瑠璃と碧
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「ふぁぁ…」
大きな欠伸をしながら、ダンテは階段を下りる。
昨夜はシャワーを浴び、夕食を食べた後、すぐに眠ってしまった。彼女の話で納得したとはいえ、いろんなことがありすぎて疲れていたようだ。
「あれ?」
ダンテはリビングを見回す。リアラの姿はなく、いるのは彼女の魔具であるらしいケルベロスだけだ。
ダンテに気づいたケルベロスは口を開く。
「やっと起きたか」
「リアラは?」
「買い物に行っている。お前の服を買ってくると言っていた」
お前はここにある食事を食べていろ、と言われ、ダンテがテーブルに視線を移すと、トーストとベーコンエッグが置いてあった。出かける前に、リアラが作ってくれたのだろう。
ソファに腰かけ、ダンテが朝食を食べていると、ギイッ、と音を立てて事務所の扉が開いた。
「ただいま、ケルベロス。あ、おはよう、ダンテ」
姿を現したのはリアラだった。手には紙袋を持っている。
ソファから下りたケルベロスがリアラに近寄ると、リアラは屈んでケルベロスの頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細め、クゥン、とケルベロスが鳴く。
「お帰り、リアラ。あ、朝飯もらってるぜ」
「今食べてるの?一時間前に作ったから、冷めてるんじゃない?」
作り直そうか?と言うリアラに、ダンテは首を振る。
「いや、用意してもらっただけで十分だ。気にすんな。それに、冷めても十分上手いしな」
「大したもの作ってないよ」
苦笑すると、リアラはダンテの前に紙袋を掲げる。
「ダンテの服買ってきたから、食べたらこれに着替えて。その服だと動き辛いでしょ?」
「サンキュ、助かる」
「いいえ」
どういたしまして、と言い、リアラはキッチンへ消えていく。
とりあえず食べてしまおうと、ダンテは手にしていたトースターをほおばった。
洗い物を済ませ、リアラがケルベロスと一緒にリビングでくつろいでいると、二階からダンテが下りてきた。気づいたリアラが声をかける。
「サイズどう?ブカブカだったりしない?」
「ぴったりだぜ。ありがとな、リアラ」
「どういたしまして」
リアラが微笑むと、ダンテはリアラの向かいのソファに座る。
ダンテは黒のタンクトップに緑のカーゴパンツを履いていた。元々ダンテが着ていたという服の情報を参考にしてリアラが選んだものだ。さすがに裸コートは困るので、シャツを買ってきたが。
「なあ、これからどうするんだ?」
「うーん…食料がなくなりそうだから、買い物行こうかなー、とは思ってるけど」
「ふーん…。なあ、俺もついて行っていいか?」
一人でいると退屈そうでさ、と言うダンテにリアラは頷く。
「いいよ、じゃあ一緒に行こっか」
特に断る理由もないし、彼の気晴らしになるのならいいだろう。
リアラが微笑むと、ダンテも嬉しそうに笑った。
「賑やかだね」
「そうだな」
二人はスラム街から少し離れた、大通りの商店街に来ていた。
スラム街と比べて比較的治安のいいこの場所は、日中ということもあるだろうが、活気があり、行き交う人々で賑わっていた。
「何にしようかなー…。ダンテ、お昼と晩ご飯、何がいい?」
「どっちもピザがいい」
「どっちもは止めようよ…せめて晩ご飯ね」
歩きながら昼食と夕食の献立を決めていると、ふいにダンテがリアラをじっと見つめた。
「どうしたの?」
「いや…そういう服着るんだなーと思って」
リアラは碧のタンクトップに薄手のブラウンのカーディガン、白いショートパンツを履いていた。ショートパンツから伸びた脚に日の光が当たって、彼女の肌の白さをより際立たせている。
「あんまり、女の子らしいの好きじゃないから…」
苦笑するリアラの頭を、ダンテは優しく撫でてやる。
「別に責めてるわけじゃねえよ。リアラはリアラらしくでいいだろ」
「ダンテ…」
リアラはダンテを見上げる。
