「お待たせしました」

「お、ありがとな」

「すまないな」

「いいえ」


笑って返し、リアラはテーブルにアイスティーの入ったコップを二つ置く。
ふいに、何か思いついたように髭が言った。


「そうだ、海でも行くか？」


髭の言葉に、リアラは首を傾げる。


「海に？」

「ああ。お前、一昨日レディと出かけた時に水着買ったんだろ？」

「え!?何で知ってるんですか!?」


リアラは目を見開く。
確かに、一昨日レディと出かけた時にたまたま水着を見ていて、レディに「夏なんだから、一度くらい海に連れて行ってもらいなさいよ」と言われ、戸惑っている内に彼女の勢いに押され、半ば強引に水着を買わされてしまったのだ。
髭は笑いながら答える。


「お前とレディが事務所に戻ってきた時、レディに『上手く言いくるめて水着買わせたから、一度くらい海に連れて行ってやりなさいよ。リアラの水着姿見るチャンスよ』って言われちまってな」


そう言われたら見るしかないだろ？と答える髭は悪戯っ子のように目を輝かせている。
思わずリアラは頭を抱える。


「レディ…」


そういえばあの時、レディが髭に向かって何か言っていた。そんな余計なこと、言わなくていいのに。
髭は肘をつきながらリアラに問いかける。


「で、どうするんだ？」

「どうするって言われても…」


行きたいといえば行きたいのだが、水着姿を見られると思うとすごく恥ずかしい。


「行こうぜ！海とかサイコーじゃん！ネロはどうなんだ？」

「俺も行けるなら行ってみたいけど…」

「俺はどちらでも構わない」

「だとさ。リアラは行きたくないのか？」

「行ければ行きたいですけど…」


そう言いつつ、リアラは懸念事項を上げていく。