mission 0:nightmare began ~地獄へのバカンス~
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「星がきれい」
夜。
窓の外に臨む美しくも妖しい海を眺め、ディーヴァは小さく感嘆の息を漏らす。
暗闇で黒くなった海をキラキラと青く照らす星明かりと月。
それを一望できるような場所に、レディとディーヴァは泊まっていた。
「このあたりは都会と違って人も街の明かりも少なくて空気が澄んでるからねぇ。
天気もいいしこの分だと明日の満月も綺麗に見れそうじゃない。良かったわね」
「うん、そうだね。…それより飲み過ぎはよくないよ」
「ワイン一本空けるくらい、飲み過ぎに入らないわよ。ディーヴァも一杯どう?」
「赤ワインは苦手なんだ。気持ちだけもらっとくね」
「そう?」
背後でワイン片手にくつろぐレディは、すでにほろ酔い。
饒舌に語り、カパカパと次々に飲んでいる。
今悪魔に襲われたらひとたまりもない。が、悪魔もたまには空気を読んでくれるだろうむしろ襲ってこないでくださいお願いします。
もうすでに月に欠けた場所などほとんどなく完全なる円に近いが、満月は明日の晩ーー。
ダンテとは幸せ気分で見ることはできない、唯一のまぁるい月。綺麗な夜空。
何故、ダンテがいないのか。何故、2人が美しい南の海にいるのか。
…というと、それは三日前に遡る。
ディーヴァが魔界に攫われた件の事件のあと、2人は引越しをした。
ダンテが屋根を殴り壊したからという、単純な理由である。ダンテめ!
直せばいい、皆々様はそうお思いだろう。
しかし、上から板を渡し補強すればいい…などという簡単な作業では直らないと発覚し、住み慣れた我が家を泣く泣く手放したというわけだ。
果たして今回住むこととなった住居。
此度の事務所兼自宅は、事務所スペースが少し狭いため、仮の住まいとなっている。
広くて快適な場所が見つかったらすぐにでも出ていってやる…ディーヴァがそう誓ったのは記憶に新しい。
そうしてしばらく、非常に機嫌の良さそうなレディがやってきた。
とあるプライベートビーチを貸してもらった、という悪魔を狩った依頼料を携えて。
「はぁ?ディーヴァと2人で旅行ぅ?」
嬉しいことに彼女は、ディーヴァを誘いにきてくれたのである。
これは、その話を聞いたダンテの第一声だ。
「そ。
どうせ、アンタ満月の夜はディーヴァと一緒にいられないんでしょ?
なら借りていいわよね。
たまには女同士で旅行させなさいよ」
「はあ…。旅行ねえ…」
渋い顔のダンテはイエスと言うべきか否か、迷っていた。
離れたくはない。けれど、女同士で遊ぶと言うのも大事である。
旅行先は海。
この間酷い怪我をしたディーヴァだが、その傷はロダンのくれた薬やダンテの内科的治療法ですっかり元どおりだ。水着だって着れる。ディーヴァも着たいはずだ(と、勝手に思っている)。
ダンテはディーヴァを心底愛している。が、これでも、ディーヴァが亡くした兄や父がわりも担っているつもりなのである。
「ディーヴァも行きたいわよね?」
「えっ!
まあ、行きたいけど、でも…ダンテに聞かないと……」
行きたい思いはある。それにレディは大切な友人だ。
だがしかし、ダンテ抜きでとなると話は別。
ディーヴァはディーヴァでダンテを愛しているし、今は離れる事を何よりも恐れていた。
そんな不安に揺れる瞳を向けられ、ダンテはノーと言う事にした。
「んなの、オレがOK出すわけねーだろ。一人で行きな」
その瞬間、スススと近寄ってきたレディが耳打ちした。
「『ツケ』」
「「……ツケ?」」
「半分にしてあげる」
「!
