mission 0:nightmare began ~地獄へのバカンス~
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真っ白なワンピースの袖やスカートの裾が潮風にはためく。
昼間は暑くても、夜は少し肌寒い。
ディーヴァはダンテに持たされた赤いストールを巻き付けて、砂浜の上をレディの隣で歩いていた。
「あ!」
リボンタイプのレースアップサンダルが、沈み込むのも構わず、ディーヴァは走る。
「いきなり走ってどうしたの?」
「足元が良く見えるから、ほら、可愛いカニさん歩いてた!」
「ほんとね。でも挟まれたら痛いでしょうから、早く離してあげなさいよ」
「はーい。ばいばいカニさん」
虫はダメなディーヴァ。だがカニは大丈夫なようだ。
ハサミや脚を動かしてもがく小さなカニを、愛しげに見つめたディーヴァはすぐさま砂浜に戻した。
小さなカニにすら気がつく明るい空。暗い中青く光る海。
そして、その中から這い出てくるーーー。
「ッ!悪魔っ!?ディーヴァ行くわよ!!」
「えっ」
海の中に無数の赤い目が覗いているのに気がついたレディが、ディーヴァの手を取り走り出す。
それと同時、次々と悪魔が水から上がってくる。
…あれは、何度かダンテが倒したという、見た目がどうみてもコモドドラゴンなトカゲの悪魔だ。
あの悪魔、泳げるというのか。水陸両用とはなんと恐ろしい。
武器はあろうが、この砂浜という足の取られやすいフィールドでは思う存分力を出せないレディが、隠れたのは小高くなった砂浜に存在する大きな岩の陰。
そのまま上がれば小高い丘となるそのてっぺんには断崖絶壁の崖。
下に落ちたら命のない場所だが、今は他に隠れる場所もなかった。
「なんでここに悪魔が…。満月は明日だけど日にち間違えてない?」
「もしかしてあたしに引き寄せられちゃった……のかも」
2人、息を切らしながら岩陰から悪魔の様子をうかがう。
奴らが何かを探しているのがよく見えた。
何か、いや、誰かだ。
「あーーー…、納得。
ディーヴァの服装はすでに天使様のそれと似てるってのに、貴女の血筋についてすっかり忘れてたわよ」
「実はあたしも」
自分の事なのに忘れるとは。
それだけこの旅行を楽しみ始めていたのだろうと思うが、それにしてもうっかりしている。うっかりディーヴァベエだ。
「とはいえ、私達は悪魔とデートするために旅行に来てるわけじゃないわ。空気の読めない悪魔は死んでどうぞ。
弾は……足りてるわね」
チャキ、と銃を構えるレディ。
その弾薬数は、どうやって持ち歩いていたのかと思うほどたくさんある。
が、それにしてもあの数を相手に立ち回るというのは無謀にもほどがある。
「レディ……」
逃げよう、そう提案しようとレディの手を握る。
思いのほか震えてしまったその手を、レディは上から握り直し、そして笑顔を向けてきた。
「大丈夫、ディーヴァは私が守るから。ダンテとも約束したし、そうでなくても貴女は私の大事な友達よ。ディーヴァはそうじゃないの?」
「友達に決まってる……!
