家事だって大変なんです
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「うーん、やっぱり埃残ってる…」
ダンテに洗濯で使う洗剤とやり方を教え、リビングに戻ってきたディーヴァは指で床をなぞってついた埃に軽くため息をつく。
元々、掃除などしたことのなかったダンテだ、やり直しになるだろうなと何となく思っていたのだが、やっぱり正解だった。
「でも、棚とか天井のシーリングファンはちゃんときれいになってるし、助かったところもある、かな」
棚や天井のシーリングファンを水拭きし、床の掃除を始めるところまではちょこちょこ指示を出していたから、そこはちゃんときれいになっている。身長の低い自分が掃除をするのに苦労している部分だし、背の高いダンテがやってくれて助かったのは本当だ。
「さて、ダンテが戻ってくるまでにやろうかな」
服の袖を捲り、ディーヴァが箒を取りに行こうとしたその時。
ガタガタンッ!
「えっ、何、今の音!」
何かが大きく揺れる音に、ディーヴァは驚く。しかも、その音は脱衣所からしたような…。
嫌な予感がして、ディーヴァは急いで脱衣所に向かう。
「ダンテ!何し…」
脱衣所の扉を開けたディーヴァは、目の前の光景に絶句する。
大きな音の正体は洗濯機だったようで、蓋から大量の泡が溢れ、周りが泡塗れになっている。許容量を超えているとでもいうようにガタガタと音を立て続ける洗濯機の前に立っていたダンテがこちらに気づき、声を上げる。
「ディーヴァ!これ、どうすればいい!?」
「まずは洗濯機止めて!早く!」
慌てるダンテの声にはっと我に返り、叫びながらディーヴァは洗濯機の元に走り、電源のボタンを押す。動きを止め、泡が溢れるのは収まったものの、周りは泡塗れだ。
気まずい沈黙の中、ディーヴァが口を開く。
「…どうしてこうなったの」
「さ、さあ…」
「…ダンテ、洗剤どれくらい入れた?」
「え、えーっと…このくらい」
ダンテが示した数に、ディーヴァは目を見開く。
「それ、この洗濯物に使う量の倍じゃない!入れすぎ!ダンテ、ちゃんと容れ物の説明書読んだ!?」
「いや、たくさん入れればきれいになるかなー、と…」
「バカ!!どうするのよ、これ!洗濯やり直さなきゃだし、周りも掃除しなきゃだし、二度手間じゃない!」
「…ごめん…」
シュンとするダンテに大きなため息を吐き、ディーヴァは続ける。
「…いいよ、教えなかったあたしが悪かった。とりあえず、この泡どうにかしよう」
「ああ」
頷くダンテを横目に、ディーヴァは掃除用具を取りに動いた。
「…はぁ、ディーヴァ怒らせちまったな」
ベランダで洗濯物を干しながら、ダンテは大きなため息をつく。
「ディーヴァを楽させるためにアレコレやってんのに、結局手伝ってもらってるし…家事って大変だな」
ディーヴァはというと、洗濯機を回している間の時間を利用してリビングの床を掃除し直している。本当は自分が洗濯をしている間にこっそり終わらせるつもりだったらしいが、あんなことになってしまったため、一緒に洗濯機の周りを掃除して自分に洗濯物の干し方を教えてからリビングに向かった。おそらく、もう少ししたら終わるだろう。手際の良さにただただ感心してしまう。
「さてと、あとは…ん?」
そんなことを考えつつ、洗濯籠に手を伸ばしたダンテは動きを止める。
少しの間を置き、ダンテはそれを籠の中から取り出す。白い生地に同じく白いレースで縁取られた、これは…。
「ディーヴァのパンツ…」
間違いない。女物の下着を使うのなんて、ここには一人しかいない。いかにも彼女が使いそうなかわいらしい下着に、ダンテはいやらしい笑みを浮かべる。
「白か…いかにもディーヴァが着けそうな色だな。どれどれ…」
ためらいもなくディーヴァの下着に顔を近づけ、ダンテは息を深く吸い込む。
「んー、脱いだあとのディーヴァの下着の匂いもいいけど、洗い立ての下着の匂いもいいな!」
誰がどう見ても変態にしか見えないことをここぞとばかりにやるダンテ。しまいには思いっきり下着に顔を押しつけている。
だが、どうやらタイミングが悪かったようだ。
「ダンテー、洗濯物干し終わ…」
ガチャリと扉を開けて姿を現したディーヴァは、見たことのある物に顔を押しつけているダンテの姿に動きを止める。その間、数十秒。
「……っ、ダンテ何やってんのよ!この変態!!」
「ぐふおっ!」
