Endless nightmare
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走り続けるとようやくマネキンに一切埋め尽くされていない壁が見えた。
そしてその真ん中には小さな扉が一つ。
逃げ場を求め、轟音を背に扉にと走るがあと少しというところまで近づいてようやく扉が鎖で雁字搦めにされていることに気がついた。
手を伸ばして掴んだドアノブも鍵がかかっており、何度も回すが開く気配はない。
「そんなっ…、お願いっ…お願いだから開いて。
……っ、ネロ…ネロぉ!!」
後ろに迫る音を聞けば、振り向かずとも分かる。
体を震わせる地鳴りのような音、人形のスピードは壁を前にして落ちるどころか上がっている…このままでは押しつぶされかねない。
想像に焦り、思わず声を上げ呼ぶのは愛しい人の名。
その声が届くとは逢夏もさらさら思っていなかった、がしかし。
「逢夏ッ!!」
名を呼び返す声と人形が吹き飛ばされる音が響く。
期待に振り向くとそこには待ちわびた人がマネキン達の進路を塞ぐようにレッドクイーンを構えて立っていた。
「ネロ、…よかった。
会いたかった!」
「くるな!」
「え…。」
「話は後で聞く、今はとにかく逃げろ!」
ネロは銃口を逢夏に向けたかと思うと続けざまに発砲。
思わず身を丸くする逢夏だったがすぐそばで鎖が床に落ちる重い音がすぐ下から聞こえた瞬間に顔を上げた。
銃弾は鎖だけではなく鍵をも打ち破り、びくともしなかったドアはゆっくりと開く。
「行け!
俺もすぐに行く!」
「…、うんっ!」
ネロに頷いて見せ、そして逢夏は暗いドアの向こうへ。
銃撃と剣と金属のぶつかり合う音を背に再び走り出した。
------------------------------
走ってどのくらいたっただろうか。
立ち止まって辺りを見渡すとそこは寂れた倉庫から豪奢な洋館の中だった。
窓の外を見ると外は暗く、雷が鳴り、雨が激しくガラスを打つ。
胸に手を当て、呼吸を整える逢夏はゆっくりと屋敷の真ん中に構える中階段の段に腰を預けた。
倉庫からどこをどう走ってここまで来たのか記憶がない。
時間の感覚すら曖昧でネロと分かれて何分たったか、それとも既に1時間以上か…それすらも分からなかった。
「…ネロ、…大丈夫、かな。
っ!?」
ポツリと呟き、心配のあまりに顔を手で覆う逢夏。
そこに目の前の大きな扉が錆び付いた蝶番を無理矢理動かすような耳障りな音を響かせ開く。
次には屋敷のエントランスホールに差し込んだ雷の光がドアを開けた者を照らし出した。
ドアが閉まると屋敷の中が嘘のように静まり返り、俯いたままでずぶ濡れのその人物の髪や裾から滴る雫が床に落ちる音だけがその場を支配する。
「ネロ?
~~~~っ、よかった!
心配したの…私、私っ…。」
絡まりそうになる足をなんとか振り上げ、立ち尽くすネロに駆け寄る逢夏はずぶ濡れなのも気に留めずにネロに抱きつく。
…しかし、すぐさまその異変に気付いた。
「………ね、…ろ?」
嗅覚に訴える錆っぽい匂い。
背に回した腕に感じた人間のものではない無機質な固さ。
一瞬でその理由を悟り、しかし心の底で否定しながらゆっくり…ゆっくりと見上げたそこには
「いや…っ、いやぁああああ!!!」
生気のない人形の顔。
血に濡れた服を纏った、人形となったネロがそこにあった。
想像が現実になったショックで逢夏は口の中の叫び声を小さく漏らしながら後ずさる。
その間にも伸びる人形の手は逢夏の首を掴んだ。
振り払おうにも人形の力は強く、呼吸を奪うためだけにその細い首を絞め始める。
他でもない、愛しい人と同じような手で。
もがきながら白んでいく視界。
視界だけではなく頭の中も白く、…そして次の瞬間には電源を切ったテレビのように真っ黒に塗りつぶされ逢夏は意識を失った。
--------------------------
気がつくとマネキンが積み上げられた倉庫の中にいた。
何故こんなところにいるのか、逢夏は首を傾げて辺りを見渡す。
「誰かー、…誰かいませんかー?」
上げた声は反響して自らに戻ってくる。
広い倉庫では心細いくらい小さな裸電球がいくつもマネキンの間から垂れ下がり辺りを不気味に照らす中、逢夏は一歩を踏み出した。
「すみませーん!
誰かーー!
