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一方、髭はリベリオンを、紫乃は守り刀の短刀を使い、家の前で悪魔達を倒していた。
「それにしても、普段は悪魔なんて出ないのに、どうして今日は出たのかしら?」
紫乃が首を傾げると、髭はぽつりと漏らした。
「天使に反応した、とか」
「ディーヴァちゃんに?」
「天使は悪魔にとっちゃご馳走だしな」
言われてみれば確かにそうだ、と紫乃は思った。
悪魔にしてみれば天使は格好の獲物である。
そのご馳走を、貪欲な悪魔が見逃すはずがない。
髭と紫乃は、次々と悪魔を倒す。
攻撃を受けて息絶えた悪魔の血液は流れ落ちる前に結晶に変化し、肉体共々砂塵と化す。
時折フォルトが二人の足元に現れるが避けることは難しくはなく、飛び退いてフォルトが姿を現したところを狙えば良い。
「獲物の真下に現れるなんて羨ましいぜ」
「どうして?」
「だって紫乃がスカート履いてたら──」
「もう! こういう時に何考えてるよの!」
戦闘の最中だというのに、この男の頭の中は相変わらずピンク色だ。
訊くんじゃなかった、と紫乃が呆れて溜息をついた時、背後に気配を感じて振り返れば、アルケニーの赤い目と視線が合った。
その直後、白い糸が紫乃を襲う。
「やっ……!」
瞬時に糸に絡め取られ身動きが取れなくなった。
おまけに優勢と踏んだアルケニーが飛びかかってきたので紫乃は地面に倒れ、アルケニーは鎌状の前肢を振り上げる。
「紫乃!」
アルケニーの前肢が振り下ろされ、痛みを覚悟した。
しかし、その前肢が紫乃を切り裂く前にアルケニーの動きが止まった。
やや離れたところでアサルト達の相手をしていた髭が一瞬で距離を詰め、アルケニーを一撃で砂に帰したからだ。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
髭はリベリオンの剣先で糸を切って紫乃を解放させると、彼女の手を引いて立ち上がらせる。
改めて周囲を見回すと、悪魔の数はあと三体までに減っていた。
倒した数は髭が多く、紫乃は近寄ってくる悪魔を倒す程度。
デビルハンターとしての技量も経験も髭の方が圧倒的に勝っている上、短刀ではリベリオンのリーチの良さにかなわない。
そのため、どうしても倒した数に差が出てしまうのは仕方がないのだが。
「やっぱり短刀じゃ不利だわ。リベリオンには負けちゃうね」
紫乃も魔具を所有しているのだが、今日はアメリカの事務所で留守番をしてもらっているので、日本には連れてきていない。
「だが、切れ味は恐ろしくいい。リベリオンよりも切れるんじゃねぇか?」
元はただの短刀だったが、魔力が込められているため、切れ味に磨きがかかっているように感じられる。
切れ味はリベリオンより上かもな、と髭が笑えば、紫乃も笑みがこぼれる。
それからしばらくもしないうちに地上の悪魔全てを倒し終えた二人は、周囲の気配を探ってみた。
そろそろ若とディーヴァが戻ってきても良い頃だ。
「お、帰ってきたようだ」
少し離れた場所の空間が揺らいだ。
奥の景色がぐにゃりと歪み、異界へ飛ばされた若とディーヴァが姿を現した。
「よっ、と」
若がディーヴァを横抱きにした状態で戻って来た。
「おかえりなさい。二人とも大丈夫?」
「ああ。怪我ひとつしてねぇぜ」
戻ってきた二人を紫乃が気遣えば、若が自信たっぷりに答え、ディーヴァを下ろす。
「悪魔が出たのって……あたしのせい、かな」
少し気落ちした様子のディーヴァがぽつりと呟いた。
過去に一度悪魔が現れたことがあるとはいえ、以降はずっと現れなかった。
それなのに今日突然現れたということは、天使の血族の自分が来たからではないのか。
そんな自問自答を繰り返していると気が滅入ってしまい、思考がどんどん悪い方向へと向かってしまう。
「──そのことは俺もそう思った」
髭が答えれば、俯いていたディーヴァがハッと顔を上げ、不安と困惑の入り混じった表情を見せる。
「確かに天使は悪魔にとってはこの上ないご馳走だ。ましてや戦う術のないお前は格好の獲物だろうな」
「おっさん!」
ディーヴァは天使で、戦う術を持たない。
悪魔にしてみれば、ただの人間よりも喉から手が出るくらいに欲する相手だ。
現実を告げる髭の言葉はそのとおりだ。
けれど、自分を責めるディーヴァに正面きってわざわざ不安がらせることはないだろう。
若が耐えきれずに口を挟んだが、髭は構わずに言葉を続ける。
