mission 11:you're arguing youself ~再戦~
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少し迷った末、オレ達は上の扉から先に片付ける事にした。
そこにはでこぼこした曲面の壁や足場が広がっていた。
こんな場所をディーヴァが渡るのは無理なのはわかりきっているので、何も言わずにディーヴァを横抱きにして跳び渡る。
その向こうには、壁面に埋もれた小部屋があった。
「わー、なにここ秘密基地みたい」
「こんな悪魔だらけの島に秘密基地要らないけどな。
置き物も趣味悪いし」
小屋の中には、金色に輝く騎士の像が鎮座しており、その前に何かを置ける台座になっていた。
「『聖杯が暗き道への扉を開く』……またおつかいゲームか」
「さっき石碑に書いてあった聖杯を探して置くんだね。
ここはこれだけみたい。次はどうする?」
「降りる」
言うよりも早く、ディーヴァを再び横抱きにして崖のようにも見える足場から飛び降りる。
2人が入ってきた扉のすぐ下にも扉があり、そこは先ほどどちらにしようかと迷った扉だったのがよくわかる。
なんだ。どちらから来ても大して変わらなかったのか。
下に広がるのは、水の流れる回廊だった。
どこか神殿のような雰囲気に、多少心が洗われる感じすらする。
「んー、ちょっと気持ちいい。さっきのところと大違い、空気も水も少しだけ澄んでるーぅ」
「流水みたいだからな」
一箇所に留まらず常に動きのある水には淀みが生まれない。
流れる水には蚊が生まれないのと同じだ。
とはいえ。
「飲むなよ?何が入ってるかわかったもんじゃない。
お前が浄化の力でも持ってて水をろ過できるなら話は別だがな」
「飲まないよ!
大体いくら天使の血をひいててもそんなの出来るわけないでしょ。浄水器じゃないんだから」
「やる前から諦めるなって」
「天使の羽根でろ過でもしろって事?そんな技どうやって習得するんだか……」
ディーヴァの力で悪魔の水が、人が飲める天使の飲料水になったら絶対儲かる。むしろ、今この瞬間助かる気がする。
少しはそれを期待したが、そんな魔法もファンタジーもあるわけないか。
魔術や悪魔、天使の概念があるのだから、すでにこの世界はファンタジーな展開だが。
「とりあえずここのお水は少し拝借して、と」
ぱちゃっ。
そうこう言っているうちに、ディーヴァが透明度の高いその水をひと掬い手のひらへ取り、顔に受けた。
「おいこら。言ってるそばからお前ってやつは……」
「大丈夫、洗うだけ〜」
顔だけでなく、足や手をその水で洗っている。天使の禊、か。やれやれ、なかなかいい絵面ではないか。
「それにダンテが飲んでなんともないのわからないと飲まないから」
「オレだって飲まないよ。
そもそもオレにはここの水が魔力で汚染されてても害ないだろ。お前は別だろうがな」
飲まないならいいか。
地下水路やらいろいろなところを巡るうち、ディーヴァの衣服は汚れが目立つようになってきたし、ディーヴァの白い肌にも泥がところどころ跳ねている。
敵陣の真ん中で文句は言えないだろうが、ディーヴァも汚れているのは嫌なはずだ。
それに、気持ち良さそうにしているディーヴァの姿を見ると、あまり小言は言えなくなる。
ディーヴァの隣に並び、ダンテも冷たい水で顔を洗った。
「ところでダンテ、あれが例の聖杯かな?」
「多分な」
結局、ディーヴァと水遊びという休憩を挟んでしまったダンテ。
自分のコートに染み込んだ水を絞りながら、聖なる光に囲われた台座にある銀色の杯を眺める。
ディーヴァも傍で自身のワンピースにたっぷり含まれた水を雑巾のように絞りながら、件の杯に目を向けた。
「自分の名前書いた紙入れて代表に選ばれる杯というわけか」
「ちょ、混ざってる混ざってる!それはマジカルフレイムが噴き上がるゴブレットの方でしょ」
『ディーヴァこそ、世界的魔法ファンタジーだけじゃなく、ポケットに入っちゃう獣の技も混ざってるよ?』
楽しいから混ぜるな危険。
他ジャンルとのクロスオーバーは面白すぎるので摂取は用法要領を守って正しい摂取を。
「聖杯ねぇ……」
「この場合はよく聞く聖餐の聖杯カリスの方なのかな。それともアーサー王伝説の聖杯グレイルなのかな」
「さあ?騎士関係してるなら後者じゃないか。どっちも生き血入ってたとか入ってなかったとかあるんだろ?
