mission 11:you're arguing youself ~再戦~
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ディーヴァと合流して下の扉を開け、聖杯の間へと戻る。
聖杯が待ち望む純潔の証は、なるほど。台座の窪みに吸い付くようにぴったりと嵌まり込んだ。
聖杯を包み込む聖なる光が溶けるように消えていき、それを守るものが皆無となる。
思ったよりもとても軽い聖杯を手にしようとすると、背中のアラストルがビリビリと警戒の電流を流してきた。
『来る……!気をつけて!!』
警戒しろはわかるけど、オレはお前の警告の電流で背中が焼け焦げそうだよ。
ともあれ、強大な魔力の塊が近づいてくるのはわかる。
となれば、危険なのはオレではなくディーヴァではないか?
ディーヴァを逃さないと……!
「ここは危険だ!ディーヴァドームの方へ一旦戻、」
退路を塞ぐように、上も下も、扉という扉が固い金属の壁で閉ざされた。
オレだけではなく、ディーヴァをも逃さないというわけか。
「ちっ、遅かったか」
「閉じ込められちゃった!?やだ、こわい……」
不安がって震えるディーヴァを抱き寄せ、迫る脅威に備える。
青い稲妻を纏ったその気配が現れたのは、2人の背後。崖上から見下ろしてきた悪魔は、ネロアンジェロ。
ダンテがガッツのある相手と讃えた、漆黒の鎧を着た魔剣士だった。
ネロアンジェロが剣の柄に手を伸ばす。
ダンテはディーヴァを片腕でぎゅっと抱きしめながら、自らも背負うアラストルの柄へ手を置いた。
「ふん、アンタか。今度はオレが白星もらうぞ。なにせ大事な子が見てるんでな」
大事な子。その言葉にネロアンジェロの目はダンテではなく、ディーヴァの姿の前で止まる。
鎧のせいで表情は見えないはずなのに、驚いた顔をしているように感じた。
そしてそれは、オレの腕の中のディーヴァもだ。
「えっ!?」
恐怖から、驚きと困惑とを混ぜたような顔になり、口を金魚のようにぱくぱく開くディーヴァ。
状況が違えば、その百面相を眺めているのもたのしかろうに。
残念であり、同時に訝しい。
「ディーヴァ、この悪魔の事あまり怖がっていないな?
オレの見立てではお前を直接さらったのはこいつだろ。なんだその顔」
「そうだけど、でも一概に悪い悪魔じゃないっていうか……。話せば長くなるというか……」
「なんだよそれ……」
ディーヴァは悪魔に狙われる存在であり、ディーヴァ自身悪魔が大の苦手だ。
それにもかかわらず、オレという存在、今まで会ってきた仲間の魔具の事もあってか、悪魔に絆されやすい。
恐ろしい悪魔に酷い仕打ちを受けているところに、ディーヴァはこの悪魔に優しくされたのかもしれない。
少し違うが、ストックホルム症候群に似ている。
ディーヴァの目が揺れ動いている。挙動不審だ。
浮気か?浮気なのか!?
オレの方がかっこいいしお前を大事にしているだろ!
……まあ、その線は疑っていないが。
相手の魔剣士も迷っていた。
ダンテを倒しにきたものの、そこには魔帝の元へと連れ去るべき天使の姿。
ダンテを片付けるか。それともディーヴァを先にとるか。
とうとう、魔剣士はオレでなくディーヴァをロックオンした。
瞬間移動の速さでディーヴァの目の前に現れると、目の前のダンテを無視してその手がディーヴァを攫うべく伸ばされる。
「おっと、お前の相手はオレだろ?
攫いたきゃせめてオレに勝ってからにしろ」
その手を思い切り手で払い除けると、鼻で笑い、魔剣士に見せつけるようにディーヴァを抱きしめ、頬擦りまでしてみせた。
「えっと、ダンテ……?」
恥ずかしいのか頬を赤らめダンテの胸に抱かれているディーヴァの方も、実は魔剣士の方へと指を伸ばしかけていたらしい。
ダンテはその瞬間を見ていなかったが、ほんの少し指が動いたのをアラストルは見逃さなかった。
『ねえディーヴァ、優しさを見出していたとしても相手は悪魔。魔帝に酷いことされたんでしょ?
悪魔についていくって事は同じ目にあうってわかってる?』
大人しく抱かれていると思っていたディーヴァのその行動にぎょっとした。
まさかそんな。
無意識だったのか、ディーヴァ自身も自分の指が動いた事をよくわかっていなかった。
『それとも、もう一度同じ目にあいたい?』
「そんなわけない!
