mission 12:pirates of the D-M-C ~船長はダンテ~
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地下水脈への扉がダンテとディーヴァの背後で、軋んだ音を立ててゆっくりと閉じていく。
グリーンガーデン側への扉は閉じられたままなため、もう後戻りはできない。
ぴちょん、ぴちょん。
洞穴のような天井から、水滴が滴り落ちる。
ひんやりした空気に満ちたこの場は、初めてハエの悪魔と対峙した場所より明らかに綺麗だが、やはり悪魔の巣食う場所には違いなし。
地下への階段を下っていくと、来訪者の血肉を求める人形がダンテ達を待ち受けていた。
無造作に置かれたかのように配置される様は、まるでお化け屋敷の中の化物役だ。
近づいた瞬間、生者の気配を感知して襲ってくるのだろう。
このパターンは幾度となく経験した。
「こんなとこにも雑魚現る、ってか」
どんなに雑魚な悪魔でも、それはダンテにとってであるだけで、ディーヴァからすれば強敵に相違ない。
思わずダンテのコートを掴む手に力が入る。
「怖がりだな」
わしわし。
頭を撫でてきたあと、気怠げに背中からアラストルをすらりと抜き、構えるダンテ。
手首を軽く振るような動き。
アラストルがその手を離れたかと思うと、その刃は動いてもいないマリオネット達を回転しながら斬り刻んだ。
数匹のそれらを屠り、奥へと進むと水の匂いが強くなってきた。
胸の奥まで容易く入り込むような、涼やかな水の香り。
不思議に思いながら到着した場所は拓けた鍾乳洞。
その中で目立っていたのは、長らく座礁したまま放置されていたのだろう、古びた船舶だった。
「貨物船の成れの果てか?」
「あたしからは幽霊船にしか見えないけどね」
長く人の手が入っていないそれは、人ならざるもの……悪魔というよりも、ゴーストが喜んで住み着きそうな見た目。
そばには碇泊の時に降ろす碇が水に浸かり、地面の岩肌にめり込んでいる。
巨大なそれに繊細な意匠が施されているところを見ると、この船は造りだけではなく装飾も豪奢だったようだ。
だが、朽ちてサビついた箇所はまるで血がついたかのような色に染まり、恐ろしさへの拍車をかけていた。
「お次はこれに乗れってことか」
「うぇぇ……ヤダ」
「ヤダって、お前なぁ………。
他に思いつく道があるならいいけどよ」
高い天井から吊り下がる鍾乳洞石はいつもキラキラとしているが、光や松明の明かりが届かぬ場所はどこもかしこも暗闇が広がる。
そこには道など見当たるわけもない。
その昔船がやってきたであろう、洞窟の入り口までの道もない。もちろん入り口の姿形も片鱗もここからでは見えず、泳いでいくなど以ての外。
船に乗せられている救命用の小型舟を使う事も視野に入れたほうがよさそうだ。
だが、ディーヴァの頭には『幽霊船』という言葉が恐怖と共に幾度となく浮かんでくるのだ。
ダンテが魔帝を討つため城の方へと戻ろうとしているのはなんとなくわかった。
今は城から離れていっている気がするが、それも魔帝のいる魔界へ渡るために必要なことのようだ。
ダンテは何も言わないが、きっとダンテの中に眠る悪魔の血が、そう導いているのに違いない。たまにそう感じる時がある。
自分はダンテの中の悪魔とは、真逆の存在の天使。ダンテが離れていってしまうように感じて、一抹の寂しさを覚えた。