ダンテ、ツケが半分だって!これはお買い得……!うーむ、どうしよう!??」
ツケを半分にすると言う話、ディーヴァはノッた。しかし、ダンテは違った。
「半分?そこは全額チャラだろ?」
「全額ぅ?アンタどれだけツケやら借金、アタシにこさえてると思ってるのよ」
「いや全額じゃないなら旅行なんて許さねぇ借金だってあんだからツケくらい全消ししてくれてもいいじゃねーか違うかアアン!?」
「その借金だって多いのよアンタいくらあると思ってるのよツケを半分にするくらいでじゅうぶんでしょう今返せないならディーヴァを担保がわりにもらってもいいのよ!?」
「おいこらディーヴァは物じゃねぇ!」
「え、あたしがなぁに?」
早口での言い合いにディーヴァは付いてこれず、自分の名前が会話に出て初めて、口を挟んだ。
「「ディーヴァは聞かなくていい」」
「アッハイ」
が、蚊帳の外に放り出された。ひどい。
「……よろしい。半額全額についてはあとでゆっくり話すとしよう」
「いくら話しても金額は変えないわよ」
「ちっ…まあいい。そうだな…たまには女同士で旅行でもなんでも行ってくりゃあいい。
…お前の言う通り、どーせ満月の夜はディーヴァと寝れねぇしな」
苦虫を噛み潰したような顔で、ダンテは最後にぼそっと呟いた。
「えー、あー…いいか、ぜーーーったいにディーヴァを危ない目に合わせるなよ。
ナンパ野郎はもちろん、虫もダメ。悪魔なんかもってのほかだ」
「誰に言ってんの?そんなことよくわかってるわよ」
ダンテはレディに注意事項を話すと、ディーヴァに向き直ってその小さな頭に手を置いた。
「ディーヴァ、レディと旅行に行ってきて良いぞ。楽しんでこい」
「う、うん…?」
どう言う風の吹き回しだろう、その時は思ったものだ。
頭上を何度も撫でるダンテの手のひらを甘受しながら、ダンテの顔を不安と困惑を織り交ぜた目で見つめるディーヴァ。
そんなディーヴァの心を見透かしていたのか、ダンテはこの上なく優しい表情をしていた。
「不安なことなんてなんもないさ。レディっつー、悪魔よりも悪魔なオンナが守ってくれる」
「失礼ね。アンタを先に狩ってあげましょうか?」
そこで小さな争いが起きたのは言うまでもない。
それが数日前のことだ。
三日前の記憶から戻ると、目の前には再び夜の海が広がる。
「夜の海かぁ…」
ザザン、ザザン、と寄せては返す波音。
静かな音と冷たい潮風がホテルの窓までも運ばれてきて、とても気持ちがいい。
空に浮かぶ天然の灯りが、暗い海を青く照らしているのを見ていると、ダンテの目を思い出す。
ダンテのアクアマリン色の瞳にはきっと、彼自身が持つ血と関係なく魔力が宿っている。見ているといつも吸い込まれてしまいそうになる。
全然違う青なのに、青い色を見るといつもこれだ。
レディがいう『狂』依存という言葉、強ち間違いではないかもしれない。
ダンテに会いたい。ダンテの瞳を見たい。…ダンテの目に似た、あの海を間近で見、触れて感じたい。
全てを優しく包んでくれる、ダンテを思い出しながら。
「なぁに?散歩でもする?」
ボソッと呟いたディーヴァの声を拾い、レディが窓近くまで歩いてきた。
…やはり少し酔っている。足取りが普段のそれとは異なっていた。
「したい…けど、夜だし危ないよ。レディは酔ってるし夜は悪魔の時間だもん」
「言うほど酔っていないわ。
…満月は明日。今日はまだ月の端が欠けてるから、そうそう悪魔は出ないはず。
それに、私もデビルハンター。悪魔が出るなら狩るまで」
レディもいつだってとても優しい。モヤモヤした悩みの中にいるディーヴァをこうして連れ出してくれる。
出会いがアレだったが、どうしてかこんなにも仲良くなったものだ。
「大丈夫、私はこうしていつも武器を携帯してる。
貴女も念のため太ももに銃を隠しておけばいいの。安心でしょ?」
「ん、そうだね」