いや……っ!怖い思いも痛い思いもしたくない。あんな目にあいたくなんてない……っ」
続けたアラストルの言葉に、ディーヴァの顔が青ざめ、そしてカタカタと震える。
触れている肌が冷えてきている。
このまま体が冷え切って死んでしまうのではないか。そう思えるほどに冷たくなっていくディーヴァの体をさらに抱きしめ、自身の体温で温めようとさする。
……相手はオレが一度負けた悪魔だ。ガッツがあり同じ流儀の剣技を使う、倒すには惜しく刃を交えれば不思議な気分になる悪魔。
だが、それだけだ。
悪魔との戦闘。ディーヴァの安全。どちらが大切かなんてわかりきっている。
ディーヴァが安全な事が、一番大事だ。
魔剣士に気を許しているようなディーヴァに感化されたか、オレまでも気が緩んだ。
ディーヴァを渡すわけにはいかない。オレが負けて攫わせるなんてもってのほか。
手で払い除けるなんて生易しいことせず、手首ごと切り落とすくらいの事すればよかった。
魔剣士を睨む、ダンテの鋭い目。
今なら視線で斬り刻めてしまいそうだ。
が、相手も心の底では、命令だろう天使を連れ去る事よりもダンテとの戦いに身を投じたいと思っていたようだ。
ディーヴァへと出していた手を簡単に引っ込め、剣の柄を指でトントンと叩く。
「ーーいいぜ、遊ぼうか。
だが少しだけ待て」
ディーヴァを戦いに巻き込むわけにいかない。その軽い体を横抱きに、上へと飛び上がる。
ここも安全とは言い切れないかもしれないが、まるで秘密基地のようだと言った、騎士像の置かれた小さな穴に、ダンテはディーヴァを下ろした。
「ディーヴァはここにいろ」
「……ん………」
「それと、あの悪魔のことはあとで聞かせてくれるか?」
まだ少し冷えているディーヴァの体をさすりながら、その目線に合わせて優しく言うと、小さく頷くディーヴァ。
本当はキツく問いただしたい。そういった思いもあるが、震えるディーヴァにそんな事できない。
少し心が騒つくが、その思いは戦いにぶつける他ないだろう。
そう。今は目の前の問題、魔剣士との戦いに勝つ事だけ考えなくては。
ディーヴァをひと撫でし踵を返したダンテは、魔剣士の前に降り立った。
相対した2人は言葉なく剣を抜く。
漆黒に輝く魔剣士の巨剣。ダンテのアラストル。
魔剣士が悠々とした動きで剣を上空に掲げ、ダンテに向かって“かかってこい”と挑発した瞬間。
それが始まりの合図となった。
聖杯が待ち望む純潔の証は、なるほど。台座の窪みに吸い付くようにぴったりと嵌まり込んだ。
聖杯を包み込む聖なる光が溶けるように消えていき、それを守るものが皆無となる。
思ったよりもとても軽い聖杯を手にしようとすると、背中のアラストルがビリビリと警戒の電流を流してきた。
『来る……!気をつけて!!』
警戒しろはわかるけど、オレはお前の警告の電流で背中が焼け焦げそうだよ。
ともあれ、強大な魔力の塊が近づいてくるのはわかる。
となれば、危険なのはオレではなくディーヴァではないか?
ディーヴァを逃さないと……!
「ここは危険だ!ディーヴァドームの方へ一旦戻、」
退路を塞ぐように、上も下も、扉という扉が固い金属の壁で閉ざされた。
オレだけではなく、ディーヴァをも逃さないというわけか。
「ちっ、遅かったか」
「閉じ込められちゃった!?やだ、こわい……」
不安がって震えるディーヴァを抱き寄せ、迫る脅威に備える。
青い稲妻を纏ったその気配が現れたのは、2人の背後。崖上から見下ろしてきた悪魔は、ネロアンジェロ。
ダンテがガッツのある相手と讃えた、漆黒の鎧を着た魔剣士だった。
ネロアンジェロが剣の柄に手を伸ばす。
ダンテはディーヴァを片腕でぎゅっと抱きしめながら、自らも背負うアラストルの柄へ手を置いた。
「ふん、アンタか。今度はオレが白星もらうぞ。なにせ大事な子が見てるんでな」
大事な子。その言葉にネロアンジェロの目はダンテではなく、ディーヴァの姿の前で止まる。
鎧のせいで表情は見えないはずなのに、驚いた顔をしているように感じた。
そしてそれは、オレの腕の中のディーヴァもだ。
「えっ!?」
恐怖から、驚きと困惑とを混ぜたような顔になり、口を金魚のようにぱくぱく開くディーヴァ。
状況が違えば、その百面相を眺めているのもたのしかろうに。
残念であり、同時に訝しい。
「ディーヴァ、この悪魔の事あまり怖がっていないな?