自身の長い髪がわずかに揺れる。
風が吹いてくる方が洞窟の入り口。洞窟の奥はその反対側だ。
入り口、奥。どちらも暗いことには変わりない。空間にぽっかりと浮かぶ深淵。
たしかにそちらも怖いが、船とは違うルートを提案してみることにした。
「えーと、この洞窟の奥を探してみる、とかはどうでしょ?」
「はあ………」
「だめ?」
伝えてみる。
ダンテは深くため息を吐いてから、渋々といった様子でディーヴァの案に乗った。
「奥に行っても道は無いと思うが、だめじゃない。行ってみてディーヴァの気が済むならそれでいい。
ただし行き詰まったらこっちに戻る、それでいいか?」
「うん、ありがとう」
ほっとしてダンテに飛びつけば、しっかりと抱きとめてくれる大きな手のひらに広い胸。
落ち着くダンテの温もりに安堵しながら、ディーヴァは未開の地を目の端で睨んだ。
ダンテの言う通り、洞窟の奥に行っても何も道はないかもしれない。
けれど幽霊船なんてごめんだ。
何度でも言う。悪魔も嫌だが幽霊も嫌だ。
進んでお化け屋敷に突っ込む馬鹿がどこにいるというのだ。
お化け屋敷じゃなくて幽霊船だろ、なぁんてダンテに揚げ足取られそうだが、今はせっかくダンテがディーヴァのわがままを許し、行き先を譲ってくれている。
洞窟の奥に悪魔の気配はない。
いたとしてもマリオネットのように弱い低級悪魔だろう。
ネロアンジェロとの戦闘で火がついたままのダンテには物足りないだろうが、しばしお付き合いいただこう。
「さて、行ってみるか。
足場が悪いから転ばないよう気を付けろよ」
重い腰を上げたダンテは壁を照らしている松明を取り、イフリートの炎を移すことでさらに激しく燃え盛らせる。
魔界の炎をまとったそれは、暖かさを倍増させ、ただの松明よりも照らす範囲を広げていた。
ディーヴァがぴったりとついてくるのを確認し、その歩みに合わせてゆっくりゆっくりと岩壁伝いに洞窟の奥へ進むダンテ。
石筍や石柱という障害物が乱立した凹凸の激しい床は湿気で濡れ、つるつるとして滑りやすくなっている。
スパイクシューズでもなんでもないただのサンダルは、ダンテのブーツよりもさらに歩きにくかった。
壁に掴まると言っても、そこにはろくな出っ張りもなく、あったとしてもそれもつるつると滑るものばかり。
待っていてくれるとはいえ、先ゆくダンテに遅れを撮らぬようにと自然と早くなる足。
つるり。一歩踏み出した場所が、変な形に傾いていた。
「ひゃわっ!?」
目の前の岩に頭を打って死ぬ想像が流れた。もっといえば、石筍に突き刺さって死ぬというバッドエンドも。
だが死への浮遊感は、腰にがっしりと支えられた腕で一瞬にして止まった。
「おいおい、気を付けろって言ったばっかりだろ」
「ごめん〜!!」
案の定ダンテが受け止めてくれたのだ。
心臓がバクバク言っている。悪魔に囲まれても、怖い目にあっても、いつもこの心臓は早鐘を打つ。生き物が生涯打つ鼓動の数は決まっているというので、そろそろ自分の寿命は尽きるのではなかろうか。
「ふー……助かったぁ。ありがとう」
「これ以上足を滑らせて頭でも打ったら大変だろ、ほら」
「ダンテは松明も持ってるんだし大変でしょ?大丈夫だよ。
それに子供じゃないんだから自分で歩けるって」
差し出された手を断り、気をつけてまた一歩踏み出、つるんっ!
