mission 12:pirates of the D-M-C ~船長はダンテ~
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「結局濡れたな」
「うん。左の道よりも濡れたね……」
頭は濡れなかったが、その代わりに下半身がぐっしょりと濡れる事になった。
この道はすぐのところが深い池になっている上に、光もささぬ暗闇の洞穴。道は左の方がマシだったようだ。
不服そうなダンテの表情に苦笑が漏れる。
ダンテの膝上まで冷たい水が迫って来ている。
飛沫はかかるが、あと数センチでディーヴァの足も水に浸かるところだ。
「ディーヴァ、少しの間だけ松明持っててくれるか?」
「わかっ、あっ!」
受け取ろうとしたその手は空を切り……ジュッ……松明の火が水に落ちて消えた。
光源が消えた真っ暗闇の中でしばしの沈黙。
「ごめんなさい」
「あー……いい。オレはなんとか見えてるから」
この何も見えない真っ暗な空間でも、ダンテは進むのに事欠かない程度に見えるらしい。
なるほど、悪魔は夜行性だから夜に出現する事が多いのか。なんてちょっと変な事を考えてしまった。まあ半分は正解だろう。
「けどディーヴァは何にも見えないんじゃないか?」
「実はダンテの顔すらほとんど見えない。…………こわい」
真っ暗闇は嫌いだ。
悪魔に初めて襲われる事となったもっと前から嫌いだったが、ダンテに助けられたあの夜。悪魔からの襲撃の中、ひとり部屋で籠城していた時の漆黒の闇。
あれのせいで暗闇は忌まわしき物となった。
あれを思い出すと今でも震えが止まらない。
何年経った?どれほどの時が経とうと、染み付いた恐怖は消えてくれなかった。
「大丈夫だ。オレがついてるのはわかってるだろ?ほら、オレの顔はここだよ」
強張ってしまいダンテに縋り付いた指先を、温かなダンテの手が優しく取った。
その手でダンテの頬をぺたぺたと触らせる。
頬、形良い鼻、男性的な厚い唇、憂いに満ちているであろ表情が伝わってくるまぶたと、小刻みに動く睫毛。
ああ、ダンテだ。ここにいる。感じる。目からの情報がないからこそ、指先からダンテを強く感じる。
「うん………!」
安心を求め、その頬にぴとりと自分の顔を預けた。
「それでも怖かったら目を瞑ってろ」
「ダンテから力をもらったからへーき。それに目を閉じたらホントの真っ暗闇になっちゃう。そっちの方が怖いかも」
「そうか?無理はしないでくれ」
とは言ったものの、真っ暗闇の中でちゃぷちゃぷとダンテが水をかき分けて進む音が恐怖を煽るし、暗がりの中で辛うじて目に見える揺らめいたみなもには恐怖の文字が浮かんでいる。
目の前に広がるのは普通の水のはずなのに、墨汁のような漆黒の水にしか見えない。
悪魔どころかそれ以上の化け物が暗い水の底から手を伸ばしてくるイメージが浮かんだ。
水に浸かりすぎてどろどろに溶けた、腐った死体のような化け物は想像するのに難くない。地獄だ。
左の道は真昼の世界、右は地獄にも思える夜の世界を表しているようで。
まるで、魔界に近いこの島そのもの。
ダンテが上手く導いてくれなければ、ディーヴァのそしてダンテ自身の行く末は、普段生活している真昼には戻れず、夜の世界に囚われてしまう。
地獄の底へ、魔界の深淵に叩き落とされて骨も残らない。
……と、そこまで考えついたところでやめた。背筋が物質的にも凍り付いてしまいそうだった。寒い。
大丈夫。ダンテなら上手くやってくれる。信じてる。
あたしは真昼の世界へ帰るのだ。
そう自分を鼓舞した瞬間、暗闇でダンテが水をかき分ける音以外の違う音が大きく鍾乳洞内に響いた。
ボゴ、ボゴゴッ!
水面が大きく波打ったような音。波紋が広がるのが、ダンテの体を通してここまで伝わってくる。
「な、ななななにかいるよぉ!!
河童かな!?ネッシーかな!!?」
ダンテの首を絞めそうなほどしがみつく。
腐乱死体の化け物は口に出すのも嫌だったので、咄嗟に他にイメージした怪物の名前を言葉に乗せていた。
「何もいない。湧水の音だ」
「え、ほんと……?」
暗闇で聴覚が敏感になってしまっているようだ。湧水が水底から噴き出す音までも、恐怖の音に聞こえてしまうとは……ちょっぴり恥ずかしい。
「それに河童はニッポン、ネッシーならネス湖が生息地なんだろ?