…あれ?」
知らないはずの倉庫の中、声を上げて。
しかしふと、"ここに来た事があるような気がする"そんな気分になりながら。
そしてその真ん中には小さな扉が一つ。
逃げ場を求め、轟音を背に扉にと走るがあと少しというところまで近づいてようやく扉が鎖で雁字搦めにされていることに気がついた。
手を伸ばして掴んだドアノブも鍵がかかっており、何度も回すが開く気配はない。
「そんなっ…、お願いっ…お願いだから開いて。
……っ、ネロ…ネロぉ!!」
後ろに迫る音を聞けば、振り向かずとも分かる。
体を震わせる地鳴りのような音、人形のスピードは壁を前にして落ちるどころか上がっている…このままでは押しつぶされかねない。
想像に焦り、思わず声を上げ呼ぶのは愛しい人の名。
その声が届くとは逢夏もさらさら思っていなかった、がしかし。
「逢夏ッ!!」
名を呼び返す声と人形が吹き飛ばされる音が響く。
期待に振り向くとそこには待ちわびた人がマネキン達の進路を塞ぐようにレッドクイーンを構えて立っていた。
「ネロ、…よかった。
会いたかった!」
「くるな!」
「え…。」
「話は後で聞く、今はとにかく逃げろ!」
ネロは銃口を逢夏に向けたかと思うと続けざまに発砲。
思わず身を丸くする逢夏だったがすぐそばで鎖が床に落ちる重い音がすぐ下から聞こえた瞬間に顔を上げた。
銃弾は鎖だけではなく鍵をも打ち破り、びくともしなかったドアはゆっくりと開く。
「行け!
俺もすぐに行く!」
「…、うんっ!」
ネロに頷いて見せ、そして逢夏は暗いドアの向こうへ。
銃撃と剣と金属のぶつかり合う音を背に再び走り出した。
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走ってどのくらいたっただろうか。
立ち止まって辺りを見渡すとそこは寂れた倉庫から豪奢な洋館の中だった。
窓の外を見ると外は暗く、雷が鳴り、雨が激しくガラスを打つ。
胸に手を当て、呼吸を整える逢夏はゆっくりと屋敷の真ん中に構える中階段の段に腰を預けた。
倉庫からどこをどう走ってここまで来たのか記憶がない。
時間の感覚すら曖昧でネロと分かれて何分たったか、それとも既に1時間以上か…それすらも分からなかった。
「…ネロ、…大丈夫、かな。
っ!?」
ポツリと呟き、心配のあまりに顔を手で覆う逢夏。
そこに目の前の大きな扉が錆び付いた蝶番を無理矢理動かすような耳障りな音を響かせ開く。
次には屋敷のエントランスホールに差し込んだ雷の光がドアを開けた者を照らし出した。
ドアが閉まると屋敷の中が嘘のように静まり返り、俯いたままでずぶ濡れのその人物の髪や裾から滴る雫が床に落ちる音だけがその場を支配する。
「ネロ?
~~~~っ、よかった!
心配したの…私、私っ…。」
絡まりそうになる足をなんとか振り上げ、立ち尽くすネロに駆け寄る逢夏はずぶ濡れなのも気に留めずにネロに抱きつく。
…しかし、すぐさまその異変に気付いた。
「………ね、…ろ?」
嗅覚に訴える錆っぽい匂い。
背に回した腕に感じた人間のものではない無機質な固さ。
一瞬でその理由を悟り、しかし心の底で否定しながらゆっくり…ゆっくりと見上げたそこには
「いや…っ、いやぁああああ!!!」
生気のない人形の顔。
血に濡れた服を纏った、人形となったネロがそこにあった。
想像が現実になったショックで逢夏は口の中の叫び声を小さく漏らしながら後ずさる。
その間にも伸びる人形の手は逢夏の首を掴んだ。
振り払おうにも人形の力は強く、呼吸を奪うためだけにその細い首を絞め始める。
他でもない、愛しい人と同じような手で。
もがきながら白んでいく視界。
視界だけではなく頭の中も白く、…そして次の瞬間には電源を切ったテレビのように真っ黒に塗りつぶされ逢夏は意識を失った。
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気がつくとマネキンが積み上げられた倉庫の中にいた。
何故こんなところにいるのか、逢夏は首を傾げて辺りを見渡す。
「誰かー、…誰かいませんかー?」
上げた声は反響して自らに戻ってくる。
広い倉庫では心細いくらい小さな裸電球がいくつもマネキンの間から垂れ下がり辺りを不気味に照らす中、逢夏は一歩を踏み出した。
「すみませーん!
誰かーー!
…あれ?」
知らないはずの倉庫の中、声を上げて。
しかしふと、"ここに来た事があるような気がする"そんな気分になりながら。