「ぴゃっ」
「言わんこっちゃない」
結局、言ったそばからダンテの手を掴んでしまった。うう、ばつが悪いなぁ。
「見た目と精神年齢は比例する。ディーヴァはそういうところはいつまで経っても子供だろ」
手はダメだと思ったのか、ダンテが松明を足元にそっと置きディーヴァを片手で抱える。片手とはいえ、安心できるいつもの姫抱っこだ。
「ぐうの音も出ないぃ〜……」
「はいはい。ちゃんとしがみついとけよ」
もう片腕で再び松明を持ち、足を滑らせることもなく楽に洞窟の奥へと進むダンテ。
実は松明もあまり必要ないのではないだろうか?奥の暗闇にも臆しない足取りを見ると、そうとしか思えなかった。
ダンテの首に腕を回ししっかりと抱きつくと、その背からはどこかで聞いたことのあるようなセリフでディーヴァを笑うアラストルの声がした。
『人間は打ちどころ悪いと頭悪くなるから大変だね。HAHAHA、貧弱貧弱ゥ!』
「あのね、頭悪くなるどころか死んじゃうから」
グリーンガーデン側への扉は閉じられたままなため、もう後戻りはできない。
ぴちょん、ぴちょん。
洞穴のような天井から、水滴が滴り落ちる。
ひんやりした空気に満ちたこの場は、初めてハエの悪魔と対峙した場所より明らかに綺麗だが、やはり悪魔の巣食う場所には違いなし。
地下への階段を下っていくと、来訪者の血肉を求める人形がダンテ達を待ち受けていた。
無造作に置かれたかのように配置される様は、まるでお化け屋敷の中の化物役だ。
近づいた瞬間、生者の気配を感知して襲ってくるのだろう。
このパターンは幾度となく経験した。
「こんなとこにも雑魚現る、ってか」
どんなに雑魚な悪魔でも、それはダンテにとってであるだけで、ディーヴァからすれば強敵に相違ない。
思わずダンテのコートを掴む手に力が入る。
「怖がりだな」
わしわし。
頭を撫でてきたあと、気怠げに背中からアラストルをすらりと抜き、構えるダンテ。
手首を軽く振るような動き。
アラストルがその手を離れたかと思うと、その刃は動いてもいないマリオネット達を回転しながら斬り刻んだ。
数匹のそれらを屠り、奥へと進むと水の匂いが強くなってきた。
胸の奥まで容易く入り込むような、涼やかな水の香り。
不思議に思いながら到着した場所は拓けた鍾乳洞。
その中で目立っていたのは、長らく座礁したまま放置されていたのだろう、古びた船舶だった。
「貨物船の成れの果てか?」
「あたしからは幽霊船にしか見えないけどね」
長く人の手が入っていないそれは、人ならざるもの……悪魔というよりも、ゴーストが喜んで住み着きそうな見た目。
そばには碇泊の時に降ろす碇が水に浸かり、地面の岩肌にめり込んでいる。
巨大なそれに繊細な意匠が施されているところを見ると、この船は造りだけではなく装飾も豪奢だったようだ。
だが、朽ちてサビついた箇所はまるで血がついたかのような色に染まり、恐ろしさへの拍車をかけていた。
「お次はこれに乗れってことか」
「うぇぇ……ヤダ」
「ヤダって、お前なぁ………。
他に思いつく道があるならいいけどよ」
高い天井から吊り下がる鍾乳洞石はいつもキラキラとしているが、光や松明の明かりが届かぬ場所はどこもかしこも暗闇が広がる。
そこには道など見当たるわけもない。
その昔船がやってきたであろう、洞窟の入り口までの道もない。もちろん入り口の姿形も片鱗もここからでは見えず、泳いでいくなど以ての外。
船に乗せられている救命用の小型舟を使う事も視野に入れたほうがよさそうだ。
だが、ディーヴァの頭には『幽霊船』という言葉が恐怖と共に幾度となく浮かんでくるのだ。
ダンテが魔帝を討つため城の方へと戻ろうとしているのはなんとなくわかった。
今は城から離れていっている気がするが、それも魔帝のいる魔界へ渡るために必要なことのようだ。
ダンテは何も言わないが、きっとダンテの中に眠る悪魔の血が、そう導いているのに違いない。たまにそう感じる時がある。
自分はダンテの中の悪魔とは、真逆の存在の天使。ダンテが離れていってしまうように感じて、一抹の寂しさを覚えた。
自身の長い髪がわずかに揺れる。
風が吹いてくる方が洞窟の入り口。洞窟の奥はその反対側だ。