ディーヴァが繰り出した右ストレートに、ダンテは呻き声を上げる。ダンテの手から素早く自分の下着を取り返したディーヴァの罵声が飛ぶ。
「ダンテに洗濯物干すの任せたあたしが馬鹿だった!ずっとここにいれば!?」
バンッ!と勢いよく閉められた扉を前に、ダンテは自分の運のなさを呪ったのだった。
翌日。
「ただいまー、ダンテ」
「お帰り、ディーヴァ。さっそくで悪いんだけどさ、渡したいものがあるから座ってくれないか?」
「渡したいもの?」
「ああ」
帰ってきて早々告げられた言葉に首を傾げつつも、言われた通りにディーヴァがソファに座ると、後ろからダンテが何かを手渡してきた。
「これ。いつもありがとう、ディーヴァ」
「あ…」
ディーヴァの目の前に差し出されたのは、大輪の赤い薔薇の花束と、白い箱。箱からふわりと香る匂いに、ディーヴァは目を瞬かせる。
「これ…チョコレート?」
「ああ、しかもディーヴァの好きなリンゴのコンフィチュールが入ったやつな」
「リンゴ!?」
好物の名前に、ディーヴァは目を輝かせる。開けてみろよ、とダンテに促され、ディーヴァが白い箱を開けると、きれいに仕切られた中に黒い紙製のカップに入った一口大のホワイトチョコレートが並んでいる。
「おいしそう…!」
「うまそうだろ?」
「うん!…でも、いきなりどうしたの?しかも、これ有名なお店のやつじゃない」
箱の蓋にはテレビのCMでよく見る有名店の名前が印刷されている。なかなか手が出せない値段だし、買うのも大変だったろうに…。
ディーヴァの問いに、ダンテは照れくさそうに頬を掻きつつ答える。
「その、さ、昨日家事やってみてわかったんだよ。すげえ大変なんだなって。ある意味、悪魔とやりあうより疲れるな、あれ」
「ダンテ…」
「だからさ、その、いつもの感謝を込めて、さ。ありがとう、ディーヴァ」
ダンテの言葉が、ディーヴァの胸にじわりと染みる。
ディーヴァは後ろを振り向くと、勢いよくダンテに抱きつく。
「お、っと」
「ありがとう、ダンテ!大好き!」
「オレもだよ、ディーヴァ」
ディーヴァを抱きしめ、ダンテはディーヴァの頬にキスをする。それを嬉しそうに受け入れたディーヴァは、ソファから立ち上がる。
「せっかくだから一緒に食べよ!薔薇活けて、それから紅茶淹れてくるね!」
「ああ」
頷くダンテに笑いかけ、ディーヴァは花瓶を探しに歩き出した。
ダンテに洗濯で使う洗剤とやり方を教え、リビングに戻ってきたディーヴァは指で床をなぞってついた埃に軽くため息をつく。
元々、掃除などしたことのなかったダンテだ、やり直しになるだろうなと何となく思っていたのだが、やっぱり正解だった。
「でも、棚とか天井のシーリングファンはちゃんときれいになってるし、助かったところもある、かな」
棚や天井のシーリングファンを水拭きし、床の掃除を始めるところまではちょこちょこ指示を出していたから、そこはちゃんときれいになっている。身長の低い自分が掃除をするのに苦労している部分だし、背の高いダンテがやってくれて助かったのは本当だ。
「さて、ダンテが戻ってくるまでにやろうかな」
服の袖を捲り、ディーヴァが箒を取りに行こうとしたその時。
ガタガタンッ!
「えっ、何、今の音!」
何かが大きく揺れる音に、ディーヴァは驚く。しかも、その音は脱衣所からしたような…。
嫌な予感がして、ディーヴァは急いで脱衣所に向かう。
「ダンテ!何し…」
脱衣所の扉を開けたディーヴァは、目の前の光景に絶句する。
大きな音の正体は洗濯機だったようで、蓋から大量の泡が溢れ、周りが泡塗れになっている。許容量を超えているとでもいうようにガタガタと音を立て続ける洗濯機の前に立っていたダンテがこちらに気づき、声を上げる。
「ディーヴァ!これ、どうすればいい!?」
「まずは洗濯機止めて!早く!」
慌てるダンテの声にはっと我に返り、叫びながらディーヴァは洗濯機の元に走り、電源のボタンを押す。動きを止め、泡が溢れるのは収まったものの、周りは泡塗れだ。
気まずい沈黙の中、ディーヴァが口を開く。
「…どうしてこうなったの」
「さ、さあ…」
「…ダンテ、洗剤どれくらい入れた?」
「え、えーっと…このくらい」
ダンテが示した数に、ディーヴァは目を見開く。
「それ、この洗濯物に使う量の倍じゃない!入れすぎ!ダンテ、ちゃんと容れ物の説明書読んだ!?」
「いや、たくさん入れればきれいになるかなー、と…」
「バカ!!どうするのよ、これ!洗濯やり直さなきゃだし、周りも掃除しなきゃだし、二度手間じゃない!」