「でもな、だからといってこいつがお前をいきなり襲ったか?」
ディーヴァは首を横に振る。
「半分悪魔だから本能でお前に迫ることもあるだろうが、理性で抑えて我慢してると思う」
髭が若をちらりと見れば、若は「そりゃもちろん」と言いたげに髭を見つめ返す。
「こいつはお前が好きで、さっきもお前を追いかけて助けに行ったんだぞ。それだけ大事に想われてるってことだ」
ディーヴァはアルケニーに捕らえられてフォルトに飲み込まれた時のことを思い出した。
そう、異界へ送られてすぐに若が来てくれたではないか。
「だから、自分のせいで悪魔が出たなんて思わないでくれ」
「そうよ、ディーヴァちゃん。あなたのせいなんて、誰も思ってないの」
紫乃はそう言い添えると、小声で若を呼び、ディーヴァに話しかけるよう勧めた。
自分や髭より、若が言う方が良いからだと考えたからだ。
「ディーヴァ、お前のせいじゃない。悪魔なんてオレが全部倒してやるから気にすんな」
「……ダンテ……」
不安と困惑の混じったディーヴァの表情が安堵でやわらぎ、ようやくにこりと笑む。
それを見て、一同もほっと胸を撫で下ろした。
「さて、早く家の中に入りましょう。夕食の準備しないと」
今夜はディーヴァの好きなグラタンを作るのだ。
そのことを思い出したディーヴァは、耳聡く聞き取り、反応を示した。
「グラタン! いっぱい作るの!」
もちろんチーズをたっぷりかけて。
ディーヴァの気分が一気に上昇したことに、三人は思わずふき出した。
「ディーヴァは相変わらずチーズが好きだな。そのうち主食がチーズになるんじゃね?」
「そのあとデザートだろ? あとで泣いても知らねぇぞ」
若と髭がからかうように言えば、ディーヴァは口を尖らせて言い返す。
「ふ、増えたら減らせばいいもん!」
「増えた分は胸にいくよう祈っとこ」
「ふむ……紫乃もチーズいっぱい食え」
若はディーヴァを、髭は紫乃を見てニヤニヤと笑う。
「そ、そんな都合良くいくわけないでしょ!」
紫乃はわずかに赤面すると、この話は終わりよ、と区切りをつけてディーヴァの手を引き、玄関の戸を開けて中に入る。
そんな反応を楽しんだダンテ二人は顔を見合わせ、再度笑った。
「おっさん、紫乃の胸でかくしてやれよ」
「任せろ。ディーヴァのサイズを目標にするぜ」
ダンテ同士意気投合したあと、二人は恋人のあとを追って玄関へ向かった。
「それにしても、普段は悪魔なんて出ないのに、どうして今日は出たのかしら?」
紫乃が首を傾げると、髭はぽつりと漏らした。
「天使に反応した、とか」
「ディーヴァちゃんに?」
「天使は悪魔にとっちゃご馳走だしな」
言われてみれば確かにそうだ、と紫乃は思った。
悪魔にしてみれば天使は格好の獲物である。
そのご馳走を、貪欲な悪魔が見逃すはずがない。
髭と紫乃は、次々と悪魔を倒す。
攻撃を受けて息絶えた悪魔の血液は流れ落ちる前に結晶に変化し、肉体共々砂塵と化す。
時折フォルトが二人の足元に現れるが避けることは難しくはなく、飛び退いてフォルトが姿を現したところを狙えば良い。
「獲物の真下に現れるなんて羨ましいぜ」
「どうして?」
「だって紫乃がスカート履いてたら──」
「もう! こういう時に何考えてるよの!」
戦闘の最中だというのに、この男の頭の中は相変わらずピンク色だ。
訊くんじゃなかった、と紫乃が呆れて溜息をついた時、背後に気配を感じて振り返れば、アルケニーの赤い目と視線が合った。
その直後、白い糸が紫乃を襲う。
「やっ……!」
瞬時に糸に絡め取られ身動きが取れなくなった。
おまけに優勢と踏んだアルケニーが飛びかかってきたので紫乃は地面に倒れ、アルケニーは鎌状の前肢を振り上げる。
「紫乃!」
アルケニーの前肢が振り下ろされ、痛みを覚悟した。
しかし、その前肢が紫乃を切り裂く前にアルケニーの動きが止まった。
やや離れたところでアサルト達の相手をしていた髭が一瞬で距離を詰め、アルケニーを一撃で砂に帰したからだ。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
髭はリベリオンの剣先で糸を切って紫乃を解放させると、彼女の手を引いて立ち上がらせる。
改めて周囲を見回すと、悪魔の数はあと三体までに減っていた。
倒した数は髭が多く、紫乃は近寄ってくる悪魔を倒す程度。
デビルハンターとしての技量も経験も髭の方が圧倒的に勝っている上、短刀ではリベリオンのリーチの良さにかなわない。
そのため、どうしても倒した数に差が出てしまうのは仕方がないのだが。