入り口、奥。どちらも暗いことには変わりない。空間にぽっかりと浮かぶ深淵。
たしかにそちらも怖いが、船とは違うルートを提案してみることにした。
「えーと、この洞窟の奥を探してみる、とかはどうでしょ?」
「はあ………」
「だめ?」
伝えてみる。
ダンテは深くため息を吐いてから、渋々といった様子でディーヴァの案に乗った。
「奥に行っても道は無いと思うが、だめじゃない。行ってみてディーヴァの気が済むならそれでいい。
ただし行き詰まったらこっちに戻る、それでいいか?」
「うん、ありがとう」
ほっとしてダンテに飛びつけば、しっかりと抱きとめてくれる大きな手のひらに広い胸。
落ち着くダンテの温もりに安堵しながら、ディーヴァは未開の地を目の端で睨んだ。
ダンテの言う通り、洞窟の奥に行っても何も道はないかもしれない。
けれど幽霊船なんてごめんだ。
何度でも言う。悪魔も嫌だが幽霊も嫌だ。
進んでお化け屋敷に突っ込む馬鹿がどこにいるというのだ。
お化け屋敷じゃなくて幽霊船だろ、なぁんてダンテに揚げ足取られそうだが、今はせっかくダンテがディーヴァのわがままを許し、行き先を譲ってくれている。
洞窟の奥に悪魔の気配はない。
いたとしてもマリオネットのように弱い低級悪魔だろう。
ネロアンジェロとの戦闘で火がついたままのダンテには物足りないだろうが、しばしお付き合いいただこう。
「さて、行ってみるか。
足場が悪いから転ばないよう気を付けろよ」
重い腰を上げたダンテは壁を照らしている松明を取り、イフリートの炎を移すことでさらに激しく燃え盛らせる。
魔界の炎をまとったそれは、暖かさを倍増させ、ただの松明よりも照らす範囲を広げていた。
ディーヴァがぴったりとついてくるのを確認し、その歩みに合わせてゆっくりゆっくりと岩壁伝いに洞窟の奥へ進むダンテ。
石筍や石柱という障害物が乱立した凹凸の激しい床は湿気で濡れ、つるつるとして滑りやすくなっている。
スパイクシューズでもなんでもないただのサンダルは、ダンテのブーツよりもさらに歩きにくかった。
壁に掴まると言っても、そこにはろくな出っ張りもなく、あったとしてもそれもつるつると滑るものばかり。
待っていてくれるとはいえ、先ゆくダンテに遅れを撮らぬようにと自然と早くなる足。
つるり。一歩踏み出した場所が、変な形に傾いていた。
「ひゃわっ!?」
目の前の岩に頭を打って死ぬ想像が流れた。もっといえば、石筍に突き刺さって死ぬというバッドエンドも。
だが死への浮遊感は、腰にがっしりと支えられた腕で一瞬にして止まった。
「おいおい、気を付けろって言ったばっかりだろ」
「ごめん〜!!」
案の定ダンテが受け止めてくれたのだ。
心臓がバクバク言っている。悪魔に囲まれても、怖い目にあっても、いつもこの心臓は早鐘を打つ。生き物が生涯打つ鼓動の数は決まっているというので、そろそろ自分の寿命は尽きるのではなかろうか。
「ふー……助かったぁ。ありがとう」
「これ以上足を滑らせて頭でも打ったら大変だろ、ほら」
「ダンテは松明も持ってるんだし大変でしょ?大丈夫だよ。
それに子供じゃないんだから自分で歩けるって」
差し出された手を断り、気をつけてまた一歩踏み出、つるんっ!
「ぴゃっ」
「言わんこっちゃない」
結局、言ったそばからダンテの手を掴んでしまった。うう、ばつが悪いなぁ。
「見た目と精神年齢は比例する。ディーヴァはそういうところはいつまで経っても子供だろ」
手はダメだと思ったのか、ダンテが松明を足元にそっと置きディーヴァを片手で抱える。片手とはいえ、安心できるいつもの姫抱っこだ。
「ぐうの音も出ないぃ〜……」
「はいはい。ちゃんとしがみついとけよ」
もう片腕で再び松明を持ち、足を滑らせることもなく楽に洞窟の奥へと進むダンテ。
実は松明もあまり必要ないのではないだろうか?奥の暗闇にも臆しない足取りを見ると、そうとしか思えなかった。
ダンテの首に腕を回ししっかりと抱きつくと、その背からはどこかで聞いたことのあるようなセリフでディーヴァを笑うアラストルの声がした。
『人間は打ちどころ悪いと頭悪くなるから大変だね。HAHAHA、貧弱貧弱ゥ!』
「あのね、頭悪くなるどころか死んじゃうから」