この聖杯の内側にも、それっぽいシミがあるぜ〜」
うひひ。怖がらせるように言えば、心底嫌なのか顔中の筋肉を眉に寄せたような顔でこちらを睨んできた。
「そゆこと言わないで。背筋がぞくーってなる。それに怖いから血はいいよ……入ってたのぶどう酒でいいよ……」
「オレもぶどう酒でいい。つまり赤ワインな
酒なら酔っぱらったディーヴァのかわいい姿が見れるからな?」
「赤ワインなんて悪酔いしそうなもの飲まないもん」
いかんいかん。変なこと言ってディーヴァの体が冷えたら大変だ。ただでさえディーヴァの体温は徐々に冷えていっている。
少しでもディーヴァの体温が上がるような事言ってみたが、大した効力は得られなかった。
目の前の銀杯に向き直る。
内側はともかく、外側には精巧な装飾が施されており、近くには『証を我に示せ』とご丁寧にそう記してある。
「上の騎士像に置くんだろうけど、まずこの聖杯を手に入れるために、証になるような何かが必要ってことだよね」
「証というと、十中八九グリーンガーデンの石碑にあったやつだろうな」
この聖杯、聖なる光に守られているとはいえ、同じく聖なる存在である天使のディーヴァにすら触れない。
属性が同じだとか、そういう類いのものではないのだろう。
「うん……でも、証ってどこにあるの?後ろかな?」
両脇の通路を潜り抜け、ディーヴァが聖杯が置かれている壁の後ろへと周る。
「おい先に行くなとあれほど……」
「あ、後ろに通路ぽいのあ、るけど……ここはまだ通れないのね。壁で塞がってる。
ねえこの壁斬って破壊できたりし『ないよ!折れちゃうよ!?イフリートも青ざめて頷いてるよ!』そっかぁ残念」
魔具を大切にね!と声を張り上げるアラストルに内心ドンマイ、と言葉を送り、ディーヴァの言う壁を眺める。
壁には文字が刻んであった。
「ま、『聖杯が暗き道への扉を開く』って壁に書いてあるしな。水がこの下に流れ込んでるのを見るに、まだ通れないがここが次の目的地で間違いないわけだ」
「でもどこにあるかわからない物なんでしょ?探すために霧深い谷に戻るとかだったら、あたし嫌だなぁ……」
「まあ待て。あとひとつ行ってない場所がある」
頭の上に疑問符を浮かべているディーヴァは嫌がるだろう。
そこを思い出してふと暗い笑みが浮かんでしまった。
そこにはでこぼこした曲面の壁や足場が広がっていた。
こんな場所をディーヴァが渡るのは無理なのはわかりきっているので、何も言わずにディーヴァを横抱きにして跳び渡る。
その向こうには、壁面に埋もれた小部屋があった。
「わー、なにここ秘密基地みたい」
「こんな悪魔だらけの島に秘密基地要らないけどな。
置き物も趣味悪いし」
小屋の中には、金色に輝く騎士の像が鎮座しており、その前に何かを置ける台座になっていた。
「『聖杯が暗き道への扉を開く』……またおつかいゲームか」
「さっき石碑に書いてあった聖杯を探して置くんだね。
ここはこれだけみたい。次はどうする?」
「降りる」
言うよりも早く、ディーヴァを再び横抱きにして崖のようにも見える足場から飛び降りる。
2人が入ってきた扉のすぐ下にも扉があり、そこは先ほどどちらにしようかと迷った扉だったのがよくわかる。
なんだ。どちらから来ても大して変わらなかったのか。
下に広がるのは、水の流れる回廊だった。
どこか神殿のような雰囲気に、多少心が洗われる感じすらする。
「んー、ちょっと気持ちいい。さっきのところと大違い、空気も水も少しだけ澄んでるーぅ」
「流水みたいだからな」
一箇所に留まらず常に動きのある水には淀みが生まれない。
流れる水には蚊が生まれないのと同じだ。
とはいえ。
「飲むなよ?何が入ってるかわかったもんじゃない。
お前が浄化の力でも持ってて水をろ過できるなら話は別だがな」
「飲まないよ!
