
ケルベロスはダンテに視線を移す。
今感じた魔力は、紛れもなくダンテのものだ。つまり、ダンテがリアラに魔力を与えていることになる。
(だが、どうしてそんなことができる?魔力を与える術など知らないはずなのに…)
そう考えていたケルベロスは、ふいにあることを思い出した。
(そういえば…)
以前、ダンテが怪我をした時、リアラが自分の魔力を与えて治癒の手助けをしたことがある。
リアラのように魔力を相手の魔力の形に合わせて渡すことはできないが、今、ダンテがやっていることはその時と同じだった。
(感覚で覚えているというのか?やり方を…)
だとすれば、ずば抜けた才能だ。さすがに、以前自分を認めさせただけのことはある。
その時、リアラの手が微かに動いた。
「ん…」
小さく身動ぎすると、リアラはゆっくりと目を開けた。緩慢に瞬きを繰り返し、ダンテを見て呟く。
「ダン、テ…?」
「リアラ!」
ダンテは リアラをぎゅっと抱きしめた。そして、安堵の息をつく。
「よかった、目が覚めて…」
「ダンテ…」
リアラはダンテを見つめると、申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんね、心配させて…」
「いや…」
ダンテは首を振る。
「俺が気づかなかったのが悪い。そのせいで、お前に怪我させた。…ごめん」
「ダンテのせいじゃないよ。私が考えずに攻撃しちゃったから、あんなことになっちゃったの。…ごめんね」
「 リアラ…」
自分を庇って怪我をしたのに、自分のせいだと言う彼女。
思わずダンテは苦笑を漏らす。
「お前は優しいな」
「そんなことないよ」
そう言うと、 リアラはダンテに向かって微笑みかける。
「ありがとう、ダンテ。…魔力を分けてくれて」
「え…?」
予想もしなかった言葉に、ダンテは目を見開く。そんなダンテの様子に、 リアラは首を傾げる。
「…気づいてなかったの?」
「いや、魔力を渡せたら、とは思ったけど…」
「そっか。けど、ダンテがそう思ってくれたから、魔力を分けてもらえたのかも」
そう言うと、 リアラは自分の足を見やる。つられてダンテもそちらに目をやると、彼女の足はすっかり元通りになっていた。
「痛みで苦しんでたらね、ふいに温かいものが身体を流れていくのを感じたの。それで、ふっと身体が楽になった」
だから、と リアラは続ける。
「ありがとう、ダンテ」
「いや…力になれたなら、いい」
首を振り、微笑んで返すと、ダンテは リアラの頭を撫でる。
「!」
突然声をあげ、サラマンダーの身体を包む炎が勢いを増した。同時に魔力の高まりを感じ、リアラは目を見開く。
(やばい、何かしかける…!)
未だ空中にいたリアラには地上の様子がはっきりと見て取れた。
サラマンダーを中心にして巨大な魔方陣が形成される。赤い輝きを増す、その線上にいたのは…
「ダンテ!」
線上にいたのは、最後の一体だったヘル=プライドを倒し終えたダンテだった。リアラの叫び声に気づき、ダンテが顔を上げる。様子からして、まだ気づいていない。
(このままじゃ間に合わない…!)
そう思ったリアラは、地面に着地し、走り出すと同時にデビルトリガーを発動し、白い狼の姿になる。
『ダンテ!』
リアラの必死な様子に、ダンテはようやく魔方陣の存在に気づく。だが、もう魔方陣は発動寸前だった。
その時。
ドンッ!