「…ごめん…」
シュンとするダンテに大きなため息を吐き、ディーヴァは続ける。
「…いいよ、教えなかったあたしが悪かった。とりあえず、この泡どうにかしよう」
「ああ」
頷くダンテを横目に、ディーヴァは掃除用具を取りに動いた。
「…はぁ、ディーヴァ怒らせちまったな」
ベランダで洗濯物を干しながら、ダンテは大きなため息をつく。
「ディーヴァを楽させるためにアレコレやってんのに、結局手伝ってもらってるし…家事って大変だな」
ディーヴァはというと、洗濯機を回している間の時間を利用してリビングの床を掃除し直している。本当は自分が洗濯をしている間にこっそり終わらせるつもりだったらしいが、あんなことになってしまったため、一緒に洗濯機の周りを掃除して自分に洗濯物の干し方を教えてからリビングに向かった。おそらく、もう少ししたら終わるだろう。手際の良さにただただ感心してしまう。
「さてと、あとは…ん?」
そんなことを考えつつ、洗濯籠に手を伸ばしたダンテは動きを止める。
少しの間を置き、ダンテはそれを籠の中から取り出す。白い生地に同じく白いレースで縁取られた、これは…。
「ディーヴァのパンツ…」
間違いない。女物の下着を使うのなんて、ここには一人しかいない。いかにも彼女が使いそうなかわいらしい下着に、ダンテはいやらしい笑みを浮かべる。
「白か…いかにもディーヴァが着けそうな色だな。どれどれ…」
ためらいもなくディーヴァの下着に顔を近づけ、ダンテは息を深く吸い込む。
「んー、脱いだあとのディーヴァの下着の匂いもいいけど、洗い立ての下着の匂いもいいな!」
誰がどう見ても変態にしか見えないことをここぞとばかりにやるダンテ。しまいには思いっきり下着に顔を押しつけている。
だが、どうやらタイミングが悪かったようだ。
「ダンテー、洗濯物干し終わ…」
ガチャリと扉を開けて姿を現したディーヴァは、見たことのある物に顔を押しつけているダンテの姿に動きを止める。その間、数十秒。
「……っ、ダンテ何やってんのよ!この変態!!」
「ぐふおっ!」
ディーヴァが繰り出した右ストレートに、ダンテは呻き声を上げる。ダンテの手から素早く自分の下着を取り返したディーヴァの罵声が飛ぶ。
「ダンテに洗濯物干すの任せたあたしが馬鹿だった!ずっとここにいれば!?」
バンッ!と勢いよく閉められた扉を前に、ダンテは自分の運のなさを呪ったのだった。
翌日。
「ただいまー、ダンテ」
「お帰り、ディーヴァ。さっそくで悪いんだけどさ、渡したいものがあるから座ってくれないか?」
「渡したいもの?」
「ああ」
帰ってきて早々告げられた言葉に首を傾げつつも、言われた通りにディーヴァがソファに座ると、後ろからダンテが何かを手渡してきた。
「これ。いつもありがとう、ディーヴァ」
「あ…」
ディーヴァの目の前に差し出されたのは、大輪の赤い薔薇の花束と、白い箱。箱からふわりと香る匂いに、ディーヴァは目を瞬かせる。
「これ…チョコレート?」
「ああ、しかもディーヴァの好きなリンゴのコンフィチュールが入ったやつな」
「リンゴ!?」
好物の名前に、ディーヴァは目を輝かせる。開けてみろよ、とダンテに促され、ディーヴァが白い箱を開けると、きれいに仕切られた中に黒い紙製のカップに入った一口大のホワイトチョコレートが並んでいる。
「おいしそう…!」
「うまそうだろ?」
「うん!…でも、いきなりどうしたの?しかも、これ有名なお店のやつじゃない」
箱の蓋にはテレビのCMでよく見る有名店の名前が印刷されている。なかなか手が出せない値段だし、買うのも大変だったろうに…。
ディーヴァの問いに、ダンテは照れくさそうに頬を掻きつつ答える。
「その、さ、昨日家事やってみてわかったんだよ。すげえ大変なんだなって。ある意味、悪魔とやりあうより疲れるな、あれ」
「ダンテ…」
「だからさ、その、いつもの感謝を込めて、さ。ありがとう、ディーヴァ」
ダンテの言葉が、ディーヴァの胸にじわりと染みる。
ディーヴァは後ろを振り向くと、勢いよくダンテに抱きつく。
「お、っと」
「ありがとう、ダンテ!大好き!」
「オレもだよ、ディーヴァ」
ディーヴァを抱きしめ、ダンテはディーヴァの頬にキスをする。それを嬉しそうに受け入れたディーヴァは、ソファから立ち上がる。
「せっかくだから一緒に食べよ!薔薇活けて、それから紅茶淹れてくるね!」
「ああ」
頷くダンテに笑いかけ、ディーヴァは花瓶を探しに歩き出した。