どーしたってムリ!
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持ちかえったのは1人と1匹で食べきれるサイズの小さなタコ。
生きていると流石の私も少しはグロテスクだとは思ってはいた。
けれど、"これは美味しい生き物だ"
と、すっかり味をしめているので特に抵抗も無くうねうねとタライの中で蠢く8本足の生き物を眺めてみた。
「こんなに活きがよくて美味しそうなのに、皆食べ物じゃないっていうんだよね…。」
「食文化の違いは如何ともし難い。
海の幸の種類に関しては日本が恋しいな。」
「そうだね。
……さ、ネロが帰ってくる前に茹でて、小さくカットしとかないと。」
いくらなんでも元が分からなくなるほどカットしてしまえば問題ないだろう。
そう、行動に移し、調理を初めて半時が過ぎたころだった。
しっかり茹であがったタコの頭はシャティの大好物。
昔は猫だと思っていたため、丸々をあげることはなかったのだが
悪魔と知った今ではそんなことは関係なく、ノーカットの大サービスで餌皿に乗せた。
と同時に、玄関のドアが開く音がする。
「ただいまー。」
「「!?」」
「逢夏ー…あ、いた。
どうした?そんなところでしゃがみこんで。」
「う…ううん!特に何も!
シャティにご飯あげてただけ…!」
「へぇ…、シャティに飯、ね。
じゃあ、逢夏。
後ろに何を隠してるんだ?」
見せてはいけない。
咄嗟に判断し、皿を後ろ手に持って、ネロの目から隠し通そうとしたが…これがいけなかった。
一挙手一投足の僅かな動きに対する考察判断と感はネロの方が鋭いのだから。
「これ、はぁ…。」
「これは?」
「……その、…ごめんなさい。」
怪訝な色をにじませる青い双眸に見つめられ、しぶしぶ差し出した皿。
皿の上に乗った物体を見るなり、予想通りネロの口からは声にならない悲鳴…のようなものが微かに漏れた。
----------------------------
塩もみ時の生状態を見たこともあってか、茹でられた頭を見て気絶することはなんとか、『なんとか』免れた。
また、私とシャティの必死の説得の甲斐あって不本意そうにもネロはタコを食材と認めたようだった。
少なくとも
「うわっ…、……気持ち悪。」
「…ネロ、これは我の食事なのだが?
そのように端をつつくな。」
「って言われても…。
気になるし。」
シャティが食らいつく様を見つめつつ、タコ頭を右手人差し指でつつき始めるくらいには。
それにしても右手、である。
左手で触れるようになるのはいつのことやら…と考えたものの、いや、一生その時が来ることはないだろうと結論を出すの易かった。
「…なぁ、まさか今日の夕飯にこれが出るとか…やっぱりあるよな?」
「これ?
…あぁ、タコを食べるのは私だけだからネロには別のものを用意するよ。」
「お前だけって…。」
そう言いながら、私を振り返り見るネロの目と声音はいじけた子どもそのもの。
悔しそうで、でもどーしたって無理なんだって切々と訴える必死な態度。
だと思ったのだが、突然。
ネロは意を決した眼差しで私を見つめるなり、思いもよらぬ発言をしたのだった。
生きていると流石の私も少しはグロテスクだとは思ってはいた。
けれど、"これは美味しい生き物だ"
と、すっかり味をしめているので特に抵抗も無くうねうねとタライの中で蠢く8本足の生き物を眺めてみた。
「こんなに活きがよくて美味しそうなのに、皆食べ物じゃないっていうんだよね…。」
「食文化の違いは如何ともし難い。
海の幸の種類に関しては日本が恋しいな。」
「そうだね。
……さ、ネロが帰ってくる前に茹でて、小さくカットしとかないと。」
いくらなんでも元が分からなくなるほどカットしてしまえば問題ないだろう。
そう、行動に移し、調理を初めて半時が過ぎたころだった。
しっかり茹であがったタコの頭はシャティの大好物。
昔は猫だと思っていたため、丸々をあげることはなかったのだが
悪魔と知った今ではそんなことは関係なく、ノーカットの大サービスで餌皿に乗せた。
と同時に、玄関のドアが開く音がする。
「ただいまー。」
「「!?」」
「逢夏ー…あ、いた。
どうした?そんなところでしゃがみこんで。」
「う…ううん!特に何も!
シャティにご飯あげてただけ…!」
「へぇ…、シャティに飯、ね。
じゃあ、逢夏。
後ろに何を隠してるんだ?」
見せてはいけない。
咄嗟に判断し、皿を後ろ手に持って、ネロの目から隠し通そうとしたが…これがいけなかった。
一挙手一投足の僅かな動きに対する考察判断と感はネロの方が鋭いのだから。
「これ、はぁ…。」
「これは?」
「……その、…ごめんなさい。」
怪訝な色をにじませる青い双眸に見つめられ、しぶしぶ差し出した皿。
皿の上に乗った物体を見るなり、予想通りネロの口からは声にならない悲鳴…のようなものが微かに漏れた。
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塩もみ時の生状態を見たこともあってか、茹でられた頭を見て気絶することはなんとか、『なんとか』免れた。
また、私とシャティの必死の説得の甲斐あって不本意そうにもネロはタコを食材と認めたようだった。
少なくとも
「うわっ…、……気持ち悪。」
「…ネロ、これは我の食事なのだが?
そのように端をつつくな。」
「って言われても…。
気になるし。」
シャティが食らいつく様を見つめつつ、タコ頭を右手人差し指でつつき始めるくらいには。
それにしても右手、である。
左手で触れるようになるのはいつのことやら…と考えたものの、いや、一生その時が来ることはないだろうと結論を出すの易かった。
「…なぁ、まさか今日の夕飯にこれが出るとか…やっぱりあるよな?」
「これ?
…あぁ、タコを食べるのは私だけだからネロには別のものを用意するよ。」
「お前だけって…。」
そう言いながら、私を振り返り見るネロの目と声音はいじけた子どもそのもの。
悔しそうで、でもどーしたって無理なんだって切々と訴える必死な態度。
だと思ったのだが、突然。
ネロは意を決した眼差しで私を見つめるなり、思いもよらぬ発言をしたのだった。