「やっぱり短刀じゃ不利だわ。リベリオンには負けちゃうね」
紫乃も魔具を所有しているのだが、今日はアメリカの事務所で留守番をしてもらっているので、日本には連れてきていない。
「だが、切れ味は恐ろしくいい。リベリオンよりも切れるんじゃねぇか?」
元はただの短刀だったが、魔力が込められているため、切れ味に磨きがかかっているように感じられる。
切れ味はリベリオンより上かもな、と髭が笑えば、紫乃も笑みがこぼれる。
それからしばらくもしないうちに地上の悪魔全てを倒し終えた二人は、周囲の気配を探ってみた。
そろそろ若とディーヴァが戻ってきても良い頃だ。
「お、帰ってきたようだ」
少し離れた場所の空間が揺らいだ。
奥の景色がぐにゃりと歪み、異界へ飛ばされた若とディーヴァが姿を現した。
「よっ、と」
若がディーヴァを横抱きにした状態で戻って来た。
「おかえりなさい。二人とも大丈夫?」
「ああ。怪我ひとつしてねぇぜ」
戻ってきた二人を紫乃が気遣えば、若が自信たっぷりに答え、ディーヴァを下ろす。
「悪魔が出たのって……あたしのせい、かな」
少し気落ちした様子のディーヴァがぽつりと呟いた。
過去に一度悪魔が現れたことがあるとはいえ、以降はずっと現れなかった。
それなのに今日突然現れたということは、天使の血族の自分が来たからではないのか。
そんな自問自答を繰り返していると気が滅入ってしまい、思考がどんどん悪い方向へと向かってしまう。
「──そのことは俺もそう思った」
髭が答えれば、俯いていたディーヴァがハッと顔を上げ、不安と困惑の入り混じった表情を見せる。
「確かに天使は悪魔にとってはこの上ないご馳走だ。ましてや戦う術のないお前は格好の獲物だろうな」
「おっさん!」
ディーヴァは天使で、戦う術を持たない。
悪魔にしてみれば、ただの人間よりも喉から手が出るくらいに欲する相手だ。
現実を告げる髭の言葉はそのとおりだ。
けれど、自分を責めるディーヴァに正面きってわざわざ不安がらせることはないだろう。
若が耐えきれずに口を挟んだが、髭は構わずに言葉を続ける。
「でもな、だからといってこいつがお前をいきなり襲ったか?」
ディーヴァは首を横に振る。
「半分悪魔だから本能でお前に迫ることもあるだろうが、理性で抑えて我慢してると思う」
髭が若をちらりと見れば、若は「そりゃもちろん」と言いたげに髭を見つめ返す。
「こいつはお前が好きで、さっきもお前を追いかけて助けに行ったんだぞ。それだけ大事に想われてるってことだ」
ディーヴァはアルケニーに捕らえられてフォルトに飲み込まれた時のことを思い出した。
そう、異界へ送られてすぐに若が来てくれたではないか。
「だから、自分のせいで悪魔が出たなんて思わないでくれ」
「そうよ、ディーヴァちゃん。あなたのせいなんて、誰も思ってないの」
紫乃はそう言い添えると、小声で若を呼び、ディーヴァに話しかけるよう勧めた。
自分や髭より、若が言う方が良いからだと考えたからだ。
「ディーヴァ、お前のせいじゃない。悪魔なんてオレが全部倒してやるから気にすんな」
「……ダンテ……」
不安と困惑の混じったディーヴァの表情が安堵でやわらぎ、ようやくにこりと笑む。
それを見て、一同もほっと胸を撫で下ろした。
「さて、早く家の中に入りましょう。夕食の準備しないと」
今夜はディーヴァの好きなグラタンを作るのだ。
そのことを思い出したディーヴァは、耳聡く聞き取り、反応を示した。
「グラタン! いっぱい作るの!」
もちろんチーズをたっぷりかけて。
ディーヴァの気分が一気に上昇したことに、三人は思わずふき出した。
「ディーヴァは相変わらずチーズが好きだな。そのうち主食がチーズになるんじゃね?」
「そのあとデザートだろ? あとで泣いても知らねぇぞ」
若と髭がからかうように言えば、ディーヴァは口を尖らせて言い返す。
「ふ、増えたら減らせばいいもん!」
「増えた分は胸にいくよう祈っとこ」
「ふむ……紫乃もチーズいっぱい食え」
若はディーヴァを、髭は紫乃を見てニヤニヤと笑う。
「そ、そんな都合良くいくわけないでしょ!」
紫乃はわずかに赤面すると、この話は終わりよ、と区切りをつけてディーヴァの手を引き、玄関の戸を開けて中に入る。
そんな反応を楽しんだダンテ二人は顔を見合わせ、再度笑った。
「おっさん、紫乃の胸でかくしてやれよ」
「任せろ。ディーヴァのサイズを目標にするぜ」
ダンテ同士意気投合したあと、二人は恋人のあとを追って玄関へ向かった。