あたしが言いたいのはそこじゃない!あんなたくさん相手するなんてレディ1人じゃ……っ」
ぽろ、ディーヴァの目から涙が零れ落ちる。
しゃくりあげてしまいそうなディーヴァの口をレディは押さえ、人差し指を唇に当てて微笑んだ。
「シー。泣いたらダメよ。その嗚咽が悪魔に聞こえてしまうわ。
…ディーヴァは決して動かず、ここにいなさい。
その銃もなるべく使わないようにしてね。居場所を知られて終わりだから」
優しく優しく、ひどく優しくそう言ったレディは、ディーヴァに対する優しさと正反対の顔で、岩陰から出て行った。
悪魔に見つからないよう、遠回りして浜辺へと降り立つレディが悪魔の前に飛び出し、構える銃器。
「せっかくの旅行!邪魔すんじゃないわよ!!」
「ギイイイイイ!!」
ダンテも恐ろしいとよく漏らすレディの悪魔のような笑みと、弾丸の嵐の前にトカゲ悪魔が吹っ飛ぶ。
たしかに強い。心配するほどではなかったと思うほど強い上に、悪魔と悪魔の間を走り抜けながら撃つその怒涛の攻撃。
その全てが悪魔の眉間と心の臓に着弾、爆発する。
すぐさま10匹ほどの悪魔が塵芥に変わり、そして赤いカケラを残し消え失せる。
レディを傷つけることなく消し飛んだ悪魔達。
残りの悪魔は、それを見て恐れをなし後退した。
「はわわ、レディ…ぅゎっょぃぃ……」
彼女もデビルハンターとして日々強く進化しているのだと、この目で見れた。
出会った頃のレディとの戦闘はともかく、今のレディとダンテと戦ったら、もしかしたらもしかしてしまうかもしれない。
そう思うほどには。
だが、その攻撃が防御へと回るのは殊の外早かった。
青白い魔弾が、高速でレディに向かって飛んできたのだ。
「くぅっ……!」
魔弾を受けたレディが周りの悪魔同様、吹き飛ばされる。吹き飛ばされつつもなんとか踏ん張って持ちこたえるが、その体にはそこかしこに傷を負っていた。
攻撃が飛んできた方向。
ぬぅ…と海から現れたのは、黒い鎧を着こみ、大剣を携えた剣士。
悪魔だというのは纏う気でわかる。だからただの剣士ではない。魔剣士だ。
その強い気から、今までレディやダンテが相手にしてきた悪魔とは比べ物にならない強敵だと伺えた。
「…悪魔のくせにやるわね。でも姿を見せたのが運の尽きよ!」
構えた愛銃から魔剣士の眉間、心臓、そして鎧と鎧の隙間をピンポイントで狙い撃つ。
「な……っ!?」
が、大剣の一振りで波打つ海。吹き上がる風。
その風圧だけで、レディの放つ弾丸全てが弾かれた。
体から海水をぼたぼたと滴らせた魔剣士がすう…と左手を上げる。
そこへ青白い光が収束し、そして間髪入れずに弾けた。
弾けた先から次々と放たれるのは、レディが先ほど受けたあの魔弾。
流星のように降り注ぐその魔弾ーーメテオが、レディにぶち当たる。
「ああっ!!」
満身創痍と化したレディが、砂浜に倒れ臥す。
力もない自分には何もできない。
魔界に連れ去られ、ダンテとマーナガルムを倒したのだって、ダンテの助力があってこそ。
また同じように出来るなんて、思えない。自分の力を信用するには、まだまだ経験が必要だ。…無理だ。
ディーヴァは恐怖で全身カタカタ震え、レディの様子を見る事しか出来なかった。
ディーヴァが自分の無力さ加減に拳を握りこむうち、レディに近づいた魔剣士が、彼女の胸ぐらを掴み上げる。
持ち上げられたレディが、反撃に蹴りを繰り出すがその鎧のせいかまるで効いていない。
「ぐ、ぅ……っ」
『オマエハ、sweet blood、デハナイ……死ネ』
空気が凍りつくほどのおぞましい声が、魔剣士から発せられた。
いや、その声は目の前の魔剣士の発したものではない。魔剣士の口を借りた、3つ目のあの悪魔のもの……。
ディーヴァの、トラウマの原因たる、諸悪の根源……。
暗い海の中、底に、3つ目が幽かに浮かんでいるのが、レディからも見えた。
キュィィィィィ……!
今までにないくらい巨大なメテオが、魔剣士の左手に集まりだす。
あんなものが至近距離で当たれば、人間であるレディはひとたまりもない。生きてはいられない。
太ももに取り付けられた、悪魔に対しては申し訳程度にしかならない攻撃力のディーヴァの銃。
それをディーヴァは震える指で使用可能状態にすると、自身の足を叱咤し、岩陰から飛び出した。
「レディを離して!!」
ダンテが教えてくれた通りに脇をしっかり締め、両手で構え、魔剣士に向かって数発の弾丸を放つ。
ただ、レディが逃げる時間があればいい。
案の定、レディを放り投げるようにして離した魔剣士は、代わりに次の獲物ーーディーヴァへと向かってきた。
まだ弾丸は残っている。
ダンテじゃないけれど、ディーヴァの放つ弾丸にだって、力は宿る。聖なる天使の力が。
いつも守ってもらっている分、いつもみんなが戦っている分。ディーヴァは恩を返したかった。
ディーヴァは、弾丸の続く限り撃った。
「だめよディーヴァ!