横からリアラがダンテに突進した。その勢いに押され、ダンテは魔方陣の外に押し出される。
だが。
ゴウッ
「ギャン!」
「リアラ!」
直後、魔方陣が発動し、立ち上った炎が逃げ切れなかったリアラの足に直撃した。上手く受け身を取れず、リアラは地面に転がり落ちる。
やがて炎は静まり、魔方陣の発動と共にその身を爆発させたサラマンダーは炎と共に消えていった。
ダンテは急いでリアラの元に駆け寄る。
「リアラ!おい、大丈夫か、リアラ!」
ダンテが呼びかけても、リアラは荒く息を繰り返すだけで答えない。
リアラの足は酷い状態だった。炎を、ましてや悪魔の魔力を纏ったものをまともに足に受けたためか、膝から下にかけて皮膚は焼け落ち、肉まで焼けてしまっていた。
「主!」
ケルベロスが走り寄った時、リアラの身体がポウ、と光を放ち、デビルトリガーが解除された。
ダンテはケルベロスに向かって叫ぶ。
「ケルベロス、どうすればいい!?」
「主はお前と同じ半魔だ、しばらくしたら治るだろうが…主は炎が苦手だ。治りは普段より遅い」
そう言い、ケルベロスはリアラを見る。
半魔の治癒力の高さゆえ、すでに再生し始めているが、やはり普段より速度が遅い。
「とにかく、事務所に戻るしかあるまい。ここにいても何もできぬ」
「っ…」
ギリッ、と唇を噛みしめると、ケルベロスの言葉に従い、ダンテはリアラを抱き上げてその場を後にした。
事務所に着いたダンテは、リビングのソファにリアラを寝かせ、向かいに腰を下ろした。ケルベロスも心配そうにリアラを見つめる。
リアラの足は筋肉は再生されたようだが、皮膚はまだ再生し始めたばかりのようだった。
「リアラ…」
ダンテは手を伸ばし、リアラの頭を撫でる。先程より彼女の呼吸は落ち着いたが、未だに目を覚まさない。
(俺のせいだ…)
ダンテは顔を伏せる。
あの時気づいていたなら、自分を庇って彼女が怪我を負うこともなかったのに。
「ごめん、リアラ…」
コツン、と自分の額をリアラの額に合わせ、ダンテは呟く。
彼女の怪我の治りが遅いのは、苦手な炎属性の攻撃を受けたからだとケルベロスは言った。だから、怪我をした部分に魔力がなかなか行き渡らないのかもしれない。
自分の魔力を渡せたら…。
そう思い、ダンテは目を閉じる。
しばらく二人の様子を見守っていたケルベロスは、ふいにあることに気づいた。
(!怪我が…)
ケルベロスの目の前で、先程より早い速度で、リアラの足が治り始めた。それと同時に彼女の身体から彼女以外の魔力を感じ、ケルベロスは目を見開く。
(まさか、こいつの…!?)
ケルベロスはダンテに視線を移す。
今感じた魔力は、紛れもなくダンテのものだ。つまり、ダンテがリアラに魔力を与えていることになる。
(だが、どうしてそんなことができる?魔力を与える術など知らないはずなのに…)
そう考えていたケルベロスは、ふいにあることを思い出した。
(そういえば…)
以前、ダンテが怪我をした時、リアラが自分の魔力を与えて治癒の手助けをしたことがある。
リアラのように魔力を相手の魔力の形に合わせて渡すことはできないが、今、ダンテがやっていることはその時と同じだった。
(感覚で覚えているというのか?やり方を…)
だとすれば、ずば抜けた才能だ。さすがに、以前自分を認めさせただけのことはある。
その時、リアラの手が微かに動いた。
「ん…」
小さく身動ぎすると、リアラはゆっくりと目を開けた。緩慢に瞬きを繰り返し、ダンテを見て呟く。
「ダン、テ…?」
「リアラ!」
ダンテは リアラをぎゅっと抱きしめた。そして、安堵の息をつく。
「よかった、目が覚めて…」
「ダンテ…」
リアラはダンテを見つめると、申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんね、心配させて…」
「いや…」
ダンテは首を振る。
「俺が気づかなかったのが悪い。そのせいで、お前に怪我させた。…ごめん」
「ダンテのせいじゃないよ。私が考えずに攻撃しちゃったから、あんなことになっちゃったの。…ごめんね」
「 リアラ…」
自分を庇って怪我をしたのに、自分のせいだと言う彼女。
思わずダンテは苦笑を漏らす。
「お前は優しいな」
「そんなことないよ」
そう言うと、 リアラはダンテに向かって微笑みかける。
「ありがとう、ダンテ。…魔力を分けてくれて」
「え…?」
予想もしなかった言葉に、ダンテは目を見開く。そんなダンテの様子に、 リアラは首を傾げる。
「…気づいてなかったの?」
「いや、魔力を渡せたら、とは思ったけど…」
「そっか。けど、ダンテがそう思ってくれたから、魔力を分けてもらえたのかも」
そう言うと、 リアラは自分の足を見やる。つられてダンテもそちらに目をやると、彼女の足はすっかり元通りになっていた。
「痛みで苦しんでたらね、ふいに温かいものが身体を流れていくのを感じたの。それで、ふっと身体が楽になった」
だから、と リアラは続ける。
「ありがとう、ダンテ」
「いや…力になれたなら、いい」
首を振り、微笑んで返すと、ダンテは リアラの頭を撫でる。