mission 10:loop the loop ~渓谷を進もう~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
魔の瘴気で満ちた通路内で、全身ズタボロな男が、体を黒い鎧で包む男に吠えてかかっている。
いつも冷徹でクールな印象を受ける姿からは考えもつかないが、黒い鎧が出す金属同士がぶつかり合う音よりも、クール(仮)の男が立てる音や声の方がうるさく、魔界に響いていた。
「ネロアンジェロ、次はお前が行け!」
「何故命令されなくてはならない。
……ってああ、その様子、尻尾巻いて逃げ帰って来たと見える」
「お前には言われたくない。後一歩のところで逃げて来たお前にだけはな!」
「あの時の事は聞くな」
ネロアンジェロの拳が、魔界の壁を殴る。
壁には横一直線に、どこまでも長く続きそうな亀裂が入る。
魔界の壁はそれ自体が魔帝とつながっており、ちょっとやそっとの殴りつけくらいでは傷がつかないはず。
みしりと拳がめり込んだ様を見て、クール(仮)もといグリフォンは身が縮み上がる思いがした。
自分はネロアンジェロよりは長らく魔帝にも仕えており、力もネロアンジェロより強い上級悪魔のはずだが、その関係が逆転してしまうのではないか?と恐怖する。
ネロアンジェロの鎧の中身は、一体どんな悪魔なのかーー非常に気になるところだ。
「言われずとも御命令を賜った以上、抹殺しに行く」
直っていく壁、そして破壊した自身の拳を見つめたネロアンジェロは、無感情のまま言葉を続けた。
「次に失敗しようものなら、どちらにもそれ相応の罰があろう。
だが、罰や失敗など関係なくあの男と刃を交えたい、そう思う自分がいる」
敵だから。獲物だから。
そういう理由とは別のところで、戦いを純粋に楽しんでいるようなネロアンジェロの言葉を、グリフォンは鼻で笑った。
「刃を交える前にあの男は渓谷で永遠にさまようかもしれんぞ。
一つ目蜘蛛や、デスサイズに殺されて終わるかも知れん。万が一助かってもデスサイズが相手では這々の体なはず。
弱り切ったところを狙えばいいだろうに」
「正々堂々戦わねば意味がない。それに奴ならその全てを攻略し、万全の状態で向かってくる。
それを楽しむため、庭園で待つのみよ」
「……頭のおかしい悪魔め」
悪魔なのに悪魔らしからぬ考え。
その騎士道精神は、悪魔というよりどこか人間じみている。
「私はムンドゥス様からの罰を受けたくないし、あの赤いのは脚で引き摺りまわしてぐちゃぐちゃにして私の雷で焼いて腹の中に収めて殺してやりたい。
あいつに使った魔力、少しでも取り戻すのさ。食えば多少は魔力の足しになるだろうよ」
「グリフォン、お前にその出番が回る事はない。倒すのはこちらの役目だ」
ボロボロにされた腹いせにどう料理してやろうかと言葉の羅列を並べ立てるも、それはネロアンジェロによりぶった斬りされる。
そんな正統法で挑んでも勝てやしないだろうにと、グリフォンは肩をすくめてみせた。
「魔力の足しといえば、あの娘の中身の方はどうした。グリフォンはどこかで見かけなかったのか?」
「見かけていれば赤いのをそっちのけで連れてきている」
「……だろうな」
なお、彼らの探す『あの娘の中身』とやらーーディーヴァはダンテの近くにいたのだが、グリフォンが戦いに夢中になりすぎていたこと、ディーヴァの避難先がグリフォンに見えなかったこと、そして鳥目という数々の理由で見つけられなかった。
「逃してしまったことは、ムンドゥス様にどう伝えてある?」
「伝えるも何も、相当お怒りだ。
ファントムも死んだと思っていたのだが、実は魔界の奥地へ逃亡したらしい。スパーダレベルまではいかなくとも、これは立派な反逆罪にあたる」
「マジでか!?」
「グリフォン、口調が素に戻っている。低級悪魔に示しがつかんぞ」
「あまり気にするな。まあいい、それはまことか?」
こくり、頷くネロアンジェロ。
口調はともかくとしてだ。魔帝の配下を束ねる将軍ともあろうものが、逃亡とは。
「……まあ、奴の性格ならそういう事もあるかもしれないな。
元来悪魔は大人しく他者の言うことをきく生き物ではないが、私ほどムンドゥス様を慕っているわけでもない。ただ単に殺し合いが好きな誇り高き蜘蛛と自ら名乗っていたからな。