狙いは『sweet blood』……貴女よ!はやく逃げて!!」
「えっ!?………うぐっ!!?」
その全てを鎧の力だけで弾いた魔剣士が、ディーヴァの首を力任せに掴み上げる。
その強さに一瞬にして意識を落としたディーヴァには、レディの悲痛な叫びだけが遠く、遠く聞こえていた。
昼間は暑くても、夜は少し肌寒い。
ディーヴァはダンテに持たされた赤いストールを巻き付けて、砂浜の上をレディの隣で歩いていた。
「あ!」
リボンタイプのレースアップサンダルが、沈み込むのも構わず、ディーヴァは走る。
「いきなり走ってどうしたの?」
「足元が良く見えるから、ほら、可愛いカニさん歩いてた!」
「ほんとね。でも挟まれたら痛いでしょうから、早く離してあげなさいよ」
「はーい。ばいばいカニさん」
虫はダメなディーヴァ。だがカニは大丈夫なようだ。
ハサミや脚を動かしてもがく小さなカニを、愛しげに見つめたディーヴァはすぐさま砂浜に戻した。
小さなカニにすら気がつく明るい空。暗い中青く光る海。
そして、その中から這い出てくるーーー。
「ッ!悪魔っ!?ディーヴァ行くわよ!!」
「えっ」
海の中に無数の赤い目が覗いているのに気がついたレディが、ディーヴァの手を取り走り出す。
それと同時、次々と悪魔が水から上がってくる。
…あれは、何度かダンテが倒したという、見た目がどうみてもコモドドラゴンなトカゲの悪魔だ。
あの悪魔、泳げるというのか。水陸両用とはなんと恐ろしい。
武器はあろうが、この砂浜という足の取られやすいフィールドでは思う存分力を出せないレディが、隠れたのは小高くなった砂浜に存在する大きな岩の陰。
そのまま上がれば小高い丘となるそのてっぺんには断崖絶壁の崖。
下に落ちたら命のない場所だが、今は他に隠れる場所もなかった。
「なんでここに悪魔が…。満月は明日だけど日にち間違えてない?」
「もしかしてあたしに引き寄せられちゃった……のかも」
2人、息を切らしながら岩陰から悪魔の様子をうかがう。
奴らが何かを探しているのがよく見えた。
何か、いや、誰かだ。
「あーーー…、納得。
ディーヴァの服装はすでに天使様のそれと似てるってのに、貴女の血筋についてすっかり忘れてたわよ」
「実はあたしも」
自分の事なのに忘れるとは。
それだけこの旅行を楽しみ始めていたのだろうと思うが、それにしてもうっかりしている。うっかりディーヴァベエだ。
「とはいえ、私達は悪魔とデートするために旅行に来てるわけじゃないわ。空気の読めない悪魔は死んでどうぞ。
弾は……足りてるわね」
チャキ、と銃を構えるレディ。
その弾薬数は、どうやって持ち歩いていたのかと思うほどたくさんある。
が、それにしてもあの数を相手に立ち回るというのは無謀にもほどがある。
「レディ……」
逃げよう、そう提案しようとレディの手を握る。
思いのほか震えてしまったその手を、レディは上から握り直し、そして笑顔を向けてきた。
「大丈夫、ディーヴァは私が守るから。ダンテとも約束したし、そうでなくても貴女は私の大事な友達よ。ディーヴァはそうじゃないの?」
「友達に決まってる……!
あたしが言いたいのはそこじゃない!あんなたくさん相手するなんてレディ1人じゃ……っ」
ぽろ、ディーヴァの目から涙が零れ落ちる。
しゃくりあげてしまいそうなディーヴァの口をレディは押さえ、人差し指を唇に当てて微笑んだ。
「シー。泣いたらダメよ。その嗚咽が悪魔に聞こえてしまうわ。
…ディーヴァは決して動かず、ここにいなさい。
その銃もなるべく使わないようにしてね。居場所を知られて終わりだから」
優しく優しく、ひどく優しくそう言ったレディは、ディーヴァに対する優しさと正反対の顔で、岩陰から出て行った。
悪魔に見つからないよう、遠回りして浜辺へと降り立つレディが悪魔の前に飛び出し、構える銃器。
「せっかくの旅行!邪魔すんじゃないわよ!!」
「ギイイイイイ!!」
ダンテも恐ろしいとよく漏らすレディの悪魔のような笑みと、弾丸の嵐の前にトカゲ悪魔が吹っ飛ぶ。
たしかに強い。心配するほどではなかったと思うほど強い上に、悪魔と悪魔の間を走り抜けながら撃つその怒涛の攻撃。