大体いくら天使の血をひいててもそんなの出来るわけないでしょ。浄水器じゃないんだから」
「やる前から諦めるなって」
「天使の羽根でろ過でもしろって事?そんな技どうやって習得するんだか……」
ディーヴァの力で悪魔の水が、人が飲める天使の飲料水になったら絶対儲かる。むしろ、今この瞬間助かる気がする。
少しはそれを期待したが、そんな魔法もファンタジーもあるわけないか。
魔術や悪魔、天使の概念があるのだから、すでにこの世界はファンタジーな展開だが。
「とりあえずここのお水は少し拝借して、と」
ぱちゃっ。
そうこう言っているうちに、ディーヴァが透明度の高いその水をひと掬い手のひらへ取り、顔に受けた。
「おいこら。言ってるそばからお前ってやつは……」
「大丈夫、洗うだけ〜」
顔だけでなく、足や手をその水で洗っている。天使の禊、か。やれやれ、なかなかいい絵面ではないか。
「それにダンテが飲んでなんともないのわからないと飲まないから」
「オレだって飲まないよ。
そもそもオレにはここの水が魔力で汚染されてても害ないだろ。お前は別だろうがな」
飲まないならいいか。
地下水路やらいろいろなところを巡るうち、ディーヴァの衣服は汚れが目立つようになってきたし、ディーヴァの白い肌にも泥がところどころ跳ねている。
敵陣の真ん中で文句は言えないだろうが、ディーヴァも汚れているのは嫌なはずだ。
それに、気持ち良さそうにしているディーヴァの姿を見ると、あまり小言は言えなくなる。
ディーヴァの隣に並び、ダンテも冷たい水で顔を洗った。
「ところでダンテ、あれが例の聖杯かな?」
「多分な」
結局、ディーヴァと水遊びという休憩を挟んでしまったダンテ。
自分のコートに染み込んだ水を絞りながら、聖なる光に囲われた台座にある銀色の杯を眺める。
ディーヴァも傍で自身のワンピースにたっぷり含まれた水を雑巾のように絞りながら、件の杯に目を向けた。
「自分の名前書いた紙入れて代表に選ばれる杯というわけか」
「ちょ、混ざってる混ざってる!それはマジカルフレイムが噴き上がるゴブレットの方でしょ」
『ディーヴァこそ、世界的魔法ファンタジーだけじゃなく、ポケットに入っちゃう獣の技も混ざってるよ?』
楽しいから混ぜるな危険。
他ジャンルとのクロスオーバーは面白すぎるので摂取は用法要領を守って正しい摂取を。
「聖杯ねぇ……」
「この場合はよく聞く聖餐の聖杯カリスの方なのかな。それともアーサー王伝説の聖杯グレイルなのかな」
「さあ?騎士関係してるなら後者じゃないか。どっちも生き血入ってたとか入ってなかったとかあるんだろ?
この聖杯の内側にも、それっぽいシミがあるぜ〜」
うひひ。怖がらせるように言えば、心底嫌なのか顔中の筋肉を眉に寄せたような顔でこちらを睨んできた。
「そゆこと言わないで。背筋がぞくーってなる。それに怖いから血はいいよ……入ってたのぶどう酒でいいよ……」
「オレもぶどう酒でいい。つまり赤ワインな
酒なら酔っぱらったディーヴァのかわいい姿が見れるからな?」
「赤ワインなんて悪酔いしそうなもの飲まないもん」
いかんいかん。変なこと言ってディーヴァの体が冷えたら大変だ。ただでさえディーヴァの体温は徐々に冷えていっている。
少しでもディーヴァの体温が上がるような事言ってみたが、大した効力は得られなかった。
目の前の銀杯に向き直る。
内側はともかく、外側には精巧な装飾が施されており、近くには『証を我に示せ』とご丁寧にそう記してある。
「上の騎士像に置くんだろうけど、まずこの聖杯を手に入れるために、証になるような何かが必要ってことだよね」
「証というと、十中八九グリーンガーデンの石碑にあったやつだろうな」
この聖杯、聖なる光に守られているとはいえ、同じく聖なる存在である天使のディーヴァにすら触れない。
属性が同じだとか、そういう類いのものではないのだろう。
「うん……でも、証ってどこにあるの?後ろかな?」
両脇の通路を潜り抜け、ディーヴァが聖杯が置かれている壁の後ろへと周る。
「おい先に行くなとあれほど……」
「あ、後ろに通路ぽいのあ、るけど……ここはまだ通れないのね。壁で塞がってる。
ねえこの壁斬って破壊できたりし『ないよ!折れちゃうよ!?イフリートも青ざめて頷いてるよ!』そっかぁ残念」
魔具を大切にね!と声を張り上げるアラストルに内心ドンマイ、と言葉を送り、ディーヴァの言う壁を眺める。
壁には文字が刻んであった。
「ま、『聖杯が暗き道への扉を開く』って壁に書いてあるしな。水がこの下に流れ込んでるのを見るに、まだ通れないがここが次の目的地で間違いないわけだ」
「でもどこにあるかわからない物なんでしょ?探すために霧深い谷に戻るとかだったら、あたし嫌だなぁ……」
「まあ待て。あとひとつ行ってない場所がある」
頭の上に疑問符を浮かべているディーヴァは嫌がるだろう。
そこを思い出してふと暗い笑みが浮かんでしまった。