オレの見立てではお前を直接さらったのはこいつだろ。なんだその顔」
「そうだけど、でも一概に悪い悪魔じゃないっていうか……。話せば長くなるというか……」
「なんだよそれ……」
ディーヴァは悪魔に狙われる存在であり、ディーヴァ自身悪魔が大の苦手だ。
それにもかかわらず、オレという存在、今まで会ってきた仲間の魔具の事もあってか、悪魔に絆されやすい。
恐ろしい悪魔に酷い仕打ちを受けているところに、ディーヴァはこの悪魔に優しくされたのかもしれない。
少し違うが、ストックホルム症候群に似ている。
ディーヴァの目が揺れ動いている。挙動不審だ。
浮気か?浮気なのか!?
オレの方がかっこいいしお前を大事にしているだろ!
……まあ、その線は疑っていないが。
相手の魔剣士も迷っていた。
ダンテを倒しにきたものの、そこには魔帝の元へと連れ去るべき天使の姿。
ダンテを片付けるか。それともディーヴァを先にとるか。
とうとう、魔剣士はオレでなくディーヴァをロックオンした。
瞬間移動の速さでディーヴァの目の前に現れると、目の前のダンテを無視してその手がディーヴァを攫うべく伸ばされる。
「おっと、お前の相手はオレだろ?
攫いたきゃせめてオレに勝ってからにしろ」
その手を思い切り手で払い除けると、鼻で笑い、魔剣士に見せつけるようにディーヴァを抱きしめ、頬擦りまでしてみせた。
「えっと、ダンテ……?」
恥ずかしいのか頬を赤らめダンテの胸に抱かれているディーヴァの方も、実は魔剣士の方へと指を伸ばしかけていたらしい。
ダンテはその瞬間を見ていなかったが、ほんの少し指が動いたのをアラストルは見逃さなかった。
『ねえディーヴァ、優しさを見出していたとしても相手は悪魔。魔帝に酷いことされたんでしょ?
悪魔についていくって事は同じ目にあうってわかってる?』
大人しく抱かれていると思っていたディーヴァのその行動にぎょっとした。
まさかそんな。
無意識だったのか、ディーヴァ自身も自分の指が動いた事をよくわかっていなかった。
『それとも、もう一度同じ目にあいたい?』
「そんなわけない!
いや……っ!怖い思いも痛い思いもしたくない。あんな目にあいたくなんてない……っ」
続けたアラストルの言葉に、ディーヴァの顔が青ざめ、そしてカタカタと震える。
触れている肌が冷えてきている。
このまま体が冷え切って死んでしまうのではないか。そう思えるほどに冷たくなっていくディーヴァの体をさらに抱きしめ、自身の体温で温めようとさする。
……相手はオレが一度負けた悪魔だ。ガッツがあり同じ流儀の剣技を使う、倒すには惜しく刃を交えれば不思議な気分になる悪魔。
だが、それだけだ。
悪魔との戦闘。ディーヴァの安全。どちらが大切かなんてわかりきっている。
ディーヴァが安全な事が、一番大事だ。
魔剣士に気を許しているようなディーヴァに感化されたか、オレまでも気が緩んだ。
ディーヴァを渡すわけにはいかない。オレが負けて攫わせるなんてもってのほか。
手で払い除けるなんて生易しいことせず、手首ごと切り落とすくらいの事すればよかった。
魔剣士を睨む、ダンテの鋭い目。
今なら視線で斬り刻めてしまいそうだ。
が、相手も心の底では、命令だろう天使を連れ去る事よりもダンテとの戦いに身を投じたいと思っていたようだ。
ディーヴァへと出していた手を簡単に引っ込め、剣の柄を指でトントンと叩く。
「ーーいいぜ、遊ぼうか。
だが少しだけ待て」
ディーヴァを戦いに巻き込むわけにいかない。その軽い体を横抱きに、上へと飛び上がる。
ここも安全とは言い切れないかもしれないが、まるで秘密基地のようだと言った、騎士像の置かれた小さな穴に、ダンテはディーヴァを下ろした。
「ディーヴァはここにいろ」
「……ん………」
「それと、あの悪魔のことはあとで聞かせてくれるか?」
まだ少し冷えているディーヴァの体をさすりながら、その目線に合わせて優しく言うと、小さく頷くディーヴァ。
本当はキツく問いただしたい。そういった思いもあるが、震えるディーヴァにそんな事できない。
少し心が騒つくが、その思いは戦いにぶつける他ないだろう。
そう。今は目の前の問題、魔剣士との戦いに勝つ事だけ考えなくては。
ディーヴァをひと撫でし踵を返したダンテは、魔剣士の前に降り立った。
相対した2人は言葉なく剣を抜く。
漆黒に輝く魔剣士の巨剣。ダンテのアラストル。
魔剣士が悠々とした動きで剣を上空に掲げ、ダンテに向かって“かかってこい”と挑発した瞬間。
それが始まりの合図となった。