その全てが悪魔の眉間と心の臓に着弾、爆発する。
すぐさま10匹ほどの悪魔が塵芥に変わり、そして赤いカケラを残し消え失せる。
レディを傷つけることなく消し飛んだ悪魔達。
残りの悪魔は、それを見て恐れをなし後退した。
「はわわ、レディ…ぅゎっょぃぃ……」
彼女もデビルハンターとして日々強く進化しているのだと、この目で見れた。
出会った頃のレディとの戦闘はともかく、今のレディとダンテと戦ったら、もしかしたらもしかしてしまうかもしれない。
そう思うほどには。
だが、その攻撃が防御へと回るのは殊の外早かった。
青白い魔弾が、高速でレディに向かって飛んできたのだ。
「くぅっ……!」
魔弾を受けたレディが周りの悪魔同様、吹き飛ばされる。吹き飛ばされつつもなんとか踏ん張って持ちこたえるが、その体にはそこかしこに傷を負っていた。
攻撃が飛んできた方向。
ぬぅ…と海から現れたのは、黒い鎧を着こみ、大剣を携えた剣士。
悪魔だというのは纏う気でわかる。だからただの剣士ではない。魔剣士だ。
その強い気から、今までレディやダンテが相手にしてきた悪魔とは比べ物にならない強敵だと伺えた。
「…悪魔のくせにやるわね。でも姿を見せたのが運の尽きよ!」
構えた愛銃から魔剣士の眉間、心臓、そして鎧と鎧の隙間をピンポイントで狙い撃つ。
「な……っ!?」
が、大剣の一振りで波打つ海。吹き上がる風。
その風圧だけで、レディの放つ弾丸全てが弾かれた。
体から海水をぼたぼたと滴らせた魔剣士がすう…と左手を上げる。
そこへ青白い光が収束し、そして間髪入れずに弾けた。
弾けた先から次々と放たれるのは、レディが先ほど受けたあの魔弾。
流星のように降り注ぐその魔弾ーーメテオが、レディにぶち当たる。
「ああっ!!」
満身創痍と化したレディが、砂浜に倒れ臥す。
力もない自分には何もできない。
魔界に連れ去られ、ダンテとマーナガルムを倒したのだって、ダンテの助力があってこそ。
また同じように出来るなんて、思えない。自分の力を信用するには、まだまだ経験が必要だ。…無理だ。
ディーヴァは恐怖で全身カタカタ震え、レディの様子を見る事しか出来なかった。
ディーヴァが自分の無力さ加減に拳を握りこむうち、レディに近づいた魔剣士が、彼女の胸ぐらを掴み上げる。
持ち上げられたレディが、反撃に蹴りを繰り出すがその鎧のせいかまるで効いていない。
「ぐ、ぅ……っ」
『オマエハ、sweet blood、デハナイ……死ネ』
空気が凍りつくほどのおぞましい声が、魔剣士から発せられた。
いや、その声は目の前の魔剣士の発したものではない。魔剣士の口を借りた、3つ目のあの悪魔のもの……。
ディーヴァの、トラウマの原因たる、諸悪の根源……。
暗い海の中、底に、3つ目が幽かに浮かんでいるのが、レディからも見えた。
キュィィィィィ……!
今までにないくらい巨大なメテオが、魔剣士の左手に集まりだす。
あんなものが至近距離で当たれば、人間であるレディはひとたまりもない。生きてはいられない。
太ももに取り付けられた、悪魔に対しては申し訳程度にしかならない攻撃力のディーヴァの銃。
それをディーヴァは震える指で使用可能状態にすると、自身の足を叱咤し、岩陰から飛び出した。
「レディを離して!!」
ダンテが教えてくれた通りに脇をしっかり締め、両手で構え、魔剣士に向かって数発の弾丸を放つ。
ただ、レディが逃げる時間があればいい。
案の定、レディを放り投げるようにして離した魔剣士は、代わりに次の獲物ーーディーヴァへと向かってきた。
まだ弾丸は残っている。
ダンテじゃないけれど、ディーヴァの放つ弾丸にだって、力は宿る。聖なる天使の力が。
いつも守ってもらっている分、いつもみんなが戦っている分。ディーヴァは恩を返したかった。
ディーヴァは、弾丸の続く限り撃った。
「だめよディーヴァ!
狙いは『sweet blood』……貴女よ!はやく逃げて!!」
「えっ!?………うぐっ!!?」
その全てを鎧の力だけで弾いた魔剣士が、ディーヴァの首を力任せに掴み上げる。
その強さに一瞬にして意識を落としたディーヴァには、レディの悲痛な叫びだけが遠く、遠く聞こえていた。