ひらり、風に揺れるスカートの中、定位置に取り付けられたホルダーに、レディ愛用の銃が獲物を求めて鈍く光っている。
ディーヴァも言われるまま、ダンテにもらったぎっしりと重いそれを装着した。
満月に関して言えば、月は確かに完全なる円ではない。が、ディーヴァは忘れていた。
自身が、『sweet blood』などと呼ばれる悪魔のご馳走だと言う事を。月など関係なく、悪魔を呼び寄せる特異体質だと言う事を……。
夜。
窓の外に臨む美しくも妖しい海を眺め、ディーヴァは小さく感嘆の息を漏らす。
暗闇で黒くなった海をキラキラと青く照らす星明かりと月。
それを一望できるような場所に、レディとディーヴァは泊まっていた。
「このあたりは都会と違って人も街の明かりも少なくて空気が澄んでるからねぇ。
天気もいいしこの分だと明日の満月も綺麗に見れそうじゃない。良かったわね」
「うん、そうだね。…それより飲み過ぎはよくないよ」
「ワイン一本空けるくらい、飲み過ぎに入らないわよ。ディーヴァも一杯どう?」
「赤ワインは苦手なんだ。気持ちだけもらっとくね」
「そう?」
背後でワイン片手にくつろぐレディは、すでにほろ酔い。
饒舌に語り、カパカパと次々に飲んでいる。
今悪魔に襲われたらひとたまりもない。が、悪魔もたまには空気を読んでくれるだろうむしろ襲ってこないでくださいお願いします。
もうすでに月に欠けた場所などほとんどなく完全なる円に近いが、満月は明日の晩ーー。
ダンテとは幸せ気分で見ることはできない、唯一のまぁるい月。綺麗な夜空。
何故、ダンテがいないのか。何故、2人が美しい南の海にいるのか。
…というと、それは三日前に遡る。
ディーヴァが魔界に攫われた件の事件のあと、2人は引越しをした。
ダンテが屋根を殴り壊したからという、単純な理由である。ダンテめ!
直せばいい、皆々様はそうお思いだろう。
しかし、上から板を渡し補強すればいい…などという簡単な作業では直らないと発覚し、住み慣れた我が家を泣く泣く手放したというわけだ。
果たして今回住むこととなった住居。
此度の事務所兼自宅は、事務所スペースが少し狭いため、仮の住まいとなっている。
広くて快適な場所が見つかったらすぐにでも出ていってやる…ディーヴァがそう誓ったのは記憶に新しい。
そうしてしばらく、非常に機嫌の良さそうなレディがやってきた。
とあるプライベートビーチを貸してもらった、という悪魔を狩った依頼料を携えて。
「はぁ?ディーヴァと2人で旅行ぅ?」
嬉しいことに彼女は、ディーヴァを誘いにきてくれたのである。
これは、その話を聞いたダンテの第一声だ。
「そ。
どうせ、アンタ満月の夜はディーヴァと一緒にいられないんでしょ?
なら借りていいわよね。
たまには女同士で旅行させなさいよ」
「はあ…。旅行ねえ…」
渋い顔のダンテはイエスと言うべきか否か、迷っていた。
離れたくはない。けれど、女同士で遊ぶと言うのも大事である。
旅行先は海。
この間酷い怪我をしたディーヴァだが、その傷はロダンのくれた薬やダンテの内科的治療法ですっかり元どおりだ。水着だって着れる。ディーヴァも着たいはずだ(と、勝手に思っている)。
ダンテはディーヴァを心底愛している。が、これでも、ディーヴァが亡くした兄や父がわりも担っているつもりなのである。
「ディーヴァも行きたいわよね?」
「えっ!
まあ、行きたいけど、でも…ダンテに聞かないと……」
行きたい思いはある。それにレディは大切な友人だ。
だがしかし、ダンテ抜きでとなると話は別。
ディーヴァはディーヴァでダンテを愛しているし、今は離れる事を何よりも恐れていた。
そんな不安に揺れる瞳を向けられ、ダンテはノーと言う事にした。
「んなの、オレがOK出すわけねーだろ。一人で行きな」
その瞬間、スススと近寄ってきたレディが耳打ちした。
「『ツケ』」
「「……ツケ?」」
「半分にしてあげる」
「!