ここにネッシーみたいなのがいるなら、マレッチーになっちまうよ」
そう言われた途端、なんだか怪物とは思えぬかわいい存在になった気がする。
「とはいえ、ディーヴァが怪物がいるーって不安がるなら……、アラストル」
『はいはい』
ダンテが背中のアラストルを手に握ると、刃が鋭く電気を発した。水面に一振り叩きつければ、みなもに電流が走り水がバチバチと激しく震える。
「これでよし。何かいたとしても、これで生き物はなーにもいないぞ」
「あぶないなぁ〜……感電したらどうするのよ」
「オレの体から落ちなきゃ平気だろ」
暗闇より恐ろしいダンテの所業を目の当たりにしたところでさらに奥へ進むと、先は細く狭く、最終的にどこにも行けぬ行き止まりにたどり着いてしまった。
「ただのほらあなだったな。これ以上進めないようだし戻るぞ」
所要時間こそ15分と経っていないが、体感的にはかなりの時間を食った気がしてならない。
ダンテに骨折り損のくたびれもうけをさせてしまった。申し訳なくて謝れば、ダンテはぽんぽんと頭に手を置き、柔く撫ぜた。
「こういう時はお疲れ様とありがとうだろ。
確かに結果的には無駄足だったかもしれないけど、こうやって探索したから綺麗な場所が見れた。
悪魔の巣窟たる島にゃ不釣り合いなくらい美しい、大自然の美ってやつをさ。
ディーヴァとちょっとしたデート気分が楽しめて、価値ある宝を手に入れた気分だよ」
「カメラがないのが残念だ」と、小さく唸りながら追加するダンテ。
ああ、同じことをダンテが思ってくれていた。
ほんとにもう、この人は……。
こういうところが愛しい。大好きだなぁと改めて思う。
「大丈夫!目でシャッター切って、心のアルバムに閉じたよ!」
「そうだな、オレもだ。
でもいつかまた、こういう綺麗な洞窟に遊びに行こうぜ。もちろん、危険じゃないところのな」
「うん!絶対にね!」
人差し指と中指を絡ませクロスを形作り、約束を交わす。
ダンテの胸元にこれ以上無理なほど強く擦り寄り、ダンテに聞こえるギリギリの大きさで感謝を述べた。
「うん。左の道よりも濡れたね……」
頭は濡れなかったが、その代わりに下半身がぐっしょりと濡れる事になった。
この道はすぐのところが深い池になっている上に、光もささぬ暗闇の洞穴。道は左の方がマシだったようだ。
不服そうなダンテの表情に苦笑が漏れる。
ダンテの膝上まで冷たい水が迫って来ている。
飛沫はかかるが、あと数センチでディーヴァの足も水に浸かるところだ。
「ディーヴァ、少しの間だけ松明持っててくれるか?」
「わかっ、あっ!」
受け取ろうとしたその手は空を切り……ジュッ……松明の火が水に落ちて消えた。
光源が消えた真っ暗闇の中でしばしの沈黙。
「ごめんなさい」
「あー……いい。オレはなんとか見えてるから」
この何も見えない真っ暗な空間でも、ダンテは進むのに事欠かない程度に見えるらしい。
なるほど、悪魔は夜行性だから夜に出現する事が多いのか。なんてちょっと変な事を考えてしまった。まあ半分は正解だろう。
「けどディーヴァは何にも見えないんじゃないか?」
「実はダンテの顔すらほとんど見えない。…………こわい」
真っ暗闇は嫌いだ。
悪魔に初めて襲われる事となったもっと前から嫌いだったが、ダンテに助けられたあの夜。悪魔からの襲撃の中、ひとり部屋で籠城していた時の漆黒の闇。
あれのせいで暗闇は忌まわしき物となった。
あれを思い出すと今でも震えが止まらない。
何年経った?どれほどの時が経とうと、染み付いた恐怖は消えてくれなかった。
「大丈夫だ。オレがついてるのはわかってるだろ?ほら、オレの顔はここだよ」
強張ってしまいダンテに縋り付いた指先を、温かなダンテの手が優しく取った。
その手でダンテの頬をぺたぺたと触らせる。
頬、形良い鼻、男性的な厚い唇、憂いに満ちているであろ表情が伝わってくるまぶたと、小刻みに動く睫毛。
ああ、ダンテだ。ここにいる。感じる。目からの情報がないからこそ、指先からダンテを強く感じる。
「うん………!」
安心を求め、その頬にぴとりと自分の顔を預けた。