ましてや奴には魔界の奥地に、ムンドゥス様以上の存在がいる。その存在以外に奴を本当の意味で手懐けられる者などいなかろうよ」
「天使に友好的だったのはなんだったんだ……」
「そう見えていたのは表面だけだ。
あいつの内側では、硬い外殻に包まれた煮えたぎるマグマのように、天使への強い食欲があっただろうよ。千切って、すり潰して、粉々に砕いて食べたくて仕方なかったはずだ」
ディーヴァはいわばファントムの気まぐれで生かされていたようなもの。
ムンドゥスの生贄だとわからなければ、出会った時にその命はなかったろう。
「悪魔だから仕方ないな。
とはいえ奴については立派な反逆罪案件だ。殺しに行く?行っちゃうカンジ?」
「やけに饒舌な上、楽しそうだな。元同僚だろうに」
「フン、『元』だからだ。
口数が多いのは貴様もだろう。私の方は鳥の悪魔だからだと思っておくがいい」
「お喋りオウムというわけか。
今の状況でファントムへの追手を出す余裕はない。逃した獲物の事と、侵略者である赤いコートの男で手一杯だ。
天使の中身は見つければ良いからともかく、あの男はなかなかの強さだからな」
一度戦ったからわかる。人間にしては、やる方だった。やる方?いや、蓋を開けてみれば、負けたのはこちら。
ネロアンジェロも言ったように、尻尾どころか羽をたたんでくるくる巻いて帰ってきたようなもの。
火炙りローストにされた場所が今も疼く。
思い出したら、怒りがむくむくと膨れ上がってきた。
「次に会う機会があれば、あの赤いの……真っ黒焦げだァ!
あいつと無事当たったら、無傷とは言わん、生きてりゃいい。首根っこ掴んでここに連れてこいよネロアンジェロォ〜。
受けた痛みは百倍にして返してやる……!
って聞いてるか??」
「要らぬ情報なぞ聞いてなどいない」
「いや、聞けよ!?聞いて?同僚だよね??」
怒りに任せネロアンジェロに恨み言をつらつらと言って聞かせるが、当の本人は素知らぬふり聞かぬふりして腕を組んでいたという。
●あとがき
ぐだぐだループ回。
そして最後ネロアンジェロとグリフォンのわちゃわちゃタイム。
これはお喋りオウムだと、ネロアンジェロの記憶に刷り込みたいがためだけに用意された作戦。シュール。
いつも冷徹でクールな印象を受ける姿からは考えもつかないが、黒い鎧が出す金属同士がぶつかり合う音よりも、クール(仮)の男が立てる音や声の方がうるさく、魔界に響いていた。
「ネロアンジェロ、次はお前が行け!」
「何故命令されなくてはならない。
……ってああ、その様子、尻尾巻いて逃げ帰って来たと見える」
「お前には言われたくない。後一歩のところで逃げて来たお前にだけはな!」
「あの時の事は聞くな」
ネロアンジェロの拳が、魔界の壁を殴る。
壁には横一直線に、どこまでも長く続きそうな亀裂が入る。
魔界の壁はそれ自体が魔帝とつながっており、ちょっとやそっとの殴りつけくらいでは傷がつかないはず。
みしりと拳がめり込んだ様を見て、クール(仮)もといグリフォンは身が縮み上がる思いがした。
自分はネロアンジェロよりは長らく魔帝にも仕えており、力もネロアンジェロより強い上級悪魔のはずだが、その関係が逆転してしまうのではないか?と恐怖する。
ネロアンジェロの鎧の中身は、一体どんな悪魔なのかーー非常に気になるところだ。
「言われずとも御命令を賜った以上、抹殺しに行く」
直っていく壁、そして破壊した自身の拳を見つめたネロアンジェロは、無感情のまま言葉を続けた。
「次に失敗しようものなら、どちらにもそれ相応の罰があろう。
だが、罰や失敗など関係なくあの男と刃を交えたい、そう思う自分がいる」
敵だから。獲物だから。
そういう理由とは別のところで、戦いを純粋に楽しんでいるようなネロアンジェロの言葉を、グリフォンは鼻で笑った。
「刃を交える前にあの男は渓谷で永遠にさまようかもしれんぞ。
一つ目蜘蛛や、デスサイズに殺されて終わるかも知れん。万が一助かってもデスサイズが相手では這々の体なはず。
弱り切ったところを狙えばいいだろうに」
「正々堂々戦わねば意味がない。それに奴ならその全てを攻略し、万全の状態で向かってくる。
それを楽しむため、庭園で待つのみよ」