ダンテ、ツケが半分だって!これはお買い得……!うーむ、どうしよう!??」
ツケを半分にすると言う話、ディーヴァはノッた。しかし、ダンテは違った。
「半分?そこは全額チャラだろ?」
「全額ぅ?アンタどれだけツケやら借金、アタシにこさえてると思ってるのよ」
「いや全額じゃないなら旅行なんて許さねぇ借金だってあんだからツケくらい全消ししてくれてもいいじゃねーか違うかアアン!?」
「その借金だって多いのよアンタいくらあると思ってるのよツケを半分にするくらいでじゅうぶんでしょう今返せないならディーヴァを担保がわりにもらってもいいのよ!?」
「おいこらディーヴァは物じゃねぇ!」
「え、あたしがなぁに?」
早口での言い合いにディーヴァは付いてこれず、自分の名前が会話に出て初めて、口を挟んだ。
「「ディーヴァは聞かなくていい」」
「アッハイ」
が、蚊帳の外に放り出された。ひどい。
「……よろしい。半額全額についてはあとでゆっくり話すとしよう」
「いくら話しても金額は変えないわよ」
「ちっ…まあいい。そうだな…たまには女同士で旅行でもなんでも行ってくりゃあいい。
…お前の言う通り、どーせ満月の夜はディーヴァと寝れねぇしな」
苦虫を噛み潰したような顔で、ダンテは最後にぼそっと呟いた。
「えー、あー…いいか、ぜーーーったいにディーヴァを危ない目に合わせるなよ。
ナンパ野郎はもちろん、虫もダメ。悪魔なんかもってのほかだ」
「誰に言ってんの?そんなことよくわかってるわよ」
ダンテはレディに注意事項を話すと、ディーヴァに向き直ってその小さな頭に手を置いた。
「ディーヴァ、レディと旅行に行ってきて良いぞ。楽しんでこい」
「う、うん…?」
どう言う風の吹き回しだろう、その時は思ったものだ。
頭上を何度も撫でるダンテの手のひらを甘受しながら、ダンテの顔を不安と困惑を織り交ぜた目で見つめるディーヴァ。
そんなディーヴァの心を見透かしていたのか、ダンテはこの上なく優しい表情をしていた。
「不安なことなんてなんもないさ。レディっつー、悪魔よりも悪魔なオンナが守ってくれる」
「失礼ね。アンタを先に狩ってあげましょうか?」
そこで小さな争いが起きたのは言うまでもない。
それが数日前のことだ。
三日前の記憶から戻ると、目の前には再び夜の海が広がる。
「夜の海かぁ…」
ザザン、ザザン、と寄せては返す波音。
静かな音と冷たい潮風がホテルの窓までも運ばれてきて、とても気持ちがいい。
空に浮かぶ天然の灯りが、暗い海を青く照らしているのを見ていると、ダンテの目を思い出す。
ダンテのアクアマリン色の瞳にはきっと、彼自身が持つ血と関係なく魔力が宿っている。見ているといつも吸い込まれてしまいそうになる。
全然違う青なのに、青い色を見るといつもこれだ。
レディがいう『狂』依存という言葉、強ち間違いではないかもしれない。
ダンテに会いたい。ダンテの瞳を見たい。…ダンテの目に似た、あの海を間近で見、触れて感じたい。
全てを優しく包んでくれる、ダンテを思い出しながら。
「なぁに?散歩でもする?」
ボソッと呟いたディーヴァの声を拾い、レディが窓近くまで歩いてきた。
…やはり少し酔っている。足取りが普段のそれとは異なっていた。
「したい…けど、夜だし危ないよ。レディは酔ってるし夜は悪魔の時間だもん」
「言うほど酔っていないわ。
…満月は明日。今日はまだ月の端が欠けてるから、そうそう悪魔は出ないはず。
それに、私もデビルハンター。悪魔が出るなら狩るまで」
レディもいつだってとても優しい。モヤモヤした悩みの中にいるディーヴァをこうして連れ出してくれる。
出会いがアレだったが、どうしてかこんなにも仲良くなったものだ。
「大丈夫、私はこうしていつも武器を携帯してる。
貴女も念のため太ももに銃を隠しておけばいいの。安心でしょ?」
「ん、そうだね」
ひらり、風に揺れるスカートの中、定位置に取り付けられたホルダーに、レディ愛用の銃が獲物を求めて鈍く光っている。
ディーヴァも言われるまま、ダンテにもらったぎっしりと重いそれを装着した。
満月に関して言えば、月は確かに完全なる円ではない。が、ディーヴァは忘れていた。
自身が、『sweet blood』などと呼ばれる悪魔のご馳走だと言う事を。月など関係なく、悪魔を呼び寄せる特異体質だと言う事を……。