「それでも怖かったら目を瞑ってろ」
「ダンテから力をもらったからへーき。それに目を閉じたらホントの真っ暗闇になっちゃう。そっちの方が怖いかも」
「そうか?無理はしないでくれ」
とは言ったものの、真っ暗闇の中でちゃぷちゃぷとダンテが水をかき分けて進む音が恐怖を煽るし、暗がりの中で辛うじて目に見える揺らめいたみなもには恐怖の文字が浮かんでいる。
目の前に広がるのは普通の水のはずなのに、墨汁のような漆黒の水にしか見えない。
悪魔どころかそれ以上の化け物が暗い水の底から手を伸ばしてくるイメージが浮かんだ。
水に浸かりすぎてどろどろに溶けた、腐った死体のような化け物は想像するのに難くない。地獄だ。
左の道は真昼の世界、右は地獄にも思える夜の世界を表しているようで。
まるで、魔界に近いこの島そのもの。
ダンテが上手く導いてくれなければ、ディーヴァのそしてダンテ自身の行く末は、普段生活している真昼には戻れず、夜の世界に囚われてしまう。
地獄の底へ、魔界の深淵に叩き落とされて骨も残らない。
……と、そこまで考えついたところでやめた。背筋が物質的にも凍り付いてしまいそうだった。寒い。
大丈夫。ダンテなら上手くやってくれる。信じてる。
あたしは真昼の世界へ帰るのだ。
そう自分を鼓舞した瞬間、暗闇でダンテが水をかき分ける音以外の違う音が大きく鍾乳洞内に響いた。
ボゴ、ボゴゴッ!
水面が大きく波打ったような音。波紋が広がるのが、ダンテの体を通してここまで伝わってくる。
「な、ななななにかいるよぉ!!
河童かな!?ネッシーかな!!?」
ダンテの首を絞めそうなほどしがみつく。
腐乱死体の化け物は口に出すのも嫌だったので、咄嗟に他にイメージした怪物の名前を言葉に乗せていた。
「何もいない。湧水の音だ」
「え、ほんと……?」
暗闇で聴覚が敏感になってしまっているようだ。湧水が水底から噴き出す音までも、恐怖の音に聞こえてしまうとは……ちょっぴり恥ずかしい。
「それに河童はニッポン、ネッシーならネス湖が生息地なんだろ?
ここにネッシーみたいなのがいるなら、マレッチーになっちまうよ」
そう言われた途端、なんだか怪物とは思えぬかわいい存在になった気がする。
「とはいえ、ディーヴァが怪物がいるーって不安がるなら……、アラストル」
『はいはい』
ダンテが背中のアラストルを手に握ると、刃が鋭く電気を発した。水面に一振り叩きつければ、みなもに電流が走り水がバチバチと激しく震える。
「これでよし。何かいたとしても、これで生き物はなーにもいないぞ」
「あぶないなぁ〜……感電したらどうするのよ」
「オレの体から落ちなきゃ平気だろ」
暗闇より恐ろしいダンテの所業を目の当たりにしたところでさらに奥へ進むと、先は細く狭く、最終的にどこにも行けぬ行き止まりにたどり着いてしまった。
「ただのほらあなだったな。これ以上進めないようだし戻るぞ」
所要時間こそ15分と経っていないが、体感的にはかなりの時間を食った気がしてならない。
ダンテに骨折り損のくたびれもうけをさせてしまった。申し訳なくて謝れば、ダンテはぽんぽんと頭に手を置き、柔く撫ぜた。
「こういう時はお疲れ様とありがとうだろ。
確かに結果的には無駄足だったかもしれないけど、こうやって探索したから綺麗な場所が見れた。
悪魔の巣窟たる島にゃ不釣り合いなくらい美しい、大自然の美ってやつをさ。
ディーヴァとちょっとしたデート気分が楽しめて、価値ある宝を手に入れた気分だよ」
「カメラがないのが残念だ」と、小さく唸りながら追加するダンテ。
ああ、同じことをダンテが思ってくれていた。
ほんとにもう、この人は……。
こういうところが愛しい。大好きだなぁと改めて思う。
「大丈夫!目でシャッター切って、心のアルバムに閉じたよ!」
「そうだな、オレもだ。
でもいつかまた、こういう綺麗な洞窟に遊びに行こうぜ。もちろん、危険じゃないところのな」
「うん!絶対にね!」
人差し指と中指を絡ませクロスを形作り、約束を交わす。
ダンテの胸元にこれ以上無理なほど強く擦り寄り、ダンテに聞こえるギリギリの大きさで感謝を述べた。