元の姿より身長が低いとはいえ、二人には頭一つ分の差がある。だから自然と見上げる形になるのだが、見上げた先にあったダンテの優しい目が元の姿とダンテと重なる。
(『今』も昔も、優しいところは同じだな…)
くすりと笑ったリアラに、ダンテは首を傾げる。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
行こう、とダンテの手を取り、リアラは歩きだした。
一時間かけて買い物を終えた二人が歩いていると、ふいにリアラが足を止めた。
「あ」
「どうした?」
「チュロス売ってる」
ダンテがリアラの指差した方を見ると、赤い屋根のかかった小さなワゴン車があった。たくさんのチュロスが並べられており、甘く香ばしい香りが漂ってくる。
「一つ買っていこうかな…ダンテも食べる?」
「いいのか?」
「うん。いろんな種類あるみたいだから、好きなの買おう」
そう言い、リアラはワゴン車へ向かっていく。ダンテもそれに続く。
「プレーンとチョコと…あ、苺あるよ」
「じゃあ苺」
「ふふ、やっぱりね。じゃあ、私はプレーンにしようかな」
お金を払い、それぞれチュロスをもらうと、二人は帰り道を歩き始めた。
「ん、おいしい」
「うまいな」
「よかったね。これもおいしいよ、食べる?」
「ん」
リアラが自分の分を差し出すと、ダンテはそれにかじりつく。
モゴモゴと口を動かすと、うまい、と笑った。
「よかった」
「サンキュ。リアラも食うか?」
「え?」
ずい、と目の前に苺のチュロスを差し出されて、リアラは目を瞬かせる。
「ほら」
「あ、うん」
ダンテに促され、リアラは目の前のチュロスを一口分食べる。
モコモコと口を動かすリアラに、ダンテが尋ねる。
「どうだ?」
「うん…おいしい」
「だろ?」
そう言ってニカッと笑う若に、何だか恥ずかしくなったリアラは顔を逸らす。
「どうした?顔真っ赤だぞ」
「何でもない」
ごまかすように早足で歩き始めたリアラに、ダンテは慌ててついていく。
(あんなことされると思わなかった…)
予想外のことに混乱してしまったリアラは、結局、事務所に着くまでダンテの顔を見れなかった。
大きな欠伸をしながら、ダンテは階段を下りる。
昨夜はシャワーを浴び、夕食を食べた後、すぐに眠ってしまった。彼女の話で納得したとはいえ、いろんなことがありすぎて疲れていたようだ。
「あれ?」
ダンテはリビングを見回す。リアラの姿はなく、いるのは彼女の魔具であるらしいケルベロスだけだ。
ダンテに気づいたケルベロスは口を開く。
「やっと起きたか」
「リアラは?」
「買い物に行っている。お前の服を買ってくると言っていた」
お前はここにある食事を食べていろ、と言われ、ダンテがテーブルに視線を移すと、トーストとベーコンエッグが置いてあった。出かける前に、リアラが作ってくれたのだろう。
ソファに腰かけ、ダンテが朝食を食べていると、ギイッ、と音を立てて事務所の扉が開いた。
「ただいま、ケルベロス。あ、おはよう、ダンテ」
姿を現したのはリアラだった。手には紙袋を持っている。
ソファから下りたケルベロスがリアラに近寄ると、リアラは屈んでケルベロスの頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細め、クゥン、とケルベロスが鳴く。
「お帰り、リアラ。あ、朝飯もらってるぜ」
「今食べてるの?一時間前に作ったから、冷めてるんじゃない?」
作り直そうか?と言うリアラに、ダンテは首を振る。
「いや、用意してもらっただけで十分だ。気にすんな。それに、冷めても十分上手いしな」
「大したもの作ってないよ」
苦笑すると、リアラはダンテの前に紙袋を掲げる。
「ダンテの服買ってきたから、食べたらこれに着替えて。その服だと動き辛いでしょ?」
「サンキュ、助かる」
「いいえ」
どういたしまして、と言い、リアラはキッチンへ消えていく。
とりあえず食べてしまおうと、ダンテは手にしていたトースターをほおばった。
洗い物を済ませ、リアラがケルベロスと一緒にリビングでくつろいでいると、二階からダンテが下りてきた。気づいたリアラが声をかける。