「……頭のおかしい悪魔め」
悪魔なのに悪魔らしからぬ考え。
その騎士道精神は、悪魔というよりどこか人間じみている。
「私はムンドゥス様からの罰を受けたくないし、あの赤いのは脚で引き摺りまわしてぐちゃぐちゃにして私の雷で焼いて腹の中に収めて殺してやりたい。
あいつに使った魔力、少しでも取り戻すのさ。食えば多少は魔力の足しになるだろうよ」
「グリフォン、お前にその出番が回る事はない。倒すのはこちらの役目だ」
ボロボロにされた腹いせにどう料理してやろうかと言葉の羅列を並べ立てるも、それはネロアンジェロによりぶった斬りされる。
そんな正統法で挑んでも勝てやしないだろうにと、グリフォンは肩をすくめてみせた。
「魔力の足しといえば、あの娘の中身の方はどうした。グリフォンはどこかで見かけなかったのか?」
「見かけていれば赤いのをそっちのけで連れてきている」
「……だろうな」
なお、彼らの探す『あの娘の中身』とやらーーディーヴァはダンテの近くにいたのだが、グリフォンが戦いに夢中になりすぎていたこと、ディーヴァの避難先がグリフォンに見えなかったこと、そして鳥目という数々の理由で見つけられなかった。
「逃してしまったことは、ムンドゥス様にどう伝えてある?」
「伝えるも何も、相当お怒りだ。
ファントムも死んだと思っていたのだが、実は魔界の奥地へ逃亡したらしい。スパーダレベルまではいかなくとも、これは立派な反逆罪にあたる」
「マジでか!?」
「グリフォン、口調が素に戻っている。低級悪魔に示しがつかんぞ」
「あまり気にするな。まあいい、それはまことか?」
こくり、頷くネロアンジェロ。
口調はともかくとしてだ。魔帝の配下を束ねる将軍ともあろうものが、逃亡とは。
「……まあ、奴の性格ならそういう事もあるかもしれないな。
元来悪魔は大人しく他者の言うことをきく生き物ではないが、私ほどムンドゥス様を慕っているわけでもない。ただ単に殺し合いが好きな誇り高き蜘蛛と自ら名乗っていたからな。
ましてや奴には魔界の奥地に、ムンドゥス様以上の存在がいる。その存在以外に奴を本当の意味で手懐けられる者などいなかろうよ」
「天使に友好的だったのはなんだったんだ……」
「そう見えていたのは表面だけだ。
あいつの内側では、硬い外殻に包まれた煮えたぎるマグマのように、天使への強い食欲があっただろうよ。千切って、すり潰して、粉々に砕いて食べたくて仕方なかったはずだ」
ディーヴァはいわばファントムの気まぐれで生かされていたようなもの。
ムンドゥスの生贄だとわからなければ、出会った時にその命はなかったろう。
「悪魔だから仕方ないな。
とはいえ奴については立派な反逆罪案件だ。殺しに行く?行っちゃうカンジ?」
「やけに饒舌な上、楽しそうだな。元同僚だろうに」
「フン、『元』だからだ。
口数が多いのは貴様もだろう。私の方は鳥の悪魔だからだと思っておくがいい」
「お喋りオウムというわけか。
今の状況でファントムへの追手を出す余裕はない。逃した獲物の事と、侵略者である赤いコートの男で手一杯だ。
天使の中身は見つければ良いからともかく、あの男はなかなかの強さだからな」
一度戦ったからわかる。人間にしては、やる方だった。やる方?いや、蓋を開けてみれば、負けたのはこちら。
ネロアンジェロも言ったように、尻尾どころか羽をたたんでくるくる巻いて帰ってきたようなもの。
火炙りローストにされた場所が今も疼く。
思い出したら、怒りがむくむくと膨れ上がってきた。
「次に会う機会があれば、あの赤いの……真っ黒焦げだァ!
あいつと無事当たったら、無傷とは言わん、生きてりゃいい。首根っこ掴んでここに連れてこいよネロアンジェロォ〜。
受けた痛みは百倍にして返してやる……!
って聞いてるか??」
「要らぬ情報なぞ聞いてなどいない」
「いや、聞けよ!?聞いて?同僚だよね??」
怒りに任せネロアンジェロに恨み言をつらつらと言って聞かせるが、当の本人は素知らぬふり聞かぬふりして腕を組んでいたという。
●あとがき
ぐだぐだループ回。
そして最後ネロアンジェロとグリフォンのわちゃわちゃタイム。
これはお喋りオウムだと、ネロアンジェロの記憶に刷り込みたいがためだけに用意された作戦。シュール。