「サイズどう?ブカブカだったりしない?」
「ぴったりだぜ。ありがとな、リアラ」
「どういたしまして」
リアラが微笑むと、ダンテはリアラの向かいのソファに座る。
ダンテは黒のタンクトップに緑のカーゴパンツを履いていた。元々ダンテが着ていたという服の情報を参考にしてリアラが選んだものだ。さすがに裸コートは困るので、シャツを買ってきたが。
「なあ、これからどうするんだ?」
「うーん…食料がなくなりそうだから、買い物行こうかなー、とは思ってるけど」
「ふーん…。なあ、俺もついて行っていいか?」
一人でいると退屈そうでさ、と言うダンテにリアラは頷く。
「いいよ、じゃあ一緒に行こっか」
特に断る理由もないし、彼の気晴らしになるのならいいだろう。
リアラが微笑むと、ダンテも嬉しそうに笑った。
「賑やかだね」
「そうだな」
二人はスラム街から少し離れた、大通りの商店街に来ていた。
スラム街と比べて比較的治安のいいこの場所は、日中ということもあるだろうが、活気があり、行き交う人々で賑わっていた。
「何にしようかなー…。ダンテ、お昼と晩ご飯、何がいい?」
「どっちもピザがいい」
「どっちもは止めようよ…せめて晩ご飯ね」
歩きながら昼食と夕食の献立を決めていると、ふいにダンテがリアラをじっと見つめた。
「どうしたの?」
「いや…そういう服着るんだなーと思って」
リアラは碧のタンクトップに薄手のブラウンのカーディガン、白いショートパンツを履いていた。ショートパンツから伸びた脚に日の光が当たって、彼女の肌の白さをより際立たせている。
「あんまり、女の子らしいの好きじゃないから…」
苦笑するリアラの頭を、ダンテは優しく撫でてやる。
「別に責めてるわけじゃねえよ。リアラはリアラらしくでいいだろ」
「ダンテ…」
リアラはダンテを見上げる。
元の姿より身長が低いとはいえ、二人には頭一つ分の差がある。だから自然と見上げる形になるのだが、見上げた先にあったダンテの優しい目が元の姿とダンテと重なる。
(『今』も昔も、優しいところは同じだな…)
くすりと笑ったリアラに、ダンテは首を傾げる。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
行こう、とダンテの手を取り、リアラは歩きだした。
一時間かけて買い物を終えた二人が歩いていると、ふいにリアラが足を止めた。
「あ」
「どうした?」
「チュロス売ってる」
ダンテがリアラの指差した方を見ると、赤い屋根のかかった小さなワゴン車があった。たくさんのチュロスが並べられており、甘く香ばしい香りが漂ってくる。
「一つ買っていこうかな…ダンテも食べる?」
「いいのか?」
「うん。いろんな種類あるみたいだから、好きなの買おう」
そう言い、リアラはワゴン車へ向かっていく。ダンテもそれに続く。
「プレーンとチョコと…あ、苺あるよ」
「じゃあ苺」
「ふふ、やっぱりね。じゃあ、私はプレーンにしようかな」
お金を払い、それぞれチュロスをもらうと、二人は帰り道を歩き始めた。
「ん、おいしい」
「うまいな」
「よかったね。これもおいしいよ、食べる?」
「ん」
リアラが自分の分を差し出すと、ダンテはそれにかじりつく。
モゴモゴと口を動かすと、うまい、と笑った。
「よかった」
「サンキュ。リアラも食うか?」
「え?」
ずい、と目の前に苺のチュロスを差し出されて、リアラは目を瞬かせる。
「ほら」
「あ、うん」
ダンテに促され、リアラは目の前のチュロスを一口分食べる。
モコモコと口を動かすリアラに、ダンテが尋ねる。
「どうだ?」
「うん…おいしい」
「だろ?」
そう言ってニカッと笑う若に、何だか恥ずかしくなったリアラは顔を逸らす。
「どうした?顔真っ赤だぞ」
「何でもない」
ごまかすように早足で歩き始めたリアラに、ダンテは慌ててついていく。
(あんなことされると思わなかった…)
予想外のことに混乱してしまったリアラは、結局、事務所に着くまでダンテの顔を見